ディスクロージャー研究学会



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文書No.
970208

連結財務諸表制度の見直し公開草案

    企業会計審議会

     

 1.我が国における連結財務諸表制度は、昭和50年6月に当審議会が公表した「連結財務諸表の制度化に関する意見書」に基づき、昭和52年4月以後開始する事業年度から導入されており、当該意見書の公表後、すでに20年以上が経過している。連結財務諸表の作成会社は年々増加してきており、平成7年度においては、有価証券報告書を提出している内国会社のうち6割強に当たる約2、300社が連結財務諸表を作成している。

 この間、連結財務諸表提出期限の特例(事業年度終了後4か月)の廃止、有価証券報告書の添付書類であった連結財務諸表の有価証券報告書本体への組入れ、セグメント情報の開示の導入及び監査対象化、「関連当事者との取引」や連結ベースの研究開発活動等の開示項目の充実、連結子会社の範囲に関するいわゆる10%ルールの撤廃に伴う連結範囲の拡大といった、連結財務諸表制度に係る数々の充実・見直しが図られてきている。

 2. 近年、子会社等を通じての経済活動の拡大及び海外における資金調達活動の活発化など、我が国企業の多角化・国際化が急速に進展しており、また、我が国証券市場への海外投資家の参加が増加するなど、我が国企業を取り巻く環境は著しく変化している。

 我が国では、これまで個別情報を中心とするディスクロージャーが行われてきているが、このような環境の変化に伴い、投資者が企業集団の抱えるリスクとリターンを的確に判断するため、連結情報に対するニーズが一段と高まってきている。また、企業の側においても、連結経営を重視する傾向が強まってきている。

 なお、米国、英国等の諸外国では、従来より連結情報を中心としたディスクロージャーが行われているところである。このため、我が国における連結情報に係るディスクロージャーの現状については、多くの問題点が指摘されている。

 3. 当審議会では、このような状況に鑑みて、平成7年10月以降、「連結財務諸表を巡る諸問題」について審議を重ねてきたが、この度、「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」の草案を公表する運びとなった。

 本意見書は、第一部「連結ベースのディスクロージャーの充実等について」及び第二部「連結財務諸表原則の改訂について」から構成されている。その内容は、以下のとおりである。

(1)第一部では、従来の個別情報を中心としたディスクロージャーから、連結情報を中心としたディスクロージャーへの転換を図り、連結ベースでのディスクロージャーを一層充実すべく、以下の諸点を提案している。

 (1) 連結情報の重視
 (2) 連結キャッシュ・フロー計算書の導入
 (3) 中間連結財務諸表の導入
 (4) 連結ベースの臨時報告書の導入
 (5) ディスクロージャーの効率化
 (6) 連結情報に係る公認会計士等の監査の充実

(2)第二部では、議決権の所有割合以外の要素も加味した支配力基準を導入して連結の範囲を拡大するなど、連結情報充実の観点から連結財務諸表原則を改訂するとともに、連結財務諸表の作成手続を整備することを提案している。その具体的内容は、以下のとおりである。

 (1) 連結の範囲等の見直し
 (2) 少数株主持分の表示方法の見直し
 (3) 税効果会計の適用
 (4) 親子会社間の会計処理の統一ルールの明確化
 (5) 資本連結の手続の明確化
 (6) 資本連結以外の連結手続の明確化
 (7) 連結財務諸表における表示区分の見直し

 4. このような、「連結ベースのディスクロージャーの充実等」及び「連結財務諸表の作成手続の整備」の両面について行われる連結財務諸表制度の改革は、

 (1) 内外の広範な投資者の我が国への投資参加を促進し、
 (2) 投資者が、自己責任に基づきより適切な投資判断を行い、また、企業自身もその実態に即したより適切な経営判断を行うことを可能にし、
 (3) 連結財務諸表を中心とした国際的にも遜色のないディスクロージャー制度を構築しようとするものであり、21世紀に向けての、活力あり、かつ、秩序ある証券市場の確立に貢献しうると考えるものである。

1. 基本的考え方
 証券取引法に基づくディスクロージャー制度においては、これまで、個別情報を中心としたディスクロージャーが行われてきており、連結情報は個別情報に対して副次的なものとして位置づけられてきた。しかし、多角化・国際化した企業に対する投資判断を的確に行ううえで、企業集団の状況等に係る情報が一層重視されてきており、また、投資情報としての企業間の比較可能性を高めていくためには、連結情報の位置づけを見直し、連結情報を中心とするディスクロージャー制度への転換を図ることが必要である。他方、連結情報を充実させることによってその有用性が乏しくなると考えられる個別情報について、可能な範囲で簡素化するなど、ディスクロージャーの効率化を図ることが適当である。

2. 連結情報の重視
(1)連結情報重視のディスクロージャーを進めるため、有価証券報告書及び有価証券届出書について、連結情報を中心とするディスクロージャーに改めることが適当である。

具体的には、次のような措置を講ずることが適当である。
(1) 現在、個別ベースで記載されている「営業の状況」や「設備の状況」等について、連結ベースで記載する。

(2) セグメント情報を充実し、企業集団の概況・業績等について、事業の種類別等のセグメントごとにディスクローズする。

(3) 企業集団等の構成状況が分かるよう、現在記載されている「連結子会社の状況」のほか、連結子会社以外の主要な関係会社の状況についてディスクローズする。

 ただし、これまで個別情報を中心としたディスクロージャー及び企業分析が行われてきており、個別情報についても投資者にとって重要性があると考えられるため、投資対象としての個別ベースのディスクロージャーにも配慮することが適当である。なお、今後は、連結情報の充実に伴い、個別情報の一層の簡素化を検討していくことが適当と考えられる。

(2)上記(1)の主旨に照らし、有価証券報告書及び有価証券届出書における記載順序を、従来の個別・連結の順序から、連結・個別の順序とすることが適当である。

(3)企業のオフ・バランス情報、リスク情報等については、企業集団全体としてのディスクロージャーが求められていることから、有価証券やデリバティブの時価情報及び偶発債務等、経営に重大な影響を及ぼすおそれのある情報について、連結ベースでディスクローズすることが適当である。

(4)持株会社が解禁された場合には、連結ベースでのディスクロージャーが特に重要であり、持株会社を頂点とする企業集団の概況・業績等について、事業の種類別セグメントごとに情報提供するなど、明瞭にディスクローズすることが適当である。

(5)連結子会社がない場合には、連結財務諸表が作成されないため、関連会社の損益が多額にのぼっていても、その状況に関する情報がディスクローズされない。このため、連結財務諸表を作成していない会社については、個別財務諸表上、関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等を注記させるよう措置を講ずることが適当である。

3. 連結キャッシュ・フロー計算書の導入
 現在、資金収支の状況については、連結ベースのディスクロージャーが求められていないが、連結情報重視の観点から、連結ベ−スでのキャッシュ・フロ−計算書を作成することが適当である。

4. 中間連結財務諸表の導入
 現在、連結財務諸表は決算日ごとに作成されているが、連結情報重視の観点から、その提供頻度を高め、半期報告書に中間連結財務諸表を導入することが適当である。

5. 連結ベースの臨時報告書の導入
 現在、証券取引法に基づく臨時報告書は、有価証券報告書の提出会社に一定の重要な事象が発生した場合に提出することとされているが、その連結子会社等に重要な事象が発生した場合に、適時、適切なディスクロージャーを求めるべく、連結ベースでの臨時報告書の提出事由を設定するよう措置を講ずることが適当である。

6. ディスクロージャーの効率化
(1)連結情報を充実させることに伴い、その有用性が乏しくなると考えられる個別情報等について、次のような簡素化を進め、ディスクロージャーの効率化を図ることが適当である。

(1) 有用性が乏しいと判断される個別情報、例えば、製品別の生産能力や生産実績等について、記載を簡素化する。

(2) 附属明細表のうち、連結財務諸表の作成において相殺消去される事項に係る関係会社有価証券明細表、関係会社出資金明細表等を廃止する。

 また、その他の附属明細表についても、商法上の附属明細書の記載内容との調整を行い、記載を簡素化する。

(3) 連結キャッシュ・フロー計算書の導入に伴い、個別ベースでの資金収支表を廃止する。

(4) 「関連当事者との取引」について、公認会計士又は監査法人による監査の対象とすることを前提として、重要性基準の見直し等を行う。

(2)現行の連結財務諸表の表示科目は、国際的にみても、かなり細分化されており、投資情報として一覧性に欠けるとの指摘がある。また、連結子会社数の増加に伴い、現行の科目区分によって連結作業を行うことは、実務的にも困難になってきている。

 これらの点を考慮し、投資情報としての有用性を損なわない範囲で、表示科目を統合することが適当である。

7. 連結情報に係る公認会計士等の監査の充実
 連結キャッシュ・フロー計算書及び中間連結財務諸表のほか、「関連当事者との取引」など、投資判断に重要な影響を及ぼす連結情報については、公認会計士又は監査法人による監査の対象とすることが適当である。

1. 基本的考え方
(1)現行の連結財務諸表原則(以下、「連結原則」という。)は、今日まで見直しが行われておらず、連結の範囲につき持株基準が採用されており、支配力基準が採用されていないことのほか、税効果会計の適用が任意とされていること、親子会社間の会計処理の統一ルールが明確になっていないこと、資本連結の手続が明確になっていないこと等の問題点が指摘されている。

 このため、ディスクロージャー制度において連結情報が主たる位置づけとなることに合わせ、連結財務諸表が企業集団の財政状態及び経営成績に関するより適切な投資情報を投資者に提供できるものとなるよう、連結原則を改訂することが必要である。

(2)連結財務諸表は、親会社とそれが支配する子会社によって構成される企業集団について、その財政状態及び経営成績を表示することを目的として、親会社と子会社の財務諸表を基礎として作成されるが、連結財務諸表の作成については、古くから、親会社説と経済的単一体説の2つの考え方が対立してきた。いずれの説においても、単一の指揮下にある企業集団全体の資産・負債と収益・費用を連結財務諸表に表示するという点では変わりないが、資本に関しては、親会社説は、連結財務諸表を親会社の財務諸表の延長線上に位置づけて、親会社の株主持分のみを反映させるのに対して、経済的単一体説は、連結財務諸表を親会社とは区別される企業集団全体の財務諸表と位置づけて、企業集団を構成する全ての会社の株主持分を反映させるものであるといえる。

 この度の連結原則の改訂に当たり、いずれの考え方によるべきかを検討した結果、双方の考え方にそれぞれ特長があり、国際的には経済的単一体説による動きも見られるところであるが、従来どおり、親会社説を踏襲することとしている。これは、連結財務諸表が提供できる情報は主として親会社の投資者にとって有用な情報であると考えられること、及び、親会社説による処理方法が、企業集団の経営を巡る現実感覚をより適切に反映すると考えられるためである。

(3)本改訂案の要点及び考え方を、現行の連結原則と対比しつつ示すと、以下のとおりである。

2. 連結の範囲等の見直し
 現行の連結原則では、子会社の範囲について、支配力の形式基準である持株基準が採用されているが、連結財務諸表が企業集団の財政状態及び経営成績をより適切に反映したものとなるよう、議決権の所有割合以外の要素も加味した支配力基準を導入することとする。関連会社の範囲についても、同様に見直しを行うこととする。

