ディスクロージャー研究学会



(青空に物事を晒すと虫干しされ綺麗になる)

文書No.
960724

経済同友会郵貯・簡保民営化を提言

    公団や事業団、事業債で資金調達を。

    96/ 7/24 日本経済新聞 朝刊  

 経済同友会は二十三日、公的金融や財政投融資の抜本的な改革を求める提言を発表した。財投の原資となる郵便貯金や簡易保険については「民営化を含めた経営形態の再検討が必要だ」と指摘している。公団・事業団などの財投実施機関も事業債を発行して資金を自己調達し、財投全体の規模を大幅に縮小すべきだと主張している。不透明な財投機関の情報開示を徹底するため、民間並みの統一会計基準の導入も求めている。

 提言は「公的金融や財投は経済全体の効率性を低下させ、日本の高コスト体質を招いている」と強調。公団・事業団の公共事業に対する財投は可能な限り一般会計予算に切り替え、政府系金融機関には市場原理を導入するのが原則だと指摘した。

 その一環として財投の「入り口」に当たる郵貯や簡保の民営化を要望し、公的年金についても「財投の原資から外すことも検討すべきだ」と強調している。

 財投の「出口」については、五十九の財投機関が個別に事業債を発行し、財投資金に頼らず市場から資金を直接調達するよう求めた。これにより「財投機関の格付けが可能 になり、民営化できる機関や廃止・縮小すべき機関が明確になる」と説明している。 情報開示に関しては米国にならった「公会計基準審議会」を設け、法律に基づいて民間企業並みの統一会計処理基準を財投機関に導入するよう提案している。

 経団連も郵貯や簡保の分割・民営化を求める提言を発表しており、財投の見直しを行財政改革の中心に掲げる機運が広がっている。提言をまとめた経済同友会の転法輪奏副代表幹事(大阪商船三井船舶会長)は記者会見で、「各論になると官僚の抵抗が強く、何度言っても実現しない。民営化の失敗よりも官の失敗の方が怖い」と不満を表明した。経済同友会の提言のポイント・郵貯、簡保の民営化を含む経営形態見直し・財投原資から公的年金を除外・公団、事業団など財投機関の事業債発行・資金運用部の統合運用、統一預託の見直し・民間基準に準拠した統一的会計処理基準の設定・財投機関の連結ベースの情報開示・「公会計基準審議会」の設置・「財投白書」の発行



お問い合わせ ik8m-ysmr@asahi-net.or.jp


目次に戻る