日経4紙から「情報開示・情報公開」検索
1. カルパース、日本向けコーポレート・ガバナンス原則(1面参照)
98/ 4/10 日経金融新聞 P 15 0字 FAX可
2. 米カルパース、企業統治で対日原則。
98/ 4/10 日経金融新聞 P 1 507字 FAX可
米最大の州年金カリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)が日本企業に対して求めるコーポレートガバナンス(企業統治)原則をまとめた。株主総会での議決権行使状況の詳細開示を要求しているほか、取締役会の責任や構成、株式持ち合い、報酬制度の改革などに踏み込んでいる。
(翻訳全文15面に)
ガバナンス原則はカルパースが株式投資をするに当たって、投資先に求める企業行動のガイドライン。米、英、フランスの三カ国に続き、このほど日本企業についても策定した。
原則では、「株主は反倫理的、無能な経営者を更迭する義務を負う」と断定したうえで、取締役会の機能強化策として社外取締役の選任、取締役会のスリム化などを求めている。
株主総会での議決権行使状況については、投資家の委託を受けて議案の投票を一括で行う信託銀行などが、最終投資家ごとにどう分割投票(議決権の不統一行使)したかを正確に開示するよう企業に訴えた。
3. 国際金融協、民間との協調IMFに提言。
98/ 4/ 9 日本経済新聞 夕刊 P 2 158字 FAX可
【ワシントン8日=藤井彰夫】世界の約二百五十の銀行で構成する国際金融協会(IIF)は八日、アジア通貨・金融危機の再発を防ぐための提言を発表した。提言は国際通貨基金(IMF)や新興国の政府、金融機関などに情報開示を求めるとともに、IMFが国際金融市場を監視するために民間との情報交換などを進めるべきだと指摘している。
4. <図表>ジェネラルソリューションズと米ファーストコールが提供するサービス
98/ 4/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 17 0字 表写絵 FAX可
5. 投資家向け広報支援のGS、企業情報を海外に配信――米社と組み直接提供。
98/ 4/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 17 735字 表写絵 FAX可
英文IR(投資家向け広報)支援のジェネラルソリューションズ(GS、東京、和出憲一郎社長、03・5952・6500)は、日本の公開企業の年次報告書などを海外の機関投資家に直接配信するサービスを始める。米国の投資関連情報大手、ファーストコール(FC、マサチューセッツ州)と業務提携し、FCの顧客である機関投資家や証券会社向けの配信ルートに情報をのせる。海外投資家に対して、積極的な情報開示を目指す日本企業の需要を掘り起こす。
両社は今月下旬から「アニュアルリポートダイレクト」(ARD)「インフォメーションダイレクト」(ID)の名称で情報提供希望の企業を募る。年次報告書のほか、単体または連結の決算短信、ニュースリリースを英文で配信する。デジタル変換済みの情報を提供した場合、料金はいずれも年間十二万円。
6. 人民銀、中国、社債に管理規定――投資家保護打ち出す。
98/ 4/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 9 590字 FAX可
【北京8日=中沢克二】中国人民銀行(中央銀行)は社債市場を育成するため社債の発行・流通に関する管理規定を新たに定め、八日に関係機関へ通知した。発行者に企業格付け機関による報告書提出を求めるとともに、投資家への経営情報の公開も義務付けている。
国有企業、金融の両改革を進める中国では個人資産を企業の経営資金に活用する「直接金融」の拡大が課題。今回の規定は投資家保護を明確に打ち出すことで、個人の社債購入を促す狙いがある。
新規定は九章七十八条にわたる詳細なもので発行条件、販売方法、情報公開などを定めている。社債発行の際に中国人民銀行への格付け機関の報告のほか、各事業の収益見通しやリスク分析報告、三年間の財務諸表を提出するよう明記。情報公開に関しては、中間報告や年次報告で財務内容や重大案件の開示を求めている。
7. 男女差別を巡る紛争、労組はどこまで協力?――資料公開求めた日弁連(生活家
98/ 4/ 8 日本経済新聞 夕刊 P 15 1838字 表写絵 FAX可
女性社員が男女差別を巡る紛争で会社と対立したとき、労働組合にどこまで頼れるか――。春闘など組合員が一丸となる賃上げ闘争と異なり、男女差別問題は企業の人事制度のあり方にかかわり、労組内でも利害が対立しかねない微妙なテーマだ。日本弁護士連合会が住友系メーカー三社の労組に出した勧告を題材に、この問題を考えてみた。
二月下旬に出た日弁連の勧告は、住友金属工業本社、住友化学工業、住友電気工業の三社の労組に、詳細な賃金データを女性組合員十二人に公開するよう求めた内容。九四年に女性たちから出されていた人権救済申し立てに応じたもので、労組に対しては初めての勧告となった。
8. 主婦連副会長勝又三千子氏――ビッグバンを叫ぶ前に(金融フォーラム)
98/ 4/ 8 日経金融新聞 P 9 0字 表写絵 FAX可
9. 高木証券、四半期決算を今期から導入。
98/ 4/ 6 日経金融新聞 P 3 179字 FAX可
高木証券は九九年三月期から四半期決算を導入する。ビッグバンに備え、企業情報の適時開示(タイムリー・ディスクロージャー)の体制を整え、経営の透明性を高める。 また、顧客資産と会社資産を分ける分別管理を近く実施する方向で検討している。中堅の証券会社では、一吉証券などが四半期決算の導入と顧客資産の分別管理の実施を表明しており、今後、追随する動きが本格化しそうだ。
10. ビッグバンの条件(下)公正さが市場の信任と発展を支える(社説)
98/ 4/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 2 1730字 FAX可
ビッグバン(金融大改革)には、未来への期待よりも不安と暗さのイメージが勝ちがちなのはなぜだろうか。こうした消極的なイメージは金融改革で先行した米国や英国とは対照的である。それは、日本ではバブル崩壊に伴う不良債権の処理という、いわば敗戦処理の不手際により、本来は二十一世紀の日本経済全体の活力確保のためという改革の本質が忘れられがちなためである。
ビッグバンには次のような戦略的なねらいがある。
(1)東京市場をグローバルな競争力を持つ金融・資本市場として発展させる。
(2)産業としての金融業(銀行、証券、保険などを含む)を日本経済全体の新たな発展を牽引(けんいん)する力を持つ基幹産業にする。
(3)金融機関・市場の強化により円滑な信用創造機能の発揮、産業に対するリスクマネーの提供、個人の金融資産の運用手段の多様化、高収益化などで日本の経済・社会全体の活性化、成熟化・深化を図る。
11. <図表>デリバティブ取引に関する会計基準の動向。
98/ 4/ 3 日経産業新聞 P 25 335字 表写絵 FAX可 【デリバティブ取引に関する会計基準の動向】日本=大半のデリバティブ取引が契約時に原価が発生しないため、原価主義の日本基準のもとでは貸借対照表に表示されない。
また決済時に損益を計上する「決済基準」が採用されているため、決済するまでは損益も認識されない。
ただし98年3月期決算以降、注記で時価・評価損益の情報開示が強制となる。 米FASB(財務会計基準審議会)草案=デリバティブを時価評価し、ヘッジ会計の手法を使って他の金融商品との測定基準の差異を補う。将来的には時価評価を損益に反映させる方向性を強める。
IASC(国際会計基準委員会)の方向性=デリバティブを含むすべての金融商品を全面的に時価評価する。ヘッジ会計の必要性を大幅に減らす。6月にも金融商品の暫定基準を公表。
12. デリバティブ、ガラス張りに、時価・評価損益開示スタート――三井物産、リス
98/ 4/ 3 日経産業新聞 P 25 1403字 表写絵 FAX可
ヤクルト本社、日本酸素――デリバティブ(金融派生商品)取引の失敗による巨額損失が突然明るみに出るケースが後を絶たない。日本でも九八年三月期決算からデリバティブ取引の時価・評価損益の情報開示が義務付けられることも背景にある。米国会計基準や国際会計基準(IAS)による時価会計が世界的な潮流となる中で、金融商品の活用目的と監視体制、情報開示の姿勢が企業価値を左右する時代を迎えた。「担当者しかわからない」といった言い逃れをしなくてすむ方法は……。 (池上輝彦)
「VAR(バリュー・アット・リスク)の手法が確立していない企業は、ヘッジ目的以外でデリバティブに手を出すべきではない」。三井物産の安川定之市場リスク管理部長の主張は明快だ。総合商社は金利・為替リスクのヘッジ手段としてデリバティブを多用せざるを得ない。三井物産は運用リスクをきめ細かく把握するために九六年、VARを導入した。
13. 七十七銀、貸出債権引き受けの特別チームを設置。
98/ 4/ 2 日本経済新聞 地方経済面 P 24 281字 FAX可
七十七銀行は経営破たんした徳陽シティ銀行から貸出債権を引き受けるためのプロジェクトチームを審査部内に設置した。行内各部から二十一人を集め、専従で個別債権の内容検査を進める。同行が正常債権の譲渡を受けるのは宮城県内の十九店舗。六月をメドに引受債権を確定する。
徳陽シティ銀や仙台銀行は経営破たん直後に、主に営業譲渡作業を手掛ける作業班を設けたが、七十七銀は正常債権を引き受ける対象となる店舗が確定していなかったことなどから見送っていた。しかし、三月二十六日に徳陽と正式に債権譲渡契約を交わし、個別債権の情報開示で引き受け作業が本格化するため、専従班設置を決めた。
14. 薬の規制緩和慎重に――情報提示し安全性確認(ニュース複眼)
98/ 4/ 2 日本経済新聞 夕刊 P 3 1219字 FAX可
最近、H2ブロッカーという胃の薬が話題になっている。ところが、これを買った記者の家族によると、近所の薬局はいつもと違い販売に慎重だったという。
この薬は胃・十二指腸潰瘍(かいよう)に非常によく効き、「外科医殺し」という異名を取るほど潰瘍の手術を減らした実績がある。医療用医薬品を薬局でも販売できるようにした、いわゆるスイッチOTC(転用大衆薬)で、各社から様々な商品名で発売されている。
転用を認める際に、用法・用量などを店頭で十分に説明する、注意事項を書いた冊子を消費者に配布する、などの条件がつけられた。薬局が慎重なのにはこうした背景があるのだ。
薬局で売られている多くの薬が、H2ブロッカーのように説明したうえで販売されていれば問題はない。しかし、必ずしもそうではないのが現状だ。薬局で薬の説明を詳しく受けた経験のある人は少ないだろう。
15. 三菱レ、今9月中間から連結中間決算開示。
98/ 4/ 2 日経金融新聞 P 23 203字 FAX可
三菱レイヨン(3404)は九八年九月より連結中間決算を開示する。二〇〇〇年三月期からディスクロージャー(企業内容の開示)制度が連結決算主体となることに対応し、事前にグループ内の経理体制を整備する狙い。
九八年九月の連結中間決算で連結対象会社は子会社二十七社、持ち分法五社の計三十二社。子会社、持ち分法適用会社でも中間決算に必要な引当金、減価償却費の計上などを行う体制を整え、中間連結決算の発表に踏み切る。
16. 清水建設リストラ、ゼネコン経営二極化鮮明――私の見方、三村昇氏。
98/ 4/ 2 日本経済新聞 朝刊 P 3 245字 FAX可
三村昇・ドレスナー・クラインオートベンソン証券アナリスト 清水建設の経営改善策は過去のウミを出し切る意思表示として評価できる。懸案だった国内のグループ会社にもメスを入れた。ただ、八百五十億円もの土地の売却損を見込んでいることには驚いた。これほど含み損が拡大したことについて、これまで会社側からは可能性の示唆もなかった。ゼネコンの不良資産は株式市場が最も懸念している材料の一つ。清水と同様に不良資産を抱えるゼネコンは少なくない。投資家へのディスクロージャー(経営情報の開示)の徹底が必要だ。
17. 生活行動研究所所長西ヶ谷葉子氏――信頼獲得に情報開示を(金融フォーラム)
98/ 4/ 1 日経金融新聞 P 11 1806字 表写絵 FAX可
生命保険を解約する顧客が増えているという。保険会社に対する不信感によるものであるが、直接の引き金となったのは、昨年四月の日産生命保険の経営破たんであろう。 その後も金融機関の倒産(営業譲渡・自主廃業)が相次ぎ、人々の不安を増大させた。
長引く不況下でのさまざまな社会不安により、生活者の「生活防衛意識」は強まっている。生保は、その生活者のニーズにこたえる金融商品であった。ところが、保険会社が倒産してしまっては、長年掛け続けた保険金が支払われなくなる可能性がある。したがって、「信頼できる」すなわち「危なくない」保険会社を選ばねばならない。
生活者の金融機関に対する信頼の源泉は、昨年暮れの日経リサーチの調査によれば、
「業績がよい」(五六・六%)、「不祥事がない」(五五・一%)、そして「顧客サービスが徹底している」(四一・〇%)ことである。
18. 九州・沖縄98年3月期、地銀、相次ぎ赤字転落――琉球銀、自己査定開示へ。
98/ 4/ 1 日経金融新聞 P 7 554字 FAX可
【那覇】琉球銀行は九八年三月期決算の業績予想を下方修正した。同時に、地銀で初めて債権の自己査定結果の公表に踏み切ることを決めた。多額の不良債権を抱える同行に対し株価低迷や風説の流布などの信用不安が広がってきたことへの強い危機感が背景にある。松本行雄頭取は「不良債権の処理は今期で実質完了する」と説明しているが、職員の二割削減など大幅な合理化を迫られており、信頼回復への道のりは険しい。
松本頭取は業績予想の修正記者会見で、赤字決算について「将来損失が見込まれる不良債権も一括処理した」と述べた。今期の赤字は任意積立金を取り崩して処理し、来期以降に持ち越さない。債権の自己査定結果を回収に注意を要する第二分類まで開示した理由については「透明性こそが信頼を勝ち取る唯一の方法だ。すべて開示することで、市場や顧客に正しい評価をしてもらいたい」と語った。
19. さくら銀、IR担当の役員を新設。
98/ 4/ 1 日経産業新聞 P 1 260字 FAX可
さくら銀行は一日付でIR(インベスター・リレーションズ=投資家向け広報)活動の担当役員を置く。国内外の投資家に対する情報開示を進める目的でIR担当部門を設置する企業が相次いでいるが、担当役員を置くのは珍しい。
IR室担当役員に就任するのは藤嶋喬取締役(52)で、海外営業グループ副責任役員を兼務する。藤嶋氏は三月末まで取締役米州総支配人を務めるなど海外勤務経験が豊富。日本版ビッグバン(金融大改革)が進む中、同行はグローバルスタンダード(国際標準)への対応が急務と判断、海外畑を歩んできた藤嶋氏を新設ポストに起用した。
20. 自社株買い原資に資本準備金――市場どう動く、野村アセット坂本澄夫氏(アン
98/ 3/31 日経金融新聞 P 1 181字 FAX可
坂本澄夫・野村アセット・マネジメント投信シニアインベストメントオフィサー 増えすぎた株式を減らす動きが活発になれば、株式市場の需給には短期的にプラスとなろう。ただ株式会社の経営者が株主のためにすべきことには情報開示や明快な経営戦略の提示もある。市場は経営者の総合的な姿勢を問う。自社株買いを即効性のある需給対策とだけ位置づける企業の株価は中期的には低迷しよう。
21. 21世紀の関西を考える会、自治体連携を提言――PFIなど実現目指す。
98/ 3/31 日本経済新聞 地方経済面 P 10 371字 FAX可
二十一世紀の関西を考える会(代表委員座長・佐治敬三サントリー会長)は三十日、地方分権を進めるために地方行政の効率化とマネジメント能力の向上を求める提言をまとめた。自治体の連携で効率のよい行政サービスの実現を関西から始めようと訴えている。
連携機構は有識者、民間の研究者、行政関係者で構成する中立的な組織とし、地域ブロックごとに設置すべきだとしている。民間資金を活用して社会資本を整備するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)などの実現を目指す。経済界などが広域連携を進めるために発足させる「関西委員会」(仮称)などとも将来は連携を図る。
一方で民間による行政評価機構の必要性も主張。自治体に情報開示を義務付け、その水準を格付けして市民に公表する。自治体間の競争を促すために、分かりやすく比較可能な評価手法の確立も必要としている。
22. 第2部・世界情報通信サミット特集――オンライン会議、EC部会、見解二分。
98/ 3/31 日本経済新聞 朝刊第2部 P 2 952字
電子商取引(EC)部会では、日本語、英語会議ともに「インターネットの広がりが経済構造や流通システムに大きな変革を促す」という点で意見が一致、ネットワーク社会に向けたインフラ整備の重要性が叫ばれた。特に日本では金融市場の規制緩和に加え、企業の情報開示や消費者の自己責任原則の確立が急務という意見が大勢を占めた。
EC部会のテーマは「エレクトロニックコマースの新展開――経済構造改革へのシナリオ」。日本語会議では、ネットワーク上でのプライバシーや知的所有権の保護、企業間電子取引の発展性、ECが現実経済に与える質的影響などが議論の焦点となった。
司会の田中辰雄コロンビア大学客員研究員がまずECの市場性を質問、「日本では消費者向けEC市場は米国のようには広がらない」(三石玲子M&M研究所代表)といった意見と、「既存店舗市場からの代替が進む」(野村総合研究所の藤元健太郎氏)という二つの意見が出された。
23. 国内初のアナリスト説明会、丸井が来月開催。
98/ 3/30 日経金融新聞 P 17 461字 FAX可
丸井(8252)は四月二日に、青井忠雄社長が出席して、国内では初めて決算についてのアナリスト説明会を開く。同社株は昨年、イトーヨーカ堂(8264)などと同様、収益の底堅さと財務体質の良さで堅調に推移。「買い対象の銘柄だけに、きちんと説明会を開くべき」(外国証券アナリスト)との声が高まり、アナリスト協会などが開催を強く求めていた。
同社は毎年、ロンドン、チューリヒ、パリなど欧州ではIR(インベスター・リレーションズ=投資家向け広報)を実施しているが、国内の関係者に対しては「個別取材を重視している」(広報室)との理由から、小売り大手で唯一、説明会を開催していない。アナリスト協会の「ディスクロージャー委員会」では毎年、IRの取り組みをランキングしており、説明会を開かない丸井は昨年、順位が低迷した模様だ。
24. 山一、あす全店閉鎖――更生法の道努力実らず、2度の失敗許されず(月曜ワイ
98/ 3/30 日経金融新聞 P 1 764字 FAX可
山一は昨年十一月二十四日に自主廃業を決めたが、その直前まで会社更生法の道を模索していた。
「極秘ですが、山一に巨額の簿外債務が見つかりました。何とか更生法でいけないでしょうか」。山一の相沢光江顧問弁護士が倒産法に詳しい三宅省三弁護士に電話をかけたのが十一月十四日朝のことだ。相沢氏はこれに先立ち、証券取引法に詳しい別の弁護士に相談、早期の情報開示を忠告され、必死で山一再建の可能性を探っていた。
だが、更生法は当初から困難が予想された。山一は国際業務を幅広く展開。海外拠点は各国の監督下で証券・金融業を手掛けているため、日本の山一が更生法を申請しても、海外の監督当局がどう対応するか読めなかった。仮に海外だけ店が開けば、そこを起点に海外に進出している他の日本の金融機関に取り付けが広がる公算があった。
25. イラン、証券市場改革、民間経済の活性化狙う。
98/ 3/30 日本経済新聞 朝刊 P 9 292字 FAX可
【バーレーン29日=山田剛】経済再建を目指すイランが本格的な証券市場改革に着手した。国内唯一のテヘラン証券取引所は従来、鉱工業分野の企業だけに限定していた上場資格をサービス業にも拡大。個人の株式投資を活発にする狙いから不正取引防止のための取引監視委員会を新設し、企業の情報開示義務を徹底する方針も打ち出した。
一連の改革策は、政府主導で製造業偏重型だった産業政策を見直し、民間経済を活性化する狙いだ。外国企業の進出規制緩和や税制改革などに次ぐ、ハタミ政権の経済政策の柱と位置づけられている。
テヘラン証取には二百六十二社が上場しているが、時価総額は約九十億ドル程度にとどまっていた。
26. インサイダー取引、「子会社情報で売買」規制――大蔵省、今国会中にも法改正
98/ 3/30 日本経済新聞 朝刊 P 3 672字 表写絵 FAX可
大蔵省は、持ち株会社解禁、連結ベースの情報開示制度導入など企業経営のグループ化に対応して、株式のインサイダー取引(内部者取引)規制を強化する。今国会中にも証券取引法を改正し、九八年十二月から親会社役員による傘下の子会社株の売買を規制対象に加える。また二〇〇〇年七月以降は子会社情報を利用した親会社株の売買も規制する。投資家の間でもグループ全体の情報を重視し始めており、規制の見直しが必要と判断した。
インサイダー取引規制は、企業合併や巨額損失の発生など上場・公開企業の重要な経営情報が公表される前に、会社関係者が株式を売買することを禁止している。八九年に導入されたが、摘発事例は九三年の日本商事事件など七件と少ない。
27. 企業会計(きょうのことば)
98/ 3/29 日本経済新聞 朝刊 P 3 238字 FAX可 ▽…証券取引法に基づいて企業が有価証券報告書を作る際に使う会計のルール。企業実態を正確に示すディスクロージャー(企業内容の開示)を通じて投資家や株主を保護することが狙い。財務会計、証取法会計などと呼ばれる。
▽…証券市場のグローバル化で、会計基準の国際的な調和が求められている。日本も二〇〇〇年三月期から段階的に連結決算中心へ移行するなど、米欧型への転換を目指している。国際会計基準など海外の動きをにらみながら、時価主義会計の適用範囲などについても、今後、詰めを急ぐことになる。
28. 公開社会への道――使いやすい公開法へ今国会で修正を(社説)
98/ 3/29 日本経済新聞 朝刊 P 2 845字 FAX可
政府の情報公開法案がようやく国会に提出された。この法案は日本の「密室裁量」行政を大きく転換させる契機になるものである。私たちはこれまで政府案の不十分な点をいくつか指摘してきた。こうした点について与野党が十分な論議を尽くし、必要な修正を加えて今国会で成立を図ってもらいたい。
政府案は外国人を含めた何人にも情報開示請求権を認め、原則として国の行政機関に文書情報などの公開を義務づけている。行政機関が情報の不開示を決定した場合には総理府の情報公開審査会に不服申し立てができる。審査会の決定に不満があれば、さらに裁判所に提訴できる仕組みになっている。
29. 親和・琉球銀、今期赤字に――親和銀、272億円一括、体質強化。
98/ 3/28 日本経済新聞 地方経済面 P 13 864字 表写絵 FAX可
決算期末の近づいた二十七日、九州・沖縄の金融機関でも親和銀行と琉球銀行が相次いで業績を下方修正、九八年三月期は赤字に転落する見通しとなった。両行とも当初予定より不良債権処理額を大幅に積み増して資産内容を健全化する方針。背景には日本版ビッグバン(金融大改革)による競争激化への準備があり、親和銀は田添秀夫頭取が辞任、松浦弘和常務の頭取昇格による人心一新を図る。琉球銀は地銀としては初めて自己査定の結果を開示し、地域の顧客に対する信頼向上を狙う。(経済面参照)
親和銀行は二十七日、九八年三月期決算で二百七十二億円に上る不良債権全額の償却を決めた。これにより百八十八億円の当期損失を計上する見込みとなった。九七年度の業務純益は過去最高の百四十三億円を計上する見通しだが、九八年度には百二億円と予想しており、収益体質の強化に向け四月から新頭取に就任する松浦弘和常務の手腕が問われる。
30. 親和・琉球銀、今期赤字に――「説明責任」欠く処理額の急膨張(解説)
98/ 3/28 日本経済新聞 地方経済面 P 13 608字 FAX可 親和銀行の赤字転落・頭取交代劇は、ディスクロージャー(情報開示)の面で課題を残した。日本版ビッグバンを目前に控えて、不良債権の一括償却に踏み切る姿勢は評価されようが、その処理額が半年前の五倍に膨らみ、頭取が引責辞任する、という経営の激変について、投資家や顧客に対するアカウンタビリティー(説明責任)が果たされたとは言い難い。
親和銀は九七年九月中間決算時点で、通期の不良債権償却額を「自己査定の関係で、当初見込みより十八億円増えて五十億円程度」としていた。ところが東食の実質的な倒産など経済環境の悪化から、引き当てが下期に急増したという。
だが最も債権額の大きい東食でも影響は、今回増える約二百二十億円のうち四十五億円だ。残りについて、この日記者会見した同行幹部らは、同じく「自己査定の結果」を強調するにとどまった。
31. 親和・琉球銀、今期赤字に――琉球銀、信用不安に危機感、開示拡大で透明性訴
98/ 3/28 日本経済新聞 地方経済面 P 13 492字 FAX可
琉球銀行が二十七日、九十八年三月期決算の業績予想を下方修正し、地銀で初めて債権の自己査定結果の公表に踏み切ったのは、多額の不良債権を抱える同行に対し株価低迷や風説の流布などの信用不安が広がってきたことへの強い危機感からだ。松本行雄頭取は「不良債権処理は今期で実質完了する」と述べたが、職員の二割削減など大幅な合理化を迫られており、信頼回復への道のりは険しい。
松本頭取は二十七日の記者会見で、赤字決算について「不良債権を将来損失が見込まれる債権についても一括処理した」と説明。今期の赤字は任意積立金を取り崩して処理し、来期以降に持ち越さない考えを示した。債権の自己査定結果を回収に注意を要する第二分類まで開示した理由については「透明性こそが信頼を勝ち取る唯一の方法だ。すべて開示することで、市場や顧客に正しい評価をしてもらいたい」と語った。
32. 地銀初、琉球銀、資産の自己査定を公表。
98/ 3/28 日本経済新聞 朝刊 P 4 167字 FAX可
琉球銀行は二十七日、九八年三月期決算の業績予想を下方修正し、経常損益百四十四億円、最終損益二百十七億円のそれぞれ赤字に転落すると発表した。経常赤字は二期ぶり。また地銀で初めて資産の自己査定結果を公表し、回収に注意を要する第二分類、回収に重大な懸念がある第三分類、回収不能な第四分類の合計が今期末で千六百三十八億円にのぼるとしている。
33. 遠隔制御システム「オープンブラネット」、四国総研の開発者に聞く。
98/ 3/27 日本経済新聞 地方経済面 P 12 874字 表写絵 FAX可
四国電力と四国総合研究所(高松市)が共同開発した次世代双方向遠隔監視・制御システム「オープンプラネット」の公開実験から一カ月。四電には「すぐ採用したい」「共同で商品開発に取り組みたい」など、早くも約五十社から積極的な反響が寄せられている。同システムをほぼ一人で開発した四国総研の中西美一副主席研究員に、開発の経緯や特徴、今後の課題などを聞いた。
――発想のきっかけは。
「『電気の流れ』を『情報の流れ』に置き換えられないかと考えたのが原点。家電などの機器が直接情報を受け、知性を持って動けば地域防災など幅広い分野で人々の生活を支援する道具になると考え、十年ほど前から構想を温めてきた」
――開発できた背景は。
34. 動き出すか土地取引、流動化、先行き不透明――投資指標の整備が急務。
98/ 3/27 日本経済新聞 朝刊 P 5 1442字 表写絵 FAX可
九八年の公示地価は全国平均で見てバブル初期の水準に戻った。地価は土地の収益力を反映した水準に近付きつつある。土地取引は動き出すのか――。外資系企業による不動産担保の不良債権の購入が相次ぐ一方、取引情報の開示が進まないなど環境整備は遅れたままだ。
昨年暮れ、大阪府の不動産鑑定士七人が共同でベンチャー企業を興した。新会社は「さいと不動産投資顧問」(大阪市)。不動産や投資商品の格付けのほか、投資判断の材料となる指数の作成を手がける。資産の流動化を目的とした特定目的会社(SPC)法が九月に施行されるのをにらみ、一足早く顧客の開拓に乗り出す。
「地価に収益を反映させる収益還元法を採用して土地を再評価する。不動産の証券化を計画している企業にも助言したい」と足立良夫代表。趣旨に賛同する鑑定士を募り、首都圏にも営業地域を広げる計画だ。
35. 不良債権など、開示義務付け、マレーシア中銀金融安定化策――四半期ごとに。
98/ 3/26 日経金融新聞 P 4 628字 FAX可
【クアラルンプール=奥村幸広】マレーシア中央銀行は二十五日、金融システム安定化のための追加対策を発表した。自己資本の強化と透明性の確保が柱で、特に一定期間ごとに自己資本比率や不良債権情報の開示を義務づけたのが特徴。すでに実施している貸倒引当金引当率の一%から一・五%への引き上げなどと合わせ、金融安定化対策が出そろった。
情報開示では、すべての金融機関に四半期決算後六週間以内に財務内容の健全性を判定できる指標を公表するように求めた。中央銀行も自己資本状況、不良債権などの公表データを集計し、金融市場関係者に情報提供する。また中央銀行は三月から、各セクター別に分類した不良債権動向の情報も提供する。
36. 帝国データバンク前橋支店長河合尭昭氏――社内に情報開示を(交差点)
98/ 3/26 日本経済新聞 地方経済面 P 43 315字 表写絵 FAX可