(1)子会社の範囲現行の連結原則上、子会社の範囲についてその判断基準として、親会社が直接・間接に議決権の過半数を所有しているかどうかにより判定を行う持株基準が採用されているが、国際的には、実質的な支配関係の有無に基づいて子会社の判定を行う支配力基準が、広く採用されている。

 現在我が国で採用されている持株基準は、支配力基準の一つと解されるが、議決権の所有割合が百分の五十以下であっても、その会社を事実上支配しているケースもあり、そのような被支配会社を連結の範囲に含めないことは、企業集団に係る情報としての有用性を損なうことになる。

 このような事情に鑑み、議決権の所有割合以外の要素を加味した支配力基準を導入することとし、「親会社とは、他の会社(会社組織ではないが、会社に準ずる事業体を含む。)を実質的に支配している会社をいい、子会社とは、当該他の会社をいう。」と定義することとする。

 持株基準以外に実質的な支配関係の有無を判定する具体的な基準を設定することには、困難な点も少なくないが、国際会計基準や諸外国の基準を参考として、意思決定機関を支配しているかどうかという観点から、次のような基準を設定することとする。

(1) 他の会社の議決権の過半数を所有している場合には、他の会社の意思決定機関を実質的に支配していないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は、子会社に該当する。

(2) 他の会社に対する議決権の所有割合が百分の五十以下であっても、高い比率の議決権を有しており、かつ、例えば、次の状況にある場合には、他の会社の意思決定機関を実質的に支配していないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は、子会社に該当する。

 イ.議決権不行使株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

 ロ.役員、関連会社等の協力株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

 ハ.取締役会の構成員の過半数を、出資会社の役員又は従業員である者又はこれらであった者が継続して占めている場合

 ニ.重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等が存在する場合
(2)関連会社の範囲
 現行の連結原則上、連結会社(親会社及び連結された子会社)が、子会社以外の他の会社の議決権の百分の二十以上を所有し、かつ、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる場合には、当該他の会社は、関連会社に該当することとされている。

 当該取扱いによると、財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができると認められる場合であっても、議決権の所有割合が百分の二十未満であるときは、関連会社に該当せず、持分法の対象外となる。

 このため、国際会計基準や諸外国の基準を参考として、影響力基準を導入し、「関連会社とは、親会社及び子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社(会社組織ではないが、会社に準ずる事業体を含む。)の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社をいう。」と定義し、次のような基準を設定することとする。

(1) 他の会社の議決権の百分の二十以上を継続的に所有している場合には、財務及び営業の方針決定に重要な影響を与えることができないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は、関連会社に該当する。

(2) 他の会社に対する議決権の所有割合が百分の二十未満であっても、一定の議決権を有しており、かつ、例えば、重要な契約の存在等により、財務及び営業の方針決定に重要な影響を継続的に与えることができると認められる場合には、当該他の会社は、関連会社に該当する。

(3)合弁会社に対する比例連結の適用の是非
 現行の連結原則によると、共同支配の実態にある合弁会社(関連会社)については、他の関連会社と同様、原則として持分法が適用されることになるが、貸借対照表及び損益計算書の各項目を持分割合に応じて連結する比例連結を認めるかどうかという問題を検討した。

 この点については、混然一体となっている合弁会社の資産、負債等を、持分割合で按分して連結財務諸表に計上することは、不適切であるといった問題点が指摘されていること等を踏まえ、比例連結は導入せず、現行の取扱いを踏襲することとする。

3. 少数株主持分の表示方法の見直し
 連結財務諸表作成の基本的立場として親会社説をとる場合には、連結貸借対照表の資本の部には、親会社の持分のみが表示されることになる。このため、少数株主持分については、負債の部に表示する方法と、国際会計基準に見られるように、負債の部と資本の部の中間に独立の一区分として表示する方法とが考えられる。

 現行の連結原則上、少数株主持分は、負債の部に表示することとされているが、少数株主持分は、返済義務のある負債ではなく、連結固有の項目であるため、負債の部と資本の部の中間に独立の一区分として表示することとする。

 なお、少数株主持分を負債の部と資本の部の中間に独立の一区分として表示する方法によっても、少数株主損益は、連結損益計算書において損失又は利益として表示され、当期純利益は親会社の株主に帰属する利益の額として計算されることになる。

4. 税効果会計の適用
(1)税効果会計は、会計上と税務上の収益又は費用(益金又は損金)の認識時点の相違や、会計上と税務上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税等を適切に期間配分するための会計処理であり、国際的にも広く採用されている。

 税効果会計を適用しない場合には、単に課税所得を基礎とした法人税等の額が計上され、会計上の利益と課税所得とに差異がある場合には、その差異の影響が財務諸表に反映されない。このため、費用としての法人税等の額が税引前当期純利益と期間的に対応せず、その影響が重要な場合には、財務諸表の企業間比較を損なうとの指摘がある。

 税効果会計を適用した場合には、会計上と税務上の収益又は費用(益金又は損金)の認識時点や、会計上と税務上の資産又は負債の額の差異について、その影響が、貸借対照表に繰延税金資産又は繰延税金負債として表示されるとともに、当期純利益は当期の業績をより適切に表示することとなり、有用な投資情報を提供することができる。

 現行の連結原則上、税効果会計の適用は任意とされているが、上記の観点から、税効果会計の適用を原則とすることとする。

(2)(1) 現行実務上、税効果会計を適用している企業には、連結会社間に係る未実現損益の消去等、連結手続上の修正項目についてのみ税効果会計を適用しているもの(以下、「部分適用」という。)と、個別ベースでの税効果会計を含めて全面的に適用しているもの(以下、「全面適用」という。)とが見られる。

 部分適用は、個別財務諸表において税効果会計が適用されていないという事情によるものであるが、連結手続上の修正項目についてのみ税効果会計を適用しても、それは極めて限られた意味しか持たず、国際的にも通用する会計処理とは言えない。このような考え方に基づき、全面適用を求めることとする。

 なお、ここにいう全面適用とは、個別財務諸表に税効果会計を適用して修正したものを、連結財務諸表の作成の基礎とする会計処理をいう。

(2) 税効果会計の方法には、繰延法と資産負債法とがあるが、資産負債法は、税率変更等に応じて繰延税金資産又は繰延税金負債が回収額又は支払額をより適切に示す方法であり、国際的にも主流となっていることから、当該方法によることとする。

(3)個別財務諸表における税効果会計の適用についても、上記で述べた問題点を踏まえ、今後、具体的な検討を行う必要がある。

5. 親子会社間の会計処理の統一ルールの明確化
(1)現行の連結原則上、子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、「できるだけ」親会社に統一することとされている。

 会計処理の統一に関しては、親会社と各子会社は、それぞれの置かれた環境の下で経営活動を行っているため、特定の会社が採用している会計処理の方法が、当該会社の環境に適合したものであれば、その方法が財政状態及び経営成績を最も的確に示すものであり、連結会計において親会社と各子会社の会計処理を画一的に統一することは、かえって連結財務諸表が企業集団の財政状態及び経営成績を適切に表示しなくなるということも考えられる。一方、同一の環境下にあるにもかかわらず、連結会社間で異なる会計処理が適用されている場合には、その個別財務諸表を基礎とした連結財務諸表が、企業集団の財政状態及び経営成績の適切な表示を損なうことは否定できない。

 したがって、同一の環境下で行われた同一の性質の取引等については、企業集団として会計処理を統一することが適当である。

(2)このような考え方から、同一の環境下で行われた同一の性質の取引等については、「原則として」会計処理の統一を求めることとする。

 会計処理の統一に当たっては、子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか、親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられ、より合理的な会計処理の原則及び手続を選択すべきである。

 なお、実務上の事情を考慮して、財政状態及び経営成績の表示に重要な影響がないと考えられるもの(例えば、たな卸資産の評価方法である先入先出法、平均法等)については、敢えて統一を求めるものではない。

6. 資本連結の手続の明確化
 資本連結の手続とは、親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定を相殺消去し、その結果消去差額が生じた場合には当該差額を連結調整勘定として計上し、子会社の資本勘定のうち親会社の持分に属さない部分については、これを少数株主持分に振り替える一連の処理をいう。

 資本連結については、企業集団内で行われる資本関連取引の複雑化に伴い、現行の連結原則上明確な定めのない取引が増加してきており、また、資本連結に係る国際的な会計基準の考え方にも変化が現れてきた。このようなことから、現行の資本連結に関する基準を全面的に見直し、以下のとおり資本連結の手続の明確化を図ることとする。

(1)支配獲得時における資本連結の手続
 支配獲得時における資本連結の手続は、新たに連結の範囲に含まれる子会社の資産及び負債の評価、投資勘定と資本勘定の相殺消去及び連結調整勘定の計上に分けることができる。

(1) 子会社の資産及び負債の評価
 支配獲得時においては、親会社は株式の取得を通じて子会社の資産及び負債を取得することになるが、これらの資産及び負債の評価は、子会社の個別貸借対照表上の金額(帳簿価額)を離れて、新たに資産及び負債を取得する場合と同様に、公正な評価額(以下、「時価」という。)によることとする。

 この場合の時価による評価には、親会社の持分に対応する部分に限定する方法(以下、「部分時価評価法」という。)と少数株主持分に対応する部分を含めて全体を時価評価する方法(以下、「全面時価評価法」という。)とが考えられる。前者の考え方は、親会社が株式を取得した際の親会社の持分を重視する考え方であり、後者の考え方は、親会社が子会社を支配した結果、子会社が企業集団に含まれることになった事実を重視する考え方である。

 現行の連結原則の下では、投資消去差額の原因分析を通じて、結果的には部分時価評価法と同様な処理が行われてきたが、本改訂案では、国際的な動向を考慮し、新たに、従来の部分時価評価法に加えて、全面時価評価法による処理も併せて認めることとしている。

 また、段階的に株式を取得した場合における部分時価評価法は、株式の取得時点ごとに時価評価を行う方法であるが、支配獲得時点において、一括して株式を取得したとみなして時価評価を行う簡便法も認めることとする。

 なお、子会社の資産及び負債の帳簿価額と時価評価額との差額に重要性が乏しい場合には、帳簿価額によることができるものとする。

(2) 投資勘定と資本勘定の相殺消去
 本改訂案では、投資勘定と資本勘定の相殺消去は、子会社の資産及び負債の評価の時点に対応する子会社の資本勘定を用いて行われることとしている。子会社の資産及び負債の帳簿価額と時価評価額との差額より生ずる評価差額は、一種の評価替剰余金の増減額としての性格を有するが、その金額は投資勘定と資本勘定の相殺消去及び少数株主持分への振り替えによって、全て消去される。

 全面時価評価法を採用する場合には、取得日ごとの資本勘定を用いて相殺消去を行うのではなく、支配獲得日における資本勘定を用いて一括して相殺消去を行う。なお、このような処理は、相殺消去の対象となっている投資勘定にすでに持分法を適用していた場合であっても同様であり、持分法評価額を投資勘定の帳簿価額とみなして相殺消去を行うことになる。

