ディスクロージャー研究学会
(旧ホームページ・アーカイブ)


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ディスクロージャー・インデックス
(1999/ 1~11月)日経4紙から
 

 

          日付   紙誌         紙面 本文字数 番号

 

厚年基金の債務、国代行部分も開示を――年金数理人会が意見書

        19991112 日経金融新聞        3  494    1

 

企業年金の制度設計を担当する年金数理人の集まりである日本年金数理人会は、二〇〇〇年度から企業会計で開示対象となる退職給付債務について、厚生年金基金の債務内容を詳しく公開することなどを求める意見書をまとめた。日本公認会計士協会のまとめた実務指針では、厚年基金のある企業とない企業の債務の債務の内訳が分からず、投資家に対する情報開示の面で問題があると指摘。厚年基金にある国の厚生年金の代行部分の債務などを注記する必要があるとしている。

企業は簿外債務である年金や退職一時金などの退職給付債務について、二〇〇〇年度の決算から開示を義務付けられる。既に九月には会計士協会が開示方法を示しており、その中で厚年基金は国の代行部分も企業債務として開示すべきとしている。

意見書によると、国の制度である厚年基金の代行部分を含めた債務の開示では、基金のある企業の債務が増えることを懸念。厚年基金が解散した場合に国が引き取ると定めている代行部分の水準は、会計士協会の実務指針で決めた基準よりも低いことなどから、会計上、国の定めた代行部分の債務基準や基金の上乗せ年金の債務なども細かく記載

 

 

踏み込んだ「献金」改革を(社説)

        19991111 日本経済新聞 朝刊     2  867    2

        

小渕恵三首相は政治家の資金管理団体への企業・団体献金について政治資金規正法の付則通り二〇〇〇年一月から禁止する方針を表明した。自民党はいったんは企業・団体献金の存続を決めたが、野党や世論の厳しい批判を踏まえて方針転換したものだ。首相の決断を評価するが、これを契機にさらに踏み込んだ政治資金制度の改革が必要である。

現行制度では、政治家への企業・団体献金のルートは資金管理団体だけにとどまらない。政党の選挙区支部や資金集めパーティーを主催する後援会も事実上の受け皿になっている。資金管理団体への企業・団体献金を禁止しても、選挙区支部などに献金をそっくり移し替えれば、現状とあまり変わらないことになる。

だからこそ、私たちは資金管理団体への企業・団体献金禁止にとどまらず、政治資金制度の総合的な見直しが必要だと主張してきた。資金管理団体への献金は上限が年間五十万円とされているが、政党支部への献金の上限は緩やかであり、新たな制限措置が必要である。政党支部の設立は無制限になっているが、乱用防止のための規制も設けるべ

 

 

訪問調査内容や判定結果、プライバシー保護大丈夫?(始動介護保険)

        19991106 日本経済新聞 西部朝刊   17  1190    3

 

プライバシー保護は大丈夫?――。介護保険制度の訪問調査で得た個人情報保護が万全か、いぶかる声が上がっている。調査票は「特記事項」として詳細な身体状況などが記される。こうした情報は民間事業者もケアプラン作成時に参考にできるが、開示方法や範囲は自治体にゆだねられており、市町村側は「どこまでオープンにしていいのか」と困惑する。また、厚生省はこれらの情報を全国的な判定の動向把握に使いたいとしているが、東京都武蔵野市が「プライバシー侵害だ」とかみつくなどその使途を巡り波紋が広がっている。

調査票の特記事には高齢者の身体状況のほか、住環境や家族による虐待の可能性の有無なども記入する。ケアプラン作成に当たっては、事業者自身が別途詳細な調査を行うが、事業者側からは「公共@関の作ったデータも参考にしたい」「高齢者側の負担を減らす意味でも、一読したい」との声が上がっている。

 

 

国内商取、建玉制限見直し、海外投資家取り込みへ

――3倍ルール撤廃の方針。

        19991105 日本経済新聞 朝刊     29  924    5

        

国内の商品取引所が海外からの市場参加者拡大を狙い、取引制度の見直しに動き出した。まず手を付けたのは、国内投資家より厳しい建玉(取組高)制限の緩和。海外関係者から不公平との指摘が多かったことが主因だが、現状のままでは商品先物市場が日本版ビッグバン(金融大改革)に取り残されるとの危機感も背景にある。

「三倍ルールをなくしてほしい」――。商品取引所に海外からの売買注文が入る大半の場合、オムニバス業者と呼ばれる海外の仲介会社が顧客の注文をとりまとめる。それを国内取引所の会員商品取引会社に取り次ぐが、取引所は「オムニバス口座」として国内委託者(投資家や需要家)とは区別して処理する。

その際、商品ごとにある建玉の上限枚数を「オムニバス業者一社当たり国内委託者一人の場合の三倍」と定めているため三倍ルールと呼ばれる。オムニバス業者にとっては顧客数が多くなるほど、国内委託者と比べて一人当たりの建玉制限が厳しくなる。

 

 

個人情報開示、範囲は方法は自治体悩む

――名古屋市に多数の照会(始動介護保険)

        19991102 日本経済新聞 名古屋夕刊  36  1324    6

        

来年四月から施行される介護保険制度で、要介護認定の審査に使われた申請者の個人情報を開示するシステムを作る動きが中部の自治体で相次いでいる。身体状況など利用者の詳しいデータを本人やケアプランを作る事業者に提供することで、認定結果への信頼性を高めるとともに、ケアプランの質を向上させるのが狙い。一方、開示方法を巡り一部の市町村からは「どう扱っていいのか」と困惑する声も上がっている。対象となるのがプライバシーに密接にかかわる情報だけに、取り扱いには慎重さが求められている。

要介護認定では、来年四月から介護保険で受けられるサービス量を、介護を必要としない「自立」を含め七段階に判定する。まずコンピューターが訪問調査の結果を基に一時判定を実施。その結果が訪問調査の際の特記事項や主治医の意見書とともに介護認定審査会にはかられ、最終的な判定が下される。

 

 

リスク・リターン商品分類、運用会社責任資料記載

――投信協指針

        19991101 日経金融新聞        7  881    7

        

証券投資信託協会(投信協会)は投資信託をリスクとリターンの度合いによって分類するリスク・リターン(RR)商品分類について指針をまとめた。RR分類を「法定目論見書を補完する資料」と位置づけたうえで、「投信運用会社の自己責任で販売用資料に記載できる」と明示した。昨年十二月の制度改正でRR分類は法定目論見書には記載できなくなったが、投資家保護の観点から、情報開示を進める必要があると判断した。

RR分類は基準価格の変動の大小に着目して、どの段階に属するファンドかを表示したもの。「安定重視型」「利回り追求型」「値上がり益・利回り追求型」「値上がり益追求型」「積極値上がり追求型」の五種類がある。

例えば、RR1は安定した利回りを目標として運用するファンドで、譲渡性預金(CD)や短期国債など短期金融商品で運用するMMF(マネー・マネージメント・ファンド)などが含まれる。

 

 

千葉県審査会初会合、要介護認定、不服への対応急ぐ

――議事録開示など検討

        19991023 日本経済新聞 地方経済面  39  749    8

        

千葉県は二十二日、介護保険制度でどの程度の介護が必要か判定する要介護認定の結果について、高齢者らから不服を受け付ける県介護保険審査会の初会合を千葉市で開いた。要介護認定の申請は県内全市町村で始まっており、今月末にも申請者に判定結果が通知される見通し。今年度の不服審査請求は千件程度が見込まれ、対応を急ぐ。審査会は専門調査員による再調査なども実施して不服審査を進める。

初会合では、会長に梅園忠千葉県医師会副会長、会長代行に県庁OBで社会部長を務めた加瀬英治氏を選出。県が不服申し立て制度について説明したほか、日時や場所、被保険者や委員の氏名、審議内容などについて記載する審査会議事録の具体的な内容や開示の是非について今後検討することで同意した。

介護保険審査会は、老人クラブ連合会関係者ら被保険者代表委員三人と県市長会などの関係者ら市町村代表委員三人、医師や学識経験者らの公益代表者三十人で構成。公益代表者は三人一組で十の合議体に分かれ、要介護認定や介護給付など対象サービスの種類指定に関する不服を審査する。

 

 

親子の価値逆転いつまで――投資家、連結重視で変化も(スクランブル)

        19991020 日経金融新聞        20  1558    9

        

日経平均株価は小幅続落。前日の米国株高を受け高く始まったが、様子見ムードも強く、戻り待ちの売りに押された

日立、NECがさえない。NTT、NTTドコモが軟調。前日人気化した日本火、興亜火に利益確定売りが出た

東電、関西電など電力株が軒並み買われた。富士通、ソフトバンクがしっかり。大和、日興など証券株が全般的に堅調

十九日の日経平均株価は小幅続落。九月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、市場参加者が様子見姿勢を維持した。「九月中間決算発表で下期の業績見通しが明らかになるまでは投資対象が絞りにくい」(河井毅・興銀証券エクイティストラテジスト)との声もある。

□ ■ □

二〇〇〇年三月期決算から企業の会計情報開示制度が連結中心に移行する。制度変更に伴い、市場の企業評価も単独から連結主体に移るとみられている。

 

 

日証協・投信協、目論見書開示、ネットでも――大蔵省に要望。

        19991020 日経金融新聞        1  738   10

        

日本証券業協会(加藤精一会長)と証券投資信託協会(外村仁会長)は、投信を販売する際に投資家に配布する目論見書をインターネット上で開示できるよう大蔵省に要望する。現行制度では投資家一人ひとりに書面で開示しなければならないが、ネット開示で投資家の利便性を高めるとともに投信販売の拡大につなげる考えだ。ネット上での開示が認められれば、証券会社や投信運用会社の事務負担が大幅に軽減し、投資家が支払う手数料の低下につながる。(投信の目論見書は「ミニ辞典」参照)

日本版ビックバンに伴う九八年十二月の制度改革によって、新たに設定する投信は株式などと同じく、証券取引法で定める情報開示が必要になった。証券、投信運用会社は商品内容を詳しく説明した目論見書を作成・交付し、投資家が目論見書を読んでいなければ投信を販売することはできない。

 

 

経営情報、社員に積極公開、揚重機メーカーのキトー

――電子メールと印刷物を駆使。

        19991015 日経産業新聞        31  637   12

        

揚重機メーカー大手のキトーは全社員に経営情報を積極的に公開していく。毎月の売上高や業界全体としての出荷状況などを鬼頭信二郎社長のメッセージを添えて電子メールと印刷物で社員全員に知らせる制度をこのほど導入したのに続き、年内には利益状況の情報開示も始める。経営陣の意思を社内に迅速に伝えるとともに、収益性に対する意識を全社的に高めることを狙う。