〇…「もうからないのは売り上げを増やそうとするからだ」。帝国データバンク前橋支店の河合尭昭支店長は中小企業経営者にこう訴える。現在の景気停滞局面ではがんばって売り上げを伸ばしても「それ以上に粗利が下がり、かえって収益力が低下してしまう」。売上高はマイナスでも構わないから、社内の無駄を省いて収益を確保するほうが大切だと説く。
〇…その第一歩は「社内への情報開示」。会社の経営状況はどうなのか、社長の報酬はいくらなのか。これらを明らかにして初めて「従業員みんなで苦境を乗り切る努力ができる」。貸し渋り問題で矢面に立たされている金融機関に対しても「金を貸すだけでなく、こうした企業の自助努力を手伝ってやってほしい」と呼びかけている。
37. 都超過勤務文書など、二審も開示命じる――都知事側の控訴棄却。
98/ 3/26 日本経済新聞 朝刊 P 39 381字 FAX可
東京都の職員の超過勤務と会議費支出に関する公文書が一部非開示になったのは違法として、市民団体「世田谷行革110番」の後藤雄一代表が都知事を相手取り、処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が二十五日、東京高裁であった。青山正明裁判長は開示を認めた一審・東京地裁判決を支持、都知事側の控訴を棄却した。
青山裁判長は、超過勤務の文書について「公務員としての公的活動に関するもので、開示によってプライバシーが侵害されるとは考えられない」と指摘。会議費支出の文書は一審判決後ほとんどが開示されており、控訴審では実際には開かれていない会議二回の出席者として勝手に使われた役職名の扱いが争われたが、この日の判決は「真実を記載した文書ではなく、個人に関する情報を記録したものには当たらない」と判断した。
東京都の話 判決の内容を十分検討した上で、今後の対応について判断したい。
38. 企業会計審、連結キャッシュフロー計算書基準を公表、資金の流れ・企業実態浮
98/ 3/26 日本経済新聞 朝刊 P 19 1449字 FAX可
企業会計審議会(蔵相の諮問機関)は連結キャッシュフロー計算書の会計基準について意見書を公表した。これを受け本決算については九九年度から開示が義務付けられる。連結キャッシュフロー計算書とは連結ベースで会社を出入りする現金の流れを示したもの。投資家はこの計算書から、アナリストなどが企業評価をする尺度として利用するフリーキャッシュフロー(営業活動で得た資金から設備投資資金などを差し引いたもの)など、重要な経営指標を読みとれるようになる。
「新基準の公表で国際的にもそん色のない情報開示の枠組みが出来上がった」(森田哲弥企業会計審議会会長)。連結キャッシュフロー計算書の開示は九九年四月一日以降開始する事業年度から連結本決算、二〇〇〇年四月一日以降開始する連結中間決算について実施される。
39. サワコーが7日続伸(店頭)
98/ 3/25 日本経済新聞 夕刊 P 9 200字 FAX可
日経店頭平均は八日ぶりに小反発。一部機関投資家が売り込まれた銘柄に押し目買いを入れる程度で、自律反発の域を出ない。JAFCO、スクウェアが堅調、フォーバルもしっかり。半面、武富士、ドトールが安い。
◇サワコーが七日続伸。住宅需要全般が低迷する中でも業績を伸ばしており、機関投資家などの買いを集めた。「情報開示体制もしっかりしており安心感がある」(佐藤公亮・水戸証券投資情報部課長)との指摘があった。
40. デリバティブ取引など、九州4地銀、時価会計に――来年度、情報開示の徹底狙
98/ 3/25 日経金融新聞 P 6 662字 FAX可
【福岡】九州の地方銀行が九八年度から、デリバティブ(金融派生商品)取引などに時価会計を導入する。福岡、西日本、肥後、佐賀の四行が大蔵省の認可を受けた。短期売買の金融商品の評価損益を明確にし、情報開示の透明性を高めるのが狙いだ。時価会計の導入に必要な組織整備をし、リスク(危険性)の管理体制を強化する。
時価会計は、主に一年以内の短期の値ざや稼ぎを目的とした金融商品の取引で、決算期末の時価を算出して会計処理する方法。スワップ、オプションなどデリバティブをはじめ公社債の短期売買、譲渡性預金(CD)、コマーシャルペーパー(CP)などの特定取引(トレーディング取引)が対象になる。
41. デリバティブ取引、損益、時価で管理、日債銀がソフト――情報開示強化に対応
98/ 3/25 日経金融新聞 P 3 757字 FAX可
日本債券信用銀行は、デリバティブ(金融派生商品)の損益状況を管理するコンピューターソフトを開発した。九八年三月期からデリバティブの時価での損益情報開示が必要になるが、同ソフトを使えば時価に基づく損益の把握が容易になる。ヤクルト本社の巨額損失などでデリバティブ管理の機運が高まっているため、日債銀は地銀や事業会社などに同ソフトを無償で提供し取引増につなげる考え。
開発したソフトは金利や通貨のスワップなどの基本的なデリバティブに加え、一定の手数料を払えば金利の上昇や低下リスクを回避できるキャップやフロア、スワップを将来実施する権利の売買であるスワップションなどにも対応している。
従来は、金利・通貨スワップにしか対応していなかった。また、ある時点での信用リスク額の算出などもできず、デリバティブ全体での損益情報の把握が難しかった。
42. 第2部・新社会人特集――経済記事は難しくないゾ、読み方のポイント、企業業
98/ 3/25 日本経済新聞 朝刊第2部 P 9 901字
株式を公開している企業は、経営状態などについて情報開示する義務を負っている。 東京証券取引所などで企業が決算を発表するのはそのためで、通常は年一回の決算期が終わった時に本決算を、上半期の終了時に中間決算を発表する。ソニーや本田技研工業のように四半期ごとに決算を発表する企業もある。
近年は海外に拠点を構えたり多角化部門を分社する企業が増えており、単独業績だけでは企業の経営実態を正確につかめないケースも多い。このため近年になって重視され始めたのが連結決算だ。経営にグローバルスタンダード(世界標準)が求められる中で、連結決算重視は自然な流れといえる。
43. 不良債権開示、全行、米並み基準――全銀協決定、今3月期から。
98/ 3/25 日本経済新聞 朝刊 P 7 545字 FAX可
全国銀行協会連合会は二十四日の理事会で、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行の合計百四十九行が九八年三月期から、米国並みの基準で不良債権を開示することを決めた。各銀行が自主的に判断して開示する予定だったが、公的資金の投入などで銀行の経営内容に一層の透明性が求められていることに対応した。
不良債権の新たな開示基準は、現在の破たん先債権、六カ月以上の延滞債権などに加え、三カ月以上の延滞債権や経営支援のために融資条件を変更した「貸出条件緩和債権」を追加する内容。米証券取引委員会(SEC)とほぼ同じ基準で、各行の不良債権額は三〇%強増えるとみられる。
44. 三重県、交際費を原則公開――知事・部長の基準作成。
98/ 3/24 日本経済新聞 名古屋夕刊 P 36 395字 FAX可
三重県の北川正恭知事は二十四日の定例記者会見で、現在非公開としている知事交際費、部長交際費の個別情報について開示基準を作成、四月一日以降の交際費支出について原則公開すると発表した。交際費公開で開示基準を設けるのは全国でも珍しい。これにより、三重県の情報公開の水準はこれまでの食糧費、旅費の公開も含めて全国でトップクラスとなる、という。
今回の開示基準は庁内の横断的組織の情報公開制度推進委員会の報告に基づき、条例の次に拘束力のある三重県規則として作成した。開示基準では(1)見舞いの相手方(2)懇談、贈答については開示により著しい支障がある場合のみ目的と相手――について非開示とし、それ以外は原則公開とした。
これまでは県民から公開請求があっても、両交際費については「行政運営上、著しい支障がある情報」として非公開とし、代わりに慶弔費、懇談会費など項目ごとの件数と金額だけを発表していた。
45. 一吉証券、四半期決算と時価会計導入。
98/ 3/23 日経金融新聞 P 3 141字 FAX可
一吉証券は二十日、九九年三月期から四半期決算と時価会計を導入すると発表した。 ビッグバン(金融大改革)を控え、企業情報の適時開示(タイムリー・ディスクロージャー)の態勢を整える。経営実態をより正確に把握できる会計制度を導入することで、経営の透明性を高めることが可能になると判断した。
46. ヤクルト本社巨額損失、個人の過失・悪意防ぐシステム必要。
98/ 3/23 日経金融新聞 P 1 722字 FAX可
ヤクルト本社が資金運用の失敗で千五十七億円の損失を出した。損失の大半はデリバティブ(金融派生商品)や特定金銭信託など含み損益の開示義務がない商品で発生しており、企業がリスク管理、情報開示の両面で改善すべき点が多いことを示した。
ヤクルトの例は内規などを無視した運用担当者の暴走で損失が膨らむ「パーソナル・リスク」の怖さを浮き彫りにした。財務担当の熊谷直樹前副社長は経理部の三人程度の運用チームを指揮していたが、常務会などには年数回、満期を迎えた商品の実現損益などを報告するだけだった。他の経理担当役員や監査役も運用内容を十分理解しておらず、チェック機能が働かなかった。
日本企業では、取締役が経営者としての自覚に欠け、他の取締役の管掌事項に関心が薄い事例が少なくない。資金運用と内部監査の担当役員を完全に分けるなど、個人の過失、悪意により巨額損失が発生することを防ぐシステム作りが急務だ。
47. 活況続くLBOの問題点(海外のビジネス誌早読み)
98/ 3/23 日本経済新聞 朝刊 P 48 0字 FAX可
48. 金融資産、時価情報開示を、通産省が企業経営改革案――裁量労働制を拡大。
98/ 3/22 日本経済新聞 朝刊 P 3 585字 FAX可
通産省は国際競争の激化など経済環境の変化を踏まえた企業経営の改革案をまとめた。経営の透明性を高めるため、上場企業が金融資産や年金資産を時価で評価し直した情報を開示したり、未公開株式の流通市場を整備するよう求めている。人材活用の多様化に向け、時間給にとらわれず能力や成果に応じて報酬を払う「裁量労働制」の対象をホワイトカラーに広げるよう促した。改革案は産業構造審議会(通産相の諮問機関)が六月にまとめる「革新的企業システム」に関する報告書の骨格になる。
改革案は同省の「二十一世紀のコーポレートシステム研究会」(座長・奥野正寛東大教授)がまとめた。金融・資本市場、労働・雇用市場、企業内部組織、企業間関係の四つの側面から将来の企業経営のあり方を提言、関係省庁の対応を求めている。
49. 福岡銀など九州の4行、デリバティブに時価会計――評価損益、情報を開示。
98/ 3/21 日本経済新聞 地方経済面 P 14 691字 FAX可
九州の地銀が九八年度から、デリバティブ(金融派生商品)取引などに時価会計を相次ぎ導入する。福岡、西日本、肥後、佐賀の四銀行がこのほど、大蔵省の認可を受けた。短期売買の金融商品の評価損益を明確にし、情報開示の透明性を高める。同時に導入に必要な組織整備を行い、リスク管理体制を強化する。すでに都銀など大手行が九七年度から導入しているが、九州の地銀も会計処理を国際基準に近づける狙いだ。
時価会計は短期の値ざや稼ぎを目的とした金融商品の決算期末の時価を算出して会計処理する。先物やスワップ、オプションなどデリバティブのほか、国債や地方債を短期売買する商品有価証券、譲渡性預金(CD)、コマーシャルペーパー(CP)などの特定取引(トレーディング取引)が対象。
50. 生保協会長、支払い余力比率、今期開示を検討。
98/ 3/21 日本経済新聞 朝刊 P 4 122字 FAX可
生命保険協会の藤田譲会長(朝日生命保険社長)は二十日の記者会見で、保険会社の経営の健全性を示すソルベンシー・マージン(保険金支払い余力)比率について「情報開示への要請は高まっている」と述べ、九七年度決算から開示する方向で検討する考えを示した。
51. 第3部キーパーソンに聞く(4)証券投資信託協会山下剛正氏(終)(新生投資
98/ 3/20 日経金融新聞 P 1 1785字 表写絵 FAX可
――十二月に実施される投資信託の制度改革で、商品の幅が大きく広がる。
「会社型投信は欧米市場では主流をなす商品だ。投資家が株主として議決権を行使できる点に特色がある。千二百兆円の個人金融資産の中で投信はわずかに四十兆円。従来の契約型投信に加え、底辺が広がることを期待している」
「私募投信は、年金など機関投資家向けの商品として利用がかなり進むだろう。同時に運用の外部委託のスキームも認められる。全体として商品開発競争、パフォーマンス競争を一段と促進し、投資家に大きなメリットをもたらす。改正投信法成立を待って、自主ルール作成など、導入のための作業が本格化する。確定拠出型年金の導入議論も急速に高まってきた。超高齢化社会を控え、投信の役割はますます重要になる」
――金融機関による投信窓販への期待と注文は。
52. 近弁連、市に、神戸空港計画の凍結求め意見書。
98/ 3/20 日本経済新聞 地方経済面 P 10 143字 FAX可
近畿弁護士会連合会(理事長、坂本秀文・大阪弁護士会会長)は十九日、神戸空港計画の凍結、再検討を求める意見書を神戸市に提出した。空港島の埋め立てが瀬戸内海環境保全特別措置法に反する恐れが強いうえ、財政などの情報開示や開港後の航空機や船舶の運航の安全性についての検討が不十分だとしている。
53. 衝撃ビッグバン金融業再生への道(22)金融機関経営(1)(基礎コース)
98/ 3/20 日本経済新聞 朝刊 P 31 0字 FAX可
54. 模索する不良債権流動化専門家に聞く(5)ケネディー・ウィルソン本間良輔氏
98/ 3/19 日経金融新聞 P 3 1209字 表写絵 FAX可
――ケネディー・ウィルソン・ジャパンは日本でどんな活動をしているか。
「当社は全世界で投資家を組織している不動産マーケティング会社だ。公開オークションを主催し、米貯蓄金融機関(S&L)の不良債権処理にもかかわった。日本で公開オークションを開催する予定はなく、邦銀から不良債権を買い取ろうと計画している米系投資家への価格コンサルティングに徹している」
――どんな考え方で不良債権売却(バルクセール)の値決めをするのか。
55. 自己資本比率、信組の4割、4%未満、都が公表――改善指導徹底へ。
98/ 3/19 日本経済新聞 地方経済面 P 15 410字 FAX可
東京都は十八日、都内の五十信用組合のうち、早期是正措置の対象となる自己資本比率四%未満の信用組合が約四〇%あることを明らかにした。債務超過組合数は明示しなかったが、先に事業譲渡が発表された六信組以外にも問題のある信組が多いことが改めて確認された。
都議会の経済・港湾委員会で公明の鈴木貫太郎議員の質問に答えた。都では自己資本比率四%以上を健全組合、〇%以上四%未満を経営不振組合、そして債務超過だが短期間に解消可能と解消不可能という四つに分類し、解消不可能な六信組については事業譲渡を決めている。
残りの債務超過組合と経営不振組合は十五前後あることになるが、業務改善命令などの経営改善指導を徹底するとともに、近隣組合同士の合併促進や経営情報の開示などを積極的に進め、来年四月の早期是正措置の本格執行に備える。
56. <図表>海外の不動産投資収益インデックス。
98/ 3/19 日経産業新聞 P 16 0字 表写絵 FAX可
57. 私の企業統治論自己変革を目指して(2)東京証券取引所常務理事金原策太郎氏
98/ 3/19 日経産業新聞 P 22 1377字 表写絵 FAX可
資本市場がグローバル化するなか、投資家と株主をつなぐ証券取引所の役割が問われている。英米の取引所では経営効率向上のため企業統治の在り方に積極関与するところも出てきた。東京証券取引所の金原策太郎常務理事は「望ましい統治形態に関する国内での議論は固まっておらず、取引所の関与は時期尚早」とみる。 (聞き手は三宅伸吾)
――九〇年前後の一大企業不祥事を機に、ロンドン証券取引所は経済界が自らまとめた経営モデルから、統治の仕組みがずれている場合に企業に対してその理由の開示を求めるなど、企業統治問題で積極的に取り組んでいる。
「東証では七〇年代後半、当時の谷村裕・理事長が株主重視の企業経営を進めるため『自己資本』を『株主資本』と言い換えようと提唱した。九〇年十一月にはROE(株主資本利益率)、配当性向、配当方針などの開示を求めた」
◎ ◎
58. 大蔵「差額は負債扱い」、土地再評価、揺れる企業――見掛けの借金、膨張必至
98/ 3/19 日経産業新聞 P 22 2212字 表写絵 FAX可
企業の事業用の土地評価額を簿価(取得価格)から時価(市場価格)に改める評価替えが、九八年三月期決算から可能になる見通しだ。土地再評価により自己資本比率を引き上げたい銀行ばかりでなく、一般事業会社の間でも評価替えを模索する動きが出始めている。そんな矢先、大蔵省などが再評価差額金を貸借対照表の「負債の部」に当面計上する特例措置を設ける方針を打ち出した。投資家に対する企業情報開示のためとして、評価替えに前向きだった事業会社も新たな事態に揺れている。(青木拓生)
「金融機関の貸し渋り対策だけでなく、企業の含み資産をディスクローズすることにも意義がある」。今国会に議員提出されている土地再評価法案作りに奔走した大原一三・自民党資産再評価小委員会委員長(元農相)はこう強調する。
59. 不動産証券化、不十分な情報開示障害に――実態映す投資指標急務。
98/ 3/19 日経産業新聞 P 16 1375字 表写絵 FAX可
資産流動化を目的とした特別目的会社(SPC)設立について定めた「特定資産流動化法(SPC法)案」が今国会で成立し、九月に施行される見通しになった。だが不動産業界はビルの成約賃料などの情報を開示したがらず、投資市場形成の条件となる投資収益インデックスの作成が進んでいない。資金調達手段を多様化するために、不動産の証券化に向けた法整備を声高に要求しながら、内部情報の開示にはなかなか踏み込まない業界の“甘えの体質”が背景にある。
「成約賃料の公表などもってのほか。テナントを他社に引き抜かれる材料を提供するようなものだ」。大手不動産会社の、ある営業担当者はインデックス作成に必要な情報開示について、こう語る。
60. 店頭株式市場に期待すること(大機小機)
98/ 3/19 日本経済新聞 朝刊 P 20 945字 FAX可
店頭株式市場が長らく低迷している。最近二、三年で売買高はほぼ半減してしまった。上場市場よりはるかに深刻な状況と言え、店頭市場及びその参加者に独自の問題が存在すると考えられる。
問題の第一に、店頭公開企業側の意識の問題があろう。公開する以上、一般株主間で売買が円滑に執行できるように一定以上の流通量の確保に気を配るべきである。しかるに、そのような努力をしている企業は少数ではなかろうか。店頭公開というステータスと「富」だけを手に入れ、過半の株式を縁故者と金融機関に安定保有してもらい、一般株主の増加に努力しない企業が目立つ。
例えば経営内容を積極的に公開することは、株主に対する義務であると同時に、新たな投資家を市場に呼び込むことにもつながり、流通量の増加にも寄与するはずだ。市場の血液とも言える一般株主を増やす努力を怠れば、市場自体が壊死(えし)してしまうだろう。
61. 三井建、三建不動産、子会社に。
98/ 3/19 日本経済新聞 朝刊 P 19 268字 FAX可
三井建設は十八日、経営不振の関連会社、三建不動産(東京・千代田、世木沢洋介社長)が実施する第三者割当増資二百万株(十億円)を全額引き受け、子会社にすると発表した。三井建の出資比率は五〇・〇%から八〇・八%に上昇。本体への影響が増すため、九八年三月期から連結財務諸表を開示する。
三建不動産は不動産市況の下落の影響で、九七年三月期末で約百二十億円の債務超過に陥っていた。三井建はこれまでも債務免除、資金供与で合計八十億円の支援を行い、貸付金(前期末で三百二十五億円)の金利支払いも免除してきた。増資後も三建不動産の債務超過は解消しない。
62. HOYA四半期決算発表、99年3月期から連・単とも――経営戦略を素早く修
98/ 3/19 日本経済新聞 朝刊 P 19 414字 FAX可
HOYAは九九年三月期から四半期ごとに、単独・連結決算を作成し、公表する。三カ月ごとの国内外の収益動向を把握することで、経営戦略を迅速に修正できるようにすると同時に、ディスクロージャー(情報開示)を強化するのが狙い。大手証券会社などを除き、海外の証券取引所に上場していない企業で四半期決算の公表に踏み切るのは極めて珍しい。
連結決算を素早く作成するため、内外のグループ四十社の会計用コンピューターシステムを統一した。本社を含めた国内九社では昨年四月から試験的に運用。システム変更で、期末から三週間半程度で決算を発表できるようになったという。
四半期決算への移行に伴い、業績予想発表は取りやめる方針。従来の本決算、中間決算に当たる第二四半期と第四四半期以外は監査を受けずに発表する。最終的には月次決算を作成する計画だ。
63. 三洋支援、情報開示ネック――三井海、増資発表で板挟み(スクランブル)
98/ 3/18 日経金融新聞 P 20 1438字 表写絵 FAX可 ・富士通、ソニー、京セラが高い。住金、三菱重、石川島が堅調。興銀や長銀、富士銀が底堅く推移した
・NTTや伊藤忠、丸紅が売りに押された。新日鉄が安値引け。トヨタや菱地所が安い。日立は朝安の後下げ渋り
グッドイシューに傷が付かなくて良かった――先週末から野村証券内部でこんな声が出ている。同社が主幹事となった、総額四百億円の三井海上火災保険の増資のことだ。 好調な売れ行きで今月二日に払い込みを終えたばかりだが、三井海が検討していた三洋証券の再建支援の行方次第では、一転して投資家の不評を買う恐れがあった。
64. 第3部キーパーソンに聞く(2)ゴールドマンサックス投信山崎養世氏(新生投
98/ 3/18 日経金融新聞 P 1 1926字 表写絵 FAX可
――昨年一年間で運用資産残高は四倍、外資系トップに躍り出た。何が投資家に受け入れられたのか。
「グローバル投資の考え方を持ち込んだことだ。世界各市場の株式、債券に分散投資することが全体のリスクを抑え、高い利回りを期待できると理解を得られた。日本の投信全体では外国株式と債券は資産の六―七%しかなく、日本株・債券に極めて偏っていた」
「長期投資の視点も受け入れられた。これまでは短期的にサヤを抜くという投資姿勢が多かったが、グローバル投資でじっくり保有する手法が大切だ。売買のタイミングに依存せず、定期的に購入することで収益も安定するという考え方も理解された。現に回転売買は少なく、資金を追加するリピート客が多い」
――特定証券会社とタイアップする手法が特徴だ。
65. 私募証券、米、昨年、発行額75%増――緩い規制、迅速さ利点。
98/ 3/18 日経金融新聞 P 5 668字 FAX可
【ニューヨーク=宮嶋佳代子】米国で私募証券の発行が活発になっている。昨年の私募証券発行額は前年比七五%増と急増し、過去最高を記録した。私募証券は公募に比べて情報開示などの規制が緩く、短期間で資金調達できるのが利点。今年に入ってからも、長期金利の低下などを追い風に企業の資金調達意欲は強く、順調な発行ペースが続いている。
米調査会社セキュリティーズ・データによると、昨年の私募証券の発行額は三千五百三十五億ドルと、過去最高だった前年の二千三十四億ドルを大きく上回った。業種別にみると、金融機関による発行額が前年同期比七一%増の千七百九十二億ドルで全体の五一%を占めた。一般企業の発行額は同七二%増の千四百七十六億ドルとなり、シェアは四二%。残りは公益事業体などが発行した。
種類別では、格付けがダブルB以下のジャンク債の発行額が九百九十三億ドルと前年比で二・五倍に急増したのが目立った。
66. 私の企業統治論自己変革を目指して(1)自民党商法小委委員長太田誠一氏。
98/ 3/18 日経産業新聞 P 26 1520字 表写絵 FAX可
コーポレートガバナンス(企業統治)を巡る動きが激しい。公的資金導入のために銀行が取締役削減などのリストラを実施するほか、米大手機関投資家も近く日本向け企業統治原則を発表する。資本市場がグローバル化するなか、産業界はこの問題にどう取り組むべきか――。商法改正作業を進める自民党・商法小委員会の太田誠一委員長は「ガバナンス問題では証券取引所が積極的に動くべきだ」と注文をつける。(聞き手は三宅伸吾)
――昨年秋、監査役会の強化と、株主代表訴訟の見直しを柱とする商法改正の基本方針を発表した。経団連は現在「一人以上」となっている社外監査役の増員問題に対して、「監査役の半数以上」にとどめ、対象会社も株式公開企業に限定すべきだと主張している。
67. 銀行検査資料を提出(ダイジェスト)
98/ 3/17 日本経済新聞 夕刊 P 2 156字 FAX可
大蔵省は十七日、北海道拓殖銀行など四銀行に対する大蔵省の検査資料を、衆院予算委員会に提出した。大蔵省の金融検査に絡む接待疑惑の究明のため予算委が全面開示を求めていた。焦点となっていた融資先の企業名については、拓銀の融資先で破たんしている企業に限り開示することにした。資料は議員限りで一般には非公開になっている。
68. 98採用最前線(1)証券、逆風にめげずに――情報開示など手をつくす。
98/ 3/17 日本経済新聞 夕刊 P 1 676字 表写絵 FAX可
今年の採用戦線がスタートした。景気低迷で採用を絞り込む企業も多いが、将来を担う優秀な人材確保は変わらぬ課題。企業の採用最新事情を報告する。
今月十一日、野村証券の氏家純一社長は東京・日本橋の本社一階に開設したばかりの
「野村ライブラリー」を視察した。就職活動する学生に同社についての情報を提供する展示会場。突然のトップ登場を、真新しいスーツに身を包んだ学生が緊張気味に見守った。
ライブラリー開設は同社が新たに導入した新卒者の完全公募制の補完措置。学生はパネルやパソコンを通じて情報収集でき、常駐している担当者に質問もできる。従来はリクルーターが学生の一本釣りをしてきたが、この制度は効率良く採用できる半面、出身校が限られるなどの弊害もあり廃止した。
69. 鈴屋の再建計画始動、消費低迷下、前途は多難――不十分な情報開示、債権者ら
98/ 3/17 日経流通新聞 P 9 804字 表写絵 FAX可
和議法に基づき経営再建中の婦人服専門店、鈴屋(東京・港)に、東京地裁が十一日、和議を認可決定した。地裁の管理を離れ、同社の本格的な再建計画が動き出す。ただ、消費低迷の逆風下で、計画通りに債務を弁済できるかなど不透明な部分は多い。また一連の和議手続きでは、破たんに至った詳細な事情は明らかにされず、経営責任も問われないままだ。再建の行方や和議の手続きを巡る同社の対応を疑問視する声も上がっている。(川上寿敏、進藤英樹)
「九〇年ごろから在庫が滞留したが、適切に評価減をしなかったため、九〇年二月期以降、売上原価は八十八億円分過少に計上されている」
「売上原価の過少計上で営業利益を水増した」
「少なくとも九三年二月期から毎年営業損失が発生していた」
「監査法人は鈴屋の決算に対し数年前から、『不適法意見』『意見差し控え』として問題点を指摘していた」× × ×
70. 「家電リサイクル法案」閣議で決定――記者の目、消費者の理解不可欠。
98/ 3/17 日経産業新聞 P 10 538字 FAX可
家電再商品化法案が決まったことについて、家電各社では「リサイクルコストの低減を果たすことが大きな課題」(三菱電機・山崎宣典常務)と受け止めている。廃家電の回収・処理が軌道に乗るには、消費者がリサイクル費用を納得して支払うことが大前提。メーカーが収益への負担を抑えながら、「リサイクルへの配慮」を消費者にアピールするためには、回収・処理に実際にどれだけ費用がかかるのかを、具体的に開示する必要がある。
新法は二〇〇一年度に施行の見通し。消費者が払うリサイクル費用は、通産省がメーカーからの聞き取り調査を基に、二千五百―五千円程度と試算している。だがこの試算には大手メーカー内から「採算が合わない」との声が上がっている。
71. 日銀総裁に速水氏、組織・人事見直しへ――国際・調査部門などから、新理事の
98/ 3/17 日本経済新聞 朝刊 P 5 835字 表写絵 FAX可
日銀は幹部職員の汚職事件を契機に、幹部の大幅な入れ替えを迫られるとともに、組織運営の抜本的な見直しも必要になりそうだ。日銀は不祥事の責任を明確にするためにまず幹部職員の大量処分を実施するとみられ、これまでの人事慣行なども大きく変更される見通し。特にほぼ総退陣になる可能性もある理事職には、国際関係や調査関係の部局などから登用される公算が大きくなっている。(1面参照)
日銀が大幅な人事刷新を迫られるのは、現行の多くの理事や局長クラスも逮捕された前証券課長と似たような民間金融機関との付き合いをしているとの指摘があるためだ。 日銀内にも人事面や組織の運営で旧来のやり方を抜本的に変えなくては、批判が収まらないとの判断も強まっている。
72. 公開社会への道――地方自治体は一層の情報開示を(社説)
98/ 3/17 日本経済新聞 朝刊 P 2 1698字 FAX可
インターネットで高知県のホームページを呼び出し、「県からのお知らせ」をクリックすると「食糧費執行状況」という項目が出る。これをたどっていくと、例えば、二月二十七日に開いた「県政車座談議」では関係者十八人が夕食をとり、三万七千八百円を支出していることがわかる。