(3) 連結調整勘定の計上
 上記のような処理を行った結果、投資勘定と資本勘定の消去差額は、連結調整勘定として計上されることになる。本改訂案では、子会社の資産及び負債を時価評価した後に、投資勘定と資本勘定の相殺消去を行うこととしており、その結果生じた消去差額である連結調整勘定は、事実上、のれんの性格を有することになる。

 全面時価評価法を採用する場合には、連結調整勘定を支配獲得時に一括して計算することとする。なお、消去の対象となる投資勘定に持分法を適用していた場合には、持分法評価額に含まれていた連結調整勘定も含めて、連結調整勘定が新たに計算されることになる。

 連結調整勘定の計上に関連し、少数株主持分についても、これに相当する額を計上すべきであるとする考え方がある。本改訂案では、推定計算により少数株主持分に対応する連結調整勘定を計上することは好ましくなく、のれんの計上は有償取得に限るべきであるという立場から、この考え方は採用しなかった。

(2)支配獲得後における資本連結の手続
 支配獲得後における資本連結の手続は、基本的には、親会社と少数株主との間の持分移動に係る処理をいう。この場合、経済的単一体説によれば、当該取引は所有者間の取引と考えられるが、本改訂案で採用する親会社説によれば、当該取引は親会社と外部者との間の取引と考えられる。

 支配獲得後の親会社と少数株主との間の持分移動は、持分そのものを両者間で売買する子会社株式の追加取得及び一部売却のほか、子会社における発行済株式総数の増減を伴う資本取引を通じて間接的に発生する場合がある。例えば、子会社の時価発行増資等において親会社が引き受けなかった場合、又は、従前の持分比率と異なる比率で親会社が引き受けた場合には、親会社の持分比率が増資前と増資後で変化することになる。

本改訂案では、このようなケースについて、基本的な考え方を示すこととする。
(1) 子会社株式を追加取得した場合の処理
 支配獲得後において子会社株式を追加取得した場合には、子会社に対する親会社の持分は増加し、少数株主持分は減少することになる。

 この場合には、追加取得持分相当額を少数株主持分から減額し、増加する親会社の持分と追加取得した投資勘定とを相殺消去し、両者の間に差額(追加取得差額)がある場合には、原則として連結調整勘定として処理することとする。

 ただし、部分時価評価法を採用している場合には、支配獲得時における処理と同様に、追加取得した投資勘定に対応する子会社の資産及び負債を時価評価し、追加取得差額から追加評価差額を控除した残額を連結調整勘定として処理することとする。

 全面時価評価法を採用している場合には、支配獲得時に子会社の資産及び負債のすべてが時価評価されているため、追加取得時には、新たな評価替えは行わず、追加取得差額をすべて連結調整勘定として処理することとする。

(2) 子会社株式を一部売却した場合の処理
 支配獲得後において子会社株式を一部売却した場合であって、親会社と子会社の支配関係が継続しているときは、子会社に対する親会社の持分は減少し、少数株主持分は増加することになる。

 この場合には、子会社の資本勘定のうち売却した持分相当額だけ少数株主持分を増額し、その額と売却による投資勘定の減少額との間に差額がある場合には、当該差額を、子会社株式の売却損益の修正として処理することとする。また、売却した持分に対応する連結調整勘定も、同様に処理することとする。

 なお、部分時価評価法を採用している場合には、売却持分に対応する時価評価差額を少数株主持分と相殺することとする。

(3) 子会社の時価発行増資等に伴い親会社の持分が増減した場合の処理
 子会社の時価発行増資等において、親会社の引受割合が従来の持分比率と異なり、かつ、発行価格が従来の1株当たりの純資産額と異なる場合には、親会社の払込額と当該増資等による親会社の持分の増減額との間に差額が生ずる。この差額は、当該増資等に伴う持分比率の変化によって、親会社の持分の一部が少数株主持分に、又は少数株主持分が親会社の持分に振り替わることから生ずるものである。

 本改訂案では、連結財務諸表上の払込資本は親会社の株主の払込資本のみであり、子会社の払込資本は連結上の払込資本を構成しないとの解釈から、親会社の増減資によらないこのような差額は、連結剰余金として処理することとしている。

 この場合、当該差額は、損益として処理することを原則とするが、発生の頻度、金額の重要性等に照らして、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には、連結剰余金に直接加減する処理も認めることとしている。

7. 資本連結以外の連結手続の明確化
 現在、連結原則等において、複数の処理方法が容認されている事項があるが、企業間の比較可能性の観点から、次の事項について連結手続の明確化を図ることとする。

(
(つずき) 
(1)未実現損益の消去方法等
(1) 少数株主が存在する子会社から親会社への売上取引に係る未実現損益の消去方法

 現行実務上、全額消去・持分按分負担方式(未実現損益を全額消去し、親会社の持分と少数株主持分とにそれぞれの持分比率に応じて負担させる方法)、全額消去・親会社負担方式(未実現損益を全額消去し、かつ、その金額を全て親会社の持分に負担させる方法)及び部分消去・親会社負担方式(少数株主持分に相当する部分は実現しているものとみなし、親会社の持分比率に相当する未実現損益のみを消去し、親会社の持分にこれを負担させる方法)の3つの方法が見られるが、全額消去・持分按分負担方式に統一することとする。

(2) 減価償却資産に含まれる未実現損益の消去に伴う減価償却費の修正計算方法
 現行の連結原則注解では、減価償却資産に含まれる未実現損益の消去に伴う減価償却費の修正計算方法について、毎期修正する方法と固定資産の除却時又は連結会社以外の会社への売却時に一括して修正する方法を認めているが、毎期修正する方法に統一することとする。

(3) 連結会社間でたな卸資産等を時価により売買することにより生じる内部損失の消去方法

 現行の連結原則注解では、連結会社間でたな卸資産を時価により売買することにより生じる内部損失について、消去する方法と消去しない方法の双方を認めているが、損失消去前の原価が回収不能である場合を除き、消去することとする。

なお、たな卸資産以外の資産についても、これに準じて取扱うこととする。
(2)連結調整勘定の償却期間
 連結調整勘定の主要部分はのれんと考えられるため、連結調整勘定は、本来、その有効期間にわたって償却し、投資活動の実態を適切に反映させる必要がある。

 しかし、実務上、特に長期的視野に立って企業の投資が行われている場合には、有効期間の見積りは困難であるため、連結調整勘定の償却期間の上限を明記しないと、償却期間が長期化するおそれがある。

 このため、企業が、一定の期間内において、子会社株式の取得の実態に基づいた適切な償却期間を決定することが重要である点を考慮し、国際会計基準を参考として、20年という償却期間の上限を明記することとする。

8. 連結財務諸表における表示区分の見直し
 連結財務諸表の国際的調和、表示内容の簡素化等の観点から、連結財務諸表の表示区分について、以下のとおり見直すこととする。

(1)「連結調整勘定の当期償却額」及び「持分法による投資損益」の表示区分の見直し

 現行の連結原則上、「連結調整勘定の当期償却額」は、税金等調整前当期純利益に加減して表示することとされているが、連結調整勘定の主要な部分はのれんと考えられるため、「連結調整勘定の当期償却額」は販売費及び一般管理費(負債の部に計上された連結調整勘定については、営業外収益)として表示することとする。

 また、「持分法による投資損益」についても、税金等調整前当期純利益に加減して表示することとされているが、投資に係る損益であるため、一括して営業外損益として表示し、経常損益に反映させることとする。

(2)利益準備金の取扱い
 現行の連結原則上、利益準備金は資本の部に区分して表示することとされているが、連結財務諸表は、商法上の配当可能利益の算定を直接の目的としているものではないため、個別財務諸表上の処分不可能な利益剰余金である利益準備金を連結財務諸表上表示する必要性が乏しく、表示科目の統合の観点からも、利益の留保額を「連結剰余金」として一括して表示することが適当と考えられる。

 このため、連結財務諸表上、利益準備金の表示区分を廃止し、利益の留保額(利益準備金、任意積立金及び当期未処分利益)を「連結剰余金」として一括して表示することとする。

(3)自己株式等の取扱い
 現行の連結原則注解では、自己株式及び子会社が所有する親会社の株式は、資本の部から控除する形式で表示することとされているが、自己株式等の取得は原則として禁止されており、例外的に取得しても短期間のうちに処分することが必要とされているため、売却目的の自己株式及び子会社の保有する親会社株式については、個別財務諸表と同様、流動資産として表示し、その売却差額は損益として処理することとする。

 なお、利益消却目的の自己株式については、連結決算日において失効手続が完了したものとみなして表示することとする。

(4)事業税の表示区分の見直し
 現在、事業税は、営業費用の一項目として表示することとされているが、利益に関連する金額を課税標準として課される事業税については、法人税及び住民税と同様、税金等調整前当期純利益から控除して表示することとする。

 なお、個別財務諸表における事業税の表示区分についても同様の問題があり、この点について、今後検討する必要がある。

実施時期等
 1. 当審議会としては、本意見書のとりまとめ後、連結キャッシュ・フロー計算書及び中間連結財務諸表の作成基準について、引き続き審議することとする。

 2. 我が国の連結財務諸表制度の評価を高めていくためには、同制度の改革を可及的すみやかに進めていくことが必要である。

 ただし、見直しの対象が多岐にわたっており、今後、企業側の受入準備、関係各方面の準備作業が必要であり、これらを考慮すると、平成10年4月1日以後開始する事業年度から、段階的に実施されるよう措置することが適当である。なお、税効果会計や連結財務諸表を作成していない会社の持分法損益の注記等の実施に当たっては、準備期間について十分配慮することが必要である。

 3. 子会社及び関連会社の範囲、税効果会計、親子会社間の会計処理の統一並びに資本連結の手続に関する基準を適用する場合の具体的な指針等については、今後、関係省令により手当てされるとともに、日本公認会計士協会が関係者と協議のうえ、適切に措置することが必要と考える。

第一 連結財務諸表の目的
 連結財務諸表は、支配従属関係にある二以上の会社(会社組織ではないが、会社に準ずる被支配事業体を含む。以下同じ。)からなる企業集団を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財政状態及び経営成績を総合的に報告するために作成するものである。

第二 一般原則
 一 連結財務諸表は、企業集団の財政状態及び経営成績に関して真実な報告を提供するものでなければならない。(注解1)

 二 連結財務諸表は、企業集団に属する親会社及び子会社が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成した個別財務諸表を基礎として作成されなければならない。(注解2)

 三 連結財務諸表は、企業集団の状況に関する判断を誤らせないよう、利害関係者にに対し必要な財務情報を明瞭に表示するものでなければならない。(注解1)

 四 連結財務諸表作成のために採用した基準及び手続は、毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。

第三 一般基準
一 連結の範囲
1 親会社は、原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めなければならない。
 2 親会社とは、他の会社を実質的に支配している会社をいい、子会社とは、当該他の会社をいう。(注解3)

 他の会社を実質的に支配しているとは、他の会社の意思決定機関を支配していることをいい、次の場合には、当該意思決定機関を実質的に支配していないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は子会社に該当するものとする。