同社は今年八月から全社員向けの情報公開に乗り出した。毎月初旬に前月の売上高と目標達成率、業界動向などの情報を電子メールと印刷物で各職場の管理者であるマネジャー(課長に相当)や班長に連絡している。

これにマネジャーと班長が工場の稼働状況など各職場で必要とする情報を追加、全員に伝達する仕組み。情報は約七百五十人の正社員に加えて九十人弱のパート社員にも伝え、職場全体で経営情報を共有している。同社は、詳細な営業状況を全社員に説明する仕組みは持っていなかった。

 

 

日産、PRTR、物質ごと排出量開示――自動車業界初めて。

        19991001 日経産業新聞        16  455   14

        

日産自動車は三十日、環境報告書を発行、経団連が定める化学物質の排出・移動登録制度(PRTR)の対象物質について、自動車業界では初めて物質ごとの排出量を公表した。三菱自動車工業も同日、報告書を発行し、国内工場ごとに大気・水質汚染物質の測定データを公表した。

日産の報告書によると、経団連のPRTR対象物質百七十八種類のうち、同社は三十五物質を使用。トルエンやキシレンの排出量が多くなっており、排出先では大気中が五四%を占める。

化学物質については二〇〇一年度から法律によって情報開示が義務付けられるが、法施行前に物質ごとの排出量を公表するのは産業界でも珍しい。

また両社とも環境保全コストを初めて公表した。日産は九八年度のコスト総額が約七百億円で、その内訳は直噴ガソリンエンジン性能実験の一部費用などの研究開発コストが八六%、栃木工場内のシンナー回収装置などの生産コストが一〇%、リサイクルやその他の活動が四%となっている。三菱自動車は総額が四百二十億円で、研究開発が八六

 

 

中社審答申、福祉サービス、選択制に――施設、利用者が契約。

        19991001 日本経済新聞 朝刊     5  825   15

        

中央社会福祉審議会(厚相の諮問機関)は三十日、障害者や児童を対象にした社会福祉制度をほぼ半世紀ぶりに見直す答申をまとめ、宮下創平厚相に提出した。市町村が福祉サービスの内容を一方的に決める現行の措置制度を廃止、利用者がサービスの内容や施設を自由に選択し直接契約できる仕組みを導入するのが柱。サービスの質を確保するため、社会福祉法人への情報開示の義務づけや苦情処理機関の設置も盛り込んだ。

答申は社会福祉事業法等改正法案要綱を了承する内容。厚生省は答申に沿って今秋の臨時国会に関連法案を提出、二〇〇〇年四月からの段階実施を目指す。

現行制度では障害者などが厚生施設やデイサービスセンターなどの利用を希望する場合、申請を受けた市町村がサービスの内容を決め、業務を委託している社会福祉法人の中から利用する施設を一方的に決めている。社会福祉法人間で競争原理が働きにくく、サービスの質の向上が見込みにくいとの批判があった。

 

 

野村証券橋本尚人氏――

東電、投資家向け情報が不十分(人気アナリスト会社診断)

投信協会が指針、投信の販売資料、過去の継続データ表示を――目論見書と同じに。

        19990927 日経金融新聞        7  810   17

        

証券投資信託協会は証券会社などが作る投資信託の投資勧誘資料の指針をまとめた。販売用資料に運用実績を記載する場合は、ファンド設定以来の継続的なデータを表示するよう要請。分析の前提で「法定目論見書と異なる内容があってはならない」と指摘している。投資家保護の観点から、販売にあたって情報開示を進める必要があると判断した。

投信協会がまとめた指針は、昨年十二月の制度改正以降に承認されたファンドが対象。それ以前に設定されたファンドには来年十二月から適用される。これまで販売用資料についての具体的なガイドラインはなかった。

パンフレットなど販売用資料に運用実績を掲載する場合は、「直近から過去三年以上(設定後三年未満のものは設定来)の継続した期間のデータを表示する」よう求めている。運用実績の一部だけを強調することで「投資家に誤解を与える表示は慎むように」と警告。ブルベア型やインデックス連動型など具体的な運用手法については、「客観的で分かりやすい表現」を使うよう求めている。

 

 

新証、売買停止時間を短縮。

        19990922 日本経済新聞 地方経済面  22  127   19

        

新潟証券取引所は株取引制度の一部を変更する。合併など重要情報で特定株式の取引停止があった場合、上場会社の情報開示から取引再開までの時間を従来の九十分から六十分に短縮する。インターネットなどの普及で情報伝達が速くなっているためで、十二月をメドに実施する。

 

 

会計士協指針発表、厚生年金基金の代行部分、退職給付債務に。

        19990915 日本経済新聞 朝刊     19  380   20

        

日本公認会計士協会(中地宏会長)は十四日、「退職給付会計に関する実務指針」を発表した。厚生年金基金の代行部分は退職給付債務の対象とする。退職給付会計は二〇〇一年三月期から導入され、企業に年金財政の開示などを義務付ける。今回の実務指針はその具体的な適用方法を指示するもので企業に強制力を持つ。

厚生省の制度変更を受け八月の公開草案では代行部分は債務の対象外とした。しかし、公開草案に対し「制度変更は一時的なもの」などの意見が多く寄せられ、代行部分も債務と見なすことになった。

企業が保有有価証券などを信託銀行に委託して、その資産で積み立て不足を埋める「信託方式」に活用できるのは、時価算定や換金が容易な上場・店頭株式や公募債券に限る。土地などの固定資産は「対象とすることが難しいと考えられる」としている。子会社株式も連結決算上は積み立て不足の穴埋めを認めない。

 

 

化学物質、6割削減、協和発酵、排出量を開示。

        19990914 日経産業新聞        8  355   21

        

協和発酵は十三日、環境・安全リポートをまとめ、発表した。その中で化学質の排出・移動登録制度(PRTR)に関連し、ジクロロメタンなど六つの化学物質の排出を先行開示した。九八年度は六種合計で百四十トンとなり、九六年度比で六六%減の二百七十トン削減した。日本化学工業協会の削減目標を大幅に達成した。

同協会では十二の化学物質を「有害大気汚染物質」とし、優先的に削減することとしている。同社はこのうちベンゼン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなど六物質を排出しており、今回のリポートで数値を公表した。具体的には最も多いジクロロメタンの排出量は七十トンで、前年度比一五%削減している。

また同社は七月に防府工場で環境管理の国際規格ISO14001認証を取得。二〇〇〇年度中に残る国内七工場での取得を計画している。

 

 

「グリーン電力」に脚光、CO2削減に新手法

――負担増への理解カギ(ズームイン)

        19990830 日本経済新聞 朝刊     17  1596   23

        

地球温暖化の原因になっている二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するため「グリーン電力」と呼ぶ新しい制度が注目されている。風力や太陽光など新エネルギーで発電した電力と、火力・原子力などの電力とを区別し、消費者の環境保全意識や市場原理をテコに新エネの普及を目指している。欧米で九六年ごろから導入が進み、日本でも具体的な取り組みがスタート。「新エネは割高で普及に限界がある」という定説を覆す可能性を秘めている。

□ □

「あなたの家庭の今月の電気料金は八千円。これにグリーン料金四百円を加算して振り込んで下さい」。北海道生活クラブ生協(本部・札幌市)の会員約六百三十世帯は毎月、こんな請求書を受け取る。

同生協は三月、北海道電力の協力を得て国内初のグリーン電力制度「グリーンファンド」をスタートさせた。会員世帯は他の世帯と同様、北電から電力を買うが、通常の電気料金に五%加算して支払う。生協はこの五%分を積み立てて運用し、将来、自前の風

 

 

グループ経営と連結会計に対応、PWCが新システム

――既存2ソフトを統合。

        19990826 日経産業新聞        7  690   24

        

プライスウオーターハウスコンサルタント(PWC、東京・渋谷、倉重英樹会長兼社長)は連結会計制度の運用とグループ会社の経営管理を連動できるシステムを開発、販売を始めた。同社の関連会社、ディーバ(東京・品川、森川徹治社長)の企業情報開示用ソフトと経営管理用ソフトとして世界的に普及している「ハイペリオンエンタープライズ」を組み合わせて販売する。二〇〇〇年三月期に導入される連結会計制度を機にグループ経営の強化を目指す企業の需要を積極的に開拓する。

PWCはディーバの企業情報開示用ソフト「ディーバシステム」と「ハイペリオンエンタープライズ」を連動させて「ディーバウィズハイペリオン」として発売した。価格は二千五百万円から。

ディーバシステムは九七年から販売を始めた企業情報開示用ソフト。導入実績は約五十社。ウェブを通してグループ会社の財務、役員人事などの情報収集機能を整備しているのが特徴。さらに英語と日本語の二カ国語に対応しているため海外の現地法人などにも導入できる。

 

 

新会計が問うもの(上)「日本的経営」に企業観の転換迫る(社説)

        19990822 日本経済新聞 朝刊     2  1750   27

        

企業会計制度の戦後最大の改革が目前に迫ってきた。収益をどう認識するかという経済計算の基本ルールの改正で、企業の経営と評価の物差しが大きく変わる。世界標準(グローバルスタンダード)への適応を図る新会計への移行は経営者に企業観の転換を促し、日本経済の構造改革を加速する触媒の役割を担う。

「会計ビッグバン」の進行スケジュールは以下の通りである。

▼連結決算主体・連結対象範囲の拡大・連結キャッシュフロー(現金収支)計算書の開示

=二〇〇〇年三月期から。

▼金融商品への時価評価・退職給付(企業年金・退職金)会計の導入

=二〇〇一年三月期から。

▼持ち合い株式への時価評価の適用

=二〇〇二年三月期から。

これら一連の改革は日本の会計基準を国際会計基準(IAS)に近づけるものと言っていい。

 

 

「要介護認定」まで1ヵ月半、訪問調査員の研修開始、

福岡・10市町の90人参加。

        19990819 日本経済新聞 西部朝刊   17  926   28

        

介護保険制度実施の前提となる「要介護認定」が十月から始まるのを前に、福岡県は十八日、お年寄り一人一人を訪問してどの程度介護に手がかかるか調べる「訪問調査員」の研修を始めた。しかし、調査票の書き方など個人差が出そうな面も多く、参加者からは「準備が進めば進んだ分、新たな疑問がわいてくる」との声も聞かれた。調査で得た情報は本人が同意すれば、ケアプラン作成事業者にも開示される可能性があり、「プライバシー保護は大丈夫なのか」との指摘も出た。

調査員は自治体職員や、自治体から委嘱を受けた人々で、福岡県では県内を四ブロックに分けて訪問調査員の研修を実施。この日は大野城市の福岡県筑紫総合庁舎で、宗像市、春日市、福間町など十市町の訪問調査員ら約九十人が参加し、要介護認定や要支援認定についての基本的な考え方などの講習を受けた。