特段の開示請求をしなくても、ここまではパソコンの操作で、だれでも引き出せる。 食糧費を支出した相手の所属や氏名などさらに詳しい情報については、条例に基づいて開示請求する。九六年八月以降の食糧費の支出については、相手先まで調べることができる。
高知県だけでなく、情報公開の制度は国より、自治体の方が先行している。山形県金山町が日本で初めての公文書公開条例を制定したのは十六年前である。いま、すべての都道府県と、全国の市の四分の一ほどで情報公開のための条例や要綱を定めている。
73. 企業異変98年春(4)信頼されぬ決算書――国際基準で透明性急務(終)
98/ 3/17 日本経済新聞 朝刊 P 1 1598字 表写絵 FAX可
「借入先(銀行)に迷惑をかけないように指導する」――大同コンクリート工業が海外関連会社の借り入れについて社長名で銀行に差し入れた経営指導念書の内容だ。念書をたてに金融機関が関連会社の債務肩代わりを迫ったことが一因で同社は先月末、東京地裁に自己破産を申請した。
しかし経営指導念書は正式な債務保証ではなく、一般投資家にはその存在さえ開示していなかった。
昨年夏に経営が破たんした東海興業、多田建設、大都工業。その直前の決算は三社とも経常黒字で、多田と大都は配当までしていた。それが会社更生法を申請した途端、簿外債務などの損失が明らかになり、三社とも実質債務超過(累積損失などで株主資本がマイナスの状態)に陥った。
ある日を境に決算書の内容が突然、黒字から赤字になる。「日本企業の決算書は信頼できない」(国際会計基準委員会のマイケル・シャープ前議長)と海外から非難の声が上がった。
74. 長野市長塚田佐氏――五輪施設の後利用対策、イベント誘致、負担減狙う(単刀
98/ 3/16 日本経済新聞 朝刊 P 29 1365字 表写絵 FAX可
歓声に包まれた長野五輪が終わり、開催都市の長野市では宴(うたげ)の後のもの寂しさが漂い始めている。競技会場の後利用や巨額の借金返済など地元には宿題が残された。大イベントの遺産をどう生かすのか。
――大会への評価は。
「イラク情勢、天候などが気掛かりだったが、日本人選手の活躍もあり成功した。海外の評価も高い。輸送バスの不足や競技日程の変更で観客に迷惑をかけたことは反省点だが、影響は最小限に食い止められた」
「長野五輪組織委員会(NAOC)は県、市、民間企業の出向者の意思疎通がうまくいかず、官僚的な面があったかもしれない。それでも最後は官民合同の良さが発揮できたと思う。国が主導した東京、札幌と違って、地方が成功させた点も画期的だ。知名度の上昇や市民の自信は大きく、これらの無形の資産は今後の都市づくりに役立つ」
――市内六カ所に新設された競技施設の今後の利用状況が心配されている。
75. 三和シャッター工業社長高山俊隆氏――市場評価高いほう(株価を語る)
98/ 3/16 日経金融新聞 P 17 542字 表写絵 FAX可
株価が市場で正当に評価されるよう努力するのが経営者の責任だ。一月に昨年来安値を付けてから、株価は七百円台まで回復している。他の住宅・建材メーカーの株価の動きと比較してみれば投資家の評価は高い方だと思う。
株価を適正な水準に保つためには情報開示が不可欠。これまでもIR(投資家向け広報)には力を入れてきた。九〇年から投資家向けのアニュアルリポートの発行を始めたほか、中間、期末の決算にあわせてアナリストミーティングを開催している。
住宅着工戸数の減少で、軽量シャッターなど住宅向け製品の落ち込みが現実のものとなってきたが、投資家の期待は配当だけでなく一株当たりの価値を高めることにもあると思う。株主還元策として、これまでは安定的に配当することを重視してきたが、株主還元策の多様化を目的に、一月から利益による自社株消却を始めた。
76. 麗沢大学教授大橋照枝氏――企業とNPOの“共働”(市場トレンド私はこう読
98/ 3/16 日経産業新聞 P 25 1007字 表写絵 FAX可
東京電力は地球環境問題に積極的に政策提言しているNPO(民間非営利組織)の「市民フォーラム二〇〇一」や「生活クラブ生活協同組合」と共同で、太陽光発電を市民に普及させる実験をしている。
原子力発電に関して、反対派のNPOと推進派の東京電力という全く立場を異にする両者がコラボレーション(共働活動)に取り組むことになった理由を、市民フォーラム二〇〇一との事例でみていこう。
きっかけは市民フォーラムが呼びかけた「市民によるエネルギー円卓会議」に東京電力の役員と社員が出席したことから始まる。当初は言語体系が異なるほど意思疎通に不自由した両者が、どのようにして立場の違いを乗り越え「環境」という共通のテーマで同じテーブルにつくことになったのか――。
77. 諏訪信金、支払準備率を開示――情報公開を推進。
98/ 3/14 日本経済新聞 地方経済面 P 3 581字 FAX可
諏訪信用金庫は九八年三月期決算で、預金に対する手持ち資金の割合を示す「支払準備率」を開示する。支払準備率は開示を義務づけられている項目に含まれていないが「金融機関の破たんが続き、経営内容への顧客の関心が高まっている。預金が確実に守られるかどうかの指標の一つになると考え、開示を決めた」(宮坂久臣理事長)としている。取引先に配ったり店頭に常備するディスクロージャー(情報開示)誌にも掲載する。
同金庫によると、支払準備率は現金や他の金融機関などに預けている預け金、有価証券などの合計額を、定期預金・定期積金の残高の一〇%と普通預金など流動性預金の残高の三〇%を合計した値で割って算出する。「値が高いほど預金に対する手持ち資金が潤沢であることを示す」(経理部)という。
78. 長銀など3行の不良債権、米基準では3割強増加――経営健全化計画公表、引当
98/ 3/14 日本経済新聞 朝刊 P 5 926字 表写絵 FAX可
預金保険機構は十三日、公的資金投入に伴い、第一勧業、日本長期信用、日本債券信用、中央信託の四行の経営健全化計画を発表した。その中で第一勧銀を除く三行が米証券取引委員会(SEC)基準に基づく九八年三月期の不良債権額を公表、合計額は三兆三千六十四億円となり、従来の国内基準を約八千億円、三割強も上回った。従来公表している以上に銀行の貸し倒れリスクが高く、不良債権処理がまだ道半ばであることを改めて示している。
SEC基準での不良債権額は、公的資金の投入に伴い三行が提出した経営健全化計画の中で公表された。第一勧銀のSEC基準での不良債権額は明らかでない。SEC基準は不良債権の開示基準がより厳しく、延滞債権の場合は、国内基準が「元利金の支払いが六カ月以上延滞」としているのに対し、SEC基準は「三カ月以上」と定義付けている点などが異なる。
79. 金融検査資料全面開示を(ダイジェスト)
98/ 3/12 日本経済新聞 夕刊 P 2 103字 FAX可
衆院予算委員会は十二日午前、北海道拓殖銀行など四銀行への大蔵省の金融検査資料の全面開示を求めることを議決をした。十八日に松野允彦元大蔵省証券局長(全国地方銀行協会副会長)を証人喚問することも正式に決めた。
80. 法案17日に閣議決定、ノンバンク社債全面解禁――発行は登録制で。
98/ 3/12 日本経済新聞 夕刊 P 2 680字 FAX可
大蔵省は十二日、自民党財政部会・金融問題調査会にノンバンク社債発行法案を提示し、了承を得た。同法案はノンバンクの社債発行の使途制限を撤廃し、貸付資金の調達を含めて社債発行を全面解禁する一方で、社債を発行するノンバンクに金融監督庁への登録制を導入する内容。政令で資本金五億円以上のノンバンクに限定する。大蔵省は同法案を十七日に閣議決定して国会提出し、十二月に実施したい考えだ。
ノンバンクの社債発行については、出資法により貸し付け目的の発行が禁止され、設備投資資金などに使途が限定されている。このため、資金の八割以上を金融機関からの借り入れに頼っており、ノンバンクから「社債で直接調達した方がコストが安く自由な事業展開ができる」との要望が強まっていた。
81. 国内運用会社の外貨建て投信容認――大蔵省、年内にも。
98/ 3/12 日本経済新聞 夕刊 P 1 288字 FAX可
大蔵省は年内にも、国内の投資信託運用会社による外貨建て投信の設定を認める方針だ。日本の超低金利や四月の改正外為法施行などで、外貨建て資産による運用ニーズは今後一層高まるとみられる。情報開示の面などで投資家がなじみやすい国内運用会社の参入で、商品の種類が一段と増えそうだ。国内運用会社にとっても、投資家の外貨資産獲得の有力な手段となる。
現在は国内運用会社の設定では円建ての投信しかなく、外貨建て投信は海外運用会社が海外で設定し、日本に持ち込んで販売する商品に限られる。
こうした外貨建て投信の国内販売分の残高は一月末で一兆七千三百二十四億円と一年前の二・七倍に急増している。
82. 武蔵野銀、ホームページに不良債権額を掲載――一般顧客を対象に。
98/ 3/12 日本経済新聞 地方経済面 P 40 338字 FAX可
武蔵野銀行は十一日までに、インターネットのホームページ(HP)に決算内容と不良債権額を掲載した。投資家向けに財務諸表を掲載している銀行は多いが、今回のHPでは一般顧客にも銀行経営についてわかりやすく説明することを心がけたという。日本版ビッグバン(金融大改革)を控え、情報開示を徹底して信用力アップを狙う。
同行は中間期と通期の決算がまとまるごとに、一般顧客向けに専門用語に注釈を加えてわかりやすく工夫したミニ広報誌「ぶぎんの現況」を発行してきた。九六年五月から現在までに四回発行した広報誌は今回すべてHPに掲載した。さらに、新商品などのニュースリリースも発表と同時期にHPで見ることができるようにする。
アドレスはhttp://www.musashinobank.co.jp
83. グローバル化(下)尊敬される企業――棒経営に確固たる理念を(深慮実践)
98/ 3/11 日経産業新聞 P 26 0字 表写絵 FAX可
84. 医療保険改革答申原案――「技術料」導入に異論も。
98/ 3/11 日本経済新聞 朝刊 P 5 393字 FAX可
二〇〇〇年度の医療保険改革を検討している厚相の諮問機関、医療保険福祉審議会の制度企画部会(金平輝子部会長)は十日、答申原案をもとに、診療報酬(医療保険から医療機関に支払う治療代)の見直し案の取りまとめに入った。原案では、医師の技術に応じて患者から別途料金を徴収できる制度の導入を打ち出したが、一部委員になお異論があるうえ、患者に負担増を求める前提となる情報開示のあり方など議論はまだ手つかずの状態。答申の作成に向け、最終調整は難航が予想される。
「お金のある人だけが高度な医療を受けられるようになるのは問題だ」。十日の制度企画部会で、厚生省が目指す「特定療養費制度」の拡充に異論が出た。
この制度は差額ベッドなど費用がかさむ分だけ患者に自己負担を求める制度。答申原案では、医療技術や医療環境の快適さに応じて、患者に別途料金を請求できるようにするなど制度の適用範囲の拡大を提起している。
85. 診療報酬体系改革の答申原案要旨。
98/ 3/10 日本経済新聞 夕刊 P 2 826字 FAX可
医療保険福祉審議会制度企画部会がまとめた診療報酬体系改革についての答申原案の要旨は次の通り。(1面参照)
一、二十一世紀の新しい社会に向けて医療保険制度の抜本的見直しが必要=略
二、国民が医療に求めているもの
(医療を受ける国民の側からの見直し)患者に対して十分なわかりやすい説明と納得こそ最も大事にすべきである。そのためには、本人の求めに応じてレセプトやカルテの開示など医療に関する情報の公開を進め、開かれた医療を目指して旧弊を改めていく必要がある。(以下略)
(医療費の無駄の排除)病院・診療所の設置規制と病床規制の強化を図る必要があるのではないか。(以下略)
三、医療費と国民の負担との関係
医療費の適正化・効率化を促し、国民の負担との調和を図っていくためには、医療行為の内容などに応じて総額予算制の制約を課すことが不可欠であるとの意見がある。(以下略)
86. 診療報酬制度改革の答申原案、医師の技術に応じ料金、病気別の定額制も提言。
98/ 3/10 日本経済新聞 夕刊 P 1 878字 FAX可
医療保険制度の抜本改革を検討している医療保険福祉審議会(厚相の諮問機関)の答申原案が十日、明らかになった。これまで医師の経験などに関係なく全国一律に決めていた診療報酬(医療保険から医療機関に支払う治療代)の仕組みを改め、経験や技術に応じて患者から別途料金を徴収できる制度の創設を提言。治療方法が標準化できる病気については、病気ごとに診療報酬をあらかじめ一定額に決めておく制度の導入も提起している。厚生省は同審議会が四月にもまとめる最終答申を受けて法案の取りまとめ作業に入り、二〇〇〇年度の実施を目指す。(答申原案の要旨2面に)
同審議会は医療保険財政の悪化に歯止めをかけることを主な目的に、昨年十一月から制度企画部会で改革案を検討してきた。
87. 保険業法改正案きょう閣議決定――公的資金投入に道、支払い余力の開示必至。
98/ 3/10 日経金融新聞 P 1 1229字 表写絵 FAX可
保険会社が破たんした際に契約者を保護する仕組みである「支払保証制度」の創設を含む保険業法改正案が十日、金融システム改革法案の一つとして閣議決定される。契約者保護の観点から、銀行と同様に保険会社の破たんにも公的資金投入の道筋をつけるのが特徴だ。ただ、信用秩序に直接影響を与えない保険会社への公的資金投入には野党からの異論も予想されるほか、経営のモラルハザード(倫理の欠如)を懸念する向きも多い。保険選択に当たり契約者に自己責任を問う形になるため、保険会社には経営内容の一段の情報開示が求められる。 (経済部米山雄介、中丸亮夫)
保険業法改正案の柱となる「支払保証制度」は今通常国会での審議・法案成立を経て、十二月にスタートする予定。破たん保険会社の契約を引き継ぐ「保険契約者保護機構」は二〇〇一年三月までの経過措置として、保険金支払い原資を政府保証付きで日銀から借り入れることができる。
88. 持ち株会社、農林中金にも認める、金融システム関連法案――大蔵省が盛り込む
98/ 3/10 日経金融新聞 P 3 570字 FAX可
大蔵省は十日に閣議決定する金融システム改革関連法案に、農林中央金庫に持ち株会社の設立や投資信託、投資顧問など金融関連子会社の保有を認める農林中央金庫法の改正を盛り込んだ。持ち株会社や子会社の活用により、業務を拡大しやすくするのが目的。またグループ全体の経営健全性を確保するため、連結ベースの情報開示と自己資本比率規制を適用する。
証券業の登録制への移行など、金融システム改革関連の他の改正事項とあわせ、十二月一日の施行を目指す。
農中が持ち株会社を設立する場合、持ち株会社を農中と子会社の間に設ける「川下」型の形態を取る。農中は株式会社でなく、自ら持ち株会社の傘下に入ることは不可能であるからだ。 川下型持ち株会社が信託銀行や証券など業態別子会社の株式を保有し、子会社経営を管理する仕組みになる。親会社と業態別子会社がいずれも持ち株会社の傘下に入る「川上」型とは異なる。
89. 衝撃ビッグバン金融業再生への道(15)金融サービス法――公正さ確保(基礎
98/ 3/10 日本経済新聞 朝刊 P 30 0字 FAX可
90. スミダ電、四半期決算を開示へ、今期から――SEC並みめざす。
98/ 3/ 6 日経金融新聞 P 16 331字 FAX可
コイル製造のスミダ電機(6817)は九八年十二月期から四半期決算を開示する方針だ。早ければ第一四半期(一―三月)から開示する。海外での売り上げが連結ベースで七割近いほか、外国人持ち株比率も前期末で一二・九%に達する。海外投資家の関心が高く、米証券取引委員会(SEC)並みの情報開示をする。
開示内容は売上高、利益のほか、貸借対照表など本決算に準じた形を予定。連結決算も併せて開示する。現在、監査の位置づけを巡り公認会計士と折衝中で、まとまり次第、開示に踏み切る。
前期から連結中間決算も発表している。タイムリー・ディスクロージャー(企業情報の適宜開示)の観点からこれを更に強化する。店頭企業で四半期決算を公表しているのは「五社程度」(日本証券業協会)と少ない。
91. 山梨・若草町の産廃施設、建設中止に理解――知事「司法の一つの判断」。
98/ 3/ 6 日本経済新聞 地方経済面 P 25 379字 FAX可
山梨県の天野建知事は五日の県議会で、民間業者が建設していた若草町の産業廃棄物中間処理施設について甲府地裁が建設中止の仮処分を決めたことに触れ、「住民の健康の観点に立っての司法の一つの判断と受け止めている」と今回の建設中止に一定の理解を示した。その上で処分場問題は県政の最重要課題と強調、「住民に対して行政が知り得た情報を積極的に開示する」と今後の姿勢を示した。
問題の産廃施設は県が業者に対して建設を認める判断をしており、天野知事の発言は情報開示などのこれまでの県の対応が不十分だったことを事実上認めたもの。天野知事は「県民の声に耳を傾けるとともに事業者に対しては安全確保の徹底を図る」とも語った。
建設の中止を求めた住民側は甲府地裁の仮処分決定後に、「県は住民の命や健康を守る立場で自治を行うべき」として県に判断の取り消しを求める行政訴訟も起こしている。
92. 破たん招いた秘密経営――情報開示、企業の生命線に(スクランブル)
98/ 3/ 5 日経金融新聞 P 20 1637字 表写絵 FAX可
・日経平均株価は小幅続落。企業業績の悪化懸念から買いが手控えられ、模様眺めムードが強まった・トステムが急落し、新日鉄、川鉄など鉄鋼株がさえない。さくら銀、東京三菱銀など銀行株の一角が小安い・日ドライ、長崎屋など仕手系株の一角が上げ、カシオ、農産工など好業績銘柄が堅調。京セラ、トヨタも高い
山一証券の簿外債務問題で、行平次雄前会長ら三人の旧経営陣が四日、証券取引法違反の容疑で逮捕された。社員の間では、旧経営陣に対する憤りが今も渦巻いているが、総会屋への利益供与事件以来、本社への強制捜査は実に六回目とあって、社内にはどこか空虚なムードも漂っていた。
「自主営業 揚げ句の果てに 自主廃業」「知りません 覚えてません 分かりません」――。社内のパソコンネットワークには、現・旧の各首脳を作者に見立てた「読み人知らず」の川柳も流れ、社員の乾いた笑いを誘っている。 □ ■ □
93. 公的資金投入、主要行きょう申請、私の見方――ニッセイ基礎研究所山中寿一氏
98/ 3/ 5 日経金融新聞 P 1 278字 FAX可 山中寿一・ニッセイ基礎研究所主任研究員
今回の公的資金の投入手法は個別行の経営努力を無視したもので、情報開示の後退を通じて邦銀経営の国際基準からのかい離を進めることになろう。各行が策定したリストラ策もほぼ横並びの内容で顔が見えない。人件費などのコスト削減効果も、時系列のデータがなく評価しようがない。
銀行はせめて自助努力で情報開示の促進に取り組んでほしい。公的資金の投入で財務上、どの程度メリットがあったのか。最大の課題は、資産の自己査定に基づく分類債権の開示だ。これを欠いた引当率の比較は無意味で、市場には「氷山の一角」論の不安がつきまとうことになる。
94. 公的資金投入、主要行きょう申請、金融機能回復へ道険し――情報開示に懸念。
98/ 3/ 5 日経金融新聞 P 1 581字 FAX可
今回の公的資金による資本注入では銀行が優先株・劣後債の発行登録を行う一般公募形式をとることとなった。実質は相対による私募だが、私募だと発行後二年間は転売できないなど購入者が不利になるため、公募形式を選んだ模様だ。
当初は整理回収銀行との相対取引のため、名実ともに私募方式をとる案も検討されていた模様。私募だと金利など発行条件を開示しなくて済むため、「金利格差から信用不安を招く恐れもない」(都銀の企画担当者)。
ただ、私募だと転売制限を受けるため、銀行側が整理回収銀行に配慮して公募にした模様だ。転売出来ないと銀行が期限前償還も出来ず、経営への干渉が長引きかねないと懸念した側面もある。
95. パチンコ業界、健全発展めざし行動計画を策定――情報開示や社会貢献。
98/ 3/ 5 日経流通新聞 P 7 750字 FAX可
パチンコ関連の業界四団体でつくる「遊技業2001年会」(代表・小野金男全日本遊技事業協同組合連合会理事長)は、業界の健全な発展に向けたアクションプログラムをまとめた。「業界体制の整備」「のめり込み対策」「社会貢献」「情報開示」「マスコミ対応」の五項目に分け、業界として取り組むべき四十七の課題を示した。パチンコの持つ射幸性に対する社会的な批判が高まるなか、手軽な娯楽としてのパチンコの存在意義の確立を目指す。
アクションプログラムのタイトルは「遊技産業の望ましい将来像」。業界体制の整備では、消費者からの要望・苦情などについて、パチンコ機器メーカーやパチンコ店などの業界ごとに対応するのではなく、窓口を一本化する。また、パチンコ店の経理内容の公開を進めるほか、景品の換金基準作りなどにも取り組む。射幸性が過度にならないようチェックする第三者機関の設置も目指す。
96. 投資顧問のノウハウ蓄積、三井不動産次期社長岩沙弘道氏に聞く――市場成熟に
98/ 3/ 5 日経産業新聞 P 21 1406字 表写絵 FAX可
三井不動産の次期社長に岩沙弘道専務(55)が就任する。長引く資産デフレにあえぐ不動産業界では、住宅分譲に大きく依存した収益構造の改革や不動産の証券化に向けた基盤整備など課題が山積している。取締役から常務、専務と一年ごとに昇格し、次期社長の最有力候補と目されてきた若手実力派が転換期の不動産業をどう再構築するのか。岩沙氏に社長就任後の経営方針を聞いた。(聞き手は竹内文英)
――二月二十五日の記者会見では田中順一郎社長の経営路線を全面的に継承すると述べたが、中核となる投資顧問業の具体化など新規の取り組みが多い。
「不動産が証券化されて市場で評価されることなど従来は想像できなかった。投資市場が整備されれば事業内容、経営手法ともに過去の経験が通用しなくなる。その分、やりがいもある。『私が想像できないような世界を築いてほしい』という田中社長の言葉を肝に命じてやっていきたい」
97. <図表>山一証券簿外債務の構図。
98/ 3/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 3 0字 表写絵 FAX可
98. 自由な市場が最良の規制者(大機小機)
98/ 3/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 20 972字 FAX可
日本より先に深刻な金融システム危機に直面した米国において、その克服に大きな役割を果したのは連邦預金保険公社(FDIC)と整理信託公社(RTC)であった。最も危機が深刻化した一九八五―九一年の間にその議長を務めたシードマン氏が、成功の秘訣を「Full Faith and Credit」と題する本にまとめている。
両公社は民間企業の如く行動し、外部委託による専門知識の吸収や債権流動化の新手法の開発を行った。大規模な破たん金融機関に関しては、経営権を取得して経営陣を更迭し情報を完全開示した上で、最少の補助金で引き受ける買い手に市場を通じて売却した。破たん処理は後ろ向きの仕事のように見えるが、その過程が他の金融機関の大胆なリストラや方針転換を引き出して市場の健全化を促す。
99. 山一前会長ら逮捕、金融行政へ不信拡大――監督庁の検査強化が課題。
98/ 3/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 3 1126字 表写絵 FAX可
山一証券の巨額簿外債務事件で、東京地検特捜部は四日、行平次雄前会長ら山一の元役員三人を証券取引法違反の容疑で逮捕した。「飛ばし」を隠ぺいし、虚偽の情報開示を続けた旧経営陣の責任は免れないが、大蔵省の裁量行政のなかで事件が起きたという点では過剰接待による大蔵汚職と同根。山一の簿外債務を見逃した大蔵省の金融行政への不信拡大は避けられず、六月に発足する金融監督庁では検査機能の強化が最大の課題となる。(1面参照)
山一の飛ばし隠ぺいを巡っては、大蔵省幹部が九一年当時から事態を把握していたのではないか、という疑惑は消えていない。
100. 山一前会長ら逮捕――「隠す経営」排除の仕組みを、罰則強化や取締役会改革。
98/ 3/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 3 1011字 FAX可
山一証券の行平前会長らの逮捕は、債務などを「隠す経営」の反社会性を浮き彫りにした。程度の差はあれ、バブル崩壊のつめ跡を隠し続けている点では、山一に限らず銀行や建設会社なども同じ病巣を抱えている。「ガラス張りの経営」を実現するための仕組み作りが急務といえる。
山一の旧経営陣の逮捕容疑は証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)。六年間も巨額な損失を隠し、株式などの投資家をだましてきた。株主無視の経営が問題になった点では、二月二十八日に自己破産を申請した大同コンクリート工業も似ている。海外の関連会社の経営を指導するという「念書」を銀行に差し入れていたことが命取りになったが、株主は「歴史のある有配企業がなぜ突然、倒産するのか」と驚いた。
101. 世界情報通信サミット、オンライン会議が提言――アジア部会・EC部会(ザサ
98/ 3/ 4 日経産業新聞 P 2 1131字 FAX可
「電子商取引(EC)の推進には安全面での環境整備が必要」「日本人はもっと情報リテラシー(利用能力)をつけるべき」――。約一カ月間続いた「世界情報通信サミット」のオンライン会議が終了、三月十日に東京で開かれる本会議に向け、参加者の提言が出そろった。その中から主な発言を紹介する。具体的な内容はホームページ(http://www.nikkei.co.jp/summit/)に掲載。
(1)発展途上国の情報化の普及推進――インフラの整備が優先されるべきか、情報化が南北格差解消に効果があるかを見極めながら普及を推進すべき。
(2)インターネットの教育分野への利用促進――学校や教員の体制整備、通信コストの引き下げが必要。有害情報についてはある程度の規制は必要に。
(3)通信料金の引き下げ――もっと高速大容量で安いサービスが必要。健全な競争環境と衛星など新しい通信技術を確立すべき。
102. 首相、梶山構想の議論促す。
98/ 3/ 3 日本経済新聞 夕刊 P 2 269字 FAX可
橋本竜太郎首相は三日朝、金融機関への公的資金投入で経営が悪化している銀行に集中して資本注入するよう求めた梶山静六前官房長官の私案について「不良資産を含めたディスクロージャーの必要性、そして不良資産を処理することの必要性、基本的にその方向は間違っていないと思う。金融危機管理審査委員会も党も議論してもらいたい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。村岡兼造官房長官は同日の閣議後の記者会見で「梶山前官房長官の提言を含め、審査委員会や自民党では様々な考え方に耳を傾け適切に判断し、金融システム安定化策を進めていくと考えている」と述べた。
103. ランキングと格付け――キッコーマン社長茂木友三郎氏(あすへの話題)
98/ 3/ 3 日本経済新聞 夕刊 P 1 0字 FAX可
104. 中国地方の信用金庫、ホームページ郷土色競う――採用や情報開示は当然。
98/ 3/ 3 日経金融新聞 P 6 934字 表写絵 FAX可
中国地方の信用金庫がインターネット上で郷土色豊かなPR作戦を展開している。事業内容や店舗網、金融商品の紹介に加え、地元の特産品や観光名所など地域情報を詳しく提供しているのが特徴。金融ビッグバンを控え、情報化の流れに乗り遅れまいと躍起だ。
インターネットを使った情報開示に積極的なのが、広島信用金庫(広島市)と呉信用金庫(呉市)。経営情報として財務諸表や不良債権の処理状況などを掲載している。呉信金は「他県在住の呉出身者から口座開設の申し込みがあるなど、反応はまずまず。今後も月一回のペースで内容を更新していきたい」(経営企画部)と話す。
105. 宮崎銀、ネットで経営開示。
98/ 3/ 3 日本経済新聞 地方経済面 P 13 161字 FAX可
宮崎銀行はインターネットのホームページメニューに業績や経営資料の開示を追加した。ディスクロージャー誌「宮崎銀行のご案内」の内容をカラー表示で提供する。九六年十一月からインターネットで店舗案内や就職ガイドなど五種類の情報サービスをしている。アドレスはhttp://www.miyazaki−nw.or.jp/miyagin
106. フランク・ラッセル・ジャパン渡辺幹文氏――企業年金、情報開示工夫(年金ス
98/ 3/ 2 日経金融新聞 P 7 0字 表写絵 FAX可
107. 2000年問題対策費、収益への影響開示促す――FDICが書簡。
98/ 3/ 2 日経金融新聞 P 5 540字 FAX可
【ワシントン=寺嶋愛美】米連邦預金保険公社(FDIC)は商業銀行など監督下の金融機関に、コンピューターの二〇〇〇年問題に関する情報開示の徹底を促す書簡を送付した。証券取引委員会(SEC)が一般上場企業向けに発表した指針に呼応した措置で、問題への対応に必要な支出が収益にどう影響するかを年次報告書で詳細に記述するよう求めている。対応の遅れによる経済活動への影響懸念が高まっており、監督当局がそろって民間に対応を急がせ始めた。
108. 大蔵省方針、金融機関の情報開示、一般利用者向け強化。
98/ 3/ 2 日本経済新聞 朝刊 P 3 414字 FAX可