(1)他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合(注解4)
(2)他の会社に対する議決権の所有割合は、百分の五十以下であるが、高い比率の議決権を有しており、かつ、当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合(注解5)

 3 親会社及び子会社又は子会社が、他の会社を実質的に支配している場合における当該他の会社も、また、子会社とみなすものとする。

 4 子会社のうち次に該当するものは、連結の範囲に含めないものとする。(注解6)

(1)支配が一時的であると認められる会社
(2)前記以外の会社であって、連結することにより利害関係者の判断を誤らせるおそれのある会社

二 連結決算日
 1 連結財務諸表の作成に関する期間は一年とし、親会社の会計期間に基づき、年一回一定の日をもって連結決算日とするものとする。

 2 子会社の決算日が連結決算日と異なる場合には、子会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続による決算を行わなければならない。(注解7)

三 親会社及び子会社の会計処理の原則及び手続
 親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、同一環境下で行われた同一の性質の取引等については、原則として統一しなければならない。

第四 連結貸借対照表の作成基準
一 連結貸借対照表作成の基本原則
 連結貸借対照表は、親会社及び子会社の個別貸借対照表における資産、負債及び資本の金額を基礎とし、子会社の資産及び負債の評価、連結会社(親会社及び連結される子会社をいう。)相互間の投資勘定と資本勘定及び債権と債務の相殺消去等の処理をして作成する。

二 子会社の資産及び負債の評価
 支配獲得日における子会社の個別貸借対照表上の資産及び負債の金額は、次のいずれかの方法により、公正な評価額(以下、「時価」という。)をもって、評価しなければならない。ただし、当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額と時価による評価額との差額(以下、「評価差額」という。)に重要性が乏しい場合には、個別貸借対照表上の金額によることができる。なお、評価差額は、子会社の資本勘定とする。

 1 子会社の資産及び負債のうち、親会社の持分に相当する部分については株式の取得日ごとに当該日における時価により評価し、少数株主持分に相当する部分については子会社の個別貸借対照表上の金額により評価する方法(以下、「部分時価評価法」という。)(注解8)(注解9)

 2 子会社の資産及び負債のすべてを、支配獲得日の時価により評価する方法(以下、「全面時価評価法」という。)(注解9)

三 投資勘定と資本勘定の相殺消去
 1 親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定は、連結上相殺消去しなければならない。(注解10)

 2 親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定とを相殺消去するに当たり、親会社の投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定との間に差額がある場合には、当該差額は連結調整勘定とする。

 連結調整勘定は、その計上後、20年以内に定額法により償却しなければならない。ただし、連結調整勘定の金額に重要性が乏しい場合には、当該勘定が生じた期の損益として処理することができる。

 3 子会社相互間の投資勘定とこれに対応する資本勘定とは、親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定との相殺消去に準じて相殺消去しなければならない。

四 少数株主持分
 1 子会社の資本勘定のうち親会社の持分に属さない部分は、少数株主持分とする。(注解11)

 2 子会社の欠損又は損失のうち、当該子会社に係る少数株主持分に割当てられる額が、当該少数株主が負担すべき額を超える場合には、当該超過額は、親会社の持分に負担させなければならない。この場合において、その後当該子会社の利益が計上されたときは、親会社が負担した欠損又は損失が回収されるまで、その利益の金額を親会社の持分に加算するものとする。

五 支配獲得後の子会社株式の追加取得及び一部売却等
 1 支配獲得後において子会社株式を追加取得した場合には、当該追加取得持分相当額を少数株主持分から減額し、これと追加取得した投資勘定を相殺消去する。当該追加取得持分相当額と追加取得した投資勘定との間に差額(以下、「取得差額」という。)がある場合には、連結調整勘定等として処理する。(注解12)

 2 支配獲得後において子会社株式を一部売却した場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)には、子会社の資本勘定のうち売却した持分相当額だけ少数株主持分を増額し、これと売却による投資勘定の減少額との間に差額がある場合には、当該差額を、子会社株式の売却損益の修正として処理する。また、売却持分に対応する連結調整勘定も同様に処理する。(注解13)

 3 子会社の時価発行増資等に伴い、親会社の払込額と親会社の持分の増減額との間に差額が生じた場合には、当該差額を損益として処理する。ただし、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には、連結剰余金に直接加減することができる。(注解13)

六 債権と債務の相殺消去
 連結会社相互間の債権と債務とは、連結上相殺消去しなければならない。(注解14)

七 税効果会計
 1 連結財務諸表の作成に当たり、連結会社の法人税その他利益に関連する金額を課税標準として課される税金について一時差異がある場合には、当該税金の額を期間配分しなければならない。

 2 一時差異とは、連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得の計算の結果算定された資産及び負債の金額に差異がある場合の当該差額をいう。(注解15)

 3 一時差異に係る税金の額は、将来の連結会計期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上しなければならない。(注解16)

繰延税金資産と繰延税金負債は、原則として、相殺してはならない。
八 非連結子会社及び関連会社に対する持分法の適用
 1 非連結子会社及び関連会社に対する投資勘定については、原則として、持分法を適用しなければならない。(注解17)(注解18)

 2 関連会社とは、親会社及び子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社をいう。(注解19)

 次の場合には、子会社以外の他の会社の財務及び営業の方針決定に重要な影響を与えることができないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は関連会社に該当するものとする。

(1)子会社以外の他の会社の議決権の百分の二十以上を実質的に所有している場合(当該議決権の百分の二十以上の所有が一時的であると認められる場合を除く。)

(2)他の会社の一定の議決権を有しており、かつ、当該会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる一定の事実が認められる場合(注解20)

九 表示方法(注解21)
 1 連結貸借対照表には、資産の部、負債の部、少数株主持分及び資本の部を設けなければならない。

 資産の部は、流動資産、固定資産及び繰延資産に区分し、更に固定資産は有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分して記載しなければならない。

負債の部は、流動負債及び固定負債に区分して記載しなければならない。
少数株主持分は、負債の部の次に区分して記載しなければならない。
 資本の部は、資本金、資本準備金及び資本準備金以外の剰余金(以下、「連結剰余金」という。)に区分して記載しなければならない。

 2 流動資産、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産、繰延資産、流動負債及び固定負債は一定の基準に従い、その性質を示す適当な名称を付した科目に明瞭に分類して記載しなければならない。特に、非連結子会社又は関連会社に対する投資勘定は、他の項目と区別して表示し、又は注記の方法により明瞭に表示しなければならない。

 連結剰余金のうちに、減債積立金等外部の者との契約による特定目的のために積立てられたものがあるときは、その内容及び金額を注記しなければならない。

第五 連結損益計算書の作成基準
一 連結損益計算書作成の基本原則
 連結損益計算書は、親会社及び子会社の個別損益計算書における収益、費用等の金額を基礎とし、連結会社相互間の取引高の相殺消去及び未実現損益の消去等の処理をして、当期純利益を表示する。

二 連結会社相互間の取引高の相殺消去
 親会社と子会社との間及び子会社相互間における商品の売買その他の取引に係る項目は、連結上相殺消去しなければならない。(注解22)

三 未実現損益の消去
 1 連結会社相互間の取引によって取得したたな卸資産、固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は、その全額を消去しなければならない。ただし、未実現損失については、消去前の原価が回収不能である場合には、消去しないものとする。

2 未実現損益が僅少な場合には、これを消去しないことができる。
 3 販売側の子会社に少数株主が存在する場合には、当該未実現損益は、親会社と少数株主の持分比率に応じて、親会社の持分と少数株主持分に配分するものとする。

四 表示方法(注解23)
 1 連結損益計算書は、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算に区分しなければならない。

 営業損益計算の区分は、売上高及び売上原価を記載して売上総利益を表示し、更に販売費及び一般管理費を記載して営業利益を表示しなければならない。

 経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受け、営業外収益及び営業外費用を記載して経常利益を表示しなければならない。

 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受け、特別利益及び特別損失を記載して税金等調整前当期純利益を表示し、これに法人税額等(住民税額及び利益に関連する金額を課税標準として課される事業税額を含む。)及び少数株主損益を加減して当期純利益を表示しなければならない。

 2 販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失は、一定の基準に従い、その性質を示す適当な名称を付した科目に明瞭に分類して記載しなければならない。

 3 連結調整勘定の当期償却額は、販売費及び一般管理費として表示しなければならない。ただし、貸方に生じた連結調整勘定の当期償却額は、営業外収益として表示するものとする。

 持分法による投資損益は、営業外収益又は営業外費用として一括して表示するものとする。

第六 連結剰余金計算書の作成基準
一 連結剰余金計算書の作成
 1 連結貸借対照表に示される連結剰余金については、その増減を示す連結剰余金計算書を作成する。

 2 連結剰余金の増減は、親会社及び子会社の損益計算書及び利益処分に係る金額を基礎とし、連結会社相互間の配当に係る取引を消去して計算する。

 3 親会社及び子会社の利益処分については、連結会計期間において確定した利益処分を基礎として連結決算を行う方法による。ただし、この方法に代えて連結会計期間の利益に係る処分を基礎として連結決算を行う方法によることもできる。

二 表示方法
 1 連結剰余金計算書は、原則として、連結剰余金期首残高、連結剰余金減少高及び当期純利益を示して、連結剰余金期末残高を表示しなければならない。

 連結剰余金減少高は、配当(中間配当を含む。)、役員賞与及び資本金に組み入れた額に区分して記載するものとする。

 2 連結剰余金計算書は、連結損益計算書に接続して記載することができる。この場合の当該計算書の表題は、連結損益及び剰余金結合計算書とするものとする。(注解23)

第七 連結財務諸表の注記事項
連結財務諸表には、次の事項を注記しなければならない。
1 連結の方針
 連結の範囲に含めた子会社、非連結子会社並びに持分法を適用した非連結子会社及び関連会社に関する事項その他連結の方針に関する重要事項及びこれらに重要な変更があったときは、その旨及びその理由

2 決算日の差異
 子会社の決算日が連結決算日と異なるときは、当該決算日、決算日が異なる理由及び連結のため当該子会社について特に行った決算手続の概要

3 会計処理の原則及び手続等
(1)重要な資産の評価基準及び減価償却の方法等並びにこれらについて変更があったときは、その旨、その理由及びその影響

(2)子会社の採用する会計処理の原則及び手続で親会社及びその他の子会社との間で特に異なるものがあるときは、その概要

(3)子会社の資産及び負債の評価方法
4 利益処分
連結決算に当たって採用した利益処分の取扱方法
5 その他の重要な事項
企業集団の財政状態及び経営成績を判断するために重要なその他の事項
注解1 重要性の原則の適用について(第二の一及び三)
 連結財務諸表を作成するに当たっては、企業集団の財政状態及び経営成績に関する利害関係者の判断を誤らせない限り、小規模子会社の連結の範囲からの除外、持分法適用の範囲からの除外、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合の仮決算の手続、連結のための個別財務諸表の修正、子会社の資産及び負債の評価、連結調整勘定の処理、未実現損益の消去、連結財務諸表の表示等に関して重要性の原則が適用される。