 

 

点検サービサー日米最新事情リポート(上)「不良債権の山」に挑む。

        19990817 日経金融新聞        1  1835   29

        

不良債権の最終処理を促すため、二月に解禁されたサービサー(債権管理・回収専門会社)の認可が先週末で十九社に達した。各社の活動も始まったが、債権回収の実効性を高めるうえで、残された制度面での課題も目立ってきた。一方、先行する米国ではサービサーのすみ分けが進み、証券化市場でなくてはならない存在に成長している。日米の最新事情から、サービサーの将来を展望する。

住友銀行は今月九日、法務省にサービサーの営業認可を申請した。住宅ローンに照準を絞り、延滞債権の回収を約五十人の専門集団で一手に請け負う計画。正式認可を得た後、十月をメドに営業を始める。

実は、住友銀が設立を準備しているサービサーはこれだけではない。カードローンなど、個人向け無担保債権の回収を専門に担当する会社の設立も別途検討している。債権の種類別に回収ノウハウを集約し、不良債権への対応力を高めるのが狙いだ。同行が経営戦略の中核に据えるリテール(小口金融取引)を拡大すると、こうした小口の不良債権の増加が避けられないとの読みもある。

 

 

北海道の情報開示、請求件数の減少続く、昨年度3万2858件

――出張関連が最多。

        19990813 日本経済新聞 地方経済面  1  337   30

        

道は十二日、九八年度情報公開制度の実施状況を明らかにした。公文書の開示請求件数は三万二千八百五十八件で、前年度比二〇・六%減少した。請求件数は不正経理問題が起きた九五年度の四十四万百十二件をピークに減少を続けている。

請求件数を内容別に見ると、旅行命令簿など出張(旅費)関連が五千三百九十八件で最も多く、交際費・食糧費関連の五千百四十四件、建設工事に関する書類の三千七百六十件の順となっている。

請求があったもののうち、全部開示が七千八百四十三件、一部開示が二万三千百九十五件、非開示が百四十件となっている。

一方、個人情報については請求件数が百九十六件で、前年度比七十件増加した。最も多かったのが今年から始まった介護支援専門員実務研修受講試験の分野別得点についてだった。

 

 

厚生省、改正法案提出へ、社会福祉法人に情報開示義務。

        19990811 日本経済新聞 朝刊     34  237   31

        

社会福祉の構造改革を進めている厚生省は十日、行政が入所施設などを決める措置制度から利用者が選ぶ契約制度への転換を柱とする社会福祉事業法などの改正法案要綱を同日開かれた中央社会福祉審議会(厚相の諮問機関)に諮問した。秋の臨時国会に改正案を提出、来年度からの施行を目指している。

要綱では、利用者に十分な情報が行き渡るよう、社会福祉事業の経営者や自治体にはサービスに関する情報提供の責務を明確化する。経営腐敗を防ぐため、社会福祉法人には財務諸表や事業報告書の開示を義務づける。

 

 

改正商法成立、10月施行めざす、法務省――株式交換制度導入へ。

        19990810 日本経済新聞 朝刊     5  578   33

        

企業の合併・買収(M&A)を促進するための「株式交換制度」の創設を目玉とした改正商法が、九日の参院本会議で共産党を除く各党の賛成多数で可決、成立した。法務省は十月一日からの施行を目指す。現在は少数株主の反対や煩雑な手続きが壁となって企業再編を遅らせる一因となっているため、株式交換制度の導入で企業が戦略部門の買収や子会社の経営権移転を迅速にできるようにする。改正商法は六日の参院本会議に緊急上程される予定だったが、民主党の反対で成立が先送りされた。

改正商法は(1)親会社が子会社の株式を一〇〇%保有する「完全親子会社」関係を容易にするための株式交換制度を創設(2)親会社株主の利益を保護するため、子会社の業務内容などの開示を充実(3)金銭債権の時価評価の導入――などが柱。

 

 

2年目の公共事業再評価制、今年も長野県の素案ほぼ追認

――根強い監視委への批判。

        19990806 日本経済新聞 地方経済面  3  1022   34

        

長野県は五日、県公共事業再評価委員会(委員長、池田典隆副知事)を開き、九九年度の公共事業再評価の内容を決定した。第三者機関がほぼ県の素案を追認したのに伴い、素案に住民の理解や自然環境への配慮など留意事項を追加しただけにとどめた。二年目の作業をほぼ終えた再評価制度だが、二年とも県の素案を追認する結果となり、制度の在り方に課題を残した。

今年度の再評価対象は県の事業で三十二件。新たに対象になった二十九件と市民団体の反対運動などを理由に昨年度から積み残した大仏ダム(松本市)、黒沢ダム(三郷村)、北沢林道(穂高町)の三件。県の素案はすべてを継続案件とし、大仏ダムなどを含めた五事業は規模や工法を見直しコストを計二十二億五千万円削る内容だった。

第三者機関の県公共事業評価監視委員会(委員長、金子八郎・県経営者協会副会長)は五月から、委員会を五回開催。意見書には全事業共通の留意事項と七事業で個別意見を示した。

 

 

総合化学6社、全社が連結中間発表――三菱化や東ソー、今期から。

        19990730 日経金融新聞        17  559   35

        

総合化学メーカー六社は九九年九月中間期に全社がそろって連結中間決算を発表する。九七年九月中間期から開示を始めた旭化成工業(3407)、前中間期からの住友化学工業(4005)に続き、三菱化学(4010)、東ソー(4042)、三井化学(4183)、宇部興産(4208)も開示する。今期から連結決算中心の開示制度に移行する中で、投資家への情報を拡充するため、各社とも連結中間決算が義務付けられる二〇〇〇年九月中間期より前倒しで開示する。

三菱化は成長分野の医薬事業やポリオレフィン事業を分社化するなど持ち株会社への移行を前提にグループ再編を進めている。事業を分離する過程で余剰人員を引き受ける本体の負担が増すなど、単体決算の内容が一時的に悪化することもあり「連結決算でなければ投資家が会社の実態を理解しづらい」(広報室)と判断した。

 

 

来月1日から、川崎市の公共工事、予定価格を事前公表。

        19990730 日本経済新聞 地方経済面  26  273   36

        

川崎市は八月一日から公共工事の入札予定価格を事前に公表する。対象工事は今年度上半期分で三件が該当する。同時に、あらかじめ設定した下限価格を業者の最低入札価格が下回った場合、無条件で応札対象から排除する最低制限価格制度の対象も縮小する。入札制度の透明性・競争性の向上を図るのが狙いだ。

最低制限価格制度はこれまで予定価格二十四億五千万円未満の工事を対象としてきたが、一日から対象を一億五千万円未満に引き下げる。予定価格二十四億五千万円以上の工事はこれまで、最低入札価格が予定価格を下回った場合、その価格で工事が適正に履行されるか市が調査してきた。番号

 

 

クレディ・スイス処分、「損失先送り」一掃へ

――金融当局、外資にも厳正対処。

        19990730 日本経済新聞 朝刊     7  894   37

        

金融再生委員会と金融監督庁は二十九日、クレディ・スイス・グループ(CSG)五社に対し、銀行免許取り消しを含む厳しい行政処分を下した。日本の金融機関や企業向けに販売していた「損失先送り商品」が市場の公正さを著しくゆがめたと判断したためだ。時価会計導入の遅れなど制度の不備も背景にあるが、金融当局は経営実態を正確に反映した情報開示など、市場インフラが整わなければビッグバン(金融大改革)の進展は難しいとみている。CSGへの厳重処分で、日本企業全体の損失先送り体質にもメスが入る。(1面参照)

再生委・監督庁がCSGに厳しい処分を科した理由は二つある。一つは定期検査を実施せず、事実上、野放しになっていた外資系金融機関にも規律を求めなければ、邦銀との間で不平等が残ること。もう一つは大手銀行の一斉検査で、「損失先送り商品」が日本の金融機関や企業を予想以上にむしばんでいる実態が明らかになったためだ。

 

 

投信新潮流50兆円争奪戦に挑む(上)

ファンド、優勝劣敗鮮明に(月曜ワイド)

        19990726 日経金融新聞        1  1437   38

        

六月末の投資信託の純資産残高がほぼ五年ぶりに五十兆円の大台を回復した。運用成績のいいファンドに資金が集まる傾向が鮮明になり、私募投信などN十二月の制度改正で認められた新商品も相次いで登場している。その一方、有価証券報告書の作成や公認会計士による監査が義務づけられるなど情報開示強化で、関係者は膨らむコスト負担に頭を抱える。非上場債券の時価評価も目前に迫るなど、新しい潮流にもまれる投信業界の動きを追った。(証券部 小野学、経済部 武田仁)

「運用成績が好調なファンドに資金が集中する傾向は今後も続く」。フィデリティ投信のビル・ワイルダー社長は確かな手ごたえを感じている。

 

 

大蔵省、保険制度見直しで金融審に作業部会――生保の経営開示など。

        19990726 日本経済新聞 朝刊     3  445   39

        

大蔵省は保険制度見直しの検討に入る。資産の運用利回りが契約者への保証利回り(予定利率)を下回る「逆ざや」の拡大で、保険会社の経営環境が業界全体で悪化しているためだ。九月初めをメドに金融審議会(蔵相の諮問機関)に新しい作業部会を設置し、ディスクロージャー(情報開示)の拡大による生保経営の透明性向上策など新たな法整備の必要性を検討する。

金融審ではこれまで保険契約者が「社員」を兼ねる相互会社を株式会社に組織変更する方策を検討してきた。日本のほとんどの生命保険会社が相互会社形態をとり、自己資本の充実や資本提携などの再編を進めにくいためだ。株式会社化については保険業法改正案を来年の通常国会に提出する方向が固まっており、大蔵省はそのほかの保険制度見直しの論点を整理することにした。

 

 

ユニバーサル投信社長中塚幸夫氏――運用力強化で信頼獲得(ざっくばらん)

        19990722 日経金融新聞        3  301   40

        

▽…「投資信託会社にとって増えるコストをどう吸収するかが頭の痛いところ」と語るのはユニバーサル投信の中塚幸夫社長。昨年十二月の制度改正で投資信託商品の情報開示が証券取引法の対象になり、有価証券報告書の作成などが義務づけられた。

▽…投資家にとってファンド内容の透明性が向上するのは望ましいことだが、膨らむ費用を考えると「喜んでばかりもいられない」。「もっとファンドを整理したいが、販売証券会社との関係もあるし、そう簡単に結論を出せる問題ではない」と対応に苦慮している。年内にもパートナーズ投信との合併を控え、最後は「運用力強化で独自色を打ち出し、投資家の信頼を獲得するしかない」と気を引き締めていた。