大蔵省は一般の利用者に対する金融機関の情報開示を強化する方針を固めた。日本版ビッグバン(金融大改革)で自己責任が求められる利用者に金融機関の情報を入手しやすくするのが狙い。具体的には業務報告書や貸借対照表などをわかりやすくまとめたディスクロージャー誌を全支店に備えることを義務付ける。
銀行、信用金庫、信用組合、農協などすべての金融機関が対象。大蔵省は銀行法などの関係法律を一括して改正する法案を三月上旬に国会提出し、十二月から施行したい考えだ。
109. ベンチャー投資組合、外部監査義務付け、通産省が法案骨格――情報開示を徹底
98/ 3/ 2 日本経済新聞 朝刊 P 3 917字 FAX可
通産省はベンチャー投資事業組合への出資者保護を目的とする「投資事業有限責任組合法」案の骨格を固めた。投資家への情報開示を徹底するため、投資事業組合に財務諸表の作成と公認会計士などによる外部監査を義務付ける。組合員が出資金以上の責任を負わない「有限責任」を明確にする手段として、組合の登記制度も創設する。投資家が投資事業組合に出資しやすい環境を整え、ベンチャー投資に慎重な年金基金や海外投資家を呼び込むのが狙いだ。今通常国会に法案を提出し、九八年度中の施行を目指す。
投資事業組合はベンチャーキャピタル(VC)が投資家の資金を集めて未公開のベンチャー企業に投資し、その企業が株式公開した後に株式譲渡益を得る。現在、国内に約二百の組合がある。
110. 大同コンクリ、自己破産、安易な念書、株主にツケ――貸し手責任も課題。
98/ 3/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 7 948字 表写絵 FAX可
大同コンクリート工業の自己破産は、香港やインドネシアの関連会社の業績不振を受け、国内金融機関からの融資返済要求が強まり、資金繰りに行き詰まったのが理由。アジア経済の変調、金融機関の貸し渋り、国内公共工事減少――。日本経済を取り巻く大きなうねりが創業六十年余りの企業をのみ込んだ形だ。(1面参照)
同社の経営破たんは、関連会社が融資を受ける場合の親会社の責任をあいまいにしてきたツケが一気に回ってきたといえる。「経営指導念書」の存在など何も知らされていなかった株主が損失を被ったわけで、企業の情報開示のあり方や銀行の「貸し手責任」が改めて問題になりそうだ。
大同コンクリートでは九六年ごろから香港の関連会社が建築工事やパイル受注の減少などで業績が悪化。さらにインドネシアの関連会社も昨夏以降のルピアの対ドル相場急落に伴い多額の評価損を抱えるようになった。
111. 運輸政策審議会航空部会答申骨子案。
98/ 3/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 3 637字 FAX可
運輸政策審議会航空部会答申骨子案
1、基本的考え方=略
2、需給調整規制の廃止後における国内航空運送事業制度のあり方
1、需給調整規制の廃止後は、路線ごとの免許制から事業ごとの許可制にすることが適当。
2、運賃は現行の認可制から事前届け出制とすることが適当。利用者利便の確保のためには、届け出後に変更の指示が行えるような制度を採用すること、利用者が運賃を選択するに当たり必要な情報の公開を行うことが必要。
3、政策的に維持すべき路線の維持のあり方
1、需給調整規制の廃止後は、競争の激化により航空会社内の内部補助の余地は狭くなるため、採算性を確保できない路線からの撤退の可能性がある。地域住民の日常生活に不可欠の路線の維持には、運航費補助を行うことが適当。
2、新たな支援の実施主体は国と地方公共団体。
3、運航費補助を行う場合は一定の要件に該当する離島路線に限定することが適当。
112. 預金保険機構金融審査委に、大手18行、自己査定提出へ――分類債権などを。
98/ 3/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 3 669字 表写絵 FAX可
日本信託銀行を除く大手銀行十八行が預金保険機構の金融危機管理審査委員会に対し、自己査定の結果を提出する見通しになった。銀行への公的資金投入にあたり、審査委が「各行の不良債権と引き当て状況を審査の参考にすべきだ」と考え、各行に資料提出を求めているため。ただ各行が提出する資料は一般には非公開となっており、審査委が自己査定の結果を公的資金投入の審査にどのように反映させるのかは不透明だ。
大手銀が審査委に提出するのは、健全債権である「第一分類」のほか、回収に注意を要する「第二分類」債権、回収に重大な懸念のある「第三分類」債権、回収不能な「第四分類」債権。大蔵省によれば、大手銀の第二、第三、第四分類の合計は五十四兆三千億円。九七年九月末の公表不良債権の約三・三倍になる。
113. 公的資金の注入を貸し渋りの解消に(社説)
98/ 2/28 日本経済新聞 朝刊 P 2 944字 FAX可
銀行に対する公的資金注入の基準が決まり、大手十八行が総額二兆円の注入を申請することになった。銀行への公的資金注入は金融危機を避けるための重く苦い選択である。こうした異常事態に陥った政治、行政責任と経営責任がまず問われる。公的資金注入で銀行は国民の監視下に置かれる。リストラや情報公開を徹底するのはもちろん、貸し渋りの解消に生かさなければ意味はない。
預金保険機構の金融危機管理審査委員会は初会合後、わずか四日間で銀行への公的資金投入の是非を判断する審査基準を決めた。最近三年間連続して赤字、無配当の銀行は公的資金注入の対象にしないなど一応の基準を設けたが、倫理規定の導入などは見送られた。基準内容はあいまいで「初めに公的資金注入ありき」の印象はぬぐえない。
114. SEC、ソニーを調査。
98/ 2/27 日本経済新聞 夕刊 P 3 207字 FAX可
【米州総局】ソニーの米国法人は二十六日、米証券取引委員会(SEC)から「情報開示が不適切だった可能性がある」として調査を受けていることを明らかにした。ソニーは八九年の買収後に経営不振が続いた米コロンビア映画の営業権を九四年十一月に一括償却。二千六百五十億円にのぼる特別損失を計上したが、SECは「一括償却に至る前段階で、コロンビアの経営についての情報が十分開示されていなかった恐れがある」として調査に乗りだした。
115. 公的資金投入の審査基準――平成10年2月26日、金融危機管理審査委員会。
98/ 2/27 日経金融新聞 P 15 4353字 表写絵 FAX可
金融危機管理審査委員会は、預金保険機構が金融機関等から優先株式等の引き受け等の申請を受けたときは、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律に基づき、次の1、及び2、の区分に応じ、当該申請が以下に掲げる審査基準に該当するか否かにつき、速やかに審査をするものとする。
1、申請をした金融機関(以下「申請金融機関」という)が、預金保険法第59条第1項に規定する合併等の受け皿金融機関である場合。
基準1 申請金融機関が、合併等により自己資本の充実の状況が悪化した場合であること(法第3条第3項第1号)。
具体的には、以下のそれぞれのケースにおける(ア)、(イ)の計数の比較の結果、自己資比率が低下していると認められる場合であること。
(1)吸収合併のケース(預金保険法第59条第2項第1号)
(ア)合併の申請金融機関の自己資本比率
(イ)合併後の申請金融機関の自己資本比率
116. 公的資金投入の審査基準――経営の健全性の確保のための計画。
98/ 2/27 日経金融新聞 P 15 805字 FAX可
金融機関に提出が義務付けられる「経営健全化確保のための計画」の要旨は次の通り。
1、経営の現状と諸指標(1995年度末実績、96年度末実績、97年度末見込み)=(1)総資産、総負債、業務純益、ROE(株主資本利益率)(2)自己資本比率(国際基準、修正国内基準)(3)中小企業向け貸出比率
2、不良債権額
(1)現行公表ベース(95年度末実績、96年度末実績、97年度見込み)=(1)経営破たん先債権、延滞債権、金利減免等債権、経営支援先債権とそれぞれの合計(2)不良債権比率(総貸出に占める不良債権合計の割合)(3)債権償却特別勘定の残高(4)引当率(不良債権合計に占める債権償却特別勘定の残高)
117. 衝撃ビッグバン金融業再生への道(9)日銀法改正(基礎コース)
98/ 2/27 日本経済新聞 朝刊 P 31 0字 FAX可
118. 京都信用金庫専務理事粂田猛氏――評価能力磨きVB育成(戦略を聞く)
98/ 2/26 日経金融新聞 P 7 1340字 表写絵 FAX可
都市銀行や地方銀行、有力信用金庫が入り乱れる金融激戦区、京都。京都信用金庫は、強力なライバルと激しい競り合いを通じ、商品開発力や営業力に磨きをかけてきた。 日本版ビッグバンへの姿勢を粂田猛専務理事に聞いた。
――繊維をはじめ地場産業が低迷し、地域経済への危機感が強まっている。
「京都は様々な難局を、新しいモノを見つけ出して乗り切ってきた。産業構造の大変革のなか、ベンチャー企業(VB)をどう支援していくかが地域活性化のカギになる。 九六年にニュービジネス室を新設、VB育成に力を入れている。現在約五百社を支援しているが、技術力や商品性の評価能力を磨き、担保主義から脱却したい。地銀や他の信金、行政とも連携し、地域の要(かなめ)を目指す」
――貸出先の業種構成では製造業、卸・小売業がそれぞれ約二割を占める。
119. 大蔵省方針、連結中間決算、本決算並みに監査――世界に例なく戸惑いも(解説
98/ 2/26 日経金融新聞 P 1 477字 FAX可 本決算同様の監査を導入することに対して、「中間とはいえ、決算に対する会計士のチェックを厳しくするのは必要」(審議会委員)という声がある一方で、「世界に例のない制度を導入して機能するのか」(会計士協会の会長経験者)という戸惑いの声も強い。
米国では「監査」は本決算一回だけで、四半期決算には「レビュー」と呼ばれる簡易チェックで対応している。「監査」では会計士がサインをして、決算書が適正に表記されていることに責任を持つ半面、「レビュー」では結果責任を追求されることはないという違いがある。今回の基準が実施されると、グローバルスタンダードより厳しいということになる。
会計事務所の中には、年二回の本決算並み監査を現実に会計士がこなせるかと心配する声も。また、その場合に企業が監査費用を追加負担してくれるか、という問題もある。
120. 大蔵省方針、連結中間決算、本決算並みに監査――不透明な会計防止。
98/ 2/26 日経金融新聞 P 1 811字 FAX可
大蔵省は二〇〇〇年三月期から企業に開示を義務づけることが決まっている連結中間決算に、本決算並みの公認会計士監査を導入する方針を固めた。三月中に開く企業会計審議会(大蔵大臣の諮問機関)総会で決める。簿外債務の発覚など決算を巡る不祥事が相次いでいることから、企業の決算に対するチェック機能を強化し、粉飾まがいの不透明な決算を防止するのが狙い。
企業会計審では連結中間決算の導入をにらんで、「中間財務諸表監査基準」の全面的な見直し作業を進めている。今回まとめる「中間監査基準」では、監査の「信頼性を保証することができないと判断される場合には、監査手続きの省略は認められない」として、本決算と同様の徹底した監査を求めている。従来、単独の中間決算の際の監査では、本決算監査で実施している手続きの一部を省略できるとしてきた。
121. 改正証券取引法の店頭株取引、困難になる新市場開設――NIFの磯田拓郎会長
98/ 2/26 日経産業新聞 P 21 1334字 表写絵 FAX可
大蔵省は店頭株市場に関して日本証券業協会のみが運営・管理できるように証券取引法を改正、今国会での成立を目指している。これに対し、通産省やベンチャーキャピタル(VC)業界などが「独自の公開株を取引する市場を自由に新設するのが難しくなる」として反対している。市場改革の問題点や課題を通産省産業政策局内の勉強会である店頭市場研究会(座長=西沢昭夫・東北大学教授)のメンバーで、大和証券系のVC、日本インベストメント・ファイナンス(東京)の磯田拓郎会長に聞いた。
――現在の店頭株市場に代わる第二、第三の新市場が日本で開設される可能性は、現時点では低いのではないか。
122. ヒトの遺伝子情報、年間で200万円で提供、かずさDNA研究所――新薬開発
98/ 2/26 日本経済新聞 朝刊 P 13 494字 FAX可
DNA(デオキシリボ核酸)の専門研究機関、財団法人かずさDNA研究所(千葉県木更津市、大石道夫所長)は六月から、ヒトの遺伝子情報をインターネットで製薬会社などに提供する。アクセス料は年間二百万円。遺伝子の塩基配列情報は新薬開発に欠かせず、米国では一社につき数億円で提供されている。DNA研は基礎研究分野で得た情報を廉価で開示し、日本の新薬開発を支援する。
開示するのは、成人の脳細胞から解析した遺伝子千種類の塩基配列。同研究所は「脳に効果のある新薬開発に期待できる」としている。ヒトは十万種類の遺伝子を持つ。DNA研は胎児の脳細胞や各種臓器の遺伝子も解析する予定で、今後五年間で一万種類の遺伝子情報提供を目指す。
同時に、遺伝子の塩基配列をコピーした遺伝子クローンも提供する。クローン作成費などにアクセス料以外に一件一万―二万円が必要。
123. 元国際会計基準委議長・白鳥栄一中大教授が死去――会計基準の統一を説く。
98/ 2/25 日経金融新聞 P 21 427字 表写絵 FAX可
「投資家が求める企業情報の中身は万国共通のはずだ」――。会計基準の国際的な統一作業に長年携わってきた公認会計士の白鳥栄一・中央大学商学部教授(63、写真) が二十三日に亡くなった。日本人として初めて国際会計基準委員会(IASC)議長をつとめ、早くから日本企業にグローバル・スタンダードに合わせた情報開示の重要性を説いてきた。
日本の会計制度の不透明さを常に批判し、経済団体や監督官庁との激論もいとわなかった。日経BP社から出版予定だった本の草稿では「日本の会計は目的がはっきりしない。無理な妥協を図ろうとすると会計制度は複雑骨折しかねない」と現状を憂えていた。
124. 岡山県の3セク岡山空港開発、保養施設の営業停止――運営状況の公開必要に(
98/ 2/25 日本経済新聞 地方経済面 P 35 316字 FAX可 保養施設が開業二年足らずで経営破たんに陥ったことは、自治体による地域振興施設経営の難しさを示している。財政危機に直面する岡山県は、昨年十月にまとめた行財政改革大綱で二十五外郭団体の見直しを決めており、今後、事業の選別を進めることになる。
岡山県の外郭団体が運営している県内施設は、主なものだけでも倉敷チボリ公園、農業体験型レジャー施設「おかやまファーマーズ・マーケット」、コンビナート従業員の交流施設「水島サロン」などがあり、いずれも総事業費は数十億円から百億円以上にのぼっている。県はこれら施設の運営状況も明らかにする必要が出てこよう。
本社が昨年末に実施した第三セクター調査では全国の半数以上が累積赤字解消のメドが立っていない。
125. 企業の決算情報開示、経営者の出席など評価――証券アナリスト協、100社順
98/ 2/25 日経産業新聞 P 1 691字 FAX可
日本証券アナリスト協会(会長代行・加藤精一岡三証券会長)は今三月期決算などを対象に大手製造業や銀行などを情報公開の度合いで本格的に順位付けする。業種ごとに全社について公開姿勢を「格付け」、結果を公表する。米国では三十年以上前からこうしたランキングがある。外国人株主比率の上昇、株主の機関化現象が進んでいることなどに日本でも対応した。
評価業種は、建設、化学、医薬、鉄鋼、機械、電気・精密機器、自動車、総合商社、小売業と銀行。各業界で株式時価総額上位企業十社前後が対象となる。アナリスト協会側が三月上旬、調査対象企業全百十数社に対し評価項目を事前通知する。そのうえで、実際の決算発表時の情報公開姿勢などから通知した項目に従い評価、順位付けする。
126. 衝撃ビッグバン金融業再生への道(8)情報開示――世界標準で(基礎コース)
98/ 2/25 日本経済新聞 朝刊 P 31 0字 FAX可
127. 建設業の監査で会計士協、念書での債務保証を開示――決算書などの信頼回復狙
98/ 2/25 日本経済新聞 朝刊 P 19 536字 FAX可
日本公認会計士協会(高橋善一郎会長)は、保証予約や経営指導念書による事実上の債務保証について、財務諸表での注記を企業に求めることを決めた。近く会員会計士に通知する。会計士の判断に任されてきたゼネコン(総合建設会社)などが抱える債務保証の全容を開示させることで、決算書や会計監査に対する信頼回復が狙い。
今回通知するのは「建設業における債務保証及び保証類似行為に関する会計処理及び表示について」との報告で、会計士の事実上のガイドラインとなる。現在、貸借対照表では「保証債務」の保証先と金額を注記の対象にしているが、保証予約額と「経営指導念書等の記載内容が債務保証または保証予約と実質的に同一であると解釈される場合の保証相当額」も加える。
128. 金融システム改革関連法案のポイント。
98/ 2/25 日本経済新聞 朝刊 P 7 207字 FAX可 【98年12月施行】・証券業の登録制への移行
・会社型投信の創設
・銀行の投信窓販解禁
・証券デリバティブの全面解禁
・取引所集中義務の撤廃
・私設取引システムの導入
・不公正取引規制の整備
・銀行、証券の情報開示強化
・投資者保護基金制度の創設
・保険契約者保護機構の創設
【例外的施行】
・株式委託手数料の完全自由化(99年末までに)
・銀行系証券子会社の業務範囲制限の撤廃(99年度下期中)
・連結ベースの情報開示
(99年4月1日)
129. 特殊法人の情報公開求める(政策)
98/ 2/25 日本経済新聞 朝刊 P 2 146字 FAX可
社民党は二十四日、政府の情報公開法案に関し(1)情報公開の対象外とされている特殊法人を対象に含める(2)事実上、政府に情報開示を求める訴訟を東京でしか起こせない規定を改め、原告の居住地で起こせるようにする――などの修正を求める方針を決めた。二十五日から始まる与党協議でこれらの点を主張する。
130. 公開時の業績予想、修正相次ぎ混乱招く(店頭市場トピックス)
98/ 2/24 日経金融新聞 P 16 1378字 表写絵 FAX可
新規公開した企業が、業績予想を修正する例が相次いでいる。公開時に発表した経営計画の甘さといった要因がまず挙げられるが、情報開示の遅さや不十分さも目立つ。情報開示がきちんとしていない背景には、予想の提示の仕方そのものに明確な原則がなく、企業がどう対応してよいのか戸惑っていることもある。
ワープロソフト「一太郎」のジャストシステムは、公開から三カ月後の一月二十二日に九八年三月期の業績予想を下方修正した。昨年十月の公開時に三十億円の黒字を予想していた経常損益は四十三億五千万円の赤字(前期は七億七百万円の黒字)に、最終損益は四十五億円と初の赤字に転落する模様だ。二十二日に千四百五十円だった株価は四日連続でストップ安を付け、七百五十円まで下げた。
131. 東京ブラウス副社長小宮山善和氏――リストラ一気に(インタビュー卸の将来)
98/ 2/24 日経流通新聞 P 19 1475字 表写絵 FAX可
中堅アパレル会社の東京ブラウス(東京・新宿)はそれまで部長だった小宮山善和氏(43)を二月一日付で代表権を持つ副社長に抜てきした。同社は九七年十二月期まで六期連続で経常赤字が続いている。創業者の長男である戸賀崎利彰社長(54)は当面、現職にとどまるものの、再建は全面的に小宮山氏に任せる。小宮山氏に生き残り策を中心に聞いた。
――副社長に抜てきされた経緯は。
「年明け早々の一月五日、私を含め三人の部長が社長に呼ばれた。九八年十二月期に黒字化するには具体的に何をすべきか、三日間徹夜で話し合い、八日に副社長の指名を受けた」
――これまでの経営の何が問題だったのか。
132. IR協議会と本社、福岡市内でシンポ、「IRの目標は高株価の実現」。
98/ 2/24 日本経済新聞 地方経済面 P 14 415字 FAX可
日本インベスター・リレーションズ(IR)協議会(本部東京)と日本経済新聞社は二十三日、福岡市で「グローバル時代のIR戦略」をテーマにシンポジウムを開いた。 昨年九月に店頭登録から東証二部、大証二部、福証の三市場に同時上場を果たしたサニックスの井上公三経営企画室長ら三人が講演、企業のIR担当者ら約七十人が出席し熱心に聞き入った。
福岡での同シンポ開催は四回目。
井上氏は自らの経験に基づきIRの効果などを説明、「投資家やアナリストへの情報開示は公平、タイムリー、誠実を心掛けている」と述べた。また、イトーヨーカ堂の梅本武資金証券部総括マネジャーは「IR活動に特許はない。良い評価を得ている他社の行為は積極的にマネをすべきだ」と指摘。
133. <図表>「プリズム」の評価モデル。
98/ 2/20 日本経済新聞 朝刊 P 30 0字 表写絵 FAX可
134. <図表>資生堂・デンソー・ニチハ主要3因子トップ企業の比較。
98/ 2/20 日本経済新聞 朝刊 P 30 0字 表写絵 FAX可
135. ニッセイ投資顧問佐川圭一氏――リスク性資産で運用、機動的に配分変更(交差
98/ 2/23 日経金融新聞 P 9 688字 表写絵 FAX可
「顧客とは頻繁に接点を持っている。顧客の声を把握し、それを運用に生かすよう心掛けている」――。ニッセイ投資顧問の佐川圭一チーフ・ポートフォリオ・マネジャーは胸を張る。八〇年に日本生命保険に入社、米リーマン・ブラザーズで投信や投資顧問の米国株や債券の銘柄調査など実戦訓練を一年半受けた。
帰国してからは国際金融部門で運用を担当。九六年から投資顧問に移り、現在は資産管理や運用実績の情報開示などの顧客対応や、会社全体の運用実績の分析や運用方針の検討まで、幅広い業務に携わっている。
全社的に取り組んでいるのが運用実績の情報開示の充実。考え方や結論だけ説明するだけでは不十分だ。ポートフォリオの組み方については一覧表を作って、各銘柄ごとに株価純資産倍率(PBR)の数値まで説明している。「顧客からは説明は簡潔だが、資料は詳しいと定評がある」という。
136. トップよ語れ戦略明確に、アナリスト座談会――日経スタークラブ。
98/ 2/23 日経金融新聞 P 8 477字 FAX可
企業のIRを支援するための会員組織で、参加企業は現在40社。事務局である日本経済新聞社は、参加企業の財務資料を無料で読者に提供するほか、参加企業を対象にしたパネルディスカッション、機関投資家による企業評価調査の実施など、各社のディスクロージャーを支援するサービスを実施している。
参加企業は日経金融新聞(東証上場企業はThe Nikkei Weekly=英文日経にも掲載)の相場面に★マークを付けて表している。読者サービスの詳細は相場面に。参加企業は以下の通り。
137. トップよ語れ戦略明確に、アナリスト座談会――野村證券金融研究所山口正章氏
98/ 2/23 日経金融新聞 P 8 893字 表写絵 FAX可
食品業界は株式の持ち合いが強固なことなどから情報開示に消極的な企業が多かったが、最近は改善してきた。昨年十二月、東食の経営破たんが明らかになった日には、東食株を保有していたり、取引関係があったりした企業の多くが、即日、業績への影響について開示した。
ただ、企業によってIRへの取り組みに温度差があるのも事実だ。IRの主要な手段であるアナリスト向け説明会の運営方法について、いくつか注文を付けたい。
第一に、アナリストが知りたいのは数字だけでなく、その背景にある意味や企業戦略だ。例えば、コカ・コーラグループが飲料価格引き上げを発表しているが、各飲料メーカーが値上げするかどうかという以前に、値上げした場合の収益への影響を分析できるだけの材料を提供してほしい。
138. トップよ語れ戦略明確に、アナリスト座談会――大和総研平野清久氏。
98/ 2/23 日経金融新聞 P 8 922字 表写絵 FAX可
店頭企業はここ数年で資料提供やアナリストミーティングも増え、情報開示の水準は高くなってきた。
情報開示といっても二つの種類がある。ひとつは実績で、もうひとつは将来の計画や方針を明らかにすることだ。これらを明確に分ける必要がある。
アナリストは業績予想を作るのが仕事だが、実績に予断を差し挟むことはできない。 だからこそ、小売りなら月次の売上高、メーカーなら月次の受注高といった実績はまず開示すべきだ。
設備投資計画や新規出店、人材の採用などの将来の開示についても「会社の方針に勝るものはなし」といえる。もちろん、アナリストとしては、「会社では年間七店舗の新規出店を計画しているが、実際は五店舗程度にとどまるだろう」といった分析をすることになる。
139. 九州・沖縄の上場19行、「公的資金」大半が慎重――土地再評価、13行が検
98/ 2/23 日経金融新聞 P 7 879字 表写絵 FAX可
【福岡】総額三十兆円の公的資金投入を盛り込んだ金融システム安定化二法の施行を踏まえ、日本経済新聞社は九州・沖縄に本店を置く上場銀行十九行に対し、対応策や不良債権情報の開示強化などについて緊急アンケートを実施した。優先株発行などによる公的資金の受け入れには大半が慎重な姿勢をみせた。一方、自己資本の拡充策として政府・自民党が検討している土地再評価については、福岡シティ銀行など十三行が実施する見通しだ。関連会社の不良債権額は七行が開示する意向を示した。
140. 公的資金の投入、収益計画など条件――全銀協会長会見、長期収益計画は困難。
98/ 2/23 日本経済新聞 朝刊 P 3 832字 表写絵 FAX可
全国銀行協会連合会の岸暁会長(東京三菱銀行頭取)は公的資金投入に伴う審査などについて日本経済新聞のインタビューに応じた。岸会長は「長期の収益計画の作成は難しい」と語り、開示する情報は、通常の増資の時に必要とされる範囲にとどめるべきだとの考えを示した。
――金融危機管理審査委員会が作成する審査基準が焦点となっているが。
「銀行が市場で資金調達する場合に必要な情報をベースに基準をつくってほしいとお願いしている。収益体力、不良債権、申請する調達額ぐらいの開示なら実態に見合っている」
――長期の収益計画やリストラ策の提示も必要ではないか。
「銀行の収益は金利動向に大きく左右されるので、長期計画をつくるのは難しい。現実的な範囲内で検討してほしい」
141. 「日本責任論」が前面に出たG7(社説)
98/ 2/23 日本経済新聞 朝刊 P 2 1820字 FAX可
七カ国(G7)蔵相・中央銀行総裁会議は先進各国の経済状況を点検し政策協調を目指す場である。メンバー国の経済をどう判断し、どういう方向を求めるか、世界経済の主要問題にどこまで有効な解決策を打ち出せるか――がポイントだ。現在の「主要問題」は言うまでもなくアジア通貨危機への対応であり、広く新興市場における危機予防である。
そうした視点で今回のG7ロンドン会合の結果を評価するとき、まず、異常ともいえるほどの「日本責任論」の高まりを指摘しなければならない。会合後の共同声明は「日本においては、経済活動は低迷し、見通しは弱い」と指摘し、さらに国際通貨基金(IMF)の見方を引用する形で今年の経済活動を下支えする「財政刺激」を求めた。
142. 水と河川めぐる議論紛糾――バランスよく状況見る意識を(今を読み解くこのX
98/ 2/22 日本経済新聞 朝刊 P 17 1042字 FAX可
「飲み水の危機」「ダムはムダ」といったセンセーショナルなタイトルの本が相次いで出版されている。水や河川をめぐる議論が紛糾するのは、身の回りの生活や都市活動との隔たりが大きくなり、身近な問題として把握できなくくなったためだ。これまで情報開示に消極的だった事業者側の責任は重いが、いたずらに危機感をあおる主張も疑ってかかる必要がある。
長良川河口堰反対運動のリーダーだった天野礼子編『21世紀の河川思想』(共同通信社)は「二十世紀は川殺しの時代だった」としたうえで、巨大なダムとコンクリート堤防で固められた河川を建設官僚から市民の手に取り戻し、「川とともに生きる」時代の到来を訴える。同書は「二十一世紀の河川思想の基盤は河川の持つ多様な価値を最大限に維持すること、そのために河川の流れを復活させるべきだ」と言い切る。
143. 保険「支払保証制度」12月スタート、保証水準引き下げも――経営破たん防止
98/ 2/21 日本経済新聞 朝刊 P 4 1215字 表写絵 FAX可
経営破たんした保険会社の契約者を保護する仕組みである「支払保証制度」が十二月一日付で発足することが決まった。破たん保険会社の契約を引き継ぐ「保険契約者保護機構」を設立、二〇〇一年三月末までは原則、保険金を全額保護する。大蔵省は破たん防止につながる早期是正措置も導入し、ビッグバン(金融大改革)を前に保険契約者を保護する枠組みを整えるが、大型破たんが相次げば保証水準が引き下げられる可能性もある。
《積立金の9割保証》保険会社は通常、契約者から受け取った保険料の一部を将来の保険金支払いに備えて積み立てている。経営破たんした保険会社ではこの積立金が不足している場合が多い。新設する保護機構は積立金の九〇%を保証することが決まった。
144. G7共同声明案の骨子。
98/ 2/21 日本経済新聞 夕刊 P 1 174字 表写絵 FAX可 一、日本の経済成長は弱く、アジア経済安定のためにも力強い内需拡大が必要
一、米国、英国、カナダはインフレなき成長の継続が課題
一、ドイツ、フランス、イタリアは経済成長が続いているが、失業減に結びついていない一、アジア金融危機を踏まえ、国際資本市場の監視と適切な情報開示を強化する
一、IMFの財政基盤の強化が重要