注解2 連結のための個別財務諸表の修正について(第二の二)
 親会社及び子会社の財務諸表が、減価償却の過不足、資産又は負債の過大又は過少計上等により当該会社の財政状態及び経営成績を適正に示していない場合には、連結財務諸表作成上これを適正に修正して連結決算を行わなければならない。ただし、連結財務諸表に重要な影響を与えないと認められる場合には、修正しないで連結決算を行うことができる。

注解3 子会社に該当しない会社について(第三の一の2)
 更生会社、整理会社、破産会社等であって、かつ、有効な支配従属関係が存在せず組織の一体性を欠くと認められる会社は、子会社に該当しないものとする。

注解4 議決権のある株式又は出資の実質的所有について(第三の一の2(1))
 議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等会社以外の者となっていても、会社が自己の計算で所有している場合には、当該会社が実質的に所有しているものとする。

注解5 支配している一定の事実について(第三の一の2(2))
 他の会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合とは、例えば、次の場合をいう。

(1)議決権不行使株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

(2)役員、関連会社等の協力株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

(3)取締役会の構成員の過半数を、出資会社の役員又は従業員である者又はこれらであった者が継続して占めている場合

(4)重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等が存在する場合
注解6 小規模子会社の連結の範囲からの除外について(第三の一の4)
 子会社で、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態及び経営成績に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができる。

注解7 決算日の差異がある場合の取扱いについて(第三の二の2)
 決算日の差異が三か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができる。この場合においては、決算日が異なることから生ずる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致についてのみ、必要な整理を行う。

 子会社と連結会社以外の会社との取引、債権債務等については、連結決算日までに重要な変動がある場合を除き、そのまま連結決算を行うことができる。

注解8 子会社の資産及び負債の評価について(第四の二の1)
 部分時価評価法を採用している場合であっても、連結計算の結果が著しく相違しない場合には、支配獲得日における時価を基準として、子会社の資産及び負債のうち親会社の持分に相当する部分を一括して評価することができる。

 注解9 株式の取得日又は支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合の取扱いについて(第四の二の1及び2)

 株式の取得日又は支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合には、当該取得日又は支配獲得日の前後いずれか近い決算日に株式の取得又は支配獲得が行われたものとみなして連結を行うことができる。

注解10 投資勘定と資本勘定の相殺消去について(第四の三の1)
 1 部分時価評価法によっている場合には、株式の取得日ごとに算定された資本勘定のうち親会社の持分に相当する部分を投資勘定と相殺消去し、株式の取得日より後に生じた親会社の持分に属する子会社の剰余金は、連結剰余金として処理しなければならない。

 2 全面時価評価法によっている場合には、支配獲得日において算定された資本勘定のうち親会社の持分に相当する部分を投資勘定と相殺消去し、支配獲得日より後に生じた親会社の持分に属する子会社の剰余金は、連結剰余金として処理しなければならない。

注解11 少数株主持分について(第四の四の1)
 1 株式の取得日又は支配獲得日の当該子会社の資本金及び剰余金は、当該取得日又は支配獲得日において、親会社に属する部分と少数株主に属する部分とに分け、前者は親会社の投資勘定と相殺消去し、後者は少数株主持分として処理する。

 2 株式の取得日後又は支配獲得日後に生じた子会社の剰余金は、親会社に属する部分と少数株主に属する部分とに分け、前者は連結剰余金として、後者は少数株主持分として処理する。

注解12 支配獲得後の子会社株式の追加取得について(第四の五の1)
 1 部分時価評価法によっている場合には、追加取得した親会社の持分相当について追加取得日の時価により評価し、取得差額から評価差額を控除した残額を連結調整勘定として処理する。

 2 全面時価評価法によっている場合には、取得差額を連結調整勘定として処理する。

注解13 支配獲得後の子会社株式の一部売却等について(第四の五の2及び3)
 1 部分時価評価法によっている場合には、売却持分に対応する連結調整勘定を子会社株式の売却損益の修正として処理するとともに、売却持分に対応する評価差額を少数株主持分と相殺する。

 2 子会社の時価発行増資等に伴い生ずる差額の計算については、上記に準じて処理する。

注解14 債権と債務の相殺消去について(第四の六)
 1 相殺消去の対象となる債権又は債務は、確定金銭債権又は確定金銭債務以外に、前払費用、未収収益、前受収益及び未払費用で連結会社相互間取引に関するものを含むものとする。

 2 連結会社が振出した手形を他の連結会社が銀行割引した場合には、連結貸借対照表上これを借入金に振替えるものとする。

 3 貸倒引当金は、連結会社相互間の債権又は債務を相殺消去した後の債権を基礎として、連結上これを調整する。

 4 引当金のうち、連結会社を対象として引当てられたことが明らかなものがあるときは、連結上これを調整する。

 5 連結会社が発行した社債で一時所有のものは、相殺消去の対象としないことができる。

注解15 一時差異について(第四の七の2)
一時差異には、例えば、次のものがある。
(1)収益又は費用の帰属年度の相違により生じる各連結会社の課税所得の合計額と連結財務諸表上の税金等調整前当期純利益との差額

(2)将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金
(3)子会社の資産及び負債の時価評価を行った結果生じた評価差額のうち、課税所得の計算に含まれていないもの

注解16 繰延税金について(第四の七の3)
 1 繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとし、繰延税金資産については、将来の回収の見込みについて毎期見直しを行わなければならない。

 2 一時差異のうち重要性が乏しいものについては、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。

注解17 持分法について(第四の八の1)
 1 持分法とは、投資会社が被投資会社の純資産及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資勘定を各期ごとに修正する方法をいう。

 2 持分法の適用に際して使用する被投資会社の財務諸表は、資産及び負債の評価、税効果会計の適用等、原則として、連結を行う場合と同様の配慮を行うものとする。ただし、重要性が乏しいものについては、これらの処理を行わないことができる。

3 持分法の手続は、次のとおりである。
(1)投資会社の投資日における投資勘定とこれに対応する被投資会社の資本勘定との間に差額がある場合には、当該差額は投資勘定に含め、連結における連結調整勘定と同様に処理する。

(2)投資会社は、当該投資の日以降における被投資会社の利益又は損失のうちの投資会社の持分又は負担に見合う額を認識して、当該投資の貸借対照表計上額を増額又は減額し、かつ、当該増減額を当期純利益の算定に含める。また、連結調整勘定に相当する部分の償却は、当該増減額に含める。

(3)投資の増減額及びその当期純利益への影響額を認識する場合には、連結会社と持分法適用会社との間の取引による資産に係る未実現損益を消去するための修正を行う。

(4)被投資会社から配当金を受取った場合には、当該配当金に相当する金額を当該投資の貸借対照表計上額から減額する。

 4 持分法の適用に当たっては、投資会社は、被投資会社の最近の財務諸表を使用する。ただし、決算期に差異がある場合で、その差異の期間内に重要な取引又は事象が発生しているときには、投資会社に帰属する損益に関し誤解を生ずることを避けるために必要な修正又は注記を行う。

注解18 持分法適用の範囲からの除外について(第四の八の1)
 持分法の適用による投資勘定の増減額が、連結財務諸表に重要な影響を与えない場合には、持分法を適用しないことができる。

注解19 関連会社に該当しない会社について(第四の八の2)
 更生会社、整理会社、破産会社等であって、かつ、当該会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる会社は、関連会社に該当しないものとする。

 注解20 重要な影響を与えることができる一定の事実について(第四の八の2の(2))

 他の会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる一定の事実が認められる場合とは、例えば、他の会社の財務及び営業の方針決定に重要な影響を与える契約が存在する場合等をいう。

注解21 連結貸借対照表の表示方法について(第四の九)
 1 連結貸借対照表の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎としなければならないが、企業集団の財政状態について誤解を生ぜしめない限り、集約して表示することができる。

例えば、商品、製品、原材料等は一括してたな卸資産の科目で表示する等である。
 2 連結調整勘定は、無形固定資産又は固定負債として表示するものとする。なお、連結調整勘定が借方及び貸方の双方に生ずる場合には、これを相殺して記載することができる。

 3 売却目的の自己株式及び子会社が所有する親会社の株式は、流動資産として表示するものとする。

注解22 会社相互間取引の相殺消去について(第五の二)
 会社相互間取引が連結会社以外の会社を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の直接の取引であることが明確であるときは、この取引を連結会社間の取引とみなして処理するものとする。

 注解23 連結損益計算書及び連結剰余金計算書の表示方法について(第五の四及び第六の二の2)

 1 連結損益計算書の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎としなければならないが、企業集団の経営成績について誤解を生ぜしめない限り、集約して表示することができる。

 例えば、売上原価に関しては、たな卸計算方式によらないで売上原価の科目だけで記載する等である。

 2 主たる営業として製品又は商品の販売と役務の給付とがある場合には、売上高及び売上原価を製品等の販売に係るものと役務の給付に係るものとに区分して記載するものとする。

 3 連結損益及び剰余金結合計算書を作成する場合には、原則として、次の形式で記載するものとする。

 当期純利益 ×××
 連結剰余金期首残高 ×××
 連結剰余金減少高
 配当金 ×××
 役員賞与 ×××
 資本金 ××× ××× ×××
 連結剰余金期末残高 ×××


連結財務諸表原則新旧対照表。  
第一 連結財務諸表の目的
 連結財務諸表は、支配従属関係にある二以上の会社からなる企業集団を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財政状態及び経営成績を総合的に報告するために作成するものである。

第二 一般原則
 一 連結財務諸表は、企業集団の財政状態及び経営成績に関して真実な報告を提供するものでなければならない。(注解1)

 二 連結財務諸表は、企業集団に属する親会社及び子会社が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成した個別財務諸表を基礎として作成されなければならない。(注解2)

 三 連結財務諸表は、企業集団の状況に関する判断を誤らせないよう、利害関係者に対し必要な財務情報を明瞭に表示するものでなければならない。(注解1)

 四 連結財務諸表作成のために採用した基準及び手続は、毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。第三 一般基準

一 連結の範囲
1 親会社は、原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めなければならない。
 2 親会社とは、他の会社における議決権の過半数を実質的に所有している会社をいい、子会社とは、当該他の会社をいう。親会社及び子会社又は子会社が他の会社における議決権の過半数を実質的に所有している場合における当該他の会社もまた子会社とみなすものとする。(注解3)

(新設)
 3 子会社のうち、次に該当するものには連結の範囲に含めないものとする。(注解4)

(1) 更生会社、整理会社等有効な支配従属関係が存在しないため組織の一体性を欠くと認められる会社

(2) 破産会社、清算会社、特別清算会社等継続企業と認められない会社
(3) 親会社がその議決権の過半数を単に一時的に所有していると認められる会社
(4) 前記以外の会社であって、連結することにより利害関係者の判断を誤らせるおそれのある会社

二 連結決算日
 1 連結財務諸表の作成に関する期間は一年とし、親会社の会計期間に基づき、年一回一定の日をもって連結決算日とするものとする。

 2 子会社の決算日が連結決算日と異なる場合には、子会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続による決算を行わなければならない。(注解5)

三 親会社及び子会社の会計処理の原則及び手続
 子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、できるだけ親会社に統一しなければならない。