 

 

第3部変ぼうする企業(4)

韓国開発研究院、李永〓氏(終)(アジア金融再生への道)

        19990716 日経金融新聞        1  958   41

        

アジア再生のカギは企業が握っている。株価は比較的堅調だが、リストラによる競争力の強化や、情報開示による信頼の回復など課題は多い。欧米のノウハウを取り入れて、企業はよみがえれるのか。韓国とマレーシアの専門家に聞いた。

アジア企業の最大の問題点はなにか。

――「透明性が十分でないことだ。開示された経営情報に信頼性がなく、外国投資家はまだ安心して投資できない状況にある。会計基準を国際的なものに近づけ、社外監査や社外取締役の導入義務化など制度的な整備が急務だ。韓国は国際通貨基金(IMF)の支援体制下に入ったこともあって、この二年で急速に導入が進んだが、浸透にはまだ時間がかかりそうだ」

――企業経営の健全化のために金融面から必要な措置は。

 

 

退職給付(1)導入のねらい

――「隠れ債務」把握・開示へ(会計ビッグバン)

        19990707 日本経済新聞 朝刊     19  1321   42

        

日本電信電話(NTT)七千六百八十億円、日立製作所千八百億円、東芝五百七十億円――。年金や退職一時金財政を健全にするため巨額の損失を処理する企業が相次いでいる。この背景には、二〇〇一年三月期からの退職給付会計(年金会計)の導入がある。

× × ×

多くの上場企業は年金や退職金制度を持っている。従業員が退職すると、企業は年金などを支払っていかなければならない。年金などは、企業の債務のひとつと言える。社員の高齢化などで、そうした債務は膨らみ続けているが、現状ではその実態を知る手段はほとんどない。年金を例にとると、企業の毎年の掛け金が損益計算書に費用として出てくるだけだ。

 

 

法務省、会社分割を法制化――商法改正へ中間試案。

        19990707 日本経済新聞 朝刊     5  659   43

        

法務省は六日、企業が機動的に組織を再編し効率的な経営ができるよう事業部門を分離・独立させる「企業分割」の法制化に向けた商法改正案の中間試案をまとめた。簡素な手続きの包括的な分割制度を整備するのが柱で、事前の情報開示や分割に反対する株主の株式買い取り請求権と債権者保護の具体案を盛り込んでいる。七日に開く法制審議会(法相の諮問機関)の商法部会・会社法小委員会(委員長・前田庸学習院大教授)に試案を提示し、二〇〇〇年の施行を目指す。

 

倒産リスク明記、早期義務付け求める――大蔵省、会計士改革で論点整理。

        19990703 日本経済新聞 朝刊     4  312   44

        

大蔵省は二日、会計士制度改革を検討している公認会計士審査会の作業部会がまとめた論点を公表した。企業が倒産するリスクがあれば、その点を監査意見のなかで「存続可能性」として明記するよう義務づけることを求めた。ただ、産業界の意向を受けて、

「企業活動などへの影響に配慮すべきだ」と付記している。

公表した論点は、監査意見に倒産リスクを明記する制度について、「将来のリスクを早い段階から監査を経て開示することが重要」と指摘、早急な導入を提言している。会計士の質の向上に関しては「研修の内容の充実や履修の義務づけを検討する必要がある」と強調。一度登録すると生涯業務ができる仕組みを見直し「数年ごとの更新制」にすることにも言及している。

 

 

情報公開、知る権利、条例明記を――千葉市の審議会が答申。

        19990702 日本経済新聞 地方経済面  39  402   45

        

千葉市情報公開制度運営審議会(野口薫会長)は一日、千葉市における情報公開制度のあり方についての答申をまとめた。国が示した方向におおむね沿ったもので、現在施行されている条例の改正点として、条例の目的に「市の保有する情報に対する市民の知る権利を明記すべきだ」などと指摘している。答申に沿って市は九九年度中に条例を改正する方針。

答申では公開請求できる対象者をこれまでの住民や市内に通学する人などから、「何人にも認めるべきだ」と大幅に拡大した。開示すべきでないとした情報でも、公益を優先して開示する必要があると市が判断すれば裁量的に開示できる規定を設けるべきだとした。

 

 

第5部・決算公告特集

――財務諸表、国際基準対応へ、制度変更、目白押し。

        19990630 日本経済新聞 朝刊第5部  1  1346   46

        

日本企業の財務諸表が国際会計基準に適合したものになりつつある。連結中心の決算、税効果会計の導入、有価証券の時価評価など会計制度変更のスケジュールは二〇〇二年まで目白押しで、企業の実態が今までより鮮明につかめるようになる。経営者が自分の言葉で企業を語る説明責任もますます重要になっている。投資家向けの決算説明会開催やIR室設置といった企業のIR活動は年々充実する傾向で、会計制度変更と合わせディスクロージャーの強化が期待される。

二〇〇〇年三月期から始まる会計制度の変更で、企業本来の姿が現状より明確に見えてくる。まず連結中心の開示制度になるのを機に、持ち株比率四割程度の企業にまで連結対象範囲が広がる。支配力基準とよばれるもので、グループ全体の実態がわかるようになる。

 

 

点検VB支援策関係者の評価を聞く(下)

未公開株市場――未来証券常務酒井雅子氏。

        19990629 日経産業新聞        23  685   47

        

創業間もない若い企業や公開基準を満たせなくても成長性は高いベンチャー企業(VB)にとり、日本証券業協会の「店頭取扱有価証券」として株式を発行、流通させることは資金調達の手段だ。九七年七月にいわゆる未公開株市場が発足して二年たつが、取引されている銘柄数は三十三にとどまる。使い勝手を向上させ、市場を拡大することが求められる。◇未公開株取引への参入を予定している未来証券(東京・中央)の酒井雅子常務

「未公開株も保管・振替制度の対象になれば、株券を実際に動かさなくて済むので売買の増加につながる。流動性を高めるにはコード番号を定めるなどシステム化しやすくすることも必要だ。月一回発表している気配値を毎日公表すれば、認知度も高まるだろう」

 

連結決算(1)子会社の範囲――「支力基準」導入で拡大(会計ビッグバン)

        19990626 日本経済新聞 朝刊     13  1316   49

        

二〇〇〇年三月期から企業の財務諸表の作成や経営情報の開示が連結決算中心になる。これに伴い連結対象会社の範囲が拡大されたり、連結の中間決算が`務付けられるなど抜本的に制度が変わる。日本もいよいよ欧米並みの本格的な連結決算の時代に入る。連結決算を情報開示の中心に据えるのは、グループ全体の経営実態を有価証券報告書に正しく反映し、投資家に適切な投資情報を提供するためだ。企業会計審議会(蔵相の諮問機関)も緕オ年六月の意見書で、「国内外の投資家による日本市場への投資の促進」を連結決算制度を改革する目的の一つに挙げている。

制度見直しのポイントはいくつかあるが、最も大きな影響がでそうなのは連結子会社の範囲拡大だ。クレディの「損失先送り商品」、違法性認定、

 

悩む監督庁――制度見直し遅れ響く。

        19990625 日本経済新聞 朝刊     5  602   50

 

クレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)グループに行政処分を下す方針の金融監督庁が同社の「損失先送り商品」の違法性認定で悩んでいる。取引は商行為で、銀行法による違法認定は難しい。同商品の背景には市場の変化に対応した制度見直しの遅れがあり悩みは深い。

監督庁は検査妨害などで同社を行政処分する方針だが、問題は企業取引そのもので違法性を認定できるか。銀行法は銀行業を規制し個別取引の規制はない。

商法などを根拠に有価証券報告書の虚偽記載などで違法性を問うことは可能だが、CSFBは「粉飾決算のほう助」などにあたり、ほう助の意図を証明する必要がある。先送り商品を使い決算を粉飾した企業の違法性を問う必要も出てくるが、「銀行法による検査で取引企業の問題まで告発できるのか」との声が監督庁内部にもある。

 

 

名古屋証取、上場企業の適時情報開示、9月にも義務付け。

        19990624 日経金融新聞        7  405   51

        

【名古屋】名古屋証券取引所は上場企業の適時情報開示を強化するため、合併や提携など経営上重要なことがらが起きた場合、直ちに開示することを義務づける制度を九月にも導入する。これまでは、適時情報開示を任意で求めていたが、今後は上場規則に情報開示の条項を明記し強制的に開示を要請できるようにする。違反企業には罰則を課すことも検討している。

情報開示の義務づけは市場の透明性を高めるのが狙い。二十三日の理事会で正式に決めた。東京証券取引所や大阪証券取引所がすでに同様の制度を設け、規制を強化することを決めており、名証も歩調を合わせる。

 

 

重要情報の開示、名証が義務付け――9月から、違反には罰則も。

        19990623 日本経済新聞 地方経済面  7  413   52

        

名古屋証券取引所は上場企業の適時情報開示を強化するため、合併や提携など経営上重要な事実が発生した場合、直ちに開示することを義務づける制度を九月をめどに導入する。これまで企業には適時情報開示を任意に求めてきたが、今後は上場規則に情報開示の条項を明記して、強制的に開示を要請できるようにする。違反企業には上場廃止など厳しい罰則の設定も検討している。

情報開示の義務づけは市場の透明性を高める狙いで、二十三日に開く理事会で正式に決める。東京証券取引所や大阪証券取引所がすでに同様の制度を設け、規制を強化することを決めており、名証も歩調を合わせる。

 

化学物質と付き合う実践PRTR(下)

"入り口管理"徹底――含有量も報告求める。

        19990618 日経産業新聞        12  1646   53

        

三月末、トヨタ自動車は愛知県豊田市の本社に取引のある部品、資材、原材料メーカー約四百五十社の環境部門責任者を集め、「環境保全への取り組み方針説明会」を開いた。品質、コスト、納期の三要素で決まるケースがほとんどだった部品や資材調達に、

「環境」による選別を盛り込むのが狙いだ。

「ここまで開示する必要があるのか」。ある部品メーカーの幹部社員は説明会で配布された「調達ガイドライン」に驚きを隠さない。納入する部品に含まれる有害化学物質について調査し、物質名だけでなく含有量・率、含有する部位までを記した「環境負荷物質の報告表」を提出するよう要請した内容だ。

 

 

化学物質と付き合う実践PRTR(中)

広がるマニュアル作り――業界団体が算出指針。

        19990616 日経産業新聞        9  1676   57

        

「自治体が説明会で助言や指導を繰り返し、督促したにもかかわらず報告率は五〇%。明らかな間違いも多数あり、制度が根付くには時間がかかる」(自由党の武山百合子議員)

