中国より社会主義的な経済 行政は立法するな 大蔵の「金融」温存は失敗の始まり
金融・証券のビッグバンは簡単にいえばがんじんがらめの規制を解除して、自由で公正な国際的に通用する金融・資本市場をつくることである。よって金融サービス産業の雇用・所得を増加させるものである。そのためにはまず規制を緩和せず撤廃しなければならないが、その前にやらねばならない重要なことがいくつもある。ちゃんとした道筋を立てて早急かつ大胆に手を打たないと混乱を招くだけである。例えばスタートした個別株オプションのように規制色が強くてはビッグバンにならない、ビックリバン(?)だ。ビッグバンは米英ですでに実例があるので大いに参考にすればビッゲストバンにもなりうる。
さて、わが国は自由主義・資本主義体制であるが、GDP(国民総生産)のうちいわゆる規制や統制でもたらされるのは約四0%と行政革審の委員から聞いたことがある。参入規制、価格統制、需給調整などで経済が成り立っている部分が半分近くもある。
自由主義体制下では経済政策は総需要や総供給を誘導するようなことを意味するが、個々の産業・商品・サービスの需給や価格を操ろうとするのが日本の経済・産業政策であるからである。
ちなみに社会主義/市場経済というあい矛盾する思想を国是として掲げている中国は現在この価が三0%余りだと中国人の経済学者から聞いた。ということになると、わが国は自由主義/統制経済ということになるのか。
規制経済下では「不効率・高物価」がまかりとおり、このため産業が外に逃げていわゆる空洞化が起き、やがて経済は衰退してしまう。経済大国が行き詰まり、衰退するのは「大きな政府と産業のサービス化」(浅羽良昌著「経済大国の盛衰300年ーー英米日中」)といわれているが、資本主義の本山米国では七0年代、軍事費と福祉費が膨らんで大きな政府となり「規制経済のGDP比率」は20%となった。財政・貿易・家計の三つの赤字に悩まされた。米ソ冷戦の終結を成し遂げたレーガン大統領による「減税・小さな政府」の行財政改革を行った。その結果クリントン時代にようやくこの規制経済比率は7%になって、「アメリカの復活」がもたらされた。最近、レーガンを讃える声が高い。
金融・証券のいわゆるビッグバンはあまりにも規制が多く行政と業界が癒着し業界の失敗に財政資金を費やすという「超大きな政府」になっている分野であるからして緊急かつ重要である。これが失敗すると経済大国ではなくなる。
それにしても政府の行政改革会議で橋本首相は財政・金融の分離に失敗(八月二0日)したことは改革にとってはかなり重大な間違いになるだろう。「護送船団方式」から抜け出せない官僚が規制を温存して再び間違いを犯すのは目に見えている。素人の役人に高度な金融商品はもはや理解できないから金融の「企画」・「立案」は無理。役人は法律はつくらなくてよい。立法は国会が行うのが筋である。行政こそもっと本分をわきまえよう。(四条耕三)
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