四 在外子会社等の財務諸表項目の換算
 在外子会社等の外貨で表示された財務諸表項目の換算に当っては、一般に公正妥当と認められる換算の基準に従わなければならない。第四 連結貸借対照表の作成基準

一 連結貸借対照表作成の基本原則
 連結貸借対照表は、親会社及び子会社の個別貸借対照表における資産、負債及び資本の金額を基礎とし、連結会社相互間の投資勘定と資本勘定及び債権と債務を相殺消去して作成する。

(新設)
二 投資勘定と資本勘定の相殺消去
 1 親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定とは、その取得日を基準として、連結計算上相殺消去しなければならない。(注解6)

 2 親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定とを相殺消去するに当たり、親会社の投資勘定と当該子会社の資本勘定に占める親会社の持分額との間に差額がある場合には、当該差額は連結調整勘定として表示する。ただし、当該差額について容易に原因分析ができる場合には、これを適当な科目に振替えるものとする。

 3 子会社相互間の投資勘定とこれに対応する資本勘定とは、親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定との相殺消去に準じて相殺消去しなければならない。

三 少数株主持分
 1 子会社の資本勘定のうち親会社の持分に属しない部分は、少数株主持分とする。(注解8)

 2 子会社の欠損又は損失のうち、当該子会社に係る少数株主持分に割当てられる額が、当該少数株主持分の額を超える場合には、当該超過額は、親会社の持分に負担させなければならない。この場合において、その後当該子会社の利益が計上されたときは、親会社が負担してきた欠損又は損失が回収されるまで、その利益の金額を親会社の持分に加算するものとする。

(新設)
四 債権と債務の相殺消去
 連結会社相互間の債権と債務とは、連結決算上相殺消去しなければならない。(注解9)

(新設)
五 非連結子会社及び関連会社に対する投資勘定の貸借対照表価額
 1 非連結子会社及び関連会社に対する投資勘定は、連結貸借対照表上、原則として、持分法により計算した価額をもって計上しなければならない。(注解10)

 2 関連会社とは、連結会社(親会社及び連結された子会社をいう。)が、子会社以外の他の会社の議決権の百分の二十以上を実質的に所有し、かつ、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて当該会社の財務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社をいう。(注解11)

 3 次に該当する会社に対する投資勘定については、持分法を適用しないものとする。(注解12)

(1) 非連結子会社のうち、次のいずれかに該当する会社
(1) 更生会社、整理会社等有効な支配従属関係が存在しないため組織の一体性を欠くと認められる会社

(2) 破産会社、清算会社、特別清算会社等継続企業と認められない会社
(2) 関連会社のうち、次のいずれかに該当する会社
(1) 破産会社、清算会社、特別清算会社等継続企業と認められない会社
(2) 投資会社が、その議決権の百分の二十以上を単に一時的に所有していると認められる会社

六 表示方法(注解13)
 1 連結貸借対照表には、資産の部、負債の部及び資本の部を設けなければならない。

 資産の部は、流動資産、固定資産及び繰延資産に区分し、更に固定資産は有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分して記載しなければならない。

 負債の部は、流動負債、固定負債及び少数株主持分に区分して記載しなければならない。

 資本の部は、資本金、資本準備金、利益準備金並びに資本準備金及び利益準備金以外の乗余金(以下「その他の乗余金」という。)に区分して記載しなければならない。

 2 流動資産、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産、繰延資産、流動負債及び固定負債は一定の基準に従い、その性質を示す適当な名称を付した科目に明瞭に分類して記載しなければならない。特に非連結子会社又は関連会社に対する債権、債務又は投資勘定は、他の債権等と区別して表示し、又は注記の方法により明瞭に表示しなければならない。

 「その他の剰余金」のうちに、減債積立等外部の者との契約による特定目的のために積立てられたものがあるときは、その内容及び金額を注記しなければならない。第五 連結損益計算書の作成基準

一 連結損益計算書作成の基本原則
 連結損益計算書は、親会社及び子会社の個別損益計算書における収益、費用等の金額を基礎とし、連結会社相互間の取引高及び未実現益を消去して、当期純利益を表示する。

二 連結会社相互間の取引高の相殺消去
 親会社と子会社との間及び子会社相互間における商品の売買その他の取引に係る項目は、連結決算上消去しなければならない。(注解14)

三 未実現損益の消去
 連結会社相互間の取引によって取得したたな卸資産、固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は、消去しなければならない。ただし、固定資産に含まれる未実現損益が僅少な場合には、これを消去しないことができる。(注解15)

四 表示方法(注解16)
 1 連結損益計算書は、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算に区分しなければならない。

 営業損益計算の区分は、売上高及び売上原価を記載して売上総利益を表示し、更に販売費及び一般管理費を記載して営業利益を表示しなければならない。

 経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受け、営業外収益及び営業外費用を表示しなければならない。

 純損益計算の区分は、経常損益の結果を受け、特別利益及び特別損失を記載して税金等調整前当期純利益を表示し、これに法人税額等、少数株主持分、連結調整勘定の当期償却額及び持分法による投資損益を加速して当期純利益を表示しなければならない。

 2 販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失は、一定の基準に従い、その性質を示す適当な名称を付した科目に明瞭に分類して記載しなければならない。

(新設)
第六 連結剰余金計算書の作成基準
一 連結剰余金計算書の作成
 1 連結貸借対照表に示される「その他の剰余金」については、その増減を示す連結剰余金計算書を作成する。

 2 「その他の剰余金」の増減は、親会社及び子会社の損益計算書及び利益処分に係る金額を基礎とし、連結会社相互間の配当に係る取引を消去して計算する。

 3 親会社及び子会社の利益処分については、連結会計期間において確定した利益処分を基礎として連結決算を行う方法による。ただし、この方法に代えて連結会計期間の利益に係る処分を基礎として連結決算を行う方法によることもできる。

二 表示方法
 1 連結剰余金計算書は、原則として、「その他の剰余金」期首残高、「その他の剰余金」減少高及び当期純利益を示して、「その他の剰余金」期末残高を表示しなければならない。

 「その他の剰余金」減少高は、利益準備金繰入額、配当(中間配当を含む。)及び役員賞与に区分して記載するものとする。

 2 連結剰余金計算書は、連結損益計算書に接続して記載することができる。この場合の当該計算書の表題は、連結損益及び剰余金結合計算書とするものとする。(注解16)

第七 連結財務諸表の注記事項
連結財務諸表には、次の事項を注記しなければならない。
1 連結の方針
 連結の範囲に含めた子会社、非連結子会社並びに持分法を適用した非連結子会社及び関連会社に関する事項その他連結の方針に関する重要事項及びこれらに重要な変更があったときは、その旨及びその理由

2 決算日の差異
 子会社の決算日が連結決算日と異なるときは、当該決算日、決算日が異なる理由及び連結のため当該子会社について特に行った決算手続の概要

3 会社処理の原則及び手続
(1) 重要な資産の評価基準及び減価償却の方法並びにこれらについて変更があったときは、その旨、その理由及びその影響

(2) 連結会社相互間の未実現損益及び持分法適用における未実現損益の消去の方法

(3) 子会社の採用する会計処理の原則及び手続で親会社及びその他の子会社との間で特に異なるものがあるときは、その概要

(新設)
4 利益処分
連結決算に当って採用した利益処分の取扱方法
5 在外子会社等の財務諸表項目の換算方法
 連結財務諸表の作成に当つて採用した在外子会社及び在外関連会社の財務諸表項目の換算方法

6 その他の重要な事項
企業集団の財政状態及び経営成績を判断するために重要なその他の事項
第一 連結財務諸表の目的
 連結財務諸表は、支配従属関係にある二以上の会社(会社組織ではないが、会社に準ずる被支配事業体を含む。以下同じ)からなる企業集団を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財務状態及び経営成績を総合的に報告するために作成するものである。

第二 一般原則
一 (同左)
二 (同左)
三 (同左)
四 (同左)
第三 一般基準
一 連結の範囲
1 (同左)
 2 親会社とは、他の会社を実質的に支配している会社をいい、子会社とは、当該他の会社をいう。(注解3)

 他の会社を実質的に支配しているとは、他の会社の意思決定機関を支配していることをいい、次の場合には、当該意思決定機関を実質的に支配していないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は子会社に該当するものとする。

(1) 他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合(注解4)
(2) 他の会社に対する議決権の所有割合は、百分の五十以下であるが、高い比率の議決権を有しており、かつ、当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合(注解5)

 3 親会社及び子会社又は子会社が、他の会社を実質的に支配している場合における当該他の会社も、また、子会社とみなすものとする。

 4 子会社のうち次に該当するものは、連結の範囲に含めないものとする。(注解6)

(削除)
(削除)
(1) 支配が一時的であると認められる会社
(2) 前記以外の会社であって、連結することにより利害関係者の判断を誤らせるおそれのある会社

二 連結決算日
1 (同左)
 2 子会社の決算日が連結決算日と異なる場合には、子会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続による決算を行わなければならない。(注解7)

三 親会社及び子会社の会計処理の原則及び手続
 親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、同一環境下で行われた同一の性質の取引等については、原則として統一しなければならない。

(削除)第四 連結貸借対照表の作成基準
一 連結貸借対照表作成の基本原則
 連結貸借対照表は、親会社及び子会社の個別貸借対照表における資産、負債及び資本の金額を基礎とし、子会社の資産及び負債の評価、連結会社(親会社及び連結される子会社をいう。)相互間の投資勘定と資本勘定及び債権と債務の相殺消去等の処理をして作成する。

二 子会社の資産及び負債の評価
 支配獲得日における子会社の個別貸借対照表上の資産及び負債の金額は、次のいずれかの方法により、公正な評価額(以下、「時価」という。)をもつて、評価しなければならない。ただし、当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額と時価による評価額との差額(以下、「評価差額」という。)に重要性が乏しい場合には、個別貸借対照表上の金額によることができる。なお、評価差額は、子会社の資本勘定とする。

 1 子会社の資産及び負債のうち、親会社の持分に相当する部分については株式の取得日ごとに当該日における時価により評価し、少数株主持分に相当する部分については子会社の個別貸借対照表上の金額により評価する方法(以下、「部分時価評価法」という。)(注解8)(注解9)

 2 子会社の資産及び負債のすべてを、支配獲得日の時価により評価する方法(以下、「全面時価評価法」という。)(注解9)

三 投資勘定と資本勘定の相殺消去
 1 親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定は、連結上相殺消去しなければならない。(注解10)

 2 親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定とを相殺消去するに当たり、親会社の投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定との間に差額がある場合には、当該差額は連結調整勘定とする。

 連結調整勘定は、その計上後、20年以内に定額法により償却しなければならない。ただし、連結調整勘定の金額に重要性が乏しい場合には、当該勘定が生じた期の損益として処理することができる。

3 (同左)
四 少数株主持分
 1 子会社の資本勘定のうち親会社の持分に属さない部分は、少数株主持分とする。(注解11)

 2 子会社の欠損又は損失のうち、当該子会社に係る少数株主持分に割当てられる額が、当該少数株主が負担すべき額を超える場合には、当該超過額は、親会社の持分に負担させなければならない。この場合において、その後当該子会社の利益が計上されたときは、親会社が負担した欠損又は損失が回収されるまで、その利益の金額を親会社の持分に加算するものとする。