環境庁は九七年度に神奈川県と愛知県で、化学物質の排出・移動登録制度(PRTR)のパイロット事業を実施した。実際に報告したのは五百二事業所で、報告率は五三・二%。ただ、この数字は事業所の概要を回答した九百四十三事業所を分母にした比率で、アンケートの発送数千八百十八に対する報告率は二七・六%に過ぎない。法制化を巡る衆院の審議でも、データ集計の技術的な難しさを指摘する声が相次いだ。行政への報告の義務化に向けて、企業はどのように準備を進めているのだろうか。

 

 

大証、情報開示義務付け。

        19990616 日本経済新聞 朝刊     7  142   58

        

大阪証券取引所は十五日、上場企業に重要事実の適時情報開示を義務付ける制度を導入すると発表した。東京証券取引所が規制強化に踏み切るのに合わせて、九月にも上場規則を改める。違反企業には上場廃止などの厳しい罰則規定を設ける。企業の情報開示に強制力を持つことで市場の信頼性を高めるのが狙い。

 

 

化学物質と付き合う実践PRTR(上)

住民とリスク対話――「悪いデータも開示」。

        19990615 日経産業新聞        12  1782   60

        

化学物質の排出・移動登録制度(PRTR)の法制化が秒読みに入った。すでに衆院を通過しており、参院でも審議が始まった。今国会で成立すれば、企業は二〇〇一年四月からデータ収集の開始を義務付けられる。産業界には戸惑いが広がるが、残された準備期間は二年弱、立ち止まっている余裕はない。化学物質の自主管理を軌道に乗せるため、どのような取り組みが企業に求められるのか。先行事例を追いながら、PRTR実践のポイントを探る。

今月四日午後五時。米化学大手の日本法人、ローム・アンド・ハース・ジャパンの日本リサーチセンター(埼玉県鷲宮町)の一室で年一回の地域連絡協議会が始まった。会社側は安全・健康・環境部の黒川幸郷部長ら二人、周辺地域からは四人の住民が参加した。同センターでの研究開発活動が地域の環境に与える影響について、一時間にわたって話し合った。

 

 

経営実態一層詳しく、企業、情報開示に力

――市場との対話重視、制度変更先取りも。

        19990610 日本経済新聞 朝刊     17  1407   61

        

企業が決算説明資料の内容充実に動き始めている。証券取引所などの要請事項として定められた開示項目だけでなく、さらに詳しい情報を明示することで投資家に経営実態を理解してもらうのが狙い。会計制度の変更によって必要になる新たな情報開示を前倒しで実施する会社や、詳細な資料をインターネットで公開する企業も増えてきた。

「代表取締役二千七百万円、取締役六百六十万円、同五百四十万円」――。店頭公開のがん具メーカー、Peopleは九九年三月期の決算短信で取締役や監査役の役員報酬額、役員賞与額を個別に示した。同社は役員賞与を年間の時価総額増減率などに連動させる制度を採用、開示が必要なのは役員賞与の合計額だけだが、「制度に沿って運用していることを明らかにする」(桐渕博史財務部長)ため、細かく開示した。

 

 

一時金受給も可能、確定拠出型年金で4省案――掛け金は非課税。

        19990606 日本経済新聞 朝刊     1  670   62

        

掛け金の運用成績次第で将来の年金額が変わる確定拠出型年金制度について厚生・大蔵・通産・労働の四省が共同でまとめた原案が五日明らかになった。掛け金は非課税とし、受け取る時は年金だけでなく一時金でも受給できるようにする。加入者への運用リスクの説明など投資教育や情報開示は契約した金融機関が責任を持つ。個人で加入する場合は国民年金基金連合会など指定団体経由で入る仕組みにする。

原案は八日の自民党私的年金小委員会(津島雄二委員長)に示す。必要な税制改正案を八月中にまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出、二〇〇〇年度中の導入を目指す。

 

 

地方債に市場原理の波(下)「信用力差なし」に限界

――自治体に情報開示迫る。

        19990601 日経金融新聞        1  1750   63

        

「地方債も郵便局で窓口販売をすべきだ」。五月中旬、国債など各種債券の商品性向上を検討している自民党の債券市場問題小委員会(委員長、金子一義衆院議員)で、地方債改革の火ぶたが切っておろされた。

議論を切り出した坂井隆憲・党地方行政委員長の狙いは、地方債の安定消化だ。自治体財政の悪化で、市場参加者が信用力に懸念を抱き始めた地方債は流通市場で格差が開いた。手を打たなければ、歳入の柱である地方債の消化に問題が起き、自治体運営を根幹から揺るがしかねない。こんな危機意識が政治を動かした。

「共同で自治体が地方債を発行し、ロット化(一回の発行量を増やす)を図るべきだ」――。金融機関や自治体、学者などで構成する「地方債に関する調査研究委員会」(委員長、太田和紀東京理科大教授)も三月に流動性の向上策を提言した。狙いは同じく地方債の安定消化。報告書は自治省の外郭団体、地方債協会の主導でまとめられた。

 

 

地方債に市場原理の波(上)

日本格付投資情報センター磯道真氏(月曜ワイド)

        19990531 日経金融新聞        1  487   64

        

日本格付投資情報センターのシニアアナリスト、磯道真氏 投資家にとっては地方債や地方財政に関する情報は決定的に不足している。九七年度分から自治省の作成している「都道府県決算状況調」がようやく市販されるようになったものの、それまでは都道府県の地方債残高すら投資家が知るのは難しかった。自治省や自治体の情報開示の充実が急務だ。

また、地方財政制度の複雑さが投資家の理解を妨げている点も否めない。例えば地方交付税は算定の元になる「単位費用」や「補正係数」が毎年変更されるなど配分方法が不透明。

地方債残高のうち交付税で手当てされるものの割合に至っては財務担当者ですら把握しておらず、制度をすっきりさせる必要がある。

最近は第三セクターの破たんが相次いでおり、外郭団体に対する自治体の支援負担も懸念材料になっている。しかし、市町村がこうしたところへつけている債務保証や損失補てんの金額は公表されていない。

 

 

テキスト金融情報会計(経済書紹介)

        19990526 日経金融新聞        9  241   67

        

企業のより正確な実態を知りたい――。会計制度に求められるのはこの一点に尽きるのではないか。だが経済情勢や企業活動が急激に変化すれば、おのずとその姿を映し出す会計制度も変わらずにはいられない。バブルとその崩壊が時価会計の必要性につながり、相次ぐ不祥事がディスクロージャーの充実につながっている。では、次に求められるのは何か。温故知新とばかり、本書は戦後の金融・経済環境の変化に伴って生じた様々な会計問題を概括し、二十一世紀の会計制度を論じている。

(中央経済社 本体価格三千八百円)

 

 

ソニー、97年度、環境費用83億円――国内事業所分を公表。

        19990521 日経産業新聞        10  650   68

        

ソニーは二十日、環境保全活動に投じた費用と、省資源や廃棄物削減などの効果を金額で明示する「環境会計」を初めて発表した。九七年度の国内事業所分について集計したもので、費用総額は八十三億八千五百万円、効果については今回は算出していないが、今後は費用との相関分析まで徹底する。同日発行した九七―九八年度のソニーグループの環境活動と今後の目標をまとめた環境報告書の中で公表した。

環境費用は(1)公害防止費用(2)環境負荷削減費(3)環境管理システムの関連費用――など六項目に分類、試算ベースで金額を集計した。今後はソニーとしての環境効率(費用対効果)も算出する方針。環境会計を通じて、環境保全にソニーがどの程度経営資産を配分しているかを明確にする。

 

 

抵当証券、回収困難な債権開示――業界団体が投資家保護策。

        19990521 日本経済新聞 朝刊     7  568   69

        

抵当証券業界は投資家の保護を目的に自主ルールを強化する。業界団体の抵当証券業協会は二十日、抵当証券会社の貸付金のうち回収が難しくなった債権の情報開示と、延滞債権を組み入れたリスクの大きい抵当証券の販売自粛を決め、加盟六十七社に通達した。一定期間内なら契約を取り消せるクーリングオフに類似した制度の導入も検討する。購入時の安心感を高め、銀行系抵当証券会社などの破たんで打撃を受けた業界の信頼回復を目指す。

抵当証券は抵当証券会社が企業や個人に持つ債権と融資の担保となる不動産の抵当権を一体化した金融商品。利回りが高い半面、融資の焦げ付きで元利金が戻らないリスクもある。北海道拓殖銀行や兵庫銀行などの系列抵当証券の破たんでは、購入者と販売を取り次いだ金融機関の間で損害賠償訴訟が起きた。

 

 

会計士協会の品質管理審始動、監査の信頼回復へ重責

――情報の開示へ活発議論期待。

        19990519 日本経済新聞 夕刊     5  1291   70

        

「監査法人を"監査"します」――。日本公認会計士協会(中地宏会長)は今年四月、各監査法人の監査の手続きや質を検査し、その結果を学識経験者らで構成する「品質管理審議会」でチェックする制度を導入した。会計士業界ではヤオハンジャパンや三田工業の粉飾決算、さらに会計士自らェ加担したとされる脱税事件も明るみに出るなど不祥事が相次ぎ、監査に対する信頼性の回復が急務となっている。重責を担う審議会の真価が問われる。

会計士協会が今回導入したのは「品質管理レビュー制度」。まず協会内に六人の審査担当職員を設置。各職員が個別の監査法人などを回り、監査の質を向上させるための計画があるか、さらに計画の運用状況はどうかなどを検査する。

     

     

東証、義務付け制度発表、企業に情報開示促す――管理強化の懸念も。

        19990519 日本経済新聞 朝刊     7  976   72

        

東京証券取引所は十八日、上場企業の適時情報開示を促すため、経営上重要な事実が発生した場合に、直ちに開示することを義務付ける制度を九月をめどに導入すると発表した。これまでは企業への要請としてきたが、義務化で適切な開示をしない企業には上場廃止を含めた対抗措置をとれるようになる。ただ、罰則の導入は東証による企業情報の管理強化にもつながりかねないだけに、市場関係者の議論を呼びそうだ。

東証が情報開示を上場規則に盛り込む方針を固めたのは、証券市場の自由化が進むなかで「投資家に自己責任を問うには、企業が適切な情報開示をする制度が前提となる」(鶴島琢夫副理事長)との判断から。経営不安がささやかれながら、投資家が必要とする重要事実が開示されないまま相次いで大手上場企業が破たんする事態が起きたことも背景にある。

 

 

化学物質排出量を自動計算、NECが管理ソフト――中小向けに外販も。

        19990518 日経産業新聞        10  865   73

        

