文書No.
960709
「国際」「国内」で整合性。
大蔵省は九七年三月期をメドに、企業が貸借対照表(バランスシート)の帳簿外(オフバランス)で表記している取引の会計基準を整備する。新しい金融技術を利用、節税目的などで簿外取引を拡大する企業が増えたことに対応し、「簿外」を認める基準を厳しくしてオンバランス化を進め、投資家への情報開示を徹底する。米欧で導入の動きがある国際会計基準と国内会計基準の整合性をもたし、東京市場の国際競争力を向上させる狙いもある。 簿外計上にかかわる会計基準は、十日から始まる企業会計審議会(蔵相の諮問機関)の特別部会で詳細をつめ、基準の改正作業に着手する。 資産担保証券(ABS)など新しい資産流動化手法の登場に伴い、自己資本比率の改善や節税の目的で帳簿上の資産・負債を簿外取引に切り替える企業が急増している。会計基準があいまいなため、米欧ではオンバランスを義務付けている取引も簿外取引とする企業も多く、会計基準の不透明さが指摘されてきた。大蔵省はこうした簿外取引について国際会計基準とほぼ共通する会計基準を導入する。 具体的には、社債と預金を組み合わせたデットアサンプションと呼ばれる取引や資産 担保証券を利用した資産流動化取引について簿外計上を認めるための基準を設ける。 デットアサンプションは企業が発行済み社債の償還資金と償還手続きを銀行に預託することで、社債と預金の両方を簿外に切り替えている。低金利局面では金利費用を増やし節税効果が生じ、二、三年前から実施する企業が増えている。これは国際会計基準で は簿外扱いが認めらず、大蔵省は簿外計上を認める場合の基準を厳しくする方針だ。 企業の売掛債権を証券化する資産担保証券に関する会計基準も米欧と比べると未整備のため見直す。流動化した売掛債権の未回収リスクが企業に残る場合は、簿外扱いを認めない方向で基準を導入する。
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