五 支配獲得後の子会社株式の追加取得及び一部売却等
 1 支配獲得後において子会社株式を追加取得した場合には、当該追加取得持分相当額を少数株主持分から減額し、これと追加取得した投資勘定を相殺消去する。当該追加取得持分相当額と追加取得した投資勘定との間に差額(以下、「取得差額」という。)がある場合には、連結調整勘定等として処理する。(注解12)

 2 支配獲得後において子会社株式を一部売却した場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)には、子会社の資本勘定のうち売却した持分相当額だけ少数株主持分を増額し、これと売却による投資勘定の減少額との間に差額がある場合には、当該差額を、子会社株式の売却損益の修正として処理する。また、売却持分に対応する連結調整勘定も同様に処理する。(注解13)

 3 子会社の時価発行増資等に伴い、親会社の払込額と親会社の持分の増減額との間に差額が生じた場合には、当該差額を損益として処理する。ただし、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には、連結剰余金に直接加減することができる。(注解13)

六 債権と債務の相殺消去
 連結会社相互間の債権と債務とは、連結上相殺消去しなければならない。(注解14)

七 税効果会計
 1 連結財務諸表の作成に当たり、連結会社の法人税その他利益に関連する金額を課税標準として課される税金について一時差異がある場合には、当該税金の額を期間配分しなければならない。

 2 一時差異とは、連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得の計算の結果算定された資産及び負債の金額に差異がある場合の当該差額をいう。(注解15)

 3 一時差異に係る税金の額は、将来の連結会計期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上しなければならない。(注解16)

繰延税金資産と繰延税金負債は、原則として、相殺してはならない。
八 非連結子会社及び関連会社に対する持分法の適用
 1 非連結子会社及び関連会社に対する投資勘定については、原則として、持分法を適用しなければならない。(注解17)(注解18)

 2 関連会社とは、親会社及び子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社をいう。(注解19)

 次の場合には、子会社以外の他の会社の財務及び営業の方針決定に重要な影響を与えることができないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は関連会社に該当するものとする。

(1) 子会社以外の他の会社の議決権の百分の二十以上を実質的に所有している場合(当該議決権の百分の二十以上の所有が一時的であると認められる場合を除く。)

(2) 他の会社の一定の議決権を有しており、かつ、当該会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる一定の事実が認められる場合(注解20)

(削除)
九 表示方法(注解21)
 1 連結貸借対照表には、資産の部、負債の部、少数株主持分及び資本の部を設けなければならない。

 資産の部は、流動資産、固定資産及び繰延資産に区分し、更に固定資産は有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分して記載しなければならない。

負債の部は、流動負債及び固定負債に区分して記載しなければならない。
少数株主持分は、負債の部の次に区分して記載しなければならない。
 資本の部は、資本金、資本準備金及び資本準備金以外の剰余金(以下「連結剰余金」という。)に区分して記載しなければならない。

 2 流動資産、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産、繰延資産、流動負債及び固定負債は一定の基準に従い、その性質を示す適当な名称を付した科目に明瞭に分類して記載しなければならない。特に非連結子会社又は関連会社に対する投資勘定は、他の項目と区別して表示し、又は注記の方法により明瞭に表示しなければならない。

 連結剰余金のうちに、減債積立金等外部の者との契約による特定目的のために積立てられたものがあるときは、その内容及び金額を注記しなければならない。

第五 連結損益計算書の作成基準
一 連結損益計算書作成の基本原則
 連結損益計算書は、親会社及び子会社の個別損益計算書における収益、費用等の金額を基礎とし、連結会社相互間の取引高の相殺消去及び未実現損益の消去等の処理をして、当期純利益を表示する。

二 連結会社相互間の取引高の相殺消去
 親会社と子会社との間及び子会社相互間における商品の売買その他の取引に係る項目は、連結上相殺消去しなければならない。(注解22)

三 未実現損益の消去
 1 連結会社相互間の取引によつて取得したたな卸資産、固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は、その金額を消去しなければならない。ただし、未実現損失については、消去前の原価が回収不能である場合には、消去しないものとする。

2 未実現損益が僅少な場合には、これを消去しないことができる。
 3 販売側の子会社に少数株主が存在する場合には、当該未実現損益は、親会社と少数株主の持分比率に応じて、親会社の持分と少数株主持分に配分するものとする。

四 表示方法(注解23)
 1 連結損益計算書は、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算に区分しなければならない。

 営業損益計算の区分は、売上高及び売上原価を記載して売上総利益を表示し、更に販売費及び一般管理費を記載して営業利益を表示しなければならない。

 経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受け、営業外収益及び営業外費用を記載して経常利益を表示しなければならない。

 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受け、特別利益及び特別損失を記載して税金等調整前当期純利益を表示し、これに法人税額等(住民税額及び利益に関連する金額を課税標準として課される事業税額を含む。)及び少数株主損益を加減して当期純利益を表示しなければならない。

2 (同左)
 3 連結調整勘定の当期償却額は、販売費及び一般管理費として表示しなければならない。ただし、貸方に生じた連結調整勘定の当期償却額は、営業外収益として表示するものとする。

 持分法による投資損益は、営業外収益又は営業外費用として一括して表示するものとする。

第六 連結剰余金計算書の作成基準
一 連結剰余金計算書の作成
 1 連結貸借対照表に示される連結剰余金については、その増減を示す連結剰余金計算書を作成する。

 2 連結剰余金の増減は、親会社及び子会社の損益計算書及び利益処分に係る金額を基礎とし、連結会社相互間の配当に係る取引を消去して計算する。

3 (同左)
二 表示方法
 1 連結剰余金計算書は、原則として、連結剰余金期首残高、連結剰余金減少高及び当期純利益を示して、連結剰余金期末残高を表示しなければならない。

 連結剰余金減少高は、配当(中間配当を含む)、役員賞与及び資本金に組み入れた額に区分して記載するものとする。

 2 連結剰余金計算書は、連結損益計算書に接続して記載することができる。この場合の当該計算書の表題は、連結損益及び剰余金結合計算書とするものとする。(注解23)

第七 連結財務諸表の注記事項
連結財務諸表には、次の事項を注記しなければならない。
1 (同左)
2 (同左)
3 会計処理の原則及び手続等
(1) 重要な資産の評価基準及び減価償却の方法等並びにこれらについて変更があったときは、その旨、その理由及びその影響

(削除)
(2) (同左)
(3) 子会社の資産及び負債の評価方法
4 (同左)
(削除)
5 (同左)

注解1 重要性の原則の適用について(第二の一及び三)
 連結財務諸表を作成するに当つては、企業集団の財政状態及び経営成績に関する利害関係者の判断を誤らせない限り、小規模子会社の連結の範囲からの除外、持分法適用の範囲からの除外、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合の仮決算の手続、連結のための個別財務諸表の修正、投資勘定の消去差額の処理、未実現損益の消去、連結財務諸表の表示等に関して重要性の原則が適用される。

注解2 連結のための個別財務諸表の修正について(第二の二)
 親会社及び子会社の財務諸表が、減価償却の過不足、資産又は負債の過大又は過少計上等により当該会社の財政状態及び経営成績を適正に示していない場合には、連結財務諸表作成上これを適正に修正して連結決算を行わなければならない。ただし、連結財務諸表に重要な影響を与えないと認められる場合には、修正しないで連結決算を行うことができる。

(新設)
注解3 議決権のある株式又は出資の実質的所有について(第三の一の2)
 議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等会社以外の者となっていても、会社が自己の計算で所有している場合には、当該会社が実質的に所有しているものとする。

(新設)
注解4 小規模子会社の連結の範囲からの除外について(第三の一の3)
 子会社で、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態及び経営成績に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができる。

注解5 決算日の差異がある場合の取扱いについて(第三の二の2)
 決算日の差異が三か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができる。この場合においては、決算日が異なることから生ずる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致についてのみ、必要な整理を行う。

 子会社と連結会社以外の会社との取引、債権債務等については、連結決算日までに重要な変動がある場合を除き、そのまま連結決算を行うことができる。

(新設)
(新設)
注解6 投資勘定と資本勘定の相殺消去について(第四の二の1)
 1 子会社株式の取得が二回以上にわたって行われている場合には株式取得日ごとに、当該日における子会社の資本勘定のうち当該株式に係る親会社の持分を算定して、これと当該株式の取得原価とを相殺消去し、株式取得日より後に生じた親会社の持分に属する子会社の剰余金は、連結剰余金として処理しなければならない。

 2 初めて連結の対象となった子会社に係る投資勘定と資本勘定との相殺消去については、1の方法による場合と連結計算の結果が著しく相違しないと認められる場合には、当初の株式取得日後における適当と認められる一定の日を基準として、また、株式の取得が二回以上にわたって行われている場合には、当該一定の日を基準として一括して行うことができる。

 3 株式取得日が子会社の決算日以外の日である場合には、当該取得日の前後いずれか近い決算日に株式取得が行われたものとみなして連結計算を行うことができる。

 4 親会社が子会社の株式を売却した場合の連結上の売却損益は、当該株式の取得原価を基準とするのではなく、親会社の持分額を基準として計算されることになる。

注解7 投資勘定の消去差額の処理について(第四の二の2)
 1 投資勘定の消去差額について原因分析を行った結果、例えば、当該差額が、当該子会社の超過収益力を評価したことを原因とするものであることが明らかになったときは営業権として計上し、特定の資産について当該子会社の帳簿価額と異なる価額によって評価したことを原因とするものであるときは、当該資産科目に加算又は減産する等の方法により処理するものとする。

 2 親会社が子会社の株式を売却し、投資勘定と親会社の持分額との間の差額が減少した場合には、持分の減少に対応して1の処理を修正するものとする。

 3 連結調整勘定が借方及び貸方の双方に生ずる場合には、これを相殺して記載することができるものとする。

 4 連結調整勘定が僅少な場合には、当該勘定が生じた期の損益として処理することができる。

注解8 少数株主持分について(第四の三の1)
 1 株式取得の日の当該子会社の資本金及び剰余金は、当該日において、株式の持分比率により親会社に属する分と少数株主に属する分とに分割し、前者は親会社の投資勘定と相殺消去され、後者は少数株主持分として処理する。

 2 株式取得の日後に生じた子会社の剰余金は、株式の持分比率により親会社に属する分と少数株主に属する分とに分割し、前者は連結剰余金として処理し、後者は少数株主持分として処理する。

(新設)
(新設)
注解9 債権と債務の相殺消去について(第四の四)
 1 相殺消去の対象となる債権又は債務は、確定金銭債権又は確定金銭債務以外に、前払費用、未収収益、前受収益及び未払費用で連結会社相互間取引に関するものを含むものとする。

 2 連結会社が振出した手形を他の連結会社が銀行割引した場合には、連結貸借対照表上これを借入金に振替えるものとする。

 3 貸倒引当金は、連結会社相互間の債権又は債務を相殺消去した後の債権を基礎として、連結上これを調整する。

 4 引当金のうち、連結会社を対象として引当てられたことが明らかなものがあるときは、連結上これを調整する。

 5 連結会社が発行した社債で一時所有のものは、相殺消去の対象としないことができる。

(新設)
(新設)
注解10 持分法について(第四の五の1)
 1 持分法とは、投資会社が被投資会社の純資産及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資勘定を各期ごとに修正する方法をいう。