NECは法制化が見込まれる化学物質の排出・移動登録制度(PRTR)に対応し、工場で使う化学物質の排出量を効率的に把握できるソフトウエアを開発、七月にも外販する。薬品などの商品名でデータを入力すれば、商品に含まれる多様な化学物質ごとの排出量を自動的に計算し、グラフ化できる。同社は今春までに管理ソフトを国内全拠点に導入して作業を簡素化する一方、化学物質を管理した経験が乏しい中堅・中小企業向けにビジネスも展開する。

政府の法案によれば、企業は二百―三百種の化学物質について大気や水域、廃棄物への排出量を算出し行政に報告する必要がある。

NECは法制化に先駆け、使用する化学物質が約二千種類に及ぶ工場でも排出量を自動的に算出できるソフトを構築した。工場に入ってくる材料や薬品などの商品名に基づいてデータを入力すれば、個別の化学物質の大気などへの排出量を計算できるようにした。

 

 

VB投資の環境整備、郵政省研究会が報告書。

        19990518 日本経済新聞 朝刊     17  512   74

        

郵政省の研究会は十七日、情報通信分野のベンチャー企業の支援・育成策をまとめた報告書を発表した。個人投資家の投資を促進するための税制措置や、ベンチャー企業に外部人材を紹介する制度などの導入を提言している。郵政省は来年度の概算要求や税制改正で提言内容が実現するように政府内で働きかける予定。

報告書をまとめたのは「情報通信ニュービジネスの創業・成長に向けた経営資源に係る環境整備に関する研究会」(座長、松田修一早稲田大学アジア太平洋研究センター教授)。

報告書はベンチャー企業が運転資金や創業資金を金融機関からの借り入れに依存していることを問題とし、早急に投資家からの調達に移行できる環境を整備すべきとしている。そのためベンチャー投資で損失を被った場合に、税制面で投資家に配慮することや、ベンチャー企業自体の情報開示促進を求めている。

 

 

資本の論理と会社の論理――親子上場、連結決算と矛盾(News反射鏡)

        19990510 日本経済新聞 朝刊  3  1310   76

        

連休明けの今週から上場企業の九九年三月期決算発表が本格化する。今年の決算は政策効果や景気動向、企業のリストラなど話題に事欠かず、例年に増して注目度が高い。

企業会計制度の改革との絡みでは、二〇〇〇年三月期から始まる連結決算主体の情報開示への移行に備えた企業の対応が焦点の一つになる。

出資比率の形式基準を支配力の実質基準に変更する範囲の見直しで、連結対象から外した関連会社に債務や損失を疎開させる操作が困難になる。多くの企業で公表決算の損益や財務内容の悪化が避けられないことから、「連結不況」の声も聞こえてくる。

経営実態が変わったわけではないのに「実態の悪さが表に出れば経営者が委縮する」というたぐいの議論なら経営以前の問題だ。本当の問題はもっと深いところにある。

 

 

情報公開法が成立、都道府県に案内所、不服なら審査申請。

        19990508 日本経済新聞 朝刊     3  1156   78

        

国の行政文書の原則開示を義務づける情報公開法が七日に成立、二〇〇一年にも予定される施行に向けて本格的な作業がスタートした。薬害エイズ問題などで浮き彫りになった官僚主導の情報管理を変え、透明性のある行政システムに転換する大きな契機になる。ただ文書管理の方法や公開の範囲など具体的な仕組みを定める政令や基準の策定が残されており、まだ制度の大枠が固まったに過ぎない。情報公開制度がどこまで定着し、実効性のある仕組みになるかは、今後の制度の肉付けにかかっている。

情報公開法の施行後、行政情報を入手するにはどうすればいいのか、請求から情報開示までの手順を追った。

 

 

検証経営計画再起目指す総合化学(上)競争優位事業に集中投資。

        19990507 日経産業新聞        12  1362   79

        

総合化学各社の新たな経営計画がほぼ出そろった。連結決算をベースにした情報開示、時価会計制度など二〇〇〇年以降の経営環境の変化をにらみ、各社は事業の再構築を急ぐ方針を前面に打ち出した。市場が成熟するなか、大胆な構造改革は収益向上につながるのだろうか――。経営計画の点検から、業績復活への条件を探った。

「ここ二―三年で生き残る企業と淘汰される企業がはっきりする。もはや不採算事業の継続は認められない」。四月十五日、東京都内で記者会見したトクヤマの三浦勇一社長は、パネルに表示した新たな中期計画の内容を示しながらこう切り出した。事実上の不採算事業の一掃宣言だ。

「選択と集中」――。二月から四月までに発表した各社の合理化・経営計画には必ずと言っていいほど、この言葉が経営理念として盛り込まれている。

 

 

包括発行登録(きょうのことば)

        19990505 日本経済新聞 朝刊     3  240   80

        

▽…企業が多数の個人投資家向けなどに証券を公募で発行する際、一定期間内に発行する金額の総枠を米証券取引委員会(SEC)にあらかじめ登録しておくのが「発行登録制度」。「包括発行登録は発行できる証券の種類を限定しないやり方で、東京三菱銀の場合は優先株や米預託証券(ADR)などが対象。

▽…発行登録をする際には米基準での情報開示などが必要。専門的知識を持つ機関投資家向けの私募発行は、公募ほどの詳細な情報開示は要求されない。日本にもあらかじめ社債の発行枠を登録しておく似た制度がある。

 

 

対日直接投資促進策の要旨

        19990422 日本経済新聞 朝刊     5  658   81

        

政府の「対日投資会議」が二十七日に決める新たな対日直接投資促進策の要旨は以下の通り。(1面参照)

【企業関連制度の整備】国際会計基準に沿った企業情報開示の拡充、株式交換や会社分割、倒産法制の整備、連結納税制度の導入などを対日投資促進の観点からも早期に実現する。

【規制緩和】規制緩和推進三カ年計画に盛り込んだ措置を着実に実施する。

規制の国際的な整合性を高めるとともに、業界団体のあり方も含めた民民規制についても適切に対応する。

【外国人子女教育の充実】外国人の生活環境の整備の観点から極めて重要。

廃校となった公立学校などの公有財産をインターナショナルスクールに転用しやすくするとともに、インターナショナルスクールへの民間からの資金支援に優遇税制を導入する。

インターナショナルスクールを卒業する外国人子女の、日本の高等教育機関への進学

 

 

社会福祉法人、損益計算を導入――厚生省、財務諸表開示義務づけ。

        19990422 日本経済新聞 朝刊     5  428   82

        

厚生省は二〇〇〇年度から、特別養護老人ホームや障害者施設を経営する社会福祉法人に民間企業に準じた会計制度を導入する。法人の経営状態を明確にするため損益計算を新たに導入するとともに、財務諸表の開示も併せて義務づける。利用者が福祉サービスを選びやすい環境を整えるのが狙い。

同省は来年四月の介護保険制度導入を皮切りに社会福祉制度を全面的に見直して、利用者が福祉サービスを選び施設と直接契約する方式に順次切り替えていく方針。損益計算の導入で各施設の経営コストが明確になり、利用者が施設を選ぶ際の参考になる。社会福祉法人に経営効率化を促す効果も見込まれる。

現行制度では行政が利用者への福祉サービスの内容を一方的に決めて、人件費や食費など必要な経費を一律で支給している。社会福祉法人は単年度の収支計算書を作成するだけでよく、経営内容が不明確だった。

 

 

会計制度改革変わる店頭企業(上)

連結経営を最優先――グループ力強化図る。

        19990421 日本経済新聞 朝刊     17  1144   84

        

企業の会計制度改革が二〇〇〇年三月期から始まる。単独決算主体から連結決算主体に変わり、二〇〇一年三月期からは退職給付債務の開示を柱とする年金会計も導入される。上場企業に比べて経営体力が弱く、信用力に劣る店頭企業の負担は重い。経営の見直しを迫られる店頭企業の動きを追った。

「連結重視に変わるのを前に、グループ事業を集約・整理する」(大島康広プラザクリエイト社長)。

DPE(写真の現像・焼き付け・引き伸ばし)最大手のプラザクリエイトは三月、事業の撤退や移管などグループ会社のリストラに伴い、九九年三月期の連結最終赤字が十四億円になると発表した。

「デジタル時代の写真総合企業」(大島社長)を目指し、九六年の店頭公開前後から国内外の写真関連企業を相次いで買収したが、連結対象子会社十四社の事業重複が多かった。

 

 

<図表>国際金融システム改革に関する日本政府の主張。

        19990409 日本経済新聞 朝刊     5  168   86

        

国際金融システム改革に関する日本政府の主張

▽短期資本移動への対応

・新興市場国で資本流出入の統制を容認

・ヘッジファンドの情報開示を促進

▽為替相場制度の見直し

・変動制の下で相場安定の枠組みを検討

・新興市場国のドル連動制の見直し

▽IMF改革

・短期資本移動の監視強化

・支援国の実情を考慮した政策の立案

▽銀行監督の強化

 

▽経済統計の充実

 

 

日本ロック工業会、カギ業者28社が設立。

        19990407 日経産業新聞        10  195   87

        

住宅やビルなどのカギのメーカーや販売業者など二十八社が参加する日本ロック工業会がこのほど発足した。カギの安全に関する規格や基準、審査規定の策定や消費者への情報開示などを手掛けるほか、錠前取り扱い技能者の資格認定制度の制定も目指す。

会長には美和ロック(東京・港)の和気正雄社長が就任した。事務局は同社内に置く。当面は技術部会など五つの部会で構成、広くカギを扱う会社の参加を募っていく考え。

 

 

税を活かす検証新会計制度(下)

企業財務の裏側、投資戦略に活用――開示義務。

        19990401 日経産業新聞        28  1835   88

        

「これでやっと東京と大阪の鼻をあかすことができる」。東阪のはざまにある名古屋市で、税効果会計の導入を指折り数えて待っていた企業がある。中部電力と東邦ガスだ。

「ウチも結構いい会社なんですよ」。両社の財務担当者は最近しきりに外部にこんなアピールをしている。彼らが喜んでいるのは制度導入による今期の増益効果ではない。過去の有税償却分が繰り延べ税金資産に計上され、一気に純資産が増加することだ。

背景には公益企業独特のお家事情がある。上場企業といえども公益企業の場合、儲(もう)けたからといって高い利益額を決算で計上するわけにはいかない。消費者団体などから料金引き下げを求める声が出る公算があるからだ。だから、利益が出れば可能な限り有税償却を積み上げる。

 

 

特別老人ホーム良しあしの基準作り本間郁子さん

――住民の手で福祉の質向上(この人)

        19990324 日本経済新聞 夕刊     17  670   89

        

「特別養護老人ホーム(特養)の良しあしを、客観的に判断できる基準を作りたい」と力説する。昨秋、市民団体「特養ホームを良くする市民の会」を結成し、代表に就任。四月から独自の選択基準作りに乗り出す。

来年四月スタートの介護保険制度では利用者が自由に特養を選べるようになる。「でも現在、措置制度である特養は情報開示も不十分で、何を基準に選べばよいのか利用者は分からない」と強調する。約二百人の会員が手分けして各地の特養で実験的に調査を行い、それを基に七月に選択基準をまとめる。職員の人数やおむつ交換の頻度など注意項目をチェックし、一般にも公開する。

 

 

情報公開法どう生かす(中)独協大学教授右崎正博氏(リレー討論)

        19990321 日本経済新聞 朝刊     14  3074   90

        

「情報公開法案」の全体を眺めると、第一義的に行政の裁量で開示するかどうかが決まる範囲が広く、米国や韓国の情報公開レベルに及ばない部分がある。「知る権利」を大切に考えている憲法学者で、海外の情報公開事例にも詳しい独協大学法学部の右崎正博教授に、法案の抱える問題点を中心に聞いた。

――市民の情報公開の請求に対して行政機関があれこれ理由を挙げて見せないですむ。情報不開示の原則があいまい?