一、インドネシア支援でG7が貿易信用を拡充
145. 東証・名証1部に上場、ヤマウラが来月2日。
98/ 2/21 日本経済新聞 地方経済面 P 3 283字 FAX可
東証、名証第二部のヤマウラは三月二日、東証、名証第一部に上場する。不安定な状態が続く株式相場を踏まえて、上場に伴う新株式の発行や売り出しは見送った。「一部上場によって社会的な信用が増し、取引先との関係や採用活動などでプラスの効果が期待できる」(山浦裕政副社長)としている。
同社は九五年九月に名証二部に上場、昨年八月には東証二部に上場した。その後も一部上場を目指して、発行済み株式数や株主数など基準を満たすための社内整備を進めてきた。
一部上場を機に情報開示を強化するとともに、建設業界で活発になっている、国際的な品質保証規格「ISO9001」の取得を急ぐ方針だ。
146. 親和銀・十八銀、関連会社の不良債権公表へ。
98/ 2/20 日経金融新聞 P 8 186字 FAX可
【長崎】親和銀行と十八銀行は九八年三月期決算で関連会社の不良債権を公表することを決めた。「三カ月以上六カ月未満の延滞債権」も情報開示する。経営の透明性を高めるのが狙いだ。
不良債権を公表する関連会社は親和銀が「西九州保証サービス」と「しんわディーシーカード」の二社、十八銀は「十八カード」「十八総合リース」「長崎保証サービス」の三社で、開示額はいずれも関連会社の合計額。
147. 申孝園ロータスヴィラ施設長三田道弘氏――経営情報を徹底開示(福祉に賭ける
98/ 2/20 日経産業新聞 P 19 793字 表写絵 FAX可
宗教法人「国柱会」が事業主体である有料老人ホーム、申孝園ロータスヴィラ(東京・江戸川)の施設長に就いておよそ十年。「透明性の高い経営が肝要」と考え、入居者に対する情報開示をかじ取りの基本にしてきた。
典型例は「介護料判定基準点数表」。入浴や食事、洗濯など項目ごとにきめ細かく点数を決め、一点千円で一カ月の介護料を計算する明朗会計だ。点数は入居者の意見を聞きながら随時、見直している。損益計算や部門別収支のデータも示す。
月一回開く懇話会は、施設スタッフと入居者が施設運営について話し合う場だ。「隠し事は一切しない。何事も合意の上で実施する」。公的介護保険については法案が事実上国会を通った翌日の懇話会で早速取り上げ、制度に関する入居者の質問に答えた。投書箱の設置など入居者との円滑なコミュニケーションに気を配る。
148. 多角的企業評価システム「プリズム」――転換期迎え揺れる評価軸。
98/ 2/20 日本経済新聞 朝刊 P 30 1321字 FAX可
各種の企業ランキングが盛んな点で、日米は双璧(へき)をなす。財務データだけでなく、社会性を加味して企業を評価する試みでも両国は共通している。企業の影響力が大きな社会では株式会社が純然たる私企業ではあり得ず、公共物の性格を帯びてくることの反映だろう。
動機は似ていても結果は違う。「優れた会社」を選ぶプリズムのコンセプトに近い米国の調査は「最も尊敬される会社」(米誌フォーチュン)だろう。九七年調査のトップ5はゼネラル・エレクトリック、マイクロソフト、コカ・コーラ、インテル、ヒューレット・パッカードで、株主資本利益率(ROE)の平均は三二・三%に達する。プリズムの上位五社の平均ROE九・七%は日本の上場企業の平均値の約二倍だが、米国企業に比べるとまだ見劣りする。
この格差は、株主重視の米国と利害関係者重視の日本の価値観の違いと説明されるが、株主重視=利益至上主義の連想は必ずしも正確ではない。
149. 多角的企業評価システム「プリズム」――「収益・成長力」が重要に。
98/ 2/20 日本経済新聞 朝刊 P 30 2362字 表写絵 FAX可
日本経済新聞社が日経リサーチと共同開発した多角的企業評価システム「プリズム(PRISM)」で優れた会社をランキングしたところ、「収益・成長力」でニチハ、アロン化成、ショーボンド建設が同点で一位となり、「社会性・透明性」では資生堂、「環境・研究」ではデンソーがトップとなった。ニチハは窯業系住宅外装材の高収益性、資生堂は内部監査体制など、デンソーは開発要員の手厚さが評価された。ただ、総合得点で見ると資生堂が三位に入った以外は五十位以下にとどまり、必ずしも総合的な評価は一致しなかった。総合得点の上位には、「収益・成長力」と「社会性・透明性」がそろって比較的高い評価を得た企業が並んだ。
ランキングを構成する四つの因子は九六年度と同じだが、総合得点を算出する際の影響度は大きく変わった。
150. 今3月期、城南信金、最終赤字に――293億円、財務指標を改善。
98/ 2/20 日本経済新聞 朝刊 P 7 459字 FAX可
信用金庫最大手の城南信用金庫は九八年三月期決算で多額の不良債権処理を実施、大幅な最終赤字を計上する。赤字幅は二百九十三億円となる見通しで、二十日に開催する顧客への説明会で発表する。日本版ビッグバン(金融大改革)では都市銀行などとの競合が激しさを増すと判断、財務体質の早期改善を図る。
同信金は決算概況や経営内容を開示するため、経営陣が取引先企業や預金者など約七百人を対象に二十日に東京都内のホテルで説明会を開催する。不良債権額や処理状況を明らかにして経営の透明性を高める。
九八年三月期は自己査定の回収不能債権(第四分類)と回収に重大な懸念がある債権(第三分類)の合計額の全額にあたる四百二十億円(取引先数は合計で約二千六百件) を不良債権として処理する。一分類から四分類の債権額のほか、分類ごとの取引先の数を明らかにし、融資額別の取引先数も開示する。
151. 九州・沖縄の上場19行、公的資金導入、大半が慎重――金融2法施行、本社調
98/ 2/19 日本経済新聞 地方経済面 P 14 905字 表写絵 FAX可
十八日施行された総額三十兆円の公的資金投入を盛り込んだ金融システム安定化二法を踏まえ、日本経済新聞社は九州・沖縄に本店を置く上場銀行十九行に対し、対応策や不良債権情報の開示拡充などについて緊急アンケートを実施した。それによると、優先株発行などによる公的資金の受け入れには大半が慎重な姿勢。一方、自己資本の拡充策として政府が検討している土地再評価については、福岡シティ銀行など十三行が実施する見通しだ。関連会社の不良債権額を開示する意向の銀行は、十八銀行など七行に上った。
152. 22ヵ国蔵相代理会議、情報開示強化促す――アジア危機で合意。
98/ 2/18 日本経済新聞 夕刊 P 2 493字 FAX可
【ワシントン17日=町田徹】日米欧の主要七カ国を含む二十二カ国の蔵相代理がアジア金融危機の再発防止策などを話し合う会議が、十七日、ワシントン市内のホテルで開かれた。ルービン財務長官が冒頭で声明を発表、「情報開示の強化と透明性の拡充」などの課題を列挙、参加した新興国に改革への取り組みを促した。四月十六日の国際通貨基金(IMF)の暫定委員会の直前に、二十二カ国蔵相会議を開いて外貨資金繰りの公表などの具体案を作成、同暫定委員会に報告することも固まった。
今回の蔵相代理会議には、大蔵省の榊原財務官ら七カ国代表のほか、中国、韓国、タイ、インドネシア、ブラジル、メキシコ、ロシア、ポーランドなど、危機の当事国や国際金融市場と密接なつながりのある途上国代表が出席した。
153. 総裁「意見交換は必要」、急がれる明確な情報開示(BOJウォッチャー)
98/ 2/18 日経金融新聞 P 2 640字 FAX可
大蔵省の金融検査を巡る汚職事件で、同省の前金融証券検査官室長などが東京三菱銀行や住友銀行などからも接待を受けていたことが明らかになった。金融機関と幹部職員約六百人との交際について実態調査を進める日銀も、降りかかる火の粉を振り払うのは難しい状況になってきた。
▼…「厳格な規定必要」 松下康雄日銀総裁は十七日の会見で、金融機関と日銀の職員の交際に関して「中央銀行員としての視野を広げるために必要」との認識を繰り返した。市場の「情報戦」を制するためには、民間との意見交換の場が欠かせないというわけだ。
とはいえ、それが過剰だったり、中央銀行しか知り得ない情報を提供する場となってはならない。松下総裁も「中央銀行の公共的な性格を考えれば、(交際の)節度は厳格でなければならない」と発言。新日銀法の下で定める職員の服務規定を盛り込んだ準則は厳しい内容になりそうだ。
154. 通信各社、株価低迷でIRに腰上げる――内需・公益型企業着々とIR強化。
98/ 2/18 日経産業新聞 P 30 806字 FAX可
国内市場相手の内需型ビジネスで、株主より顧客を重視しがちな公益企業型、というのがこれまでの通信各社の特徴。IR先進企業として名前があがる企業に、ソニー、富士通、ロームなど国際競争にさらされてきた企業が多いのとは対照的だ。
「経営戦略の一環としてのIR」(広報センター)を掲げるソニーの場合、七〇年に米国、八二年は欧州にすでに専任スタッフを配置。海外機関投資家とのコミュニケーション強化のための取り組みの早さでは群を抜く。
担当役員による定期的な個別訪問のほか、随時経営トップが投資家と直接話をする機会を作る。九七年九月期の外国人持ち株比率は四三・八%に達した。
155. 通信各社、株価低迷でIRに腰上げる――トップ走るがなお試行錯誤。
98/ 2/18 日経産業新聞 P 30 2382字 表写絵 FAX可
これまで規制当局と利用者ばかりに目が向きがちだった日本の通信各社も、国内外の投資家を対象としたIR(投資家向け広報)にようやく力を入れ始めた。株価下落を止める緊急対策から長期的な安定株主作りまで動機は様々。経営トップ自らが前面に出る積極さは評価できるが、IRを経営戦略の中に明確に組み込んでいるハイテク関連のIR先進企業に比べると、試行錯誤の域を出ていないようだ。 (渡辺園子)
「情報を出さないと言われて株価が下がり、出したら出したでまた下がるんだから」。長距離系新電電、DDIのある経営幹部の表情はさえない。
DDIが携帯電話やPHS(簡易型携帯電話)などグループの各事業について二〇〇二年三月期までの事業見通しを示した「DDIグループの中期展望」を発表したのは一月二十九日。同日に開いたアナリスト説明会でも、奥山雄材社長が自ら説明に立った。
156. 衝撃ビッグバン金融業再生への道(3)リスク管理――両立図る(基礎コース)
98/ 2/18 日本経済新聞 朝刊 P 31 0字 FAX可
157. 公募増資時の財務内容開示義務、1億円以上に対象拡大――野村総合研究所大崎
98/ 2/18 日本経済新聞 朝刊 P 17 242字 FAX可
大崎貞和・野村総合研究所資本市場研究室主任研究員の話 中小・ベンチャー企業が公募増資で資金を調達できる環境を整えるという観点から、こうした法整備は歓迎すべきだ。これまでインターネットを通じて企業が少額の公募増資を実施した例を見ても、開示内容が不十分だったと思う。
ただ、基準額の引き下げが必要以上の規制強化となり、企業が直接金融を避けることにならないように配慮する必要がある。省令で開示制度の詳細を詰める段階では、連結会計の免除だけでなく、監査を受ける負担の軽減措置などを望みたい。
158. 公募増資時の財務内容開示義務、1億円以上に対象拡大、大蔵省が方針。
98/ 2/18 日本経済新聞 朝刊 P 17 749字 FAX可
大蔵省は一億円以上の株式の公募増資・売り出しを行う企業に対して、財務内容の開示を義務付ける方針を固めた。これまで五億円以上としてきた基準額を下げ対象を広げる。昨年、証券会社に未公開株の売買を解禁したほか、インターネットを通じてベンチャー企業が独自に投資家から資金を集めるケースが出てきたため、投資家保護の観点から制度を改める。三月中旬にも国会へ提出する証取法改正案に盛り込み、年内にも実施する方針だ。
五十人以上の投資家を対象に五億円以上の株式の公募増資・売り出しを実施する場合、未公開企業も証券取引法によって上場、公開企業と同様に開示が必要。貸借対照表や損益計算書などによって財務内容を開示し、その後も半期ごとに開示しなければならない。
ただ、五億円未満の場合は発行時に会社の概要や発行額などを簡単に記載した有価証券通知書を大蔵省に提出するだけで済んでいた。
159. 邦銀格付けで日債研、引き下げの方向継続。
98/ 2/18 日本経済新聞 朝刊 P 7 165字 FAX可
日本公社債研究所は十七日、邦銀の格付けを引き下げる方向で検討することを継続すると発表した。金融システム安定化関連二法の成立で銀行の経営破たんは当面、回避されたが、高水準の不良債権や不透明なディスクロージャー(情報開示)などの問題は解決されていないと判断した。日債研は既に九六年十一月から銀行格付けを引き下げの方向で見直していた。
160. 米ケネディー・ウィルソン、回収支援事業、日本で展開――邦銀の損切り売り(
98/ 2/17 日経産業新聞 P 1 729字 FAX可 欧米の投資家が不良債権の購入に興味を示しているのは、資産圧縮を急ぐ金融機関が不良債権の損切り売りを始めたことがきっかけ。債権購入額を上回る価格で担保不動産を売却できれば、投資家は高い投資利回りを確保できるとの期待がある。しかし、日本は海外に比べ不動産情報の開示が遅れており、債権回収には長い時間と膨大なコストがかかる。海外の投資家の間で債権回収支援サービスの需要が高まっている背景にはこうした理由がある。
商業ビルを例にとると、海外では投資収益を大きく左右するテナントの営業実績などの情報が投資家に開示されるのが普通だ。これに対して、日本ではビルオーナー自身がテナントの情報を正確に把握していないケースが多い。このため、投資家は収益性に見合った正当な査定ができず、スムーズな不動産売買を阻害する要因になっている。
161. 「私設秘書」の仕事を情報開示(新・職場を生き抜く法)
98/ 2/16 日本経済新聞 夕刊 P 15 713字 表写絵 FAX可
「例の資料、今日中に用意しといて」「午後、お客さんの所へ持っていく菓子折り、買ってきておいてね」「これ、コピーしといて」「この報告書、適当に空欄埋めて提出しといて」
営業課で庶務を一人で担当しているノリコの日常はこんな感じだ。課長以下、課の営業マンはノリコのことをまるで私設秘書のようにこき使う。彼女がどんなに忙しくても、そんなことはお構いなしに、自分の都合だけで、どんどん仕事を依頼してくるのだ。
そんな毎日を過ごしているノリコは時として爆発しそうになる。「私の体はひとつよ。そんなに一度にできるはずないじゃない!」と。そしてその後は決まって、受けただけでできなかった仕事が発生し「困るじゃないか。ちゃんとやってくれなきゃ……」というおしかりが待っている。
162. 商社、日本売りの標的に、情報開示など課題(産業スコープ)
98/ 2/16 日本経済新聞 朝刊 P 43 0字 FAX可
163. 米加州公務員退職年金基金理事長ウィリアム・クリスト氏(ワールドインタビュ
98/ 2/16 日本経済新聞 朝刊 P 11 1464字 表写絵 FAX可
米国最大の州年金で、行動する株主のリーダー格として知られるカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)は二月中にも、日本企業を対象にした「コーポレートガバナンス(企業統治)原則」を策定し、インターネット上などで公表する。日本固有の資本市場構造や経営手法を認めつつも、不祥事などの温床になってきた株主軽視の経営を断罪する内容となる。ウィリアム・クリスト理事長に狙いなどを聞いた。
――日本で金融機関などの不祥事が相次いでいる原因は何だと思うか。
「経営者が株主の方を向いてこなかったことに尽きる。企業には株主、債権者、従業員などさまざまなステークホルダー(利害関係者)がいるが、株式会社として、株主を重視しない経営は失格だ」
164. 投信の純資産シェア、準大手証券系が低下、1月18%割る――外資躍進のあお
98/ 2/16 日本経済新聞 朝刊 P 5 533字 表写絵 FAX可
準大手証券系列の投資信託会社の地位低下が目立っている。一月末の純資産は七兆三千五百億円と前年度末に比べて一五%減り、投信市場全体に占めるシェアは一八%を割り込んだ。三洋証券、山一証券の破たんを背景に親会社である証券会社の経営の安定度を重視する投資家が増えているうえ、運用力の評価が高い外資系投信会社の躍進のあおりを受けた格好だ。
準大手系投信会社十一社(長期信用投信と第一勧業朝日投信投資顧問を含む)のシェアは九三―九四年ころは二四%程度で推移していた。その後徐々に下がり、特に三洋が破たんした昨年十一月以降、低下傾向が強まった。
三洋投信委託が一月末の純資産を前年度末に比べて七六%減らしたほか、太平洋投信でもこの間に六二%減った。十一社のうち今年度に入って純資産を増やしているのは国際投信委託(一五%増)、新和光投信委託(四%増)の二社だけで、二割前後減少しているところが多い。
165. 生保の格付け――低位、年金の契約流出(金融ザランキング)
98/ 2/16 日本経済新聞 朝刊 P 5 1461字 表写絵 FAX可
経営再建中の中堅生命保険会社、東邦生命保険が世界最大のノンバンクのGEキャピタルの実質傘下に入る、と報道された翌日の二月五日。米格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「東邦生命の格付けを引き上げの方向で見直す」と発表した。
ムーディーズによる東邦生命の格付けは保険金支払い能力が「かなり弱い」とされるCaa1で、日本の生保では最低のランク。一方、GEキャピタルは最上級のトリプルA(Aaa)を取得している。「まだ合意内容は一切明らかにされていないのに……」。ムーディーズがいち早く格付け引き上げの可能性を示唆したことに、国内の生保関係者は驚いた。
166. 年金ファンド解禁・上場手続き簡素化、ドイツもビッグバン推進。
98/ 2/14 日本経済新聞 朝刊 P 7 953字 表写絵 FAX可
【ボン13日=玉利伸吾】ドイツで欧州通貨統合に向けた資本市場活性化策が一斉に動き出す。連邦議会(下院)は十三日、独版金融ビッグバンを進める「第三次金融市場振興法案」と「資金調達促進法案」を可決、連邦参議院(上院)に送付した。二法案には独金融市場の競争力を強め、内外の投資を呼び込み雇用創出につなげる狙いがある。 特に三次振興法では年金ファンドの解禁など規制緩和を軸に欧州の金融センターをめざす。政府はさらに第四次法を準備、英米市場に対する大幅な遅れを取り戻すため改革を急ぐ。
二法とも三月初めに成立の予定で、四月一日から施行する。独政府は通貨統合による金融市場間の競争激化に対応、規制緩和によって証券市場の競争力を強化する考え。二法などで金融センターとしての機能を高めれば、雇用促進にもつながるとみている。さらに、現在、審議中の「ユーロ導入法」なども証券市場を活性化すると期待している。
167. 金融2法案16日成立へ――緊急避難で一時的安定、ビッグバンに備え銀行経営
98/ 2/14 日本経済新聞 朝刊 P 3 1159字 FAX可
金融改革という点で、今回の法制化は「一歩後退」と言わざるを得ない。とりわけ、新法による資本注入は古びた一九三〇年代の米復興金融公社(RFC)の対策を、しかも、都合のいいところだけをつまみ食いしたものでしかない。
三〇年代の米国ではRFCによる銀行の優先株買い上げの前後に、当時の銀行の約四割が倒産し、銀行経営者の責任追及と退陣が断行された。優先株買い上げで銀行不安は収まったが、大恐慌以来、五分の二に収縮した企業向け貸し出しは三〇年代を通じてほとんど増えなかった。八〇年代の米金融危機では、RFC方式は採用されなかった。
そうした“底割れ”の策ではあるが、それにすがる以外に信用回復がおぼつかないのが、この国の金融の実態とすれば、きれいごとを言っていられないというのが政府・与党の本音だろう。野党は一応、修正案を出したが、「反対して万一、金融不安が深まったらどうするか」と本腰が入っていなかった。
168. 12日の東証業務委員会で決まった主な項目。
98/ 2/13 日経金融新聞 P 3 283字 表写絵 FAX可 12日の東証業務委員会で決まった主な項目・「付け替え」を防止するため、4月をめどに自己注文と委託注文の区分発注を証券会社に業務付ける・売買取引停止制度を改正して6月をめどに実施。原則として情報開示後90分経過時点で取引を再開
・時価総額、流動性が特に高い30銘柄で構成する「コア30」など新しい株価指数6種類を4月をめどに算出、公表・有価証券と代金の同時引き渡し(DVP)制度の導入を検討
・東証と各証券会社をオンラインで結ぶネットワークシステムを2000年までに構築・3月2日からオンライン入力規制を撤廃。すべての株式売買注文を証券会社がオンライン入力できるようにする
169. 資料請求、ATMで受け付け――常陽銀が経営内容開示。
98/ 2/13 日本経済新聞 地方経済面 P 43 446字 FAX可
常陽銀行は現金自動預け払い機(ATM)で資料請求を受け付けるサービスを始める。銀行の経営内容への関心が高まっていることに配慮し、商品のパンフレットだけでなくディスクロージャー(情報公開)資料も対象に含める。同種のサービスを展開するのは関東の地銀では初めて。
ATMの画面で「資料請求」メニューを指定し、必要な資料を選択すると、顧客の自宅に資料が郵送される仕組み。住宅、教育など各種個人ローンのパンフレットのほか、経営内容や業績を紹介するディスクロージャー誌、サービスを総合的に案内する「上手な銀行の利用法」など六種類の資料が対象。十六日の末広町支店(水戸市)を皮切りに、五月末までに全店で利用できるようにする。
170. 情報開示後90分で再開、東証が株式売買停止制度を変更――6月メド、取引機
98/ 2/13 日本経済新聞 朝刊 P 23 666字 FAX可
東京証券取引所は十二日の業務委員会で、株式や転換社債の売買停止制度を変更することを決めた。投資判断に重大な影響を及ぼす可能性がある情報が流れた場合、原則として情報開示後九十分で取引を再開する。市場参加者から現在の終日取引停止では売買機会を逃がすとの声が多かった。他の七証券取引所とも連携して六月をめどに実施する。
東証は現在、重要情報が報道されると、事実関係の確認、周知をさせるため、その企業の株式、転換社債の売買を終日停止している。新制度では売買を停止した後、企業が正式に発表した内容を複数の報道機関(電子媒体を含む)が伝えたことを確認した時点で、九十分後の取引再開時刻を公表、取引を再開する。注文は取引再開の三十分前から受け付ける。
情報開示後、東証が監理ポスト入りを決めた場合は、決定後から九十分後に再開。整理ポスト入りの時は、取引を終日停止。立会外取引も同じ扱いとする。
171. 信金、不良債権の開示拡大、今3月期決算から――「延滞」「金利減免」も。
98/ 2/12 日経金融新聞 P 3 717字 FAX可
全国の信用金庫が九八年三月期決算から不良債権の開示範囲を拡大する。これまで信金は経営破たん先債権のみを公表してきたが、新たに延滞債権、金利減免債権、経営支援先債権を開示する。信金の情報開示のあり方を検討していた全国信用金庫協会(会長、加藤敬吉岐阜信金会長)が「顧客から経営の透明性を求める声が高まっている」と判断、各信金に開示内容の拡充を求めることにした。
従来、多くの信金では決算の集計後に顧客に配布するディスクロージャー(情報開示)誌のなかで、経営破たん先債権の金額のみ明らかにしてきた。預金量が一兆円を超える大手信金のなかには自主的に開示範囲を拡大し、銀行並みの情報開示を実施していたが、業界の一部からは「株式会社でないのにそこまで開示する必要はない」との意見もあった。
172. 公的支援、市場の判断で――コロンビア大学教授チャールズ・カロミリス氏(経
98/ 2/12 日本経済新聞 朝刊 P 21 0字 表写絵 FAX可
173. <図表>日米の年金会計の比較(企業収益脅かす年金債務)
98/ 2/11 日本経済新聞 朝刊 P 15 0字 表写絵 FAX可
174. 企業収益脅かす年金債務(下)整備進む年金会計基準――情報開示強化促す。
98/ 2/11 日本経済新聞 朝刊 P 15 1405字 表写絵 FAX可
「多額の利差損(予定利率と実際の運用利回りの差による運用益の不足額)の発生で、厚生年金基金の資産が不足する事態が生じている」「不足額は七年間にわたり拠出」――高島屋は九七年二月期の有価証券報告書で、年金財政の悪化についてこう記した。 金額は示していないが、積み立て不足の具体的な理由に言及したのは初めてだ。同社は
「基金の財政を健全化するため、特別掛け金の計上で損益に影響が出た以上、開示の必要があると判断した」(主計部)と説明する。
高島屋の情報開示は、年金会計の枠組み作りを進めている企業会計審議会(蔵相の諮問機関)の動向を踏まえたものと言える。会計基準を整備することで、年金、退職一時金などの債務が企業財務と企業収益に与える影響を明らかにし、企業間の比較を可能にしようというものだ。
175. 主幹事。
98/ 2/11 日本経済新聞 朝刊 P 3 163字 FAX可
主幹事 企業が株式や社債などの発行で資金調達する際、事務手続きを中心になって処理する証券会社。決算発表など企業の情報開示を支援する役割も大きい。店頭企業では株式の値付け業務も担う。一社だけでなく、複数の証券会社が共同で主幹事を務める企業もある。一般的には新規公開や上場時に主幹事だった証券会社が、その後も継続する場合が多い。
176. 山一破たん、主幹事見直す契機に――日産など17社、固定せず。
98/ 2/11 日本経済新聞 朝刊 P 3 739字 FAX可
山一の自主廃業決定によって、上場・店頭企業の主幹事が一気に流動化した。結果的には野村など大手証券三社が大半を肩代わりした格好だが、ビッグバン(金融大改革) をにらんで主幹事の役割を見直す好機とする企業も出ている。
主幹事証券は企業の株式や債券発行による資金調達、情報開示などに主導的な役割を果たす。それだけに、山一の代わりの主幹事には経営の安定した大手証券を選ぶ企業が多い。
ただ、今回の調査では日産自動車、藤沢薬品工業、富士通ゼネラルなど上場企業十七社が山一破たんを機に「今後は主幹事を置かない」と回答した。主幹事を固定するよりも、資金調達のたびに証券会社を代える方が有利な条件を引き出せると判断した。主幹事の役割が大きいエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)の比重が低下、社債発行が主流になっていることも背景にある。
177. 旭硝子、中間決算でも連単同時発表。
98/ 2/10 日経金融新聞 P 17 326字 FAX可
旭硝子(5201)は九八年九月中間期から連結中間決算を発表する。「グローバルに事業展開している当社の実力を投資家にみてもらうには、連結の情報開示強化が欠かせない」(坂元昌司常務)としている。同社の九七年三月期の連単倍率は売上高で一・四八倍、営業利益で三・八六倍、純利益では一・二七倍となっている。
決算発表は十一月十九日に連単同時を予定。従来は十月末に実施していたが、連結ベースでの集計作業が加わるため十一月にずれ込む。決算短信は「連結を単独より前のページにもっていくことを検討している」(経理部)。
アナリストの間では「タイムリーな情報開示の観点から評価できるが、重要な子会社に関する情報など開示の中身が肝心」(大和総研の中川雅人氏)との声もある。
178. 今期決算、関連会社の不良債権額、佐賀銀も公表。
98/ 2/10 日本経済新聞 地方経済面 P 14 367字 FAX可
佐賀銀行は九日、同行の関連会社の不良債権額を九八年三月期決算で公表する意向を明らかにした。また、「三カ月以上六カ月未満の延滞債権」も開示する。九州では福岡銀行がすでにこれら項目の情報開示を表明、佐賀銀がこれに追随した格好で、他の銀行も競争上、不良債権情報の開示拡充を迫られる公算が大きくなってきた。
不良債権額を公表する関連会社は、佐銀信用保証と佐銀リースの二社。この二社の総額を開示し、企業別には開示しない方針。また破たん先債権など従来の開示四項目に加え、金利の支払いが三カ月以上六カ月未満滞っている金利延滞債権の総額も公表する。
全国銀行協会連合会は「三カ月以上六カ月未満の延滞債権」と「金利引き下げ・返済猶予債権」の定義を現在詰めており、定義が早い段階で確定すれば、佐賀銀も「金利引き下げ・返済猶予債権」の額を開示する方向だ。
179. <図表>第10回企業イメージ調査。
98/ 2/10 日経産業新聞 P 22 0字 表写絵 FAX可
180. <図表>経営情報の公開に積極的な上位10社。
98/ 2/10 日経産業新聞 P 22 0字 表写絵 FAX可
181. 第10回企業イメージ調査――ディスクロージャーに積極的、ソニーIRで群抜
98/ 2/10 日経産業新聞 P 22 966字 表写絵 FAX可
ディスクロージャー(情報開示)に積極的だと思う人が最も多いのはソニー――。日本経済新聞社・日経産業消費研究所が九日まとめた「第十回日経企業イメージ調査」で出た結果だ。ランキング上位には、好業績で投資家の関心が高い企業が並んだ。今後十年間の成長イメージは情報・通信関連企業で強く、地球環境への配慮では自動車、電機メーカーの躍進が目立った。 (日経産業消費研究所研究員 前島雅彦)
ソニーに対し「自社の経営情報の公開に積極的」というイメージを持つ人は、ビジネスマンで二五・八%、一般個人では一九・九%にのぼった。「投資家が何を求めているかを常に考え行動している」(ソニーの森本昌義上席常務)ことが、投資家だけでなく、株式投資をしない人からも高く評価された背景だ。