 2 持分法を適用する場合の手続は、原則として、連結を行う場合と同様の配慮を行ったものでなければならない。その手続は、おおむね次のとおりである。

(新設)
(1) 投資会社は、被投資会社への投資を、当初は取得原価で記帳し、その後は、当該投資の日以降における被投資会社の利益又は損失のうちの投資会社の持分に見合う額を認識して、当該投資の賃借対照表計上額を増額又は減額し、かつ、当該増減額を当期純利益の算定に含める。

(2) 投資の増減額及びその当期純利益への影響額を認識する場合には、連結会社と持分法適用会社との間の取引による資産に係る未実現損益を消去するための修正を行う。

(3) 被投資会社から配当金を受取った場合には、当該配当金に相当する金額を当該投資の賃借対照表計上額から減額する。

(4) 持分法の適用に当っては、投資会社は、被投資会社の最近の財務諸表を使用する。ただし、決算期に差異がある場合で、その差異の期間内に重要な取引又は事象が発生しているときには、投資会社に帰属する損益に関し誤解を生ずることを避けるために必要な修正又は注記を行う。

注解11 関連会社に該当しない会社について(第四の五の2)
 被投資会社が更生会社、整理会社等である場合は、関連会社には該当しないことになる。

注解12 持分法適用の範囲からの除外について(第四の五の3)
 持分法の適用による投資勘定の増減額が、連結財務諸表に重要な影響を与えない場合には、持分法を適用しないことができる。

(新設)
(新設)
注解13 連結貸借対照表の表示方法について(第四の六)
 1 連結貸借対照表の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎としなければならないが、企業集団の財政状態について誤解を生ぜしめない限り、集約して表示することができる。

例えば、商品、製品、原材料等は一括してたな卸資産の科目で表示する等である。
 2 少数株主持分の金額に重要性がないときは、その他の適切な科目に含めて表示することができる。

 3 自己株式及び子会社が所有する親会社の株式は、資本の部から控除する形式で表示するものとする。

注解14 会社相互間取引の相殺消去について(第五の二)
 会社相互間取引が連結会社以外の会社を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の直接の取引であることが明確であるときは、この取引を連結会社間の取引とみなして処理するものとする。

 注解15 たな卸資産、国定資産等に含まれる未実現損益の消去について(第五の三)

 1 たな卸資産に係る未実現損益の消去は、期末たな卸資産に含まれる未実現損益を当該たな卸資産に加減するとともに、連結上の売上原価を修正することにより行う。

 未実現損益として消去すべき金額は、通常その資産の売買に係る総損益率に基づいて算定する。

 2 会社相互間の取引に係るたな卸資産を分別することが困難なときは、合理的な見積によってこれを分別することができる。

 3 減価償却資産に含まれる未実現損益の消去を行う場合には、これに係る減価償却費の修正を行わなければならない。すなわち、当該固定資産の連結会社間売買価額によって計算した減価償却費のうち、消去した未実現損益の係る分を控除した金額をもって連結決算上の減価償却費とする。ただし、毎期この修正計算を行わないで、当該固定資産が除去されたとき又は連結会社以外の会社に売却されたときに、消去した未実現損益が実現したものとして取扱うことができる。

 4 たな卸資産の時価がその取得原価よりも下落している場合において、連結会社相互間において当該資産を時価により取引することによって生じた内部損失は、消去しないことができる。

 注解16 連結損益計算書及び連結剰余金計算書の表示方法について(第五の四及び第六の二の2)

 1 連結損益計算書の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎としなければならないが、企業集団の経営成績について誤解を生ぜしめない限り、集約して表示することができる。

 例えば、売上原価に関しては、たな卸計算方式によらないで売上原価の科目だけで記載する等である。

 2 主たる営業として製品又は商品の販売と役務の給付とがある場合には、売上高及び売上原価を製品等の販売に係るものと役務の給付に係るものとに区分して記載するものとする。

 3 連結損益及び剰余金結合計算書を作成する場合には、原則として、次の形式で記載するものとする。当期純利益×××その他の剰余金期首残高×××その他の剰余金減少高

利益準備金繰入額×××
配当金×××
役員賞与金××× ××× ×××その他の剰余金期末残高×××
注解1 重要性の原則の適用について(第二の一及び三)
 連結財務諸表を作成するに当たっては、企業集団の財政状態及び経営成績に関する利害関係者の判断を誤らせない限り、小規模子会社の連結の範囲からの除外、持分法適用の範囲からの除外、子会社の決算日が連結決算と異なる場合の仮決算の手続、連結のための個別財務諸表の修正、子会社の資産及び負債の評価、連結調整勘定の処理、未実現損益の消去、連結財務諸表の表示等に関して重要性の原則が適用される。注解2 (同左)注解3 子会社に該当しない会社について(第三の一の2)

 更生会社、整理会社、破産会社等であって、かつ、有効な支配従属関係が存在せず組織の一体性を欠くと認められる会社は、子会社に該当しないものとする。

注解4 議決権のある株式又は出資の実質的所有について(第三の一の2(1))
(同左)
注解5 支配している一定の事実について(第三の一の2(2))
 他の会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合とは、例えば、次の場合をいう。

(1) 議決権不行使株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

(2) 役員、関連会社等の協力株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

(3) 取締役会の構成員の過半数を、出資会社の役員又は従業員である者又はこれらであった者が継続して占めている場合

(4) 重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等が存在する場合
注解6 小規模子会社の連結範囲からの除外について(第三の一の4)
(同左)
注解7 (同左)
注解8 子会社の資産及び負債の評価について(第四の二の1)
 部分時価評価法を採用している場合であっても、連結計算の結果が著しく相違しない場合には、支配獲得日における時価を基準として、子会社の資産及び負債のうち親会社の持分に相当する部分を一括して評価することができる。

 注解9 株式の取得日又は支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合の取扱いについて(第四の二の1及び2)

 株式の取得日又は支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合には、当該取得日又は支配獲得日の前後いずれか近い決算日に株式の取得又は支配獲得が行われたものとみなして連結を行うことができる。

注解10 投資勘定と資本勘定の相殺消去について(第四の三の1)
 1 部分時価評価法によっている場合には、株式の取得日ごとに算定された資本勘定のうち親会社の持分に相当する部分を投資勘定と相殺消去し、株式の取得日より後に生じた親会社の持分に属する子会社の剰余金は、連結剰余金として処理しなければならない。

 2 全面時価評価法によっている場合には、支配獲得日において算出された資本勘定のうち親会社の持分に相当する部分を投資勘定と相殺消去し、支配獲得日より後に生じた親会社の持分に属する子会社の剰余金は、連結剰余金として処理しなければならない。

(削除)
(削除)
(削除)
注解11 少数株主持分について(第四の四の1)
 1 株式の取得日又は支配獲得日の当該子会社の資本金及び剰余金は、当該取得日又は支配獲得日において、親会社に属する部分と少数株主に属する部分とに分け、前者は親会社の投資勘定と相殺消去し、後者は少数株主持分として処理する。

 2 株式の取得日後又は支配獲得日後に生じた子会社の剰余金は、親会社に属する部分と少数株主に属する部分とに分け、前者は連結剰余金として、後者は少数株主持分として処理する。

注解12 支配獲得後の子会社株式の追加取得について
(第四の五の1)
 1 部分時価評価法によっている場合には、追加取得した親会社の持分相当について追加取得日の時価により評価し、取得差額から評価差額を控除した残額を連結調整勘定として処理する。

 2 全面時価評価法によっている場合には、取得差額を連結調整勘定として処理する。

注解13 支配獲得後の子会社株式の一部売却等について
(第四の五の2及び3)
 1 部分時価評価法によっている場合には、売却持分に対応する連結調整勘定を子会社株式の売却損益の修正として処理するとともに、売却持分に対応する評価差額を少数株主持分と相殺する。

 2 子会社の時価発行増資等に伴い生ずる差額の計算については、上記に準じて処理する。

注解14 債権と債務の相殺消去について(第四の六)
1 (同左)
2 (同左)
3 (同左)
4 (同左)
5 (同左)
注解15 一時差異について(第四の七の2)
一時差異には、例えば、次のものがある。
(1) 収益又は費用の帰属年度の相違により生じる各連結会社の課税所得の合計額と連結財務諸表上の税金等調整前当期純利益との差額

(2) 将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金
(3) 子会社の資産及び負債の時価評価を行った結果生じた評価差額のうち、課税所得の計算に含まれていないもの

注解16 繰延税金について(第四の七の3)
 1 繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとし、繰延税金資産については、将来の回収の見込みについて毎期見直しを行わなければならない。

 2 一時差異のうち重要性が乏しいものについては、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。

注解17 持分法について(第四の八の1)
1 (同左)
 2 持分法の適用に際して使用する被投資会社の財務諸表は、資産及び負債の評価、税効果会計の適用等、原則として、連結を行う場合と同様の配慮を行うものとする。ただし、重要性が乏しいものについては、これらの処理を行わないことができる。

3 持分法の手続は、次のとおりである。
(1) 投資会社の投資日における投資勘定とこれに対応する被投資会社の資本勘定との間に差額がある場合には、当該差額は投資勘定に含め、連結における連結調整勘定と同様に処理する。

(2) 投資会社は、当該投資の日以降における被投資会社の利益又は損失のうちの投資会社の持分又は負担に見合う額を認識して、当該投資の賃借対照表計上額を増額又は減額し、かつ、当該増減額を当期純利益の算定に含める。また、連結調整勘定に相当する部分の償却は、当該増減額に含める。

(3) (同左)
(4) (同左)
4 (同左)
(削除)
注解18 持分法適用の範囲からの除外について(第四の八の1)
(同左)
注解19 関連会社に該当しない会社について(第四の八の2)
 更生会社、整理会社、破産会社等であって、かつ、当該会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる会社は、関連会社に該当しないものとする。

注解20 重要な影響を与えることができる一定の事実について
(第四の八の2の(2))
 他の会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる一定の事実が認められる場合とは、例えば、他の会社の財務及び営業の方針決定に重要な影響を与える契約が存在する場合等をいう。

注解21 連結貸借対照表の表示方法について(第四の九)
1 (同左)
 2 連結調整勘定は、無形固定資産又は固定負債として表示するものとする。なお、連結調整勘定が借方及び貸方の双方に生ずる場合には、これを相殺して記載することができる。

 3 売却目的の自己株式及び子会社が所有する親会社の株式は、流動資産として表示するものとする。

注解22 (同左)
(削除)
 注解23 連結損益計算書及び連結剰余金計算書の表示方法について(第五の四及び第六の二の2)

1 (同左)
2 (同左)
 3 連結損益及び剰余金結合計算書を作成する場合には、原則として、次の形式で記載するものとする。当期純利益×××連結剰余金期首残高×××連結剰余金減少高

配当金×××
役員賞与×××
資本金××× ××× ×××連結剰余金期末残高×××


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