行政や個人、あるいは法人の利益を害するおそれがあれば、請求を退けて不開示にできる。しかし「おそれがある」というのは、尺度としていかにもあいまい。それにだれが判断するのですか。一次的には、当該行政機関の長ですよ。都合の悪い開示請求に対して「おそれがある」が乱用されかねない。

 

 

ボーナス査定制度、職員が高槻市長提訴――勤務評定の全面開示求め。

        19990320 日本経済新聞 大阪朝刊   16  242   91

        

全国の自治体で初めて全職員のボーナスに査定制度を導入した大阪府高槻市の職員四十一人が十九日、査定の資料となる勤務評定の全面開示を求め、市長を相手取り大阪地裁に提訴した。

市は九七年十二月、ボーナスに含まれる「勤勉手当」に査定制度を導入。職員は「評価の客観性と透明性に問題がある」として個人情ロ護条例に基づき開示請求をしたが、市は非開示を決定した。四十一人はさらに異議を申し立て、昨年十一月に市の個人情報保護審査会が全面開示を答申したが、市は同年十二月に改めて非開示を通知していた

 

 

住友銀、「未収利息」資産計上せず、今期から開示――不良債権処理厳格に。

        19990311 日経金融新聞        1  636   93

        

住友銀行は、利払いが部分的に滞りながら不良債権としていなかった貸出金を九九年三月期から開示する。利払い停止後も一定期間は利・いがあるように処理する「未収利息」を資産として計上せず、不良債権として公表する。未収利息を認める現行制度は、利息の追い貸しなどで不良債権を実態より小さく見せているとの批判があった。住友銀の不良債権額は四千五百億円程度増加することになるが、情報開示の透明性を高める。

未収利息は利払いが滞っても、六カ月間は利息があったとみなして会計処理する手法。この間は利息収入を得たとして課税する税務基準で、これまでの銀行の不良債権開示は、利払い延滞が六カ月を超えた時点で不良債権に含めることになっていた。

 

 

MMFなど、信託報酬を上げ――野村アセット、事務費用上乗せ。

        19990308 日本経済新聞 朝刊     5  335   94

        

野村アセット・マネジメント投信は三月からMMF(マネー・マネージメント・ファンド)、中期国債ファンドなど追加型公社債投資信託の信託報酬を引き上げた。昨年十二月の制度改正で投資家向けの情報開示が強化されたことに伴い、書類郵送など新たに発生する事務費用を投信の資産から差し引く信託報酬に上乗せする。他の投信会社も追随する可能性が大きい。

信託報酬は資産運用の対価として投資家が資産から支払うもので、投信運用会社、販売会社、受託銀行の三者が受け取る。野村アセットが三月から引き上げたのはMMF、中国ファンド、公社債投資信託の三本。

上げ幅は公社債投信が基準価格に対して年率換算〇・〇二五%分、他二本は同〇・〇三%分。その分投資家の手取りが減る(利回りが低下する)ことになる。

 

 

会計、魔のトライアングルから解放を(大機小機)

        19990225 日本経済新聞 朝刊     24  934   95

        

我が国の会計制度は、独・仏に範をとった商法に基づく会計方式を基礎とし、さらに徴税を目的とする税法会計及び戦後米国から導入され、投資家に対する公正な企業価値の開示を目的とする企業会計原則が三すくみとなった「魔のトライアングル」の人質となってきた。

商法の会計原則は債権者を守るために資産の取得原価を基準に保守的に評価することを原則としてきたが、債権者を含む投資家にとって、融資や投資した企業の価値を理解しにくい。経営者は株主にとっての真の経済性とは関係なく外見上の期間損益を繕うため含み益を恣意的に利用。その結果、債権者をも守り得ず、経営者に問題の先送りを助長する動機を提供してきた。

 

 

違法ネット通販、発信者情報の開示「検討必要」――郵政省、報告書まとめる。

        19990223 日経流通新聞        7  454   96

        

郵政省は、インターネットによる違法な商品販売など情報通信サービスを巡る「サイバートラブル」対策の報告書をまとめた。現在は通信の秘密規定などを理由として、発信者の氏名が開示されず、損害賠償などの責任追及が難しい。このため、一

定要件を満たす場合には、発信者情報を開示する制度の創設の検討が必要としている。

具体的には、販売が認められていない毒物や薬物のホームページ上での販売、ネズミ講の勧誘、不必要な広告のメールの送信などが対象。受信者の日常の業務や生活に支障をきたす場合には、発信者の氏名・住所などの情報を被害者に開示する制度を設ける。開示する機関は行政もしくは電子商取引の業界団体などを想定している。

今春にも被害の実態調査に乗り出すほか、電気通信事業者による不適正情報の警告や削除が機動的にできるシステムの開発についても通信・放送機構で研究開発する。

 

 

店頭株市場、昨年来高値を更新――実を結ぶ制度改革、BB方式に一定の評価。

        19990223 日経産業新聞        25  1008   98

        

長期低迷していた店頭株式市場が復活の兆しを見せてきた。公開価格を決めるブックビルディング(BB=需要積み上げ)方式や店頭株値付け(マーケットメーク)などの制度改革が実を結び始めた。

今月五日、店頭登録した日本オラクル。初値は公開価格七千円を大きく上回る一万二千百円。高騰率は七三%になった。

オラクルの公開価格はBB方式で計算された。幹事証券会社が公開企業、機関投資家などと相談してまず公開価格の仮条件を決め、これを広く機関投資家にぶつける。次に投資家の引き合い状況などをみながら仮条件の、下限と上限の範囲内で最終的に公開価格を決める。

従来の入札方式は、高い水準から落札する。このため初値だけ高くて、その後は右肩下がりになる「初値天井型」が多く、オーナー寄りの値付け方式とも言われた。そこで九七年九月からBB方式が始まった。

 

 

店頭株市場、昨年来高値を更新

――ニッコウトラベル、投資家に魅力アピール。

        19990223 日経産業新聞        25  1027   99

        

店頭市場の制度改革が始まった。公開までのIR(投資家向け広報)活動、ディスクロージャー(情報開示)を強化、店頭株にありがちな「公開時だけ高い」というゆがんだ株価形成の是正をねらう。二十二日の日経店頭平均終値が八百四十四円四十四銭と、昨年来高値を上回るなど堅調に推移しているのも、改革推進が追い風となっている。(三宅伸吾、池上輝彦)

「外資系を中心に四日で十八社も回りました。手前みそだが、ものすごい集中力ですよ」。今月二日、店頭公開した旅行会社、ニッコウトラベルの荒木実社長室長は、公開直前の一月のIR活動を振り返る。

公開(公募・売り出し)価格は、ブックビルディング(BB=需要積み上げ)方式による値決め仮条件の五百―五百六十円の上限。初値はこの約二倍の千百三十円を付けた。

 

 

化学物質の排出状況、東芝、「報告書」を公表――松下は250種管理へ。

        19990223 日本経済新聞 朝刊     11  1245   100

        

家電・電機大手が法制化の見込まれる化学物質の排出・移動登録制度への対応に動き出した。東芝は二十二日、「環境報告書」を初めて発行、九七年度に集計した化学物質の排出量を物質ごとに公表した。松下電器産業は九九年度から、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)と疑われているものも含めた二百五十種の物質を対象に、国内のグループ全工場で排出量を管理する方針を同日明らかにした。環境への悪影響がはっきりしない物質の排出状況も把握し、環境配慮の姿勢を明確にする。

東芝が環境報告書で公表したのは、九七年度に全二十一拠点で集計した化学物質の排出量。電機・電子の業界団体が自主的な登録制度の対象としている百七十九種の物質のうち、溶剤に使うトルエンやキシレンなど、使用中の四十一種のデータを示した。

 

 

FC協が新指針案、FC契約内容開示促す――加盟希望者に「熟考期」。

        19990220 日経流通新聞        2  439   101

        

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港、後藤茂会長)は、最近コンビニエンスストアなどの本部と加盟店主との間でトラブルが多発している問題に対応して、フランチャイズチェーン(FC)契約について新ガイドラインを設けることを正式決定した。加盟希望者が正式契約するまでに七日間以上の期間を設けることを義務づけるほか、契約概要の登録制度を新設し、希望者が自由に閲覧できるようにして情報開示を進める方針。今後、正会員九十五社に対し、新ガイドラインを告知する。

同協会では、コンビニ業界に頻発しているトラブルの多くは、加盟希望者が十分な情報を得ないまま契約したために起こっているとみており、七日間以上の熟考期間という一種の"クーリングオフ"制度を新設する。

また各社の契約内容のうち、加盟金や違約金といった基本事項を同協会に登録させ、要請があれば同協会を通じてより詳細な情報が得られる仕組みも設ける予定。

 

 

様々な金融商品同一枠組で――ディーリング・サポート(金融フロンティア)

        19990219 日経金融新聞        7  2523   102

        

金融機関はもとより、機関投資家及び事業法人の財務部門においても金融環境の変化、会計制度の変更、あるいは一層のディスクロージャーの要請などを背景に、より精緻(せいち)な金融リスク管理体制の構築が求められている。こうした要請にこたえるべく、IQファイナンシャル・システムズ(九八年五月にバンカーストラストより分離独立)は、(株)コスマックの協力を得て、"交換"をベースとした革新的な設計思想に基づくディーリング・サポート/リスク管理システム、Cri・maxを開発した。

アプローチに問題点

 

 

フランチャイズチェーン協、FC契約、新指針設定へ――情報開示を促す。

        19990219 日本経済新聞 朝刊     15  530   103

        