182. <図表>厚生年金基金の年金信託の利回り(企業収益脅かす年金債務)
98/ 2/10 日本経済新聞 朝刊 P 19 0字 表写絵 FAX可
183. 企業収益脅かす年金債務(上)時価会計導入の衝撃――相次ぐ評価損補てん。
98/ 2/10 日本経済新聞 朝刊 P 19 1258字 表写絵 FAX可
年金が企業収益を揺さぶっている。九七年度から厚生年金基金に時価会計が導入され、資産の評価損が明確になる。しかし企業には年金債務の詳細な情報を開示する義務がないため、一般投資家らが外部から年金の実態を把握するのは依然として難しい。年金の積み立て不足は債券格付けなど企業評価に影響し始めているだけに、情報開示の拡充を求める声が一段と高まりそうだ。
西友、西武百貨店など約二百社が加入するセゾングループ厚生年金基金が今三月末の株価に気をもんでいる。今の株価水準が続けば、百億円近い評価損の発生が避けられないからだ。
厚生年金基金は九七年度から、資産の評価方法を取得価格から時価に変更する。各基金は九八年三月末時点の市場価格で年金資産を評価しなければならない。この時、年金資産の簿価が時価を上回り、評価損が発生した場合、この損失を三―二十年で償却する。
184. 有利子負債削減計画、東急不、見直しも――預り保証金返還請求で。
98/ 2/ 9 日経金融新聞 P 17 772字 表写絵 FAX可
東急不動産(8815)の有利子負債削減計画が、ゴルフ会員権の預託金(東急不にとっては預かり保証金)の返還請求に伴う新たな資金需要の発生で、見直しを迫られる懸念が出てきた。景況感の悪化やゴルフ会員権相場の下落で、会員権の解約が通常に比べ多くなる可能性があるためだ。東急不では「返還請求は想定通りで問題はない」(日下部二郎取締役)としているが、返還請求の状況について情報開示はしていない。
ゴルフ場では一般に、会員募集の際、会員から預託金を預かる。五―十年の据え置き期間を過ぎれば、会員は会員権を返上し、預託金の返還を請求できる仕組みが多い。預託金は無利子で、ゴルフ場を運営する企業にとってはコストのかからない貴重な資金源となる。また、会員権の流通価格が上昇していれば、ゴルフ場側に返還請求はこないが、会員権相場が下落している現状では返還請求が増える。
185. 福岡銀、不良債権開示を拡充、今期「返済猶予」など2項目追加――米SEC基
98/ 2/ 9 日経金融新聞 P 6 804字 FAX可
【福岡】福岡銀行は九八年三月期決算で不良債権に関する情報開示を拡充する。破たん先債権など従来の開示四項目に「三カ月以上六カ月未満の延滞債権」と「金利引き下げ・返済猶予債権」を加え、開示基準を米証券取引委員会(SEC)基準並みにする。 またカード、リースなどファイナンス系の関連企業の不良債権額も公表する。情報開示の拡充を通して経営の透明性を強調することで、市場や株主、顧客からの信認を高める。
同行が九七年九月中間期に開示した不良債権は、経営破たんした先への貸し付けである「破たん先債権」、金利の支払いが六カ月以上滞っている「金利延滞債権」、金利を公定歩合以下の水準まで引き下げた「金利減免債権」、債権放棄などで経営を支援している「経営支援先債権」の四項目。
186. <図表>不動産・金融保険・建設業向け融資残高(金融ザランキング)
98/ 2/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 5 0字 表写絵 FAX可
187. 医療費のレセプト、5年分まとめて請求――不正分返還で訴訟も(その時どうな
98/ 2/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 49 1796字 表写絵 FAX可
健康保険に加入するサラリーマン本人の負担金が昨年九月、一割から二割に引き上げられるなど、医療支出は家計に重くのしかかっている。自分が受けた検査の内容や処方された薬は「診療報酬明細書(レセプト)」を見れば分かる。レセプトを点検して医療費の不正を発見し、訴訟で返還を求める動きも出始めている。
レセプトとは、治療代請求のために医療機関が患者の加入している医療保険の運営者に送り付ける明細書のことだ。投薬、検査の内容と単価、病名などを記載している。カルテ(診療録)は患者のデータとして医療機関が保存するが、レセプトは医療機関から送付を受けた医療保険の運営者が保管する。国民全体でレセプトの枚数は年間約十一億枚にも達する。
188. 不動産関連3業種向け融資――膨らみ続けた住友・三和(金融ザランキング)
98/ 2/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 5 1408字 表写絵 FAX可
日本証券アナリスト協会に所属する有力銀行株アナリストが、共同で邦銀の「情報開示格付け」を準備している。今期決算から実施する資産の自己査定結果をどこまで公表するかで評点を決める。早ければ有価証券報告書が出そろう七月にも「採点結果」を発表する。
「情報開示格付け」は資産内容の健全性と必ずしも一致しない。それでもアナリストが「格付け」をちらつかせて自己査定結果の公表を迫るのは、不良債権に関する銀行の情報開示を不十分とみているからだ。
大蔵省は今通常国会の開会に合わせて、各行が試行した自己査定結果の集計値を発表した。「個別に適切なリスク管理を必要とする」と定義された第二分類から「回収不能」の第四分類までの問題債権は総額約七十六兆円にのぼる。この内訳を銀行ごとに公表すれば透明性向上につながるが、銀行は大蔵省には報告しても投資家に公表しようとはしない。
189. 資本金5億円以上、ノンバンクの社債発行、今秋にも登録制。
98/ 2/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 1 555字 FAX可
大蔵省はノンバンクによる社債・CP(コマーシャルペーパー)発行に登録制を導入する方針を固めた。貸付資金の調達を目的にした発行を解禁するのに伴い、投資家保護を徹底するのが目的だ。資本金五億円以上のノンバンクに限定する案が有力。また証券取引法に基づく情報開示だけでなく、不良債権額、大口融資の状況などを財務諸表に明記することを求める。大蔵省は三月上旬に「ノンバンク社債発行法案」(仮称)を提出し、秋にも解禁する方針だ。(ノンバンクは「きょうのことば」参照)
ノンバンクは出資法で社債・CP発行が設備投資目的に限られ、貸付資金目的は禁じられている。大蔵省は使途制限の撤廃で資金調達力が強まり、貸出金利の低下や貸し渋り現象の緩和が期待できるとして、新法の付則で出資法を改正する。
190. 不良債権情報、福銀、関連企業も公表――98年3月期、米SEC基準並みに。
98/ 2/ 6 日本経済新聞 地方経済面 P 14 799字 FAX可
福岡銀行は九八年三月期決算で不良債権に関する情報開示を拡充する。破たん先債権など従来の開示四項目に「三カ月以上六カ月未満の延滞債権」と「金利引き下げ・返済猶予債権」を加え、開示基準を米証券取引委員会(SEC)基準並みにする。またカード、リースなどファイナンス系の関連企業の不良債権額も公表する。情報開示の拡充を通して経営の透明性を強調することで、市場や株主、顧客からの信任を高める。
同行が九七年九月中間期に開示した不良債権は、経営破たんした先への貸し付けである「破たん先債権」、金利の支払いが六カ月以上滞っている「金利延滞債権」、金利を公定歩合以下の水準まで引き下げた「金利減免債権」、債権放棄などで経営を支援している「経営支援先債権」の四項目。
191. 十六銀行専務本屋貞一氏――信認向上へ情報開示強化(戦略を聞く)
98/ 2/ 5 日経金融新聞 P 7 1596字 表写絵 FAX可
岐阜県に地盤を置く十六銀行が、地方銀行で初めてグループ企業も含めた不良債権額の公表を打ち出した。県内トップバンクを自認しながらも、株価が大垣共立銀行を下回っていることなどに対応し、市場の信認を高めようというのが狙い。日本版ビッグバン(金融大改革)を前に、堅実さで築きあげた県内トップの地位をどう維持していくのか、本屋貞一専務に聞いた。
――今三月期決算で不良債権額をグループを含めた連結ベースで公表する。
「銀行の情報開示に対する不信感を払しょく出来ていないことが、金融不安を高める一因になっている。これまで本体の破たん先、延滞、金利減免債権などを公表してきたが、銀行経営全体を明らかにするにはグループも加えた連結制での発表が不可欠だ。いずれ(連結ベースでの)公表が義務付けられると思うが、他行に先んじる形で公表しても良いと判断した」
192. 低格付け・解約、再編迫る――東邦生命、GEキャピタルの傘下に(アングル)
98/ 2/ 5 日経金融新聞 P 1 1102字 表写絵 FAX可
東邦生命保険が世界最大のノンバンク、GEキャピタルと資本提携し、事実上同社の傘下に入る見通しになった。多額の不良債権を抱える一方で、極端に低いソルベンシーマージン(支払い余力)比率。情報開示が進まないこともあって、格付け会社が「財務内容が不十分」と判定、解約が加速し、経営陣の危機感が強まった。経営改善が求められる早期是正措置が始まる九八年度まで残された時間は二カ月。冷めた市場、顧客の評価が初の生保再編を迫った。
「外資が東邦生命を買収する」――。昨年夏以降、市場に頻繁にうわさが流れた。その度に、相手は変わる。昨年四月の日産生命保険破たん以降、東邦生命が常に市場の関心の的になっていた。特に、十一月の中間報告発表前はそれがピークに達した。
193. グループ企業の経理処理集約へ、JR東日本が子会社、4月に設立。
98/ 2/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 19 406字 FAX可
東日本旅客鉄道(JR東日本)は四日、グループ企業の経理処理業務を受託する全額出資子会社、ジェイアール東日本マネジメントサービスを四月一日付で設立すると発表した。連結決算に関連する事務処理を子会社に集約し効率化を図るとともに、「連結経営を前面に押し出し、グループ経営の健全性を確保したい」(松田昌士社長)という。
子会社はグループ企業で使用する経理システムを統一し、九九年四月からの稼働を目指している。グループ内の勘定科目の統一で、セグメント情報の精度向上を狙う。グループ企業向けに財務情報を提供するなど、経営コンサルタント業も手掛ける。将来はグループ内の金融業も子会社で担当する予定だ。JR東日本の連結対象子会社は九七年三月期で七十三社だった。
194. 発行登録制度(十字路)
98/ 2/ 4 日本経済新聞 夕刊 P 8 801字 FAX可
近年証券投資における自己責任原則の確立が強く求められているが、その前提として情報開示の充実が重要であることは言うまでもない。もっとも、このことは必ずしも開示手続きの厳格化を意味する訳ではなかろう。
開示規制のあり方を考える際のポイントの一つは、投資家保護と資金調達の機動性確保の調和を図る必要があるということである。実質的にみて発行者の情報が広範に提供されていると認められる場合には、開示手続きを簡素化することが望ましい。
この点については、既に発行登録制度という枠組みが用意されている。証券の公募を行う場合、発行者は証券や会社の内容などを詳述した書面を届け出る必要があるが、所定の要件を満たした場合には、一定期間内の発行予定総額などをあらかじめ登録すれば、発行の都度届け出を行わなくても証券を公募することが認められている。
195. 「過剰防衛」非難を恐れるな(大機小機)
98/ 2/ 4 日本経済新聞 朝刊 P 20 933字 FAX可
戦争を未然に防ぐ努力は常に批判にさらされ、成功しても大きな評価は得られない。
この国の金融システムは予想をこえる激動のさ中にある。この四月の改正外為法の施行でビッグバンは始まり、フリー、フェア、グローバルな自由競争、市場原理のもと、敗者の退場は必至である。
大蔵省の行政指導に名を借りた個別金融機関統治(コーポレートガバナンス)と護送船団方式による金融システム管理は戦後、銀行の破たん、消滅のもたらす経済的かく乱からこの国の経済を守ってきた。
それを可能にしたのは、はしの上げ下ろしに至るまでの許認可行政であり、情報独占、裁量行政であり、為替管理等の保護行政であった。半面その代償は、金融機関の自立性、経営者の責任の自覚の喪失であり、情報開示の忌避であり、天下り、MOF担等の官民癒着である。
これらすべてが金融改革の名のもとに一変することを余儀なくされている。
196. 三菱自、IR担当の新組織――社長の肝いり、情報公開向上、問われる手腕。
98/ 2/ 3 日経金融新聞 P 17 435字 FAX可
三菱自動車工業(7211)がこのほど、広報部内に「企業情報・IR(投資家向け広報)担当グループ」を設けた。広報部のスタッフを二人増員し、四人を新グループに充てた。社長交代にまで発展した総会屋に対する利益供与事件への反省から、河添克彦新社長自らの号令による措置。
自動車業界で同社のIRは、アナリストや投資家を対象にした各種調査で評価が低かった。このため、「謙虚に受け止めて対策を講じたい」と、河添社長自ら宣言。一方、総会屋事件を受け急きょ就任した同社長は、九八年の株主総会をあえて集中日を外して開催するなど、「オープンでクリアな会社にする」ための社風改革策を昨年中に打ち出していた。
197. ポーランドでもIRビジネス繁盛(世界の市場から)
98/ 2/ 3 日経金融新聞 P 5 596字 FAX可
ポーランドでIR(インベスターズ・リレーション)ビジネスが繁盛し始めた。ワルシャワ証券取引所への上場企業数が百七十社を超え、投資家への適切な情報開示のニーズが重要性を増してきたからだ。
ワルシャワの広告業界で大きな話題になったのが、昨年七月に民営化されたKGHMポーランド銅鉱業の事例。広告会社のバーソン・マーステラ・ポーランドは同社のIR業務を一手に引き受け、推定で二十七万―四十万ドルの手数料を受け取ったとされる。 七千二百万株を超す大型IPO(新規株式公開)を処理するには、金がかかっても外部のコンサルタント企業に依頼せざるを得なかったというのがKGHMの説明だ。
198. IR、また逆効果、DDI株が急落――社長の「官僚答弁」原因?
98/ 2/ 1 日経金融新聞 P 18 808字 表写絵 FAX可
DDI(9433)のIR(投資家向け広報)が、またしても逆効果――。奥山雄材社長は二十九日の定例会見で向こう五年間の中期計画を発表、同日夕方には自らアナリストを集めて説明会に臨んだ。低迷している株価をテコ入れする狙いだったが、三十日の株価は期待をあっさり裏切り、朝方から売り一色。前の日に比べ八万円安の四十万六千円と急落して引けた。
DDIは昨年秋にも急きょアナリストを集め、IRミーティングを開いた。奥山社長が開口一番、「数字については一切申し上げられない」と語り、「何のためのミーティングかわからない」(外国証券アナリスト)と反発を買った。不十分な情報開示のためか、その後の株価は大幅下落となった。
199. 松下、東京・大阪に、就職希望学生向け、中旬から情報拠点。
98/ 2/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 7 156字 FAX可
松下電器産業は二月中旬、大阪市と東京都心の拠点に企業研究のための専門スペース
「パナソニック・リクルートスクエア」を開設する。昨年は三月末の開設だったが、一カ月以上繰り上げ、入社希望の学生に対する情報開示を促進する。スクエアは大阪市のOBP(大阪ビジネスパーク)にある「ナショナルタワー」と都心の拠点に開設する。 200. アジア危機で公聴会、新秩序を模索、米の悩み深く――貸し手責任強調。
98/ 2/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 5 518字 FAX可
アジアの金融危機をテーマに米下院銀行委員会が三十日開いた公聴会は、急激な市場の変化に対応する新しい国際金融秩序を模索しつつ、まだそれを見いだせない米金融当局の悩みを浮き彫りにした。
「できもしないことをできると誤解され、失敗しがちになる」――。米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン議長は、この日の質疑で「世界中央銀行」構想にこう異議を唱えた。同構想はエコノミストのH・カウフマン氏が米紙への寄稿で提言、新興国も含めて銀行監督を統一する狙いがあるが、議長は実現不可能という判断を示した。
日本が提唱したアジア通貨基金についても、ルービン財務長官が「支援条件が甘くなる」と反対を表明。同長官は先の講演で為替取引税の創設や固定相場制への復帰についても「現実的でない」との見解を示している。市場原理を最大限尊重する二人からは政府や国際機関の過剰な介入に慎重な姿勢がうかがえる。
201. 自己資本比率、連結で開示を、金制調懇が報告書。
98/ 1/31 日本経済新聞 朝刊 P 4 340字 FAX可
金融制度調査会(蔵相の諮問機関)の「銀行グループのリスク管理に関する懇談会」は三十日、銀行が持ち株会社や子会社を作ってグループ化できるようになるのに伴い、グループ全体への規制をまとめた報告書を発表した。グループ全体の情報開示を進めるため、国内基準銀行に対しても国際基準行と同様に自己資本比率を連結ベースで開示するよう求めた。不良債権も連結ベースで開示する。報告書を受け大蔵省は三月上旬に銀行法改正案を国会提出する。
報告書では銀行に対し子会社として、銀行、金融関連会社、川下持ち株会社を持つことを解禁した。ただ銀行が一般事業会社を子会社にすることは引き続き禁止する。親子関係にあるグループ各社を合わせ、同一企業の発行済み株式数の五%以下しか持てない株式保有制限を課すことにした。
202. 蔵相に松永氏――検査見直し・監督庁人事…課題は山積、行政の透明化急務。
98/ 1/31 日本経済新聞 朝刊 P 3 811字 FAX可
松永光蔵相と田波耕治事務次官の新体制には、金融・証券業界との癒着構造の解消や金融部門の金融監督庁への移行、省内の士気向上など重い課題が待ち受ける。就任会見では蔵相、次官とも「透明性と情報開示」を掲げており、その実現が急務になる。日本版ビッグバン(金融大改革)など市場の時代をにらみ官民の関係を見直すことが不可欠になる。
抜本改革の大前提は過去の腐敗への反省を明確にすること。同省は金融・証券行政にかかわった職員約五百人を対象に内部調査を始めたが、検察出身の松永蔵相には、甘かった従来の調査の反省に立ち、徹底した実態究明と国民への開示が期待される。新設した金融服務監査官も飾りとせず、ウミを出し切る姿勢が求められる。
203. さくら銀子会社を提訴、さくらグローバルキャピタルの上野俊社長の話。
98/ 1/30 日本経済新聞 夕刊 P 3 87字 FAX可
さくらグローバルキャピタルの上野俊社長の話 問題とされている取引は当時の法律、慣行にかなったもの。開示義務も違反にあたらないと判断しており、今後法廷で正当性を主張していく。
204. さくら銀子会社を提訴――米SEC、証券詐欺罪で。
98/ 1/30 日本経済新聞 夕刊 P 3 339字 FAX可
【ワシントン29日=町田徹】米証券取引委員会(SEC)は二十九日、さくら銀行が一〇〇%出資する米国法人「さくらグローバルキャピタル」(本社デラウェア州)を米三三年証券法違反(証券詐欺)の罪などがあったとして、オクラホマ州西連邦地裁に訴えたと発表した。九二年の米地方公共団体の起債に関して開示すべき情報の公開がなかったことを問題視しており、民事制裁金の支払いを求めるとしている。
発表によると、SECは九二年のオクラホマ高速道路公団の起債にあたって、さくらグローバルキャピタルが金利変動リスクなどを軽減するスワップ取引を担当したにもかかわらず、引受証券会社と共謀してその詳細を公開しなかった。このため、公団債が抱える潜在的なリスクの大きさが投資家に正確に開示されなかったという。
205. トーヨコ理研新社長に聞く、経常益18億円は可能、来期、人員削減で――売上
98/ 1/30 日経金融新聞 P 17 693字 表写絵 FAX可
グループ会社への資金の不正流出事件で九八年三月期の最終損益が二十四億円の赤字となるトーヨコ理研(1962)が、このほど二百五十人の人員削減を柱とする再建策を発表した。新社長に内定した天野義也副社長に今後の再建の見通しを聞いた。
――不正流出事件の原因は何だったのか。
「建設会社ではグループ間で仕事を融通しあうことはよくある。今回は資金面でのやり取りだったが、問題はその行為が不明朗な形で行われたことだ」
――今後の再発防止策は。
「まず内部監査室を設け監査体制を強化した。経理部と財務部を分離して権限の集中をなくすとともに、役員会で資金動向を逐一チェックしていく」
――外部からのチェックは行うのか。
「投資家やアナリストに対し経営内容を開示していくことを考えている。今まで怠ってきたIR(投資家向け広報)活動を強化していくつもりだ」
――不祥事によって本業の受注活動に影響が出ているのでは。
206. 参院予算委審議の内容。
98/ 1/30 日本経済新聞 朝刊 P 5 3797字 FAX可
二十九日の参院予算委員会での主なやり取りは次の通り。
(2面参照)
橋本竜太郎首相 大蔵省金融検査部の職員二人が収賄容疑で逮捕され、昨夜は自殺者が出た。事態を厳粛に受け止め、おわびする。事態の徹底究明の努力を約束するとともに、このようなことが二度と起こらぬよう適切な対策を取ることが政府の責務だ。後任の蔵相は週内にも選任したい。
広中和歌子氏(民友連) 首相は行政の長として、事件の政治的、道義的責任をどう感じているか。
首相 国民におわびするのに、どんな言葉を選んだらいいか苦慮している。いかに再発を防ぐか悩んでいる。
広中氏 各省庁は公務員倫理規程を作っているが、その最中に事件が起こった。公務員倫理法の制定が必要だ。 207. 不動産、「金融商品」に、SPC法で証券化へ――ノウハウと情報開示カギ。
98/ 1/29 日経産業新聞 P 1 945字 表写絵 FAX可
不動産がいよいよ「金融商品」になる。今国会でSPC法案が成立すれば、本格的な証券化の道が開かれる。金融機関の不良債権処理が狙いだったのが、景気対策の一環で一般企業も利用できることになった。日本版ビッグバン(金融大改革)が産業界にもビジネスチャンスとなる典型だ。
野村不動産の中野淳一社長は「現行制度で不動産投資ビジネスを進め、早い時期に証券化に取り組みたい」と意欲を示す。今回の仕組みでは、SPCといっても不動産を担保として証券取引法に基づく有価証券を発行することはできない。SPCがファンドとの双務契約で資金を調達し、ファンドを通じて投資家に収益を配当する仕組みだ。
SPC法が成立すれば、そのSPCは直接、不特定の投資家向けに証券を発行できる。野村不動産の試みは、SPC法を先取りし、いつでも新制度に基づく不動産投資ビジネスに移行できるシステムといえる。 208. 十六銀行、グループ企業含め不良債権額を公表。
98/ 1/29 日本経済新聞 朝刊 P 7 346字 FAX可
岐阜県に地盤を置く十六銀行は九八年三月期決算で、カード、リース会社などグループ企業全体の不良債権額を公表する。連結決算の概念を不良債権分野に適用し、経営の透明性を高めるのが狙い。グループ企業を含めた不良債権額の開示は地方銀行で初めてで、金融システム不安の払しょくに向け、追随する地銀も出てきそうだ。
開示の対象とするのは十六ディーシーカード、十六ジェーシービー、十六リース、十六信用保証など十一社。本体同様に破たん先、延滞、金利減免債権に分けて公表する。 グループ全体の額だけを公表し、企業別には行わない。「市場の信認を高めるには、不良債権でも連結決算ベースの情報開示が不可欠」(本屋貞一専務)と判断した。同行の不良債権額は九七年九月中間期末時点で約四百九億円。融資に占める比率は一・五一%。
209. メルシャン社長鈴木忠雄氏――銀行への公的資金投入(金融フォーラム)
98/ 1/28 日経金融新聞 P 9 0字 表写絵 FAX可 210. 大蔵接待事件、拓銀の官依存体質に批判――「情報開示積極的に」。
98/ 1/28 日本経済新聞 地方経済面 P 1 563字 FAX可
大蔵省汚職事件で、北海道拓殖銀行も繰り返し接待を行っていたことが明らかになり、道内の経済人や識者の間から「官とのもたれ合いですべてを乗り切ろうした拓銀の体質を浮き彫りにするもの」との批判が相次いでいる。拓銀から営業譲渡を受け、今秋にもスタートする“新生・北洋銀行”へは、今回の事件を教訓に、ビッグバンの時代に生き残れる銀行になってほしいとの声が目立つ。
拓銀を含めた金融機関の大蔵接待では、「単に慣習だからといって続けてきたことは指弾を受けてもしかるべきだ」(戸田一夫道経連会長)との見方が大半。特に拓銀については「こうした経営腐敗が破たんを招いた」(横山清ラルズ社長)など厳しい指摘もある。
「不良債権の額など大蔵省にも隠しておきたい情報が多かったのだろう」(出口吉孝サッポロ産機社長)など、情報開示への消極的な姿勢が接待攻勢の裏側にあるとの声も多い。
211. <図表>ストックオプションに関する情報開示。
98/ 1/28 日経産業新聞 P 26 0字 表写絵 FAX可 212. ホリプロがストックオプション先送り――タワーズペリン阿部直彦氏の話。
98/ 1/28 日経産業新聞 P 26 412字 表写絵 FAX可
報酬制度問題に詳しいタワーズ ペリンの阿部直彦コンサルタントの話 株主に対する情報開示や代表訴訟回避の観点から、情報はガラス張りが望ましい。“横並び体質”の日本企業では、ホリプロが見送ったことで同じようなケースが出始めることは考えられる。仮に訴訟を起こされた場合、社会的ダメージが大きいからだ。
ただ、法解釈は別にして、付与対象のうち従業員全員の名前まで公表すべきかは考えの分かれるところだ。米国の場合、情報開示は最高経営責任者(CEO)と高報酬額の四取締役だけで、そのかわり現金報酬も含む厳しい開示要件が課されている。 213. ホリプロがストックオプション先送り――情報開示の難しさ映す。
98/ 1/28 日経産業新聞 P 26 2081字 表写絵 FAX可
ストックオプション(自社株購入権)が解禁されて七カ月。これまでに上場・店頭公開の五十六社が株主総会で導入を決議したが、昨年末、芸能プロダクション大手のホリプロが情報開示に不備があったとして「導入を見合わせる」と発表し、波紋を広げている。法解釈は様々だが、現状では法的リスクを回避するには付与対象者の氏名、株数などをすべて明記するか、導入を見合わせるか、のいずれかしかない。(黒沢裕)
「クリスマスイブにちょっとしたハプニングだった。がっかりしたが(ストックオプションが)永久になくなるわけではない。会社はちょっと“うかつ”だったね」。ホリプロで営業を担当する若手社員は自ちょう気味にこう話す。
ホリプロは昨年十二月二十四日、九七年六月の株主総会で決議したストックオプション制度の導入を見合わせると発表したのだ。導入決議後、見送りを発表したのは同社が初めてだ。
214. 城南信金、債権回収見込み、自己査定を全面開示――今期、4分類で。
98/ 1/28 日本経済新聞 朝刊 P 7 377字 FAX可
信用金庫最大手の城南信用金庫は九八年三月期の決算で資産の自己査定の結果を公表する方針を固めた。貸出債権の回収見込みを金融機関が個別にどう判断しているかを示す自己査定の全面的なディスクロージャー(情報開示)で経営の透明性を高める。
四月からの早期是正措置の導入を控え、信用金庫を含めた金融機関の大半は九七年中に自己査定を実施した。期末までには貸出債権を正常債権である第一分類、回収に注意を要する第二分類、回収に重大な懸念がある第三分類、回収不能の第四分類に分け、不良債権額などを確定する。ただ全国銀行協会連合会、全国地方銀行協会も現段階では、自己査定の結果公表には慎重な姿勢をとっている。
城南信金は第一分類から第四分類の債権額を明らかにする方向で検討中で、ディスクロ誌に記載する。同金庫の第四分類と第三分類の債権は合計三百億円以上あると推定されている。
215. 昨年10―12月、ヤフー経常益2.4倍――広告売上高が好調。
98/ 1/27 日経金融新聞 P 16 563字 表写絵 FAX可
ヤフー(4689)の九七年十―十二月期の経常利益は前年同期比二・四倍の三千三百万円になった。ページビュー(閲覧ページ数)の拡大を背景に、広告掲載売上高が増え、株式公開に伴う費用増などを吸収した。昨年十一月に店頭登録したヤフーは今後も四半期ごとに損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を公表する。監査法人の法定監査は受けていないが、アドバイスを受けて作成した。
ヤフーはインターネット上で検索サービスとニュースなどの情報サービスを無料で提供し、掲載する広告を収益源にしている。売上高は同三・六倍の三億八千八百万円で、七四・六%を占める広告売上高が拡大したのが主因。期中平均の広告主数は九十社、広告件数は百三十二件で、ともに前年同期実績(四十九社、七十一件)を大きく上回った。 216. 三井不動産、土地レス経営本格化――不動産取引、民革の先陣を。
98/ 1/27 日経産業新聞 P 32 785字 FAX可
地価税の凍結、土地譲渡益課税の緩和……。田中順一郎三井不動産社長は九八年度の税制改正を「九十五点」と採点する。不動産の流動化が優先的な政策課題になり、業界の要望がほとんど通ったからだ。加えて不動産証券化の仕組みも制度化されるし、定期借家権の導入で賃貸事業も取り組みやすくなる。三井不動産がフィービジネスを展開する土俵は整いつつある。
しかしフィービジネスの前提として旧態依然たる商慣行をグローバルスタンダード(世界標準)に改めようという動きは業界の中に見えてこない。例えば、国内外から投資を募るには事業主体と対象物件の情報開示が前提となるが、お寒い限りだ。
昨年、ある商社が三井不動産からオフィスビルを買収しようとした際、賃貸料などの収益に関する重要情報を明かされたのは購入意思を伝えた後だった。今回、清算を決めたファイナンス会社の実態の悪さも早い段階で分かっていたはずだ。 217. 大蔵省検査官逮捕――メリルリンチ証券東京支店シニアアナリスト山田能伸氏。
98/ 1/27 日本経済新聞 朝刊 P 3 222字 FAX可
山田能伸・メリルリンチ証券東京支店シニアアナリスト 銀行の将来を決定するのは大蔵省ではなくマーケットなのに、邦銀はまだ大蔵省頼みの経営姿勢から脱却しきれていない。今回の事件は旧来の銀行経営や金融行政のゆがみを象徴している。邦銀はマーケット重視の経営に転換すべきで、そのカギを握るのは情報開示。邦銀はそれが不十分だから、隠した部分を処理するのに大蔵省に頼ってきたのではないか。情報開示を徹底すれば、大蔵省の裁量が働く余地も自然になくなるだろう。 218. 運用リスク情報、生保が開示強化、企業年金向け特別勘定で――収益率など係数
98/ 1/26 日経金融新聞 P 7 793字 FAX可
大手生命保険会社が企業年金向けに、実績配当型商品である特別勘定の運用リスク情報の開示を強化している。リスク一単位当たりの収益率を係数化したり、過去一定期間の運用利回りのばらつきを統計的に示すなど、各社独自に数値化の工夫をしている。四半期ごとの運用方針や利回りなどのパフォーマンス情報に加え、リスクをどれだけとったかを合わせて開示することで、受託先の信頼向上につなげるのが狙いだ。
明治生命保険は、株式、債券など六種の資産をバランス運用する特別勘定第一特約(総合口)の運用報告書に、超過収益率と運用リスクの関係を表す「情報係数」を記載、投資行動の説明に役立て始めた。
同係数は運用利回りがベンチマークをどれだけ上回ったかを示す超過収益率をトラッキングエラー(過去の実績に基づく予測とのズレ)の実績値で割ったもので、エラー値が大きければ係数は低下する仕組み。 219. アナリスト協会、邦銀の開示姿勢格付け、7月にも新指標公開――自己査定結果
98/ 1/26 日経金融新聞 P 3 602字 FAX可
日本証券アナリスト協会に所属する銀行株アナリストが、今期決算から邦銀の情報開示姿勢をランク付けし、発表する見通しになった。資産の自己査定結果の公表を促し、不透明とされる邦銀の財務内容の把握に努めるのが目的。格付けと並んで、銀行の透明性を測る新たな指標になる可能性がある。
邦銀の「情報開示ランキング」を準備しているのは、同協会のディスクロージャー部会。証券系シンクタンクのほか欧米の有力証券会社の銀行株アナリストが合同で評価基準を作成している。今期決算の短信と銀行法に基づき各行が作成するディスクロージャー誌を分析し、早ければ七月にもランキングを一般に発表する。
220. 情報開示は日常用語で――米SEC、企業に義務付け。
98/ 1/25 日本経済新聞 朝刊 P 5 485字 FAX可
「わかりやすい日常用語で、文章は短く。法律・専門用語はもちろん、受動態や二重否定もだめ」――。米証券取引委員会(SEC)は十月から新ルールを設け、米企業などに対し「プレーンイングリッシュ」(平易な英語)を使った情報開示を義務付ける。 対象は企業が新たな証券発行の際に公表する「目論見書」で、米資本市場での大衆投資家のすそ野拡大に拍車をかける狙いだ。
米国ではこれまでも、子会社の状況や保有資産の時価評価など単純に数字で表れる部分だけでなく、政情不安定な途上国での事業内容をはじめとしたリスクなども含め詳細な開示が求められてきた。情報開示を怠れば株主訴訟が起きやすい風土もあるが、日本の専門家は「ここまでリスクを公表したら日本では投資が集まらない」というほど。 221. 固定資産税の情報開示拡充、資産課税研究委提言。
98/ 1/24 日本経済新聞 朝刊 P 5 180字 FAX可
自治省の外郭組織、自治総合センター(湯浅利夫理事長)は二十三日、「地方税における資産課税のあり方に関する調査研究委員会」(委員長、金子宏東京大学名誉教授) の報告書を正式に発表した。固定資産税改革に向けた提言として税率決定権を市町村に移譲する方向を示したほか、固定資産税の情報開示制度の拡充を求めた。自治省はこの提言を踏まえ、固定資産税の見直しに着手する考え。
222. リーチ米下院銀行委員長、「一段の景気対策を」――邦銀に情報開示求める。
98/ 1/24 日本経済新聞 朝刊 P 5 410字 表写絵 FAX可
来日中のリーチ米下院銀行委員長は二十三日、都内の経団連会館で講演し、「日本は景気対策をさらに実施しなければならない」との考えを表明した。日本政府が昨年末に打ち出した経済対策について「大型の対策だと理解している」としたうえで、「今後さらに踏み込んだものになるかもしれないと聞いている」と述べ、追加経済対策の感触を日本政府から得ていることを示唆した。
リーチ氏は「米国では対日貿易赤字の拡大に対する政治的関心が高まっている」と指摘。「内需主導型の経済政策をとる必要がある」と述べたほか、「もっと規制緩和を進めるべきだ」と語った。
223. アルゴ21、ディスクロジャー部新設、社内情報を積極発信。
98/ 1/23 日経金融新聞 P 20 311字 FAX可
情報システムの構築、保守などのアルゴテクノス二十一(4692)は「ディスクロージャー部」という名前の部署を新設する。広報部とIR(投資家向け広報活動)室を兼ね備えたような機能を持たせる。
「株主や機関投資家、証券アナリスト、マスコミなどに積極的に社内情報を発信する」(佐藤雄二朗社長)のが目的。初代部長には江尻貞明・プロダクト事業本部副本部長が就き、当初は三人でスタートする。
市場関係者には「情報開示が不十分な店頭企業が多いことが株価低迷の原因」という声が多いが、同社はそのような指摘も考慮して新部署を設けることにした。昨年十一月に店頭公開したばかりで、これまで広報活動は総務部が行っており、IR担当の部署はなかった。
224. 日本でのディスクロージャーの強化状況(コーポレートガバナンス市場と会社)
98/ 1/23 日経金融新聞 P 1 167字 表写絵 FAX可 日本でのディスクロージャーの強化状況87年・連結財務諸表の三カ月以内の提出
・資金収支表、セグメント情報の導入
90年・市場性のある有価証券、先物・オプション取引の時価情報の開示
・連結財務諸表の有価証券報告書本体への組み入れ
94年・先物為替予約の状況を開示
96年・デリバティブ取引を注記
97年・2000年3月期から連結決算へ移行を決定
225. 第3部株主本位の経営(5)後ろ向き開示(終)(コーポレートガバナンス市場
98/ 1/23 日経金融新聞 P 1 1874字 表写絵 FAX可
「新規資金不要、実現損を計上せず、含み損を抱えた特定金銭信託や投信と私募債を入れ替えられます」――こんな触れ込みで、外国証券会社が企業に売り込んでいる私募債がある。
ヤクルト本社が九七年三月期末に、簿価で百七十二億円保有している米ドル建て私募債「プリンストン・グローバル・マネジメント・Y・リミテッド」も、こうした私募債の一例だ。九六年に特金や保有有価証券で包括信託を設定し、私募債と交換したものだという。私募債は実質的なファンドになっており、米系資産運用会社が資金運用し、運用実績に応じて私募債の償還額が変動する。
ヤクルトの熊谷直樹副社長は「高い利回りが期待できる資金運用に切り替えることで、特金の含み損を消すことが狙いだった。契約前に公認会計士にも相談しており、証券取引法などに違反する点はなかった」と説明する。 226. 固定資産税、市町村に税率決定権、自治省――2000年度改正で検討へ。
98/ 1/23 日本経済新聞 朝刊 P 1 871字 FAX可
自治省は二〇〇〇年度に固定資産税の標準税率(一・四%)を下回る税率の採用を事実上禁止している現行制度を改め、各市町村に自由に税率を選択する権限を与える方向で検討に入る。同省の外郭組織、自治総合センターの「地方税における資産課税のあり方に関する調査研究委員会」(委員長・金子宏東京大学名誉教授)が近く発表する提言を受け、納税者の不公平感を払しょくするため課税情報の開示制度の拡充も進める。九四年度からの固定資産税の改革は仕上げ段階に入る。
提言の最大の特徴は固定資産税の税率決定権を市町村に移譲する方向を示した点。現行では、市町村が標準税率を下回る税率を採用した場合、地方債発行を禁止するとした地方財政法の規制があり、国が事実上「標準税率以上」での課税を強制している。 227. 道央市民生協、累積赤字51億円に――日生協が全面支援へ。
98/ 1/22 日本経済新聞 地方経済面 P 1 843字 表写絵 FAX可
厳しい経営が続いている道内二位の生協、道央市民生協(苫小牧市、重原祐治理事長)が五十一億円の累積赤字を抱えていることが二十一日明らかになった。このため同生協は二月六日に臨時総代会を開き、組合員に経営実態を公表するとともに、昨年辞任した平田稔前理事長を解任に切り替えて退職金支払いをやめる。現状では自力再建が厳しいため、日本生活協同組合連合会(日生協、東京・渋谷、竹本成徳会長)に全面支援を要請する。日生協も二十一日、同生協を支援する方針を確認した。
同生協は昨年から、日生協からの三十六億円の資金援助を受けながら、人員削減や店舗閉鎖などの合理化を進めている。だが、過去の経営陣の放漫経営のツケが予想以上に重く、財務内容を調査した結果五十一億円の累積赤字が存在することが判明。当初の再建計画では累積赤字を埋めきれないことがわかった。
228. 時代先取りする環境経営――企業の対策すそ野広く、情報開示(新産業革命)
98/ 1/22 日経産業新聞 P 18 1137字 表写絵 FAX可
自社の環境への取り組みを環境報告書としてまとめて、対外的に情報公開する企業が増えてきている。日本企業の環境経営度を欧州などの企業と比較した場合、特に遅れているとされたのが情報開示の部分だったが、それも徐々に変化してきている。環境リスクを企業が的確に管理する意味からも、情報公開の姿勢がますます重視されるようになっている。
一般の市民などが入手できる形の環境報告書を作成している企業は、大手製造業の場合、約一〇%強程度とみられる。報告書の内容は様々だが、工場などから出る産業廃棄物、有害物質、エネルギーなどの使用量とその削減目標や、環境への取り組みの方針や実行などを報告する例が一般的だ。
産業廃棄物の排出量などについては、例えば九〇年段階との比較といった相対数値で記載する方法から、次第に絶対値で明記する企業が増えている。
229. <図表>山一証券の株価とムーディーズの格付け動向(格付けの研究)
98/ 1/22 日本経済新聞 朝刊 P 7 0字 表写絵 FAX可 230. 格付けの研究(2)企業不信の土壌――情報開示の不備補う。
98/ 1/22 日本経済新聞 朝刊 P 7 1467字 表写絵 FAX可
山一証券が自主廃業を決める直前に、格下げを発表した米格付け会社、ムーディーズ。市場では「巨額の簿外債務の存在を知っていたのではないか」と勘繰る声もあがる。
ムーディーズは昨年四月、山一債の格付けを引き下げ方向で見直すと発表。いったん据え置いた後、十一月初めに再び格下げ検討を発表、山一の破たん直前の十一月二十一日に「投資不適格」に引き下げた。
山一によると、この間開かれたムーディーズと山一首脳の面談は五月と十月の二回。 低下傾向にある収益動向などについて話し合いがもたれたが、「伝えたのは基本的に公開情報。簿外債務は言っていない」と山一関係者は証言する。ムーディーズは「個別のケースで何を知っていたかについては言えない」(角谷優代表理事)としている。 231. 瀬戸際の日本経済各党政策責任者に聞く(3)新党平和副代表兼政審会長坂口力
98/ 1/22 日本経済新聞 朝刊 P 5 784字 表写絵 FAX可
――金融システム安定化のための公的資金投入をどう評価するか。
「公的資金投入は預金者保護を中心にすべきだが、金融機関にも対策が必要だ。金融破たんは金融機関の経営努力の問題が最も大きいが、国の経済政策にも原因がある。バブルを発生させ、後始末も誤った。金融機関だけに責任を押しつけるわけにいかない」
「ただ優先株を購入する場合、どこまで手を差し伸べるか法案では基準が明確でない。優良行に資本注入する必要があるか。発動の基準となる危機とはどのような状態なのか。本当の危機なら銀行を選ばず、まんべんなく対象にすべきだが、審査基準がまだ決まっていないのが現状だ」
――公的資金投入にはどんな条件が必要か。
「情報開示を強化し、経営者責任を明確にすることが大原則だ。さらに米整理信託公社(RTC)の日本版を作り、徹底的に債権回収を進めるとともに、破たんした銀行経営者の責任を追及すべきだ」
232. 瀬戸際の日本経済各党政策責任者に聞く(3)さきがけ政調会長水野誠一氏。
98/ 1/22 日本経済新聞 朝刊 P 5 759字 表写絵 FAX可
――公的資金の投入を盛り込んだ政府の金融安定化対策は効果があるか。
「金融機関の貸し渋りが進み、不良な会社だけでなく、将来性のある中小企業が資金難で黒字倒産したり、ベンチャービジネスに影響が出るのを危ぐしている。銀行からカネを借りている人たちは日本経済を活性化させる役割を担っているから、預金者保護と両面の対策が必要だ。(公的資金の)使い方を誤らないようにきちんと審査し、運用できれば非常に有効な対策になると思う」
――金融機関の経営者責任や大蔵省の行政責任をどう考えるか。
「放漫経営をしてきた経営者に厳しく対処しないと国民の理解は得られない。金融機関の財務内容のディスクロージャーやリストラも必要だ。他の民間企業に比べて高い給与水準も取り上げる。金融不安が起きたのはバブルの発生と崩壊が最大の原因だが、財政が金融を道具にしたためだ。大蔵省の行政責任は大きく、責任を明らかにしたい」 233. 米会計審、制度見直し、「実質支配」も連結対象――役員の派遣会社など。
98/ 1/22 日本経済新聞 朝刊 P 1 716字 FAX可
米企業の会計基準を定めている財務会計審議会(FASB)は九九年をめどに連結決算制度を見直す。その柱として、出資比率が五〇%を超えていなくても役員の派遣などで実質的に支配権を持つ関係会社を連結対象に加える方針だ。リストラクチャリング(事業の再構築)などで関係会社が多様化している米企業の経営実態を決算に反映させるのが狙い。国際会計基準としても同様の基準を採用するよう働きかける。
(解説19面に)
234. コーポレートガバナンス経営者に聞く(3)三菱マテリアル社長秋元勇巳氏。
98/ 1/21 日経金融新聞 P 17 981字 表写絵 FAX可
――株主重視の経営についてどう考えるか。
「日本企業は、株主重視だけに偏るのは難しい。労働市場が発達している米国と違い、企業は従業員に社会保障的な責任も負っている。昨年末の役員合宿でも『会社はだれのものか』という議論が出た。我が社としては、多様なステークホルダー(利害関係者)に最大公約数的にこたえるのがコーポレートガバナンスだという結論に至った」
――昨年後半から株価が急落している。
「市場はネガティブな側面ばかりを見ているような気がする。ただ、東南アジアへの投資など確かにリスクはあるのだから、それを十分説明してきたかという点は反省している。今後は昨年十一月に設置したIR委員会を通じて、よりきめ細かい情報開示を進める。長期的には、ステークホルダー全体に会社のビジョンを浸透させる組織にIR委員会を変えていきたい」
――全方位的な拡大路線に批判的な投資家は多い。
235. 大証がテロ防止対策委、東証ろう城事件契機――役員室への出入りIDカード提
98/ 1/21 日経金融新聞 P 3 384字 FAX可
大阪証券取引所の北村恭二理事長は二十日の定例会見で、大証内にテロ防止対策委員会を設置したと発表した。取引所の警備体制の見直しを進め、危機管理を強化する。十三日には東京証券取引所に男が人質を取って立てこもる事件が発生したばかり。大証でも同様のケースを想定して、具体策の取りまとめを急ぐ。
テロ防止対策委員会は十六日に設置。野口卓夫専務理事や杉尾嘉昭常務理事など大証の役員で構成した。現在、委員会の下部組織の「テロ防止対策実施計画部会」が具体的な対応策を検討している。取引所内にある役員室への出入りの際にIDカードの提示を求めるなどの案が浮上しており、実現できるものから順次、始める意向だ。
北村理事長は「取引所の建物の出入りの際のチェックなど不自由な点が出てくることが考えられるが、不測の事態の発生を未然に防ぐためには仕方がない」との考えを示し、関係者の理解を求めた。
236. <図表>一吉証券経済研究所が選んだ情報開示の優秀企業(店頭市場再生の条件
98/ 1/21 日本経済新聞 朝刊 P 15 0字 表写絵 FAX可 237. 店頭株市場再生の条件(下)情報開示で不信感――株主重視の姿勢示せ。
98/ 1/21 日本経済新聞 朝刊 P 15 1417字 表写絵 FAX可
シュレッダー販売の明光商会は昨年七月、九八年五月期は過去最高の経常利益を達成できるとの業績予想を発表した。これを受け野村証券金融研究所は同社の中間決算月にあたる十一月十日、「投資家は同社株に強気で臨んでいい」との趣旨のリポートを出した。しかし明光商会は十二月二十六日に突然、減益予想に修正。三千六百円台の株価は翌日以降、一気に二千円割れの水準まで売られた。
景気の変調で店頭企業が業績予想を下方修正する例が相次いでいる。予想がはずれるのは企業経営の常だが、問題は発表のタイミング。ある市場関係者は「事前に分かっていても、決算発表の前日に修正したり、新規公開会社は公開を終えた後に修正する場合が多い」と指摘する。
昨年も写真シール印刷機のアトラスやバッグ販売のサザビー、ワープロソフトのジャストシステムなどが公開後に売上高や利益の予想を下方修正した。
238. 格付けの研究(1)揺れる銀行――投資尺度に右往左往。
98/ 1/21 日本経済新聞 朝刊 P 7 1556字 表写絵 FAX可
銀行や企業の信用力を評価する「格付け」に金融界や市場が揺れている。昨年後半の金融機関の経営破たんは米国の格付け会社による格下げで資金繰りが悪化したことが一因と言われる。金融システム不安が強まっているだけに、大蔵省や日銀も神経をとがらせるが、本来は投資判断材料の一つに過ぎない格付けの影響力が過大に強まっているとの指摘も多い。
日本の銀行の格付け担当者は、今週は少しばかり忙しい日々を迎えている。金融市場に大きな影響力を持つ米格付け会社、ムーディーズ本社の銀行格付け責任者、クリストファー・マホーニィ氏らが来日しているのだ。 239. 国際会計基準(ミニ辞典)
98/ 1/20 日経金融新聞 P 2 348字 FAX可
△…国際会計基準委員会(IASC、本部英国)が策定している国際的な統一会計基準。取得原価主義をとる日本の会計基準と違い、資産・負債を適正価格(時価)で評価するのが特徴。企業はより透明性の高い情報開示が必要になる。
△…策定作業は現在、昨年発表した公開草案を基に大詰めを迎えている。証券監督者国際機構(IOSCO)の承認を受け、十一月にも国際会計基準が完成する予定だ。
△…焦点となっていた金融商品の時価会計については米国基準を軸とした暫定基準を四月にも公表する見通し。今回の基準では、長期保有目的の有価証券には全面時価評価は適用されない模様。ただ、IASCでは最終的にすべての金融商品に時価会計を導入する方針を崩していない。今後二―三年をメドに日本や欧州など慎重視する参加国と意見調整を進める。 240. <図表>東証1部上場主要企業(403社)の土地の含み。
98/ 1/20 日経産業新聞 P 24 0字 表写絵 FAX可 241. 産業界にも「土地再評価」の勧め、「含み経営」断ち切る契機に――「透明性」
98/ 1/20 日経産業新聞 P 24 1821字 表写絵 FAX可
十九日の東京株式市場は金融安定化関連二法案の国会提出など一連の金融不安解消に向けての動きを好感して続伸した。なかでも、決算上の土地の評価額を購入時の価格から時価に改める「資産再評価」は、金融機関の有効な資本充実策として急浮上、具体化が進む見通しだ。情報開示が不十分との批判の強い一般の日本企業にとっても、「含み経営」を脱皮する契機として取り組むべき課題だろう。(編集委員 島田章)
金融システム安定化策として、突如、土地再評価が注目を集め、今三月期決算に間に合うように、法制化を急ぐことになった。一般企業にも適用するということで、産業界は戸惑いを隠せないでいる。
242. 官房長官、蔵相に、銀行給与水準の情報開示を要請。
98/ 1/19 日本経済新聞 夕刊 P 2 234字 FAX可
村岡兼造官房長官は十九日の臨時閣議後の閣僚懇談会で、一般企業に比べて高いとされている銀行業界の給与水準について、実態調査と国民への情報開示を進めるよう三塚博蔵相に要請した。
◇
橋本竜太郎首相は十九日午前、日本銀行総裁の給与水準が高いことについて「給与の決め方が問題だ。確か民間金融機関のトップに位置するのではないか。民間金融機関の給与のあり方から議論すべきだ」と述べ、まず民間金融機関の給与水準のあり方から見直すべきだとの考えを示した。国会内で記者団の質問に答えた。
243. 中小企業の情報開示重要に(複眼独眼)
98/ 1/19 日経金融新聞 P 1 0字 FAX可 244. 信任の回復へ情報開示を――公的資金導入、長期展望示せ(一刀両断)
98/ 1/19 日本経済新聞 朝刊 P 42 1392字 FAX可
先週始まった通常国会では、冒頭に橋本首相が経済演説を行うという異例の展開となった。不良債権問題に端を発した“コンフィデンス・クライシス(信任の危機)”は極めて深刻だ。
245. 不動産の流動化、進むか――厳しさ増す市況、追加策が必要に(シナリオ)
98/ 1/19 日本経済新聞 朝刊 P 42 1994字 表写絵 FAX可
不動産の流動化に向けて一連の政策が出そろった。金融機関の不良債権処理や景気テコ入れのため、土地の取引活性化、有効活用が優先課題になっているからだ。政府や経済界の思惑通り、今年は不動産の流動化が進むのか。
「全体は九十五点、凍結の地価税は九十八点」
不動産協会の田中順一郎理事長は自民党が決めた「九八年度税制改正大綱」について、こう採点する。不動産関連税制がバブル期前に戻ったとの評価だ。そして「さあ、今年は土地の有効利用に全力を挙げよう」と業界に呼びかける。
昨年は、政府が地価抑制から土地の利用に政策目標を転換し、様々な対策を打ち出した。金融機関の担保不動産の処分が叫ばれ、景気回復のための財政出動ができない中で、不動産流動化は優先的に取り組む課題になったわけだ。 246. ロシアは何をつくったか、森本忠夫、杉森康二、江南和幸著(読書)
98/ 1/18 日本経済新聞 朝刊 P 16 817字 表写絵 FAX可
市場経済への移行期にあるロシア産業がなかなか苦境を脱しきれないことについて、その実態をとらえるのは案外困難である。ロシア産業にはまだわれわれの関心を満足させる情報開示の原則が根付いていないからだ。本書はその現状の分析、解説を試みている。
ロシアの核兵器産業から始まって十五の産業分野、および科学技術の危機的状況が描かれる。比較的競争力があるとみられた宇宙産業や兵器産業にしても、その絶望的状況では他と変わりがない。ロシア産業の自力再生はもはや不可能に近いことが理解できる。
247. 東京電力福島事務所所長小菅啓嗣氏――「情報開示」を決意(やまびこ)
98/ 1/17 日本経済新聞 地方経済面 P 24 362字 表写絵 FAX可
▽…「日本人の美徳の一つに『ひたむきさ』がよく挙げられるが、最近、違うのではないかと思っています」。新年のあいさつをこんな風に切り出しているのは東京電力福島事務所の小菅啓嗣所長。「静かに一生懸命やっていればわかってもらえるという姿勢。これじゃ世間に自分を隠すことになりかねない。もっと開放しなければ」
▽…小菅さんが心配しているのは原子力問題への逆風。動燃の事故などで「昨年はたくさん批判された」が、不祥事の底流には情報開示への認識の甘さがあると思っている。
▽…「(懸命さがにじむ)背中を見てくれ、で済む時代じゃない。信頼回復の突破口は的確でわかりやすい情報公開しかない」ときっぱり。福島県での原発増設やプルサーマル導入問題は今年が正念場。「必要性を堂々と主張するためにも徹底した情報公開を心がける」と決意を語っていた。
248. 東証、情報開示に積極企業、東レなど6社を表彰。
98/ 1/15 日本経済新聞 朝刊 P 15 288字 FAX可
東京証券取引所は十四日、投資家に対する適時・適切なディスクロージャー(情報開示)に積極的に取り組んでいる企業として、東レなど六社を表彰すると発表した。表彰は今年で三回目。選定の対象は東証上場企業で九六年四月期から九七年三月期までの決算を発表した千六百八十四社。前回までに表彰された十四社は除いた。
表彰を受けるのは東レのほか、資生堂、コマツ、ソニー、ゼビオ、DDI。東証が設けた「上場会社ディスクロージャー表彰選定委員会」(座長・伊藤邦雄一橋大学教授) が決算発表までの所要日数や決算短信、事業報告書の開示内容などから選んだ。IR(投資家向け広報)活動などの状況も参考とした。
249. 産廃処理で表彰制度、業者の情報開示を促す――東京都検討委が最終報告案。
98/ 1/14 日本経済新聞 地方経済面 P 15 618字 FAX可
東京都清掃局長の私的諮問機関である「産業廃棄物処理新体系検討委員会」が十三日開かれ、優良事業者の表彰制度の創設を柱とする最終報告案の骨子をまとめた。産廃に関する表彰制度は全国的にも珍しく、都が「お墨付き」を与えることで適正処理を促す。建設汚泥の資源化施設の新設も盛り込んだ。三月末に正式決定する。
表彰制度では、都と産廃の排出事業者、処理事業者が適正処理に関する協定を締結。 事業者は処理計画、発生抑制目標、資源化計画などを提出し、都は一年後に達成状況を評価した上で優秀な事業者を表彰する。結果は公表し、事業者の意識向上に役立てる。 250. 不良債権開示項目、全銀協、拡大を決定。
98/ 1/14 日本経済新聞 朝刊 P 5 302字 FAX可
全国銀行協会連合会は十三日の理事会で、不良債権の開示項目を拡大することを正式に決めた。延滞債権は元利金の延滞期間が「三カ月以上、六カ月未満」を新たに開示する。また債務者の再建を支援するために金利を引き下げたり、返済期限を延長している
「金利引き下げ・返済猶予債権」も加える。
これにより大手銀行は九八年三月期から、「破たん先債権」「(六カ月以上の元利金の)延滞債権」「金利減免債権」「経営支援先債権」を含めて六項目の不良債権額を公表することになる。
ただ「金利引き下げ・返済猶予債権」の具体的な統一基準づくりには時間がかかる見込みで、九八年三月期は各行が独自に基準を決めて自主的に開示する可能性が大きい。 251. 「6兆円恒久減税を」、衆院本会議、菅氏が質問。
98/ 1/13 日本経済新聞 夕刊 P 1 675字 FAX可
国会は十三日午後一時からの衆院本会議で、橋本竜太郎首相の「金融システム安定化対策と経済運営に関する演説」と三塚博蔵相の財政演説への各党代表質問に入った。民主党など六野党の統一会派「民友連」を代表して菅直人民主党代表が最初に質問に立ち、政府の経済政策などをただした。菅氏は首相が打ち出した二兆円の特別減税について
「単年度にとどまり、その場限りの減税では景気刺激効果も乏しく、市場も反応しない」と批判。所得・住民税三兆円と法人税など合わせて六兆円の恒久減税を実施するよう要求した。
菅氏は赤字国債の発行による特別減税と、首相が掲げる財政再建路線の整合性に関して「政策転換をしたのなら国民に分かりやすく説明すべきだ」と迫った。総額三十兆円の公的資金を活用した金融システム安定化策については「十兆円の交付国債は単なる見せ金だ」などと指摘した。
252. 銀行資産の自己査定公表、説明責任必要に――大蔵省、なお残る不透明感(アン
98/ 1/13 日経金融新聞 P 1 640字 FAX可
大蔵省は十二日、銀行資産の自己査定額を公表した。通常国会が始まり、公的資金の投入問題が審議されるため、不信感の強い不良債権の情報開示に踏み切った。しかし、不透明感の払しょくにはなお不十分で、大蔵省は国会審議のなかで厳しい「説明責任」を問われることになろう。(公表資料3面に)
同省によると、「個別に適切なリスク管理が必要」とする第二分類から、「回収不可能」とする第四分類まで合計した問題債権の総額は約七十六兆七千億円。これには信用金庫、信用組合、農協が含まれていないので、金融機関全体ではもっと膨らむ。第二分類の六十五兆円は即座に全額焦げ付くわけではないが、「どの程度ロスが出るかは統計がなく把握できない」(銀行局)という。
253. 第1部広がる株式制度(4)透明性の確保に限界(中国市場大国への道)
98/ 1/13 日経金融新聞 P 1 1692字 表写絵 FAX可
H株(香港上場の中国企業株)第一号であり、もっとも知名度の高い中国ブランドともいわれる青島ビールの株価がさえない。昨年八月までは香港の中国復帰ブーム、合理化期待で急伸したものの結局、上場来安値を更新するまでに押し戻された。その背景には「市場の大勢の期待を裏切って大幅減益となった九六年十二月決算がなお影を落としている」(日系ファンドマネジャー)との指摘もある。
増益予想を出すアナリストも多かった中で、減益となった一因は、三千万人民元近い在庫の償却損だ。青島はこの期に商標の字体(ロゴ)変更などで使用不可能になった包装材などを処分した。ただし変更は九三年七月の上場時にはすでにわかっており、ファンドマネジャーの間では「なぜ上場前に償却しなかったのか」との不満が噴き出した。 254. <図表>塩ビ樹脂の産業部門別使用比率。
98/ 1/13 日本経済新聞 朝刊 P 11 0字 表写絵 FAX可 255. 亜細亜、今期13%減益、有価証券印刷の依存度で明暗――宝印刷、新規公開増
98/ 1/13 日本経済新聞 朝刊 P 17 413字 FAX可
ディスクロージャー(情報開示)関連印刷二社の今期の業績は、株券など有価証券印刷への依存度の差で明暗が分かれそうだ。依存度が比較的高い亜細亜証券印刷はエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)の減少が響き、九八年三月期の経常利益が前期比一三%減の十六億円になる見通し。宝印刷は九八年五月期の経常利益が八億四千万円と七%増えそうだ。
売上高は亜細亜が一%増の百二十億円、宝印刷が四%増の六十七億円と、ともに増収になりそう。上場・店頭公開企業数の増加で、有価証券報告書の印刷が増えることなどが寄与する。
256. 外食各社が“情報開示”、カロリー・脂肪・塩分など――栄養表示で「安心」P
98/ 1/13 日本経済新聞 朝刊 P 15 814字 表写絵 FAX可
ファストフードやファミリーレストランなど外食各社の間で、メニューの栄養分などを詳しく表示する動きが広がっている。背景には健康に配慮した食事をとりたいという消費ニーズの高まりがある。外食は家庭料理に比べて、栄養バランスなどを疑問視されがちなだけに、イメージアップにもつながる栄養表示は今後、一段と広がりそうだ。
日本マクドナルドは昨年から「ヘルシーブック スマイル」を年四回発行、ハンバーガーなど全二十五商品について、カロリーのほか、たんぱく質、カルシウム、塩分など十一種類の栄養表示の一覧表を出している。栄養に偏りがあるといわれるハンバーガーだが、情報開示を通じてイメージアップにつなげる。
257. 塩ビ、包装材向け全廃――各社に危機感、処理策など情報開示急務。
98/ 1/13 日本経済新聞 朝刊 P 11 784字 表写絵 FAX可
環境重視の動きが、材料の調達という製造業の「川上」段階に及んできた。二〇〇〇年四月に廃プラスチック全般が容器包装リサイクル法の対象になり、包装材を使うメーカーは再商品化の義務を負う。この負担を軽減する意味からも日用品メーカーは素材の選別に動いた。「需要家離れ」の危機感を抱く塩ビメーカーは、ダイオキシン発生防止に関する広報活動などで防戦を目指す。素材・部品メーカーにとって環境面の正確な情報開示が急務になってきた。
日用品メーカーでは、ダイオキシン発生の懸念と、包装材を再商品化する際のコストが塩ビ離れの動機になっている。
廃プラの有効再利用率はわずか二五%(九五年)。新技術を使っても、現状では塩ビはコストがかかると指摘されがち。例えば高炉の原料に再利用するには塩ビの選別工程が必要とされ、包装材を使うメーカーとしては塩ビを避ける方が無難となる。 258. 首相、金融・経済演説の内容。
98/ 1/12 日本経済新聞 夕刊 P 2 3412字 FAX可
橋本竜太郎首相の金融安定・経済運営演説の内容は次の通り。
第百四十二回国会の開会に当たり、金融システム安定化対策と当面の経済運営について政府の基本的考え方を明らかにし、国民の皆さまのご理解とご協力をいただきたいと思います。
私は新たな時代を先取りする経済社会システムをつくり上げるために行政、財政構造、社会保障、経済構造、金融システム、そして教育の六つの改革を一体的に断行したいと申し上げてまいりました。先の臨時国会においては、高齢者の介護を社会全体で支えるための介護保険法および財政構造改革の推進に関する特別措置法が成立しました。今国会においても、同特別措置法を踏まえた一九九八年度予算はもちろん、中央省庁の再編等のための基本法案の成立を期するなど、六つの改革に全力で取り組む決意であります。
259. 蔵相財政演説の要旨。
98/ 1/12 日本経済新聞 夕刊 P 2 1593字 FAX可
三塚博蔵相の財政演説の要旨は次の通り。
【最近の経済金融情勢と政策運営の基本的考え方】
最近の経済金融情勢は、家計や企業の経済の先行きに対する信頼感の低下などから景気は足踏み状態だ。昨年秋以来、複数の金融機関の経営問題の表面化などを契機に預金者などに不安感が広がり、金融システムの安定性が大きく揺るぎかねない状況が生じた。
これまで順調な経済成長を続けてきたアジア地域では、タイ、韓国など各国の通貨・金融市場が混乱し、我が国、世界経済への悪影響が懸念された。金融システムの安定なくして経済の自律的な成長の実現、国際経済での信用の保持は不可能だ。 260. アジア向け融資――拡大戦略見直し必至(金融ザランキング)
98/ 1/12 日本経済新聞 朝刊 P 5 1579字 表写絵 FAX可
「韓国の外貨流動性危機を回避するためには先進各国だけでなく、民間銀行の協力が欠かせない。邦銀も自発的に協力してほしい」。昨年十二月二十五日、大蔵省の榊原英資財務官は東京都丸の内の全国銀行協会連合会に東京三菱銀行など大手銀行九行と農林中央金庫の役員を集めて訴えた。
韓国で中堅財閥や金融機関の経営破たんが相次いでいる。日米欧の銀行は同国の信用リスクが危険な水準にまで高まったと判断し、同国向け融資の回収を急いだ。これが韓国の外貨不足を深刻化させた。先進各国や国際通貨基金(IMF)は公的支援の体制を整えていた。ただ民間銀行が融資の回収を続ければ効果は薄れるとみて、民間に融資残高の維持を強く要請した。 261. 十八銀がホームページ。
98/ 1/10 日本経済新聞 地方経済面 P 13 119字 FAX可
十八銀行は十二日、インターネット上にホームページを開設する。同行の決算財務情報やトピックス、リクルート情報、ローン・サービス案内などを掲載し、ホームページ上で資料請求も受け付ける。アドレスはhttp://www.18bank.co.jp
262. 不良債権、情報開示基準を拡大、全銀協――都銀など今期から。
98/ 1/10 日本経済新聞 朝刊 P 4 407字 FAX可
全国銀行協会連合会(全銀協)は九日、都市銀行や地方銀行などの不良債権の開示基準を拡大する方針を決めた。十三日の理事会で正式に決める。公的資金の導入をはじめとする金融安定化策が固まるなかで、銀行に対して「不良債権情報の開示を一段と徹底すべきだ」との声が高まっているためだ。都銀、長期信用銀行、信託銀行と一部の地銀は九八年三月期から新基準に基づいて開示する見通し。
全銀協が新たに設ける不良債権は二種類。三カ月以上六カ月未満にわたり元利金の返済を延滞している「三カ月以上の延滞債権」。経営難に陥った債務者の再建のために、貸出金利を引き下げたり、返済額の減額・返済期限の延長を実施している「金利引き下げ・返済猶予債権」も加える。
263. インターネット証券取引(10)規制の枠組み再検討(終)(ステップアップゼ
98/ 1/ 9 日経金融新聞 P 7 1095字 FAX可
インターネットの証券取引への活用を促進しようとする米証券取引委員会(SEC) の取り組みは、あくまで従来の証券市場規制の枠組みを前提としたものである。しかし、インターネットは、全く新しいメディアであり、従来の規制の枠組みに収まりにくい面もある。
例えば、証券発行時の情報開示規制や届出義務などは、不特定多数の投資家に対する勧誘を行う者に課せられる。ところが、インターネットにはだれでも自由にアクセスできるので、インターネット上に株式発行に関する情報を掲載すると、直ちに、不特定多数の投資家に勧誘をしたことになってしまう。
しかも、この問題は、一国内にとどまらない。例えば、米国でインターネットを利用して株式を発行したスプリング・ストリート社のホームページは、わが国でも見ることができ、目論見書を入手することもできる。これは、形式的には、わが国で株式募集を行ったことになりかねない。
264. 通信再編、DDIの国際戦略、公専公で外資と提携も――稲盛名誉会長に聞く。
98/ 1/ 9 日本経済新聞 朝刊 P 11 1147字 表写絵 FAX可
長距離系新電電のDDIが国際通信進出への体制づくりとPHS(簡易型携帯電話) 事業の立て直しを急ぐ。通信の自由化以降、相次ぎ新規事業を立ち上げてきた稲盛和夫名誉会長(京セラ名誉会長)が明らかにした。国際通信への進出では「海外企業と組んでの国際公専公サービスの活用の可能性」を強調する一方、国内企業同士の再編への参加にも含みを残した。国際電信電話(KDD)と日本高速通信(テレウェイ)との合併合意など通信業界の再編成が進むなか、DDIが動き出すことで通信業界の再編劇は第二幕を迎えそうだ。
稲盛氏との主なやり取りは次の通り。
――業界再編にDDIが取り残された、との見方がある。
265. 東京海上MC投資顧問取締役稲田進氏――業種内での選別物色進む(プロの目)
98/ 1/ 8 日経金融新聞 P 20 524字 表写絵 FAX可
稲田進・東京海上MC投資顧問取締役 当面の株式相場は昨年来の二極化が続き、業種内での選別物色が一段と厳しくなりそうだ。一連の株価対策で大幅な下振れ懸念は薄らいだが、個別には損益計算書など財務内容の情報開示に対する不信感が依然根強い。
例えば日立など、米国会計基準を導入しているような銘柄は一株利益などの指標が買い手掛かりとして機能しているが、財務内容が信頼しにくい銘柄はもはや投資尺度で物色できない状況になっている。いわゆる日本的経営の不透明さが外国人投資家の日本株見送り姿勢に結びつく面もある。
相場全体が反転するには国内経済の回復と不良債権問題の解決が欠かせない。国内経済については、あまり悲観しなくてもよいだろう。個人消費や設備投資の落ち込みには歯止めがかかり、在庫調整も年内には一巡しそう。引き続き好調な外需が回復をけん引する。
266. ローランド、連結中間決算、来期から公表。
98/ 1/ 8 日経金融新聞 P 17 317字 FAX可
ローランド(7944)は九九年三月期から連結中間決算を公表する方針だ。海外子会社による電子楽器の製造・販売が増加している現状を踏まえ、連結重視の姿勢を鮮明に打ち出し、投資家に情報開示強化をアピールする。
同社は今期、海外販売子会社「ローランド・カナダ」を連結対象に加える予定。連結対象子会社は十三社に増える。これに持ち分法適用会社の七社を含めた連結決算を、来期は九月中間期から作成、公表する。
前期までは連結決算を単独から約二週間遅れで発表していた。今期は連単同時発表する方向で作業を進めており、来期から公表する連結中間決算も、単独と同時に発表する方針。同社の純利益の連単倍率は、連結子会社の好調で前期実績で一・七三倍に達している。
267. 住友金属鉱山社長青柳守城氏――情報開示姿勢を反省(株価を語る)
98/ 1/ 8 日経金融新聞 P 17 584字 表写絵 FAX可
国際非鉄価格の低迷を受け、世界の主要株式相場で非鉄株が下落傾向にある。特に当社は産金会社というイメージが根強く、ドルベースの金価格下落が株価に影響しているようだ。
そうした外部要因があるにしても、同業他社と比べ株価の下落幅が大きいことには責任を感じている。投資家に対する情報開示の努力が一〇〇%だったかと言えば、反省の余地はある。今後はファンドマネジャーなど市場関係者からの意見、批判を聞く機会を設けていきたい。
ただ、最近の株価を見ていると、当社にはストックオプション(自社株購入権)制度はなじまないと改めて思う。業績そのものが為替、非鉄相場によって振れやすいうえに、九八年三月期はここ四―五年で最高の業績を上げる見通しだというのに、株価は低迷している。ベンチャー企業育成などには重要な制度だと思うが、当社は今後もストックオプションを導入することはないだろう。
268. 展望98トップインタビュー(1)ジュエルベリテオオクボ社長大久保利春氏。
98/ 1/ 8 日経流通新聞 P 8 1042字 表写絵 FAX可
個人消費の低迷、金融システム不安などが重なる中で、専門店業界は新年を迎えた。 大手専門店各社は難局をどう切り開こうというのか。各業態を代表する企業のトップに九八年の展望と企業戦略を聞いた。
――景気の先行きは。
「つねづね日経平均一万六千円なら雨、一万五千円は大雨、それを割ったら暴風雨と言ってきたが、とうとう割り込んでしまった。昭和の金融大恐慌時とよく似た状況といわれ、消費者は相当委縮している。十兆円の国債発行による金融システム安定化策も、二兆円減税も後手後手だ」
「しかし、当時と全く違う面があることを思い起こしてほしい。日本には千二百兆円の個人金融資産があり、今や一千億ドルの外債を保有する世界一の債権国。ストックを考えれば国力は雲泥の差がある。厳しい時代という認識は重要だが、おびえてはいけない。難局を乗り切る気力、意欲が大事で、将来の飛躍のために努力すべきだ」 269. 論戦98(1)為替――モルガン銀行東京支店長藤巻健史氏、円相場下げ止まら
98/ 1/ 8 日本経済新聞 朝刊 P 5 763字 表写絵 FAX可
円相場は下げ止まらないだろう。為替は国力を反映する。弱い国の通貨は売られ、強い国の通貨が買われる。日本の弱さは、規制の多さや情報開示の不足など長年のシステム疲労に根差しており、一朝一夕に解決するものではない。現在の円安は経済の実態に比べても決して行き過ぎではない。年末までに一ドル=一六〇―一八〇円まで下落する可能性も考えている。
昨年十一月の鉱工業生産指数は九八・七。円相場が一時一ドル=一六〇円台を記録した九〇年の平均である一〇〇を下回っているのが実情だ。ファンダメンタルズからみて、円買い介入の効果はない。米国の要求も自由な競争を実現する規制緩和であって、円高ではない。昨年十一月下旬からの日銀による大量の資金供給も、円高よりも円安政策の方が整合性がとれている。 270. 本社新春景気討論会――金融システム安定化、情報開示など不十分。
98/ 1/ 8 日本経済新聞 朝刊 P 3 408字 FAX可
金融システム安定化策については公的資金の導入が必要だとの認識で一致したものの、その前提となる不良債権の情報開示や金融機関の自助努力が不十分だとの意見が多かった。
賀来氏は公的資金投入を基本的に預金者保護に限定すべきだと指摘。貸し渋り対策としての早期是正措置の弾力化や政府系金融機関の融資枠拡大にも慎重な姿勢を示し、「日本版ビッグバン(金融大改革)の前倒しや拡充によって資本市場を活性化するのが筋」と強調した。
一方、竹中氏は不良債権の総額がわからないことが金融システム不安の根幹にあると述べ、まず国会内に特別調査チームを創設するよう求めた。日本の銀行は約七十九兆円の「問題債権」を抱えていると言われるが、その額を明確にすることが先決との見方だ。
271. 6党政策合意の要旨。
98/ 1/ 8 日本経済新聞 朝刊 P 2 809字 FAX可
野党六党の政策合意要旨は次の通り。
【経済・景気対策】短期的には財政再建より景気対策・経済再建を優先し(1)三兆円の所得税・住民税の恒久減税(2)法人税率の引き下げ、有価証券取引税・取引所税の廃止と土地・住宅などの政策減税――の実施で合計六兆円規模の減税を実現する。
【金融安定化対策】金融機関の経営者や行政の責任追及、情報開示の徹底を前提とし、破たん処理に伴う預金者保護に限定して公的資金を導入する。金融機関の優先株や劣後債などの公的引き受けは行わない。公的債権回収機関(日本版RTC)の設立や、財政・金融の完全分離を含む金融市場監督体制の確立を図る。「緊急金融対策プロジェクトチーム」を設置し、必要な立法化作業を進める。
272. 第1部広がる株式制度(1)国有企業再生の切り札に(中国市場大国への道)
98/ 1/ 7 日経金融新聞 P 1 2767字 表写絵 FAX可
二十一世紀は中国の世紀になるとの見方がある。潜在力は大きい。それを引き出すために中国は株式制を軸とした市場経済推進策を打ち出した。三月にも首相に昇格する朱鎔基副首相が中心になって、金融資本市場の整備、銀行制度の近代化や国有企業の改革を進める見通しだ。しかし情報開示や法整備の遅れなど課題も少なくない。加えてアジア全域を巻き込んだ投機の波が押し寄せる可能性もある。市場を活用して経済改革を軌道に乗せられるのか、それとも市場にのみ込まれて混乱に陥るのか。経済大国を目指す中国の挑戦が始まろうとしている。 (中国金融取材班)
「株式制は企業と資本の効率を高めるもので、社会主義体制でも利用できる」。昨年九月、中国共産党が北京で開いた第十五回党大会。壇上に立った江沢民総書記(国家主席)は、人民大会堂を埋めた二千人余の党代表に語りかけた。 273. 念書での子会社債務保証、三越も情報開示へ。
98/ 1/ 7 日経金融新聞 P 1 569字 FAX可
「経営指導念書」の形で親会社が実質的に保証している関係会社の債務内容を、開示する動きが広がりそうだ。三越は子会社の損失が表面化したのをきっかけに、九八年二月期分の有価証券報告書で保証の事実を記載する方針。伊勢丹も九六年三月期分から記載している。関連会社の債務にかかわる念書の存在は、損失が明らかになって初めて分かるケースが多く、投資家から批判が出ている。日本公認会計士協会も、会計士が企業に対して念書や保証予約の開示を指導するよう検討している。
三越は九七年八月中間期に、念書で事実上、債務保証していた子会社がゴルフ場開発に伴う約四百五十億円の損失を出し、本体で同額の損失を引き当てた。「事実を隠すつもりはなかったが、保証の実態に合わせて開示することにした」(藤本恵三常務)という。
274. 東京電力社長荒木浩氏――選ばれる企業目指す(トップ年頭あいさつ)
98/ 1/ 7 日経産業新聞 P 12 223字 表写絵 FAX可
荒木浩・東京電力社長 金融界の経営実態を見ると、企業が的確な情報開示を怠るだけでなく、自己主張もないまま傷口を広げた。これを他山の石とし、常に正しい情報を公開し自己責任を持つことが必要だ。一方、電気事業については、高いサービスレベルを維持してきた良き伝統と企業風土は次の世代まで守り続けなければならない。ただ、競争と効率性が強く求められており、「安くて良い」電気の提供を通して、どんな競争市場でも常に顧客に選んでもらえる企業でなければならない。 275. 介護認定、日本医師会、独自に基準。
98/ 1/ 7 日本経済新聞 朝刊 P 5 463字 FAX可
日本医師会は六日、公的介護保険で高齢者の症状を判定する「要介護度認定基準」を独自にまとめた。厚生省の基準案では、病気の治療など医学的な視点が欠けていると判断したためだ。また、同日記者会見した坪井栄孝会長は「医療情報の徹底開示に努めたい」と述べ、九八年中に患者に対するカルテ(診療録)開示などに取り組む考えを重ねて強調した。
厚生省は介護保険で高齢者を歩行などの生活能力に応じて軽度から最重度まで六段階に分け、介護費用の支給額を決める方針だ。医師会の認定基準案も六段階だが、「介護サービスと医療は一体で提供すべき」との考えから訪問看護婦などによる治療行為の必要性を盛り込んだ点が特徴。
276. 大蔵省が市場安定化策、市場関係者の見方――大和総研取締役秋本英明氏。
98/ 1/ 7 日本経済新聞 朝刊 P 3 208字 FAX可
秋本英明・大和総研取締役 対策の株価への効果は期待できそうにない。風説の流布を厳しく取り締まるより、企業の情報開示を充実させ、投資家が風説に惑わされないようにすることが先決だ。実際の取引の中で空売りか、現物株の売りかを判別する作業も難しそうだ。相場の主導権を握っている外国人投資家は小手先の規制に良い印象は持たないだろう。減税規模を五兆円程度に増やさないと、三月末の日経平均株価が一万四千円を割り込む可能性もある。
277. 野村証券金融研究所企業調査部山口秀丸氏――万有薬(アナリストこの会社)
98/ 1/ 6 日経金融新聞 P 19 0字 表写絵 FAX可 278. ヤクルト副社長、有価証券と交換で私募債取得――「含み損隠しではない」。
98/ 1/ 6 日経金融新聞 P 17 747字 表写絵 FAX可
ヤクルト本社(2267)が九六年に同社保有の有価証券と私募債を交換した行為が、特定金銭信託や有価証券の含み損を隠す目的ではないかと一部で報道された問題で、財務担当の熊谷直樹副社長は五日、日本経済新聞の取材に応じ、「高い利回りでの運用が目的であり、情報開示の義務も果たしている」と疑惑を否定した。一問一答は以下の通り。
――有価証券と交換で私募債を取得したことが損失隠しではないかと指摘されているが。
「株式など当時の簿価で百七十二億円分の有価証券で包括信託を設定し、この信託に組み入れた有価証券を英領西インド諸島に登記した会社の私募債と交換した。実際の運用は(米系投資会社の)プリンストン・エコノミックス・インターナショナルが担当している。交換した有価証券を売却して換金し、これを原資に運用しているようだ」 279. <図表>担保不動産証券化のしくみ例。
98/ 1/ 6 日本経済新聞 朝刊 P 5 0字 表写絵 FAX可 280. 不動産の証券化、市場整備へ新法、建設省検討――投資顧問業者、資格を審査。
98/ 1/ 6 日本経済新聞 朝刊 P 5 715字 表写絵 FAX可
建設省は不動産の証券化を促す新法の制定について検討し始めた。証券化商品を取り扱う不動産投資顧問業者に対して資格審査するほか、投資対象となる不動産などの情報開示について基準を整備する。投資市場の拡大を後押しするため、同省の外郭団体である民間都市開発推進機構が証券化商品を購入できるように関連法令を改正する。投資市場を整備することで、土地の流動化や都心部の再開発を進める狙いだ。
建設省は一月中に大蔵省、東京都、金融機関、不動産・建設会社などが参加する「不動産の証券化等の活用による都市開発事業推進委員会」を発足させ、本格的な検討に入る。九九年の通常国会に証券化促進のための新法案を提出する方針だ。 281. シーガイア訴訟、原告の元宮崎県議も上告。
98/ 1/ 5 日本経済新聞 西部夕刊 P 20 164字 FAX可
宮崎市の大型リゾート施設「シーガイア」を運営する第三セクター「フェニックスリゾート社」の決算報告の全面公開をめぐる訴訟で、原告の元県議、谷口善典さん(69)は五日午前、役員の職務担当以外の個人情報開示を認めなかった昨年十二月十九日の福岡高裁宮崎支部の判決を不服として上告した。被告の宮崎県側も昨年十二月二十六日に上告している。 282. 今年こそ身勝手経営と決別――企業の情報開示急務(ニュース複眼)
98/ 1/ 5 日本経済新聞 夕刊 P 3 1217字 FAX可
自分に都合のいい要求ばかりして自らを省みないことを「身勝手」という。今年は、日本の企業や経営者は決して身勝手ではないことを証明する年だ。
自民党が九八年度税制改正大綱を決定した昨年十二月十六日、産業界は一様に焦点の法人税改革を歓迎した。基本税率は三%引き下げ、戦後最低の三四・五%になる。引当金の見直しで差し引き増税と試算される日産自動車の辻義文会長も「欧米並みに近づく一歩」と評価していた。
昨年は日本版ビッグバン(金融大改革)で求められる「フリー、フェア、グローバル」を基準とした構造改革が不十分ながらも相次いで打ち出された。その流れのなかで、産業界は長年の悲願だった法人税率の引き下げを実現できたのだ。
「法人税がただ同然の国に比べれば日本はそれだけコストが高いことになる。当然、製造業は日本から逃げていく」。日本アイ・ビー・エムの北城恪太郎社長は指摘していた。
283. 企業が選ぶ銀行・生損保ランキング――人気度を測る11項目(生保)
98/ 1/ 5 日経金融新聞 P 9 217字 表写絵 FAX可 人気度を測る11項目(生保) (1)資金運用のメニュー・ノウハウが豊富
(2)商品開発力がある
(3)コンサルティングなど営業職員の能力が高い
(4)経営が堅実で、格付けが高い
(5)人材が豊富で機動性や総合力に優れている
(6)情報力・分析力があり、情報提供に熱心
(7)損保や投信など周辺業務にも強い
(8)保険料が安い
(9)ディスクロージャー(情報の開示)に前向き
(10)コンプライアンス(法令順守)の姿勢が明確
(11)株式の持ち合い関係にある
284. 企業が選ぶ証券ランキング――人気度を測る13項目。
98/ 1/ 5 日経金融新聞 P 5 285字 表写絵 FAX可 人気度を測る13項目(証券・銀行) (1)資金調達の企画力、ノウハウが豊富
(2)資金運用のメニュー、ノウハウが豊富
(3)情報収集力・分析力があり、情報提供に熱心
(4)スワップ、オプションなど金融先端技術を駆使した商品開発力がある
(5)M&Aのノウハウがある
(6)手数料などサービスフィーが安い
(7)企業に対する経営指導が適切
(8)ディスクロージャー(経営情報の開示)に前向き
(9)コンプライアンス(法令順守)の姿勢がしっかりしている
(10)国際業務で頼りになる
(11)経営が堅実で格付けも高い
(12)人材が豊富で、機動性や総合力に優れている
(13)株式の持ち合い関係にある
285. 人気度ランキング・銀行――情報開示姿勢、興銀の評価今一つ。
98/ 1/ 5 日経金融新聞 P 3 254字 FAX可
決算内容を米証券取引委員会(SEC)基準で開示している東京三菱銀行が高い評価を得た。九七年九月中間決算で大規模な不良債権処理に踏み切り、他行に先駆けて一〇〇%以上の引当率を実現したことも評価のポイントになったとみられる。
ニューヨーク証券取引所への上場を目指す住友、三和もシティバンクと並んで好位置を占めた。静岡銀行が評価されたのは、邦銀で最も高い水準の格付けを維持しているためとみられる。日本興業銀行は東京三菱と同様、SEC基準で決算を公開しているにもかかわらず、相対的に評価は今一つの順位にとどまった。
286. <図表>未収比率の変化率ランキング(金融ザランキング)
98/ 1/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 5 0字 表写絵 FAX可 287. 未収比率の変化率――問題含み債権推計に道(金融ザランキング)
98/ 1/ 5 日本経済新聞 朝刊 P 5 1195字 表写絵 FAX可
「不良債権の情報開示の拡充は避けられない」
自民党が十兆円の拠出国債を活用した金融システム安定化策を決めた昨年十二月十六日夜、大手都市銀行頭取はつぶやいた。財政資金を投入する以上、「潜在的な不良債権を開示すべきだ」という要求が強まるのは確実だからだ。
大手銀行の間で浮上しているのが、「六カ月以上の利払いが停止」という現在の延滞債権の定義を「三カ月以上の利払い停止」まで広げる案などだ。
山一証券の簿外債務問題以来、日本の金融機関の情報開示に対する不信感はより強まった。銀行が破たんする度に、公表不良債権から想像できないような損失が発生した。
投資家が「隠れた不良債権」を推測する方法はないのか。決定的ではないが、有価証券報告書に手がかりはある。貸出金利息収入に対する「未収利息」の比率(未収比率) の変化率である。
288. 資産運用ビッグバン、井手正介・大場昭義著(ビジネス書拾い読み)
98/ 1/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 49 269字 FAX可
金融ビッグバンは、戦後の日本経済を特徴づけたフローの成長からストック重視の先進国成熟型に金融・資本市場を整備することと位置づける。それによると既存金融機関などは、千二百兆円個人貯蓄や年金資金を有効に活用するための「資金運用業」に変革される。
著者は、米国でもディスクロージャーの徹底などに六十年の歴史が必要だったと述べ、日本の資産運用業はプロフェッションの確立などが課題だと指摘する。日本でも企業年金が改革のリーダー役となるとし、資金運用業の発展には「受託者」の概念の深い理解が決定的に重要だと強調する。(東洋経済新報社・一、六〇〇円)
289. 情報開示と責任のとり方、飯久保広嗣著(ビジネス書拾い読み)
98/ 1/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 49 269字 FAX可
企業や官庁で不祥事が発生するたびに、危機管理のずさんさと情報開示の不十分さが指摘される。
著者は、リスク管理と情報開示には密接な関係があるとして、開示が必要な情報の領域を四つに分類。積極的な情報開示がリスク管理につながり、小出しではなく全体像を示すことが肝要だと説く。責任をとる場合、起きた現象そのものではなく、事前事後の対策・対応の不備が問われるべきだと主張。責任のとり方は、謝罪、退任、刑事責任、損害賠償などさまざまだが、「謝罪すればすむ」日本的思考様式をグローバルスタンダードに変えてゆくべきだとする。(かんき出版・一、五〇〇円)
290. 21世紀への設計図(1)東京大学教授岩井克人氏(経済教室)
98/ 1/ 1 日本経済新聞 朝刊 P 31 0字 表写絵 FAX可
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