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港、後藤茂会長)は十八日、最近コンビニエンスストアなどの本部と加盟店主との間でトラブルが多発している問題に対応し、フランチャイズチェーン(FC)契約について新ガイドラインを設けることを決定した。加盟希望者が正式契約するまでに七日間以上の期間を設けることを義務づけるほか、契約概要の登録制度を新設し、希望者が自由に閲覧できるようにして情報開示を進める方針。今後、正会員九十五社に対し、新ガイドラインを告知する。

同協会では、コンビニ業界に頻発しているトラブルは、加盟希望者が十分な情報を得ないまま契約したために起こるケースが多いとみており、七日間以上の熟考期間という一種の"クーリングオフ"制度を新設する。

 

 

東証、企業の情報開示強化――上場規則化、改善勧告も。

        19990131 日本経済新聞 朝刊     1  563   104

        

東京証券取引所は企業情報の適時開示制度を大幅に強化する方針を固めた。現行では指針にとどまっている情報開示を強制力の強い上場規則に盛り込んだうえで、順守できない企業には改善勧告するなどの規定も新設する。企業会計が連結決算中心に移行するのに合わせ、連結子会社の重要事実公表も求゜る考え。七月をメドに実施する。低迷が続く株式市場の活性化には、投資対象である上場企業に情報開示の徹底を促す必要があると判断した。

東証は八九年に有価証券報告書など証券取引法で開示を義務づけている事実以外でも、合併や業績予想の修正など速やかに公表すべきと判断した項目を指針にまとめ、上場企業に対し情報開示を要請してきた。しかし、あくまで指針にとどまり、罰則規定もないため、経営に重大な影響のある事実が発生しても公表が遅れる企業も多いなど、制度の不備が指摘されていた。

 

 

企業再編促進へ「株式交換」導入、法制審が商法改正案。

        19990128 日本経済新聞 朝刊     1  330   105

        

法制審議会(法相の諮問機関)は二十七日、商法改正要綱案をまとめ、企業の合併・買収(M&A)を促す「株式交換制度」と金融債権の時価評価を導入することを決めた。少数株主の反対や煩雑な手続きが産業界の再編を遅らせているため、法改正で企業が戦略部門の買収や子会社の経営権移転を迅速にできるようにする。株主の利益が損なわれないように、財務状況や子会社などの情報開示を徹底させる。法務省は法制審総会の了承を経て今国会に関連法案を提出し、年内の施行をめざす。

株式交換制度は企業買収に伴う株式の移転を簡単にする制度。買収される会社の株主は保有株式と交換に、親会社になる企業が発行する新株を受け取る。株式の取得、売却でなく株式を交換するため、親会社は買収コストを圧縮できる。

 

 

企業会計審、株持ち合い解消へ、金融商品の時価評価導入正式決定

――国際基準に準拠。

        19990125 日経金融新聞        17  741   106

        

企業会計審議会(蔵相の諮問機関)は二十二日の総会で、金融商品への時価評価導入を正式決定した。先行して決定していた年金債務の時価評価導入や連結決算中心のディスクロージャー(情報開示)への移行と併せて、日本の会計制度はほぼ「国際会計基準(IAS)とそん色のない内容」(若杉明会長)になる。産業界の注目を集めていた「持ち合い株」も二〇〇二年三月期から時価評価されるため、株式の「含み益」に依存した経営は全面的に見直しを迫られる。株式市場関係者からは「持ち合い解消につながり、本来の企業価値に根差した株価形成が実現する」(太田達之助・大和総研企業財務戦略室長)との期待が高まっている。

今回の意見書は、昨年六月の公開草案に各界からの意見を反映。大幅な修正はないが、持ち合い株を含めた「その他有価証券」の評価は、期末時点の時価と期末前一カ月の時価平均のいずれかを選択可能とした。

 

 

ロッテワールド、計画縮小、環境優先に開発手法変化

――住民の意見を早期反映。

        19990122 日本経済新聞 地方経済面  15  774   107

        

ロッテは大規模テーマパーク「ロッテワールド東京(仮称)」の計画について一部縮小することにしたが、都市部での大規模開発では、事業性の追求より、住民の生活環境への配慮を優先せざるをえない状況になってきたことを示した。東京都や茨城県などでは、計画立案段階など早期に住民が参加する新しい環境影響評価制度の導入に動き出すなどしており、都市部を中心とした開発の手法は、今後、大きく変わりそうだ。(産業面参照)

計画を変更したのは、同社が九七年末に出した環境影響評価書案に対して、「北側住宅地の冬季の日照を阻害している」「景観面で建物が目立ち広々とした空間が壊される」などの意見が住民らから出されたため。いずれも都の条例などの規制基準内におさまったものだったが、一歩踏み込んで変更に踏み切った。

 

 

旭化成、事業所ごとに開示策、2000年度末めど――化学物質など。

        19990120 日経産業新聞        9  518   108

        

旭化成工業は二〇〇〇年度末をメドに環境保全に関する情報開示の具体的な実施策を主要事業所ごとにまとめる。化学物質の排出状況に関し周辺住民に対する説明の仕方などを検討する。化学物質の排出移動登録制度(PRTR)の今年の法制化が見込まれるなど企業に環境に関する情報開示を望む動きが加速しており、全社的な対応を急ぐ。

事業所ごとに九八年度から二〇〇〇年度末までの三年計画で進める環境対策で、従来の廃棄物削減や省エネルギーに加え、「情報開示」を重要なテーマとした。特に化学物質に関する説明は難しいため、本社の環境部門と連携して具体策をまとめる。環境庁などはPRTR試行の際、対象物質の融点・沸点や分解性、吸入したときの毒性などを示す資料を付けているが、一般住民など専門家以外も理解しやすいような説明方法を考える。

 

 

近づく連結決算時代――米に100年遅れのスタート(中外時評)

        19990117 日本経済新聞 朝刊     12  1655   109

        

日本の企業が初めて連結決算を作成したのは一九六一年。ソニーが資本市場での資金調達に転換を決意し、ニューヨーク市場でADR(米国預託証券)を発行したときである。それから数えて実に三十八年。ようやく日本でも証券取引法上、四月に始まる決算年度から連結決算を主とするディスクロージャー(情報開示)制度に切り替わる。

しかし、世界の会計の歴史を振り返ると、連結財務諸表が世界で最初に公表されたのは、百年以上前の一八九四年である。米国のゼネラル・エレクトリックが作成、開示したもので、一九〇〇年代初頭にはUSスチール、イーストマン・コダックなどの持ち株会社が連結財務諸表を公表するようになった。

米国の企業は当時から資本市場で資金を調達していた。持ち株会社単独の決算よりも、連結決算のほうが財務内容がよりよく表示され、有利な資金調達ができることに気付いて、連結財務諸表を自発的に開示した。

 

 

日独・日仏蔵相会談合意の骨子

        19990116 日本経済新聞 朝刊     3  190   110

・世界経済の発展に向け国際通貨・金融システムの改善が必要

・金融監督の強化が必要。ヘッジファンドに投融資している金融機関への規制を検討。ヘッジファンドの情報開示や報告義務の導入を検討・国際通貨基金(IMF)による支援プログラムと手続きの改善が必要

・為替安定が重要。過度の変動を抑制する一方で柔軟性を維持する通貨制度を検討。相場動向を一層注意深く監視し、市場で必要に応じて協力して行動

 

 

投信制度の主要改正項目(金融実務セミナー)

        19990113 日経金融新聞        6  129   111

        

投信制度の主要改正項目

〈販売体制〉

・金融機関の窓口販売

・販売手数料の自由化

〈ディスクロージャー制度〉

・証券取引法の開示制度適用

・公認会計士による監査

・運用報告書の交付対象拡大

〈商品設定〉

・認可制から届け出制へ

・会社型投信

・私募投信

・外貨建て投信

 

 

証券政策委の主な検討テーマ。

        19990108 日経金融新聞        1   81   112

        

・コーポレートガバナンスへの関与

・効率的な取引・決済インフラの整備

・株式会社化の検討

・会員制度の見直し

・自主規制機能の強化について

・新興企業の上場促進

 

 

東証、市場改革を検討、企業統治情報の開示強化――システム効率化も。

        19990108 日経金融新聞        1  982   113

        

東京証券取引所は上場企業のコーポレートガバナンス(企業統治)情報の強化や会員制度の見直し、取引システムの効率化など包括的な市場改革を検討する。投資対象である上場企業の経営の透明性向上を求めることで投資家の呼び込みを図り、国内外の市場間競争の激化に備える狙い。理事長の諮問機関である証券政策委員会が二月をメドに改革のポイントをまとめて答申、その後、具体的な調整に入る方針だ。

東証は一月一日付で配当基準の撤廃など上場基準の大幅な緩和に踏み切り、成長力のある企業を取り込む体制を整えた。市場活性化のため投資家を市場に呼び込むには成長力のある上場企業を増やすとともに、企業の経営の透明性を高める必要もあると見ており、上場企業のコーポレートガバナンス情報の開示強化を今後の市場改革の一環として検討する。

 

 

投信の非上場債券、時価評価前倒し要請――監督庁、運用を透明化。

        19990106 日本経済新聞 朝刊     5  950   115

        

金融監督庁は投資信託の運用実態の正確な開示を促すために、非上場債券を原則として簿価で評価する現行制度を改め、時価評価への移行を前倒しで実施するよう投信各社に要請する。非繽鼾ツ券の含み損が投資家に開示されない弊害が野村アセット・マネジ

メント投信の損失肩代わり問題につながったからだ。投信業界は今年七月から非上場債券の時価評価を義務付けることを決めているが、監督庁は日本版ビッグバン(金融大改革)で投信への関心が高まっているため、運用実態の透明化を急ぐ必要があると判断した。

投信は投資家から集めた資金を株式や債券など有価証券で運用する金融商品で、日々の運用成績は「基準価格」として公表される。運用評価は時価に基づき毎日、評価し直す原則になっている。

 

 

<図表>日本の主な新会計基準の適用時期(会計ビッグバン)

        19990101 日経産業新聞        22  332   116

        

◆99年3月期から

(1)銀行の連結決算を対象にした「連結の範囲」における支配力及び影響力基準の導入

(2)保証類似行為(保証予約・経営指導念書など裏保証)の注記による開示(全業種対象)◆2000年3月期から

(1)従来の単独決算中心から連結を主とする開示制度への移行

(2)全業種の連結決算を対象にした「連結の範囲」における支配力及び影響力基準の導入

(3)年金の予測給付債務の開示、年金債務から年金資産を控除した額を負債計上

(4)連結キャッシュフロー計算書の導入

(5)税効果会計の全面的な強制適用

◆2001年3月